子だくさんIT社長のFileMaker日記[20]FileMakerによる情報共有の構造と意義/茂田カツノリ

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システム開発だのITだのという話では、よく「社内の情報共有がどうの」という話が出て、もしかしたら聞き飽きている人もいるかもしれない。

しかし、これはとっても重要なこと。情報を共有することそれ自体はもちろん重要だが、それ以上に共有のしかたが大事なのだ。ということで、今回はこの点について、ちょっと詳しく解説しておこう。



●FileMakerの共有はファイル共有とは全然違う

パソコンをLANでつないで情報共有という話をすると、ああそれはもうとっくにやってるよ、LANに接続するハードディスクつないで、みんなで使うExcelファイルを置いて、とか思う人もいるかもしれない。

しかし、ファイルを共有してみんなでアップロードダウンロードして、というのは、実は情報共有とは呼べない面がある。少なくとも、FileMakerで実現するものは、これとはまったく異なるものだ。

FileMakerのデータベース共有機能は、OSが持つファイル共有機能とはまったくの別物。FileMaker独自のプロトコル(約束事)により、ひとつのデータベースを大勢で同時に閲覧や更新できるというものだ。

閲覧については、皆が同時に同じデータをみることができ、検索などの結果は各自それぞれ別途に扱える。データの更新については、同じレコードを誰かが更新している場合はそこは変更できないという、いわゆる「排他処理」が実現する。

「同じレコード」という言葉が出てきたが、これは1件のデータといった意味。たとえば10万人の名簿があったとして、そのうちのある1人の人をAさんが修正し始めたら、そこでその人についてはロックがかかり、Aさんが修正を確定させるまではほかの人は修正ができない、という意味。ロックがかかっていても、閲覧はできる。

こうした形でのデータベース共有は実は結構高度な処理なのだが、FileMakerでは何ら特別な意識の必要なく、こうした機能を実現させることができる。

共有できるユーザ数は38,000円のFileMaker Proで9、128,000円のFileMakerServerなら250、380,000円出してFileMaker Server Advancedを買えば理論値的には無制限に共有ができる(無制限といっても実用的には数百くらいだ)。

この場合、サーバとなるパソコンにFileMakerデータベースの実体を置いてこれを開き、ほかのパソコン上でFileMakerを起動してサーバにあるデータベースを見にゆく、という形となる。つまり、使う側のパソコンにはデータベースファイルの実体は置かれないのだ。

こうしたFileMaker独自の共有方法については、誤解をしている人も多いので十分気をつけてほしい。

特に、OSが持つファイル共有機能を使って公開したドライブにFileMakerデータベースを置いて、これをリモートで開いて利用すると、データベースファイルはほぼ確実に壊れる。このような使い方をしてはダメとマニュアルにも明記してあり警告も表示されるが、何かの思い込みがあるのか、こうした使い方をしている事例は多数見たことがある。

ExcelやWordと違い、FileMakerのようなデータベースソフトは、ファイルが常時開いている形となるので、リモートで開く形は特にダメなのだ。繰り返しいうが、ファイルが破損してしまう。

●同時に使えることの業務上のメリット

単一のデータベースファイルを複数のユーザで同時に開け、情報を閲覧し、データの入力や更新ができるということは、実際の業務においてとても役立つ。

こうした形ではなく、たとえばExcelで誰かが入力し終わったら次の人にメールし、などという運用を行うのは、ちゃんとした情報共有とは呼べない。しかし実際、ExcelやWordのファイルを人から人へ受け渡すことで業務を成立させている企業は驚くほど多い。

Excelは素晴らしく高機能で柔軟性に富んだ表計算ソフトだが、データベースソフトではない。だから、レコードのロックや排他制御といった機能は持っていないのは当然で、基本は一人で使うものなのだ。

業務全体の流れを、その業務に関わる人すべてがそれぞれの権限範囲内でみることができ、誰かがデータを更新したらそれが瞬時に全員に伝わるというのが、本当の意味での情報共有だ。

こうした情報共有ができるソフトは、実はあまり多くない。

ExcelやAccessでもある程度の共有はできるが、とても制限が多い上にユーザ数も限られる。実用的な情報共有を実現するには、それに対応したデータベースソフトの利用が必須になる。それができるのがFileMakerであり、MySQLであり、MS-SQLであり、Oracleなのだ。

FileMakerの便利さのポイントは、業務に合致したアプリが作れることや、大量の情報が扱えることなど多数あるが、中でもこの「ちゃんとした排他制御のついた情報共有が実現する」という点はかなり重要である。

まずはこうしたデータベース的な共有の動作を理解するところから、業務改善について考えてみてほしい。新しい世界が広がるから。

【しげた・かつのり】 FileMaker公認トレーナー/FileMaker11認定デベロッパー。できれば他社の社外取締役や技術アドバイザーのような地位をもらって、よりビジネス面の視野を広げたいと思っている45歳4児の父。相変わらず大量の依頼を抱えて全国を走り回っているが、講師やコンサルティングはまだまだ承るのでよろしくです。

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