子だくさんIT社長のFileMaker日記[24]FileMaker Goで業務を変えよう!/茂田カツノリ

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なんか、9月になったというのに信じられないくらい暑いっすね。カリフォルニアが100年に一度という涼しい夏だったぶん、対岸の日本が暑くなったに違いない、と信じてる茂田です。

●iOS搭載製品の大躍進はもう止まらない

先週iPod touchの新型が発表された。iPodという名が付けられている以上は、製品カテゴリとしては音楽プレーヤーなわけだが、実際には静止画デジカメ+HD対応ビデオカメラ+Wi-Fiで、Web閲覧+メール+ゲームなど様々なアプリの実行が可能という、手のひらに乗る高性能パソコンと考えたほうが正しい。それが20,900円っていうのは驚異的だ。

ソファでくつろいでWeb閲覧したり、という目的にはiPadが最適だが、iPod touchでも十分使える。画面は小さいが解像度が異常に高いから細かい文字も読みやすい。

またFaceTimeによるTV電話も、こればっかりは使ってみないと価値がわからないかもしれない、というくらい素晴らしい出来だ。これ専用にiPod touch買う価値あるくらいだ。従来から販売されているiPhone 4も、もちろんiPadも、生活の中におけるパソコンという物の存在感を大きく変えた。

これらはすべて共通のOSを採用している。それが、ちょっと前まで「iPhone OS」と呼ばれ、今年に呼び方を変えた「iOS」というもの。iOSを搭載したiPad/iPhone/iPod touchの3つの製品は、いままでIT化が手つかずになってしまった領域にこそ、活用してほしいものだ。いやまあ凄い製品ですよ、本当に。



●iOSアプリ開発の新機軸、それがFileMaker Go

iOSマシンのいいところは、自前でいろいろソフトを開発できること。

最初のiPhoneが発売されたのは2007年1月。このときはGSM方式のみ対応であったため、日本では電話として使うことができなかった。市場の囲い込みとかいう意味不明な戦略で、あえてGSMを採用しなかったのでこんなことになってしまった。僕はもちろん発売開始直後に入手し、主にアメリカ用電話として使っていた。

このとき、実はアップル以外がアプリを作る道は閉ざされていた。Safariで閲覧するWebアプリとして作ってください、ということになっていたのだ。この方針が変わったのはiPhone 3Gが発売されたときで、開発キット「iPhone SDK」は無償配布され、開発したソフトを配布・販売する仕組みを提供する「App Store」(アップストア)も用意された。

ということで、iOSでアプリを作るには以下の2つの方法がある。

1)Webアプリとして開発する

アプリ利用時はインターネットに接続されていることが必須となり、また動作もWebブラウザの制約を受ける。HTML5に対応しているため、パソコン用Webアプリよりは自由度が高い。

2)iOS SDKで開発する

iOS SDKを使い、Objective-Cにより開発する。これは「ネイティブアプリ」と呼ばれる。iOSでできることはなんでもできるが、開発にはある程度の知識や技術、そして労力を要する。

もし、ある企業が自社の業務に特化した専用のアプリを作りたいとなった場合、1)だとネット接続時にしか使えないし、2)はコストも時間もかかるし、日常の変更要望に即時的に対応することが難しい。

そんな状況の中、iOSアプリ開発における第三の手段が登場した。それが「FileMaker Go」だ。

3)FileMaker Goで開発する

MacまたはWindows上のFileMakerにてデータベースを開発し、それをiOSデバイスに転送してFileMaker Goにて利用する。FileMaker Goとしての制約はあるが、高性能のデータベースエンジンが内蔵されているなど、業務アプリ開発に有利な条件が揃っている。

FileMaker Goは、iOSデバイスの内部にデータを蓄積することも、あるいはサーバ側にデータを保存することも可能。両者の同期という仕組みはFileMaker Goそのものにはないが、開発側の工夫により十分実現可能だ。

いままでマイクロソフト系のツールばかり使っていたエンジニアだと、iOSやFileMaker Goといった世界はとてもなじみが薄い。だからITの専門家であっても「FileMaker Goで何ができるか? 何ができないのか? 何が有利で何が不利なのか?」という点はわからないと思う。そんなときは、私がコンサルしますのでお声がけくださいませ(宣伝♪)。

●いい業務システムを作るには

FileMaker Go自体にはデータベース開発の機能はなく、あくまでデータベースを動かすためのプレイヤーソフトという役割だ。だから、開発そのものはMacまたはWindowsで行うこととなる。そしてiOSデバイスで使う以上、iOS用ユーザインタフェースのお約束事も理解しておくことが必要。指で押せない小さなボタン領域など作っては困るから。

データベース開発技術の習得は、他のどんなツールよりも容易と断言できるが、それでもしっかりとした学習は必要。見よう見まねでもある程度のものは作れてしまうのだが、その気持ちだと進歩に時間がかかるから、それよりは一度しっかり網羅的に学んでおくことを強くお勧めする。

FileMakerは、かつてMacに存在した「HyperCard」というソフトにも似た、業務アプリを手早く開発するための仕組みだ。RAD(Rapid Application Development:素早いアプリ開発)ツールという分類がわかりやすいだろう。

ただ、FileMakerがバージョン2.1といった時代には、どちらかというと個人向けデータベースという立ち位置であったので、いまでもそういうものだと誤解している人が多い。実際には、2004年のバージョン7登場以降、数百人規模の業務システムにも使えるのだが。

また開発者側も、しっかりIT系の基礎やデータモデリングを学んできた人と、なんとなく作れてしまうからというのの延長線上でプロになってしまった人とに明確にわかれてしまうのも事実。プロに依頼するなら最低限、FileMaker認定デベロッパ資格を取得している人であることは必須だが、これも業務の理解力やデータモデリングの力量についての指標にはならないので、取得していれば大丈夫とも言い切れない。あくまで必要条件と考えておこう。

どこかに開発依頼するなら、自社の業務状態を伝えてみてポイントをさくっと理解してもらえるか、FileMaker以外のIT系の知識は十分か、そもそもある程度教養のある人か、といったあたりも気にした方がよい。要は自分に取って相談相手としてふさわしいか、ということだから。

ということで、FileMaker GoではiOSデバイスで動作する業務アプリケーションを短期間で構築できる。そして、構築についてはプロのプログラマーでなくても十分に可能。ただしFileMakerでデータベースを組む上での、お作法的なものだけは覚えておかねばならない。このお作法は、具体的にはリレーションキーをどう生成するか、リレーションシップグラフをどう組むべきかといったあたりで、ここ間違ってるとデータベースが成長すればするほど困ることになるから、早い段階でしっかりとしたトレーニングを受けておくことをおすすめする。

また、FileMakerにおいては、残念ながら間違った教え方をしている人もいたりするので、気をつけてほしい。お作法というものをしっかり重視することが、まずは出発点だ。

ということで、FileMaker Goは大きな業務改革が実現できる可能性を持っているから。ぜひ積極的に活用してほしい。

【しげた・かつのり】FileMaker公認トレーナー/FileMaker11認定デベロッパー。システム開発およびコンサルティングが主な仕事だが、企画やIT系ライターもやってるので最近は「ITジャーナリスト」の肩書きも加えることにしている。株式会社レクレアル代表取締役。FileMaker Goでのアンケートシステムや営業日報入力ツールなどの問い合わせ、そしてもちろんFileMakerのコンサルティングご要望など、ぜひともお待ちしております。

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