[2918] IE9ベータ:今度のIEはちょっと違うぞ

投稿:  著者:  読了時間:33分(本文:約16,200文字)


《基、速、美。》

■わが逃走[72]
 北の墓標 の巻
 齋藤 浩

■電網悠語:日々の想い[166]
 IE9ベータ:今度のIEはちょっと違うぞ
 三井英樹

■?×?×CrossOver Talk[12]
 手帳、つかっていますか?
 ──手帳の使い方で人生の航路が変わってくる
 杏珠



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■わが逃走[72]
北の墓標 の巻

齋藤 浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20100916140300.html >
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こんにちは。
先日、訳あって1泊2日で北海道は旭川・美瑛・富良野くんだりまで行ってきました。

1日目は快晴。2日目は土砂降り。初日に目的は済ませていたので、2日目はフリー!! こうなると普通は旭山動物園に行ったり、美しい丘陵地帯を観光したりするのだが、まあ雨だしね。

それよりも、私にはどうしても行きたい場所があった。函館本線旧線神居古潭駅跡である。私の主だった目的は、そこに静態保存された3両の蒸気機関車をひと目見ることだったが、同行した極親しい間柄の年上の女性Aさんの同意を得るためにいろいろと調べてみたところ、歴史的にも地形的にも興味深い土地だということを知った。まあ地名からしてそれっぽいのだが。ちなみに神居古潭と書いて「カムイコタン」と読みます。アイヌ語の『神の住む地』に漢字をあてたもの。

さて。5年前に北海道旅行したときの地図をたよりに(カーナビは運転させられてるみたいで嫌いなのだ)、レンタカーにて美瑛から神居古潭へ向かう。途中旭川市街地にて『M』の生姜ラーメンを食す。初めて食べたが、たぶん昔ながらの味。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/09/16/images/fig01.jpg >

きっとその昔、冬のある日に蒸気機関車牽引の列車で旭川に到着した旅人も、この繊細で優しい味わいで一息ついたのだろう。ラーメン=オレ的に『劣情の食べ物』なのにもかかわらず、罪悪感を感じずにスープまで飲み干せた。ほっとする味。安心感。そして味はもちろん、店の佇まいからして昭和なのである。のれん、テーブル、椅子、全てが北のラーメンを演出する。是非とも冬にまた来たい。

で、腹も満たされ国道12号に乗ってしまえば、20分もかからずにその地に到着する。トンネルの手前から側道に入り、駐車場に車を停める。外は雨。誰もいない。目の前は石狩川。今日も一昨日も雨なので、濁流の急流である。なんかコワイ。

そしてその濁流の急流にかかる吊り橋を渡る。下を見ると、川面にたくさんの渦が見える。なんでも水深70メートルのところもあるそうだ。コワイ。吊り橋より上流を臨む。コワイ。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/09/16/images/fig02.jpg >

やはりここには神様が居るなあ。ちなみにカムイコタンと呼ばれる地は他にもいくつかあり、いずれも人を近寄らせないような場所だそうな。ここ旭川の神居古潭周辺には、縄文時代のストーンサークルや竪穴式住居の遺跡があるので、大昔から神を感じさせる力があったってことなのだろう。

また地学的にも有名だそうで、北海道を東と西に分断している『構造帯』ってやつがここを通ってるらしい。で、これをはさんであっち側とこっち側とでは全く地質が異なるそうな。ちなみにあっち側が火成岩と堆積岩からなる日高山帯、こっち側が蛇紋岩と変成岩からなる神居古潭構造帯。なのかな?

とかいろいろ考えてみるものの、興味の対象はあくまでも蒸気機関車である。橋を渡り、階段を上る。おそらく、鉄道橋を支える橋脚だったであろうレンガ造りの構造物の向こうに、雨にぬれ立つ蒸気機関車3両が、ひっそりと姿を現した。

1969年、函館本線の複線電化に伴う工事でルートが変更され、この渓谷に沿った旧線は廃止された。その廃止された線路を通って、廃車された機関車たちがこの地に運び込まれたらしい。

静かである。もはや二度と動くこともないであろう巨体が、本線から分断されたレールの上で無言でたたずむ姿は、なんとももの悲しく、なんとも美しかったのである。墓標のようである。かつてある彫刻家が自分の墓石を彫ろうと巨岩にノミを持って対峙したが、自然のままの岩のもつ力にはかなわないと悟ったという話を聞いたことがある。3両の黒い鉄の塊からは、生き様とか悟りとか、そんなことばが想起された。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/09/16/images/fig03.jpg >

この3両の美しさ、力強さはの源は、やはりこの地にあると言っていいだろう。最後まで働いた終焉の地で、北海道の自然に見守られながら自ら墓石となれたのだ。これは幸せな人生といえるかもしれない。という訳で、彼らの足跡を紹介しよう。

29638
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3両の中ではいちばん長生きした。大正時代の名機と誉れ高い貨物用蒸気機関車9600形。1913年製造。名寄区にて1969年10月廃車。奇しくも私の生まれた日と(ほぼ)時を同じくして廃車になってる。北海道にて蒸気機関車が全廃されたのが1975年だから、このときから6年もの間、蒸気機関車というものたちは生きながらえた訳だ。このときの状態で一路線でいいから動態保存路線を残せたらよかったのになあ。なんていつも思う。

ところで、蒸気機関車というものは同じ形式でも使われ方によってさまざまなバリエーションがあったり、配属地による改造などの影響で個体差が大きい。中でも北の大地を疾走したであろう証となるのが、スノウプラウ。いわゆる車両前部に装着されるスカート状の"雪かき装置"だ。

私はこの重装備な感じというか、取り付けた際の線路と車両の間の隙のなさにグッときてしまう体質なのだ。3歳頃から今に至るまでずっとそう。で、この29638にもこの車両専用のものが装着されている。北海道に転属になって、現場合わせで取り付けたと思われる。おそらくピストン先端部が干渉しちゃうので切り欠かれたのだろう、手仕事っぽい味のある上端部がイカスぜ。
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C57201、名機C57のラストナンバー。全部で201両製造されたC57形蒸気機関車の、201番目に製造された方がこちら。
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"製造された方"などと言ってしまうが、なんか蒸気機関車ってモノ扱いしずらいのだ。人っぽく感じてしまう。やはりあの息づいてる感じがそう思わせるのであろうか。

3両の中ではただひとり戦後生まれ。1947年製造。旭川区にて1969年10月廃車。こちらももちろんスノウプラウ装備。ヘッドライト脇に補助灯、さらに重油併燃装置付き。C57を『そのスマートで美しい姿から"貴婦人"と呼ばれている』とかいろんなとこで書かれているけど、オレはこいつを"貴婦人"と呼んでる奴を見たことがない。

どうでもいいけど、90年代初頭、ブームになった"スウォッチ"の紹介で、『"プラスチックの宝石"と呼ばれている』という文章を読んだことがあるが、オレはそんなこと言ってる奴に会ったことがない。あ、話がそれた。

で、オレ的に"貴婦人"なんて名で呼びたくないC57、中でもこの201号機は普通のC57とはひと味違うのだ。数少ない"四次型"と呼ばれるタイプなのだ!写真では見たことがあったが、本物の四次型C57、しかもラストナンバーに出会えたことにこの旅の真の意義を感じてしまうオレさ。何言ってるかわかんないだろ? いいんだ、ほっといてくれ。

まあ、わかりやすく言えば『やまぐち号』で有名な、トップナンバーC571とは見た目がかなり違うのだ。主な特徴はカバーで覆われた給水暖メ器、前端部の切り欠きの深いデフレクタ、でっぱりのあるランボードなど。なんて全然わかりやすくないですね。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/09/16/images/fig07.jpg >

要は異端なのだ。異端の美とでも言おうか。それこそ"貴婦人"とか言われてるんだか知らないが、C57のもつスマートで美しいポイントが全て荒っぽい印象に置き換えられているというか。

C57であってそうでない...訳じゃなく、でもC57だという、まるで印刷のずれた切手にプレミアがつくような、しかもそれを見ているうちにオリジナルよりも美しく感じてしまうような、量産型ザクよりも旧型ザクに魅力を感じてしまうような異端を愛でる背徳感、ライカが欲しいとか言いながらベッサを5台も買ってしまう愚かさ。そんな自分のダメなところを映し出しつつも最後は肯定してしまうという甘えた人生振り返って、ここに反省するのでした。ありがとう、C57201。

D516、日本で最も有名な蒸気機関車、デゴイチことD51形の6号機。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/09/16/images/fig08.jpg >

1936年製造。北見区にて1969年10月廃車。1115両も製造されたD51だが、初期の95両は製造当時世界的なブームだった、流線型の影響をもつデザインになっている。このD516もその部類で、煙突から砂箱までをひとつの曲線でつないだ通称"なめくじドーム"をもつタイプだ。この日は雨だったので、なめくじがより一層なめくじにみえる。
< http://bn.dgcr.com/archives/2010/09/16/images/fig09.jpg >

こんな中途半端な"半流線型"じゃなくて、ドイツやイギリスみたいに完璧な流線型にすればよかったのに! と思わなくもないが、この程度のささやかな意匠だからこそ、その姿を今に保つことができたのかもしれない。ちなみに製造時、流線型でデビューしたC55形蒸気機関車は、整備がめんどうという理由で後年全て一般的な形状に改造されてしまっている。

雨の中、一人でなめくじドームをながめながら、第一次大戦と第二次大戦の間の、一瞬のモダニズムの輝きを、まるで法隆寺の柱からギリシアの神殿を見るように思い描いてみたのであった。

という訳で、狭く深く一方的な話でした。今回の写真(ラーメン以外)は全てZeiss Ikon+Biogon2/35mmで撮影しています。フィルムはプロビア100。やはりフィルムはいいね。あるうちに使おう。んではまた。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/ >

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

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■電網悠語:日々の想い[166]
IE9ベータ:今度のIEはちょっと違うぞ

三井英樹
< http://bn.dgcr.com/archives/20100916140200.html >
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事実上初めてキャンペーンサイト構築に関わった。短い構築期間の間に様々な試行錯誤を重ねて、サイトをオープンする。期せずして、この日刊デジクリ配信日に解禁となるので、宣伝がてら書かせて頂きます。


最初頂いたお題は、IE9のキャンペーンとして、HTML5による表現力と日本を連想させるコンテンツを主題にした提案を欲しいとのこと。前者は、FlashでもSilverlightにも頼らない表現力を誇示することと、コードサンプルとなることを意味する。後者は、世界中からこのキャンペーンに参加するWeb屋が選ばれるので、その中で、日本を印象つけるものを、という注文だ。

ブラウザ戦争は、昔のことのようでありながら、実は今も続いている。昔は、独自の表現力の競争という側面があったが、今始まっているのはHTML5をどこまでサポートしているかであり、更に同じソースコードをどれだけ速く且つ開発者の意図通りに動かせるかが焦点だろう。

そんな中でのIE9である。しかも、正式版は実は来年の話で、今はベータ版のキャンペーンである。マイクロソフト(MS)としても、ベータ版の段階から大規模なキャンペーンを打つのは初めてのことだそうで、諸々の部分で試行錯誤性が伝わってくるプロジェクトとなった。


話が来てすぐにブレストを開いた。既に、IE9の機能や性能については特別サイトが存在している。

  ▼Internet Explorer 9 Test Drive
  < http://ie.microsoft.com/testdrive/ >
  ▼Internet Explorer HTML, CSS, Compatibility, and More | MSDN
  < http://msdn.microsoft.com/en-us/ie/default >

これの置き換え的なものは避けようというのが、最初の統一意見。何か一つの技術(SVGやCanvas)に特化しては、こことの差別化が図れない。だから、総合的な何かを目指す。様々な技術を組合せて、一つのコンテンツ/サイトとして成立する何か。それが今プロジェクトの起点。


次に悩んだのが、素材。技術を散りばめるとしても、何の上にするか。日本代表という言葉の具現化作業。富士山や京都、それが説明として与えられた単語でもでもあった。テーマとして考えながら、キャンペーンとは何か、という点も同時に考える。

ここで作られたものが、誰かの口(?)に上り、それが誰かに伝わり、共有されていく。それこそが今進めようとしているプロジェクトの本質だ。だとしたら、訪問者が何か感動して、それを伝えやすい仕組みも作らなければならない。

感動させるものとして、見せる/魅せるだけでは弱いだろう。自分が参加するものの方が、他人に伝えようとするエネルギーは強いはず。ならば、何か作品を作らせればよい。何を作らせるか&日本的な何か。事実上やりたいことを整理した時点で、「書道」というモチーフは決まっていたように思う。

ADが一晩で提案書のベースを作成し、それに薀蓄(ウンチク)を展開して、説得力を持たせる。進むべき道が決まれば、道は険しくとも、先に進める。地図を片手の登山のようなものだ。しかも、チームの多くの頭には、作品を共有する場面として、共通のイメージまであった。書道で共有、それは小学校の廊下に張り出されたあの風景。日本人以外には伝わり難いだろうけれど、日本人には説明不要のコンテンツだろう。


そう、本日公開のサイトは、「書道」。但し、英語サイト。漢字部分以外で日本は使っていない。IE9キャンペーンという目で見たとき、英語人口の方が多いと判断したためでもある。

  ▼The Shodo
  < http://www.theshodo.com/ >

トップ(Home=概要説明)、ギャラリー(Gallary=作品一覧)、ライト(Write=書を書く)。基本的には3ページ構成。活用している技術は、Canvas(Write)、SVG(お手本)、Video要素(TechView=技術説明)、Audio(音声=オリジナルです)、CSS3。技術要素としてはあげ難いけれど、それぞれの画面表示の快適さは、IE9の新しいJavaScriptエンジンによるところも大きい。

こうしたIE9の特徴を、3つの漢字としてお手本にもしている。基、速、美。基=基本:HTML5への準拠など、標準を強く意識している点。速=高速:ゼロから作り上げたというJSエンジン。美=表面だけでなく、作り手の意識がそのままユーザに伝わるというあるべき姿とも言える体験。

多少、諸々の理由で色々と抑えた機能や表現はあるけれど、結構直球勝負のサイトに仕上がったと思えている。技術の意味でも、表現の意味でも。是非是非体験いただければ。

  [サイトでは書き切れなかった]注意点)
  ・Windows Vista/7の方:是非ともIE9ベータを入手の上ご体験を
  ・Windows XP以下の方:現時点ではChromeか?
  ・上記以外の方:やはり近いのはChromeか、と


技術的な話をもう一つ。Canvasは、Flashとの比較で取り上げられることも多いけれど、ブラウザ間の実装レベルでの差はまだまだ大きい。だから色々と見比べながら作ったし、開発途中でChromeが5になったときも焦った。そして、未実装のブラウザには申し訳ないが、Write機能は使えない。IE9でお試し下さいと記した。

HTML5の浸透とともに、こうしたブラウザ毎の対応策を練っていく時代にまた突入していくのだろう。代替案を練りながら、徐々にHTML5にステップアップしていく時代の到来。けれど、前より不毛感はない。徐々に差が開いていく暗い未来ではなく、統合されるだろうHTML5の姿が先に待っているからだろう。まだまだ表現もコンテンツもブラウザも、切磋琢磨、精進の時代だ続くのだと再認識させてくれたプロジェクトでした。

なお、bA作以外の一連の作品は下記で紹介されます:

  ▼Beauty of the Web
  < http://www.beautyoftheweb.com/ >

また、日本でも下記を皮切りに様々なキャンペーンが展開されます:
  ▼Internet Explorer 9 の誕生を祝う会
  < http://welcomeie9.org/default.aspx >

【みつい・ひでき】感想などはmit_dgcr(a)yahoo.co.jpまで
・英語は勉強しておけ、息子に言い続けている言葉を、我が身に受けてます。
・珍しく、私がMS宣伝でした:-)
・書初めヴァージョンもやりたい >[誰?]
・mitmix : < * http://www.mitmix.net/ >
・Twitter : < * http://twitter.com/mit >

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■?×?×CrossOver Talk[12]
手帳、つかっていますか?
──手帳の使い方で人生の航路が変わってくる

杏珠
< http://bn.dgcr.com/archives/20100916140100.html >
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デジクリ読者の皆さん、こんにちは。studio H.M代表のディレクター/デザイナーの杏珠(あんじゅ)です。デジクリの夏休みもあって、2か月ぶりになりますが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 私はいろいろと自分の環境に変化がありました。

そのひとつに「自分の人生の振り返り」があります。生まれてから今まで、これほどまでに自分のことを掘り下げたことはなかったんじゃないか? というぐらい、自分の過去、現在、未来のことを考えていました。その「自分の人生の振り返り」の中で、一番役に立ったのが「手帳」でした。

今回はその「手帳」にフォーカスを当ててみて、デザイナーという立場からの手帳の使い方や考え方、使ってきた手帳への歴史、オススメの本などを紹介したいと思います。手帳を使いたいと思っている方、現在使っている方のお役に立てればと思います。一緒に手帳のこと、考えてみませんか?

●アナログ手帳は日記、アイデアの収集、感情ノートの3つの柱で構築

現在、デザイナーという立場で手帳を使っている私の手帳の使い方、管理方法をご紹介したいと思います。現在、アナログ手帳で管理していることは大きく分けて3つあります。

1)一日の振り返りのための「朝日記」として

今の手帳のメインとなる「日記」として使っています。普通、日記だと寝る前の振り返りとして書く方が多いかと思います。私の場合、寝る時間が一定ではなく、徹夜明けなどで仕事をしているときには、寝る前に無理をして日記を書いても、乱筆になって読めないこともあります(笑)。

朝は気持ちもクリアな状態で、考えなくてもいいようなネガティブなことも忘れていたり、いいアイデアが浮かぶことが多いので、朝に日記を書くようにしています。

2)思いついたデザイン案、ブログネタ、やってみたかったプロジェクトのアイデアのメモとして

仕事の案件はいったん資料などで全体像を見渡した後、すぐに着手せずアイデアが浮かぶまで一度寝かしておきます。これは私だけかもしれませんが、意図して自分の気になることを脳裏の片隅に置いておくと、ほかの作業や行動をしているときに、ポロっとアイデアが浮かぶことが多かったんです。すぐにその思いつきをメモするスペースとして、手帳を使っています。やってみたいプロジェクトの骨格作り、ブログに載せようと思ったネタなども手帳に書いておきます。

3)感情にかかわる大きな事があった時、冷静に見つめるためのメモとして

自分にかかわるプロジェクトなどで、普段とは違う感情を感じたときに「自分の感情が今、どんな状態なのか?」ということを冷静に判断するためのメモとして使っています。自分が進もうと思う道を決めるときに、思っていることや感情をそのままぶつけて書いています。そうすることで、自分が本当にやりたいことや望んでいることなのか? 感情や惰性で動いているのではないか? といった第三者の視点で見るためにも、とても役立っています。

●使用しているアナログ手帳は、ロルバーンのスリムノート

現在使用しているアナログ手帳は、ロルバーンのスリムノートです。手帳といっても、中身は無地のノートなんですね。それ以外に簡単なメモを取るときや、手帳が出せないときには「ポストイット」を使っています。ポストイットを使うときは「必ずPCか手帳に転記する」もしくは「その場で実行できる、転載をするまでもないタスク」というルールに基づきます。一日のどこかで必ず手帳を見直し、その場でできるモノはすぐに実行に移し、そうでなければどこかに転載するというように、余計なことを考えなくてもいい状態になっています。
< http://www.delfonics.com/products/ > DELFONICS

●アナログ手帳だけではできないことを、デジタルで補完する

ロルバーンのノート自体は、スケジュールを書き込むカレンダーもなければ、住所録やタスク管理といった、おおよそ手帳で使うと思われるフォーマットのページはありませんが、不自由はありません。そういったページはすべて、PCやWebサービスといったデジタルでの処理に任せているからです。

そんな使い方の中から、主要な項目と簡単な説明を。なぜこのような方法をとったかは、この後に出てくる「手帳の歴史」を見ていただくと分かると思いますので、興味のある方はそちらをご覧下さい。

●デジタル処理、デジタル手帳の流れ

アナログ手帳ではやっていない、デジタル手帳で使っている処理をピックアップしたいと思います。基本は以下の4つに加えて、MacBook ProとiPhone/iPad、ネット環境とモバイル環境(イーモバイル)のすべてが連携して、今の手帳環境が構築されています。

・Googleカレンダーの連携アプリ
・Evernote
・スキャンスナップ
・Eye-fi

▼スケジュール管理
基本はGoogleカレンダーに集約。iPhone、iPadはそれぞれ「さいすけ」というスケジュール管理アプリを使って情報の同期をさせています。MacBook Pro上では、メーラー「Thunderbird」のアドオン「Lightning」を使い、Win環境では、WebブラウザよりMobileMeのサービスにアクセスして確認をしています。
< http://www.saysoftware.net/jpn/ > ようこそ さいソフトへ
< http://www.mozilla-japan.org/projects/calendar/lightning/ >
Lightning - プロジェクト ホーム

▼住所録
基本はOSXの「アドレス帳」を同期しています。もちろんiPhone、iPadには転送されるので、各デバイスごとの設定は必要ありません。

▼タスク管理
タスク管理は「OmniFocus」というアプリを使っていて、これもOSX版/iPhone/iPad版を使って、いつでも同期できるようにしています。ポストイットに書いたタスクも、こちらに転記していつでも見られるようにしています。
< http://www.omnigroup.com/products/omnifocus/ >
OmniFocus for Mac - Products - The Omni Group

▼プロジェクト管理・打ち合わせ、電話中などに書いたメモ
仕事などの進行中のものは、以前はA4の紙にクリップで束ねて、終わり次第スキャンスナップでスキャンしてEvernoteに...という流れでしたが、ここ最近、進行中プロジェクトの資料が分散しているということが気になりはじめ、以前やっていたB5判の無印のノートにまとめるようにしています。仕事が終わり次第、別紙で作ってあるチェックシートとともにスキャンスナップでスキャンするか、まとめてEvernoteに送っています。

スキャンできないモノは、デジカメで撮影した画像をPCや指定したWebアルバムサービスに転送できる「Eye-fi」というメモリーカードを使って「iPhoto」というMac版の画像管理アプリと、「Flickr」というWebアルバムサービスに転送するようにしています。
< http://www.apple.com/jp/ilife/iphoto/ > iPhoto
< http://scansnap.fujitsu.com/jp/ > ScanSnap(スキャンスナップ)
< http://www.evernote.com/about/intl/jp/ > Evernote
< http://www.eyefi.co.jp/ > Eye-Fiメモリーカード
< http://www.flickr.com/ > Flickr!

▼ライフログ
一日の中で起こったことは、Twitterにつぶやいて、一日分のつぶやきのログをEvernoteに転送しています。外に出せないようなプライベートなことは、iPhone/iPadアプリ「simplenote」とOSX版「Notational Velocity」を使ってメモし、一週間分たまった時点でEvernoteに転記しています。
< http://simplenoteapp.com/ > Simplenote
< http://notational.net/ > Notational Velocity
< http://twtr2src.ogaoga.org/ > twtr2src

●私の手帳の歴史は「デキる社会人」というイメージから始まった

「手帳の使い方が、自分の生き方を変えていく」。大げさかもしれませんが、振り返ると手帳の使い方や考え方が、自分の生き方をどう捉えているかということにつながっていることが分かりました。その歴史をたどりながら、どんな風に手帳を使っていたかを追ってみたいと思います。

▼システム手帳時代(バイブルサイズ)
初めて本格的に手帳を使い始めたのは社会人になってからでした。しかも、理由は「デキる社会人」というイメージだけでした(笑)。中身のリフィルもファイロファックスのスターターキットを購入して、見よう見まねで使っていました。
< http://www.filofax.jp/ > Filofax

▼システム手帳(スモールサイズ)
手帳を使い始めてみて分かったことがふたつありました。ひとつは「スケジュール管理は、今の自分には意味がない」ということ。そしてふたつめは「大きい手帳は持ち歩かなくなる」ということでした。書く項目が少ないということは、小さな手帳でもいいと判断して、スモールサイズに買い換えました。

▼システム手帳(A5サイズ)
専門学校生になって、バイトと学生の二足のわらじ生活になってからは「スケジューリングが必要だ」と考えて、手帳の使い方を考えるようになりました。小さい手帳だと書ききれず、たっぷりかけるA5サイズの手帳にしました。

▼「超」整理手帳
A5版のシステム手帳は、1ページに書けるスペースが広いので、書き込みが多くなります。システム手帳の構造上、リフィルの入れ替え、ページの追加などが容易にできる分、書き込んだページがどんどん増えていく。その書いたページの管理・整理の方法、振り返りのしにくさに悩んでいました。

そこで登場したのがドキュメントスキャナ「スキャンスナップ」です。手書きメモ、資料をデジタル化して、後で閲覧できるようにするシステムの構築ができてからは、ページが増えていく不安が解消されました。

それと同時期に佐藤可士和さんの「佐藤可士和の超整理術」を読んで共感することが多く、どうにか普段から荷物を身軽にできないかと思った結果が以下の2つでした。

< http://moura.jp/lifeculture/datebook/ >
講談社の「超」整理手帳2011
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532165946/dgcrcom-22/ >
佐藤可士和の超整理術 佐藤可士和

1)親機と子機とのセパレート方法の確立
リフィルのうち、PCでパスワード管理をしているものはアプリ「1Password」を利用。中・長期の計画表やクレドカード、やりたいことリストなども、スキャンスナップでスキャン&必要な所をプリントアウトして張り込むなどをすれば、余計なページを持ち歩かなくてもいいと分かりました。
< http://agilewebsolutions.com/products/1Password > 1Password

2)A4にすべて収まるサイズ統一の原理
「超」整理手帳の考案者、野口さんの「『超』整理法〜情報検索と発想の新システム」を読んで「使う紙はA4の紙に統一」を実践。その流れでA4の紙を折りたたんで使うという「超」整理手帳に出会いました。目標進捗のチェックもスケジュール管理に組み込みたかったので、デイリーページのリフィルを自分で作成して、毎日スキャンスナップでスキャンしていました。
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121011597/dgcrcom-22/ >
「超」整理法〜情報検索と発想の新システム 野口悠紀雄

▼ほぼ日手帳
「超」整理手帳と同時期に使っていたのが「ほぼ日手帳」でした。使うきっかけは、ほぼ日の公式ガイドブックをたまたま見ていたら、ほぼ日手帳を日記として使っているという方が多く、日記での振り返りをするときに、日記以外の情報のノイズを減らしたいと考えて導入しました。
< http://www.1101.com/store/techo/ > ほぼ日手帳2011

▼A6ノート(無印良品)
「超」整理手帳をつかっていて、どうしても気になっていたのが「メモ」の扱いでした。「超」整理手帳は小さなメモが挟み込めるようになっていたんですが、仕事のラフや思いついたスケッチを書くにはスペースが小さく、メモ用にA6ノートを導入しました。思いのほか使いやすいことを発見したのと、「情報は一冊のノートにまとめなさい」を読んで、「超」整理手帳の今までのノウハウを取り込み、一本化することにしました。

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901491768/dgcrcom-22/ >
情報は1冊のノートにまとめなさい 奥野宣之
< http://www.muji.net/store/cmdty/detail/4548718238316 >
無印良品ネットストア

▼ロルバーンのスリムノート
A6ノートで実践した中で、なんでもノートに書き込んだり、貼り込んだりすると、ノートがいくらあっても足りないと思ったのと、iPhoneやEye-fiといった、スキャンできないモノも気軽にデジタル化でき、しかも即座にデータを集約するサービスやデジタル機器が増えてきたこともあって、A6ノートに挟み込むものがどんどん減っていきました。そして、「超」整理手帳を使っていて、よかったことを思い出して導入しました。

1.縦長サイズのノートは自分が普段使っているサイドバックにすっぽり収まる。
2.片手でノート本体を固定しながら書ける。

●今でも手帳の使い方は試行錯誤中

私の手帳の使い方、そして歴代の手帳についてお話ししました。これらを書こうと思ったきっかけは、「名言コツコツ」というブログをお持ちのコボリさんが主催された「『ちょっと濃いめ』の手帳オフ」に参加したからでした。手帳の使い方から、その人の考え方などがわかり、良い勉強になりました。自分の手帳への考え方を見直すことで、これから自分がどうありたいかということもいろいろ見えてきました。

< http://meigen.ko2ko2.net/2010/09/0797.html >
「ちょっと濃いめ」の手帳オフ こぼれ話[名言コツコツ]

ぜひ皆さんも手帳の使い方を見直して見てはいかがでしょうか? きっと良い発見があると思いますよ!

【あんじゅ】ask@happy-montblanc.com
東京都八王子市出身。デザイン事務所「studio H.M」代表。
Design × Lifehack × CrossOver Lab:
< http://happy-montblanc.com/blog/ >

前回も告知しましたが、スタッフとして参加している「東京ライフハック研究会」の第2回目が9月26日に行われます。今回のテーマは「読書」です。
「EVERNOTE『超』仕事術」の著者の倉下忠憲さんの講演、ワークショップ、ライトニングトークの三部構成となっています。読書の楽しみ方を知りたい! という方は、参加のご検討をしてみてはいかがでしょうか?
9月26日 東京ライフハック研究会Vol.2(東京都)
< http://kokucheese.com/event/index/4279/ >

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■編集後記(9/16)

・米澤穂信「インシテミル」を読む(文藝春秋2007、最近文庫化)。クローズド・サークルを舞台とした殺人ゲームがテーマのミステリ。時給112,000円で1週間、ある人文科学実験の被験者、というアルバイトに採用された12人の男女は、地下につくられた暗鬼館に招かれる。主催者の設定した条件下で7日間過ごすだけの仕事だというが、じつは被験者同士が殺し合い、犯人を当てるゲームだった。施設の見取り図とか、被験者に示される「十戒」とか、武器の文芸的解説とか、ルールブックにあるこまごまとした規定とか、なにやらめんどうくさい。ミステリマニアならたぶん、これら設定をニヤニヤしながら読み進めるだろうが、ミステリをあまり読まないわたしは困惑する。ところが、主役・結城理久彦の主観描写や場面の説明がわかりやすく、それに乗ればぐいぐい読み進めていけるのだった。2日で読了、満足。タイトルの「インシテミル」の意味は、ミステリに"淫してみる"で、作者の自負と自嘲が含まれているという。10月に映画が公開される。タイトルにはわかりやすく「7日間のデス・ゲーム」の副題が付き、「究極の心理戦、参加者10名決定!」とある。あら、2人減ってるわ。綾瀬はるかが、浮世離れした正真正銘のお嬢様役かい、ちょっと違うかも。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163246908/dgcrcom-22/ >
→「インシテミル」をアマゾンで見る(レビュー53件)
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→「インシテミル(文春文庫)」をアマゾンで見る(レビュー53件)
< http://wwws.warnerbros.co.jp/incitemill/ >
映画「インシテミル 7日間のデス・ゲーム」公式サイト
< http://getnews.jp/archives/76820 >
時給11万2千円のアルバイトがある! しかも働くのは3時間だけ(ガジェット通信)
< http://gigazine.net/index.php?/news/comments/20100916_the_pepper_project/ >
美少女Pepperを海外のイラストレーターたちが描きまくった一大プロジェクト「THE PEPPER PROJECT」(GIGAZINE)

・急に涼しくなって、着る服がない。去年、今年のはじめは何を着ていたのか思い出せず。いつものことさ。/仕事でいっぱいいっぱい。なのでまとめサイトから抜粋。わたしゃMacだ、Macだと日頃から話しているのに、Windowsでのトラブル質問は結構ある。電話なんかだと、画面が見られないから、なんとなく想像しながら答える。MacでもWindowsでも初心者トラブルは同じようなもんだし、ソフトウェアでできそうなこと、できなさそうなことは想像がつく。できそうなことなら、右クリックかメニューに項目がないか探してもらえばいい。システム絡みなら......と、そっちの解決に良さげな「彼女のパソコンの調子が悪いときに見るところ」。/うわ、これ何年か前に見たよ「プログラマークエスト」。あるあるで爆笑した。いや、笑えないけど笑った。「仕様変更」は全滅の呪文。クライアントと営業は、この呪文の恐ろしさを知らなかったりする。(hammer.mule)
< http://anond.hatelabo.jp/20100907043542 >
彼女のパソコンの調子が悪いときに見るところ
< http://nikuch.blog42.fc2.com/blog-entry-513.html >
プログラマークエスト
< http://desktop2ch.net/news/1284552630/ >
中国は「日本はどんなことをしたら怒るのか、どこまで許されるのか」を試しているらしい
< http://404nots.blog88.fc2.com/blog-entry-1228.html >
やっぱ高いものは違うなと思ったこと思わなかったこと
< http://suiseisekisuisui.blog107.fc2.com/blog-entry-1430.html >
J( 'ー`)し「たかしへ。カーチャンが独自にOSをつくって見ました。」