電網悠語:日々の想い[166]IE9ベータ:今度のIEはちょっと違うぞ/三井英樹

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事実上初めてキャンペーンサイト構築に関わった。短い構築期間の間に様々な試行錯誤を重ねて、サイトをオープンする。期せずして、この日刊デジクリ配信日に解禁となるので、宣伝がてら書かせて頂きます。


最初頂いたお題は、IE9のキャンペーンとして、HTML5による表現力と日本を連想させるコンテンツを主題にした提案を欲しいとのこと。前者は、FlashでもSilverlightにも頼らない表現力を誇示することと、コードサンプルとなることを意味する。後者は、世界中からこのキャンペーンに参加するWeb屋が選ばれるので、その中で、日本を印象つけるものを、という注文だ。

ブラウザ戦争は、昔のことのようでありながら、実は今も続いている。昔は、独自の表現力の競争という側面があったが、今始まっているのはHTML5をどこまでサポートしているかであり、更に同じソースコードをどれだけ速く且つ開発者の意図通りに動かせるかが焦点だろう。

そんな中でのIE9である。しかも、正式版は実は来年の話で、今はベータ版のキャンペーンである。マイクロソフト(MS)としても、ベータ版の段階から大規模なキャンペーンを打つのは初めてのことだそうで、諸々の部分で試行錯誤性が伝わってくるプロジェクトとなった。




話が来てすぐにブレストを開いた。既に、IE9の機能や性能については特別サイトが存在している。

  ▼Internet Explorer 9 Test Drive
  < http://ie.microsoft.com/testdrive/ >
  ▼Internet Explorer HTML, CSS, Compatibility, and More | MSDN
  < http://msdn.microsoft.com/en-us/ie/default >

これの置き換え的なものは避けようというのが、最初の統一意見。何か一つの技術(SVGやCanvas)に特化しては、こことの差別化が図れない。だから、総合的な何かを目指す。様々な技術を組合せて、一つのコンテンツ/サイトとして成立する何か。それが今プロジェクトの起点。


次に悩んだのが、素材。技術を散りばめるとしても、何の上にするか。日本代表という言葉の具現化作業。富士山や京都、それが説明として与えられた単語でもでもあった。テーマとして考えながら、キャンペーンとは何か、という点も同時に考える。

ここで作られたものが、誰かの口(?)に上り、それが誰かに伝わり、共有されていく。それこそが今進めようとしているプロジェクトの本質だ。だとしたら、訪問者が何か感動して、それを伝えやすい仕組みも作らなければならない。

感動させるものとして、見せる/魅せるだけでは弱いだろう。自分が参加するものの方が、他人に伝えようとするエネルギーは強いはず。ならば、何か作品を作らせればよい。何を作らせるか&日本的な何か。事実上やりたいことを整理した時点で、「書道」というモチーフは決まっていたように思う。

ADが一晩で提案書のベースを作成し、それに薀蓄(ウンチク)を展開して、説得力を持たせる。進むべき道が決まれば、道は険しくとも、先に進める。地図を片手の登山のようなものだ。しかも、チームの多くの頭には、作品を共有する場面として、共通のイメージまであった。書道で共有、それは小学校の廊下に張り出されたあの風景。日本人以外には伝わり難いだろうけれど、日本人には説明不要のコンテンツだろう。


そう、本日公開のサイトは、「書道」。但し、英語サイト。漢字部分以外で日本は使っていない。IE9キャンペーンという目で見たとき、英語人口の方が多いと判断したためでもある。

  ▼The Shodo
  < http://www.theshodo.com/ >

トップ(Home=概要説明)、ギャラリー(Gallary=作品一覧)、ライト(Write=書を書く)。基本的には3ページ構成。活用している技術は、Canvas(Write)、SVG(お手本)、Video要素(TechView=技術説明)、Audio(音声=オリジナルです)、CSS3。技術要素としてはあげ難いけれど、それぞれの画面表示の快適さは、IE9の新しいJavaScriptエンジンによるところも大きい。

こうしたIE9の特徴を、3つの漢字としてお手本にもしている。基、速、美。基=基本:HTML5への準拠など、標準を強く意識している点。速=高速:ゼロから作り上げたというJSエンジン。美=表面だけでなく、作り手の意識がそのままユーザに伝わるというあるべき姿とも言える体験。

多少、諸々の理由で色々と抑えた機能や表現はあるけれど、結構直球勝負のサイトに仕上がったと思えている。技術の意味でも、表現の意味でも。是非是非体験いただければ。

  [サイトでは書き切れなかった]注意点)
  ・Windows Vista/7の方:是非ともIE9ベータを入手の上ご体験を
  ・Windows XP以下の方:現時点ではChromeか?
  ・上記以外の方:やはり近いのはChromeか、と


技術的な話をもう一つ。Canvasは、Flashとの比較で取り上げられることも多いけれど、ブラウザ間の実装レベルでの差はまだまだ大きい。だから色々と見比べながら作ったし、開発途中でChromeが5になったときも焦った。そして、未実装のブラウザには申し訳ないが、Write機能は使えない。IE9でお試し下さいと記した。

HTML5の浸透とともに、こうしたブラウザ毎の対応策を練っていく時代にまた突入していくのだろう。代替案を練りながら、徐々にHTML5にステップアップしていく時代の到来。けれど、前より不毛感はない。徐々に差が開いていく暗い未来ではなく、統合されるだろうHTML5の姿が先に待っているからだろう。まだまだ表現もコンテンツもブラウザも、切磋琢磨、精進の時代だ続くのだと再認識させてくれたプロジェクトでした。

なお、bA作以外の一連の作品は下記で紹介されます:

  ▼Beauty of the Web
  < http://www.beautyoftheweb.com/ >

また、日本でも下記を皮切りに様々なキャンペーンが展開されます:
  ▼Internet Explorer 9 の誕生を祝う会
  < http://welcomeie9.org/default.aspx >

【みつい・ひでき】感想などはmit_dgcr(a)yahoo.co.jpまで
・英語は勉強しておけ、息子に言い続けている言葉を、我が身に受けてます。
・珍しく、私がMS宣伝でした:-)
・書初めヴァージョンもやりたい >[誰?]
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