装飾山イバラ道[63]ギャンブラーウォッチャー/武田瑛夢

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私は瑛夢という名前のせいで、昔から「占い師」とか「不良の名前」みたいと言われる。自分で考えた作家名なので、なんと言われようがしょうがないけれど、実際は不良になるほど勇気もない普通のスカート丈の生徒だった。

しかし、不良っぽいような「悪い感じ」が嫌いでないことも確かだ。オリジナルのスカジャンを作ったら、ライオンと瑛夢の漢字モチーフをゴテゴテに刺繍してもらいたい。CG作品も暗黒世界っぽいし、夢という字にはそういうイメージがある。最近は普段から健全な妻であり先生なので、着る服は全く地味の一言だしキラビやかなものとも無縁。

●なぜか惹かれる悪い世界

私は母がギャンブル嫌いで賭け事一切を否定していたのを聞いて育った。どうも祖父の教えのようだ。それなのにテレビでは小さい頃から賭博ものの映画をよく見た。流行っていたのだろうか。たぶん「江波杏子の女賭博師」だと思う。そういえば田宮二郎のやくざ映画も大好きだった。あのカッコよさは素晴らしい。

ある日小学校で遊んでいる時に「イカサマ」という言葉を使って、誰にも理解されなかった覚えがある(笑)。女賭博師はやはり小学生女児には見せるべき映画でなかったのだ。子供には印象が強いからだ。サイコロをふる時のしぐさや目線のカッコ良さはインパクトが強くて、姉とよくマネして遊んだものだ。



湯のみにサイコロを投げ入れて、シャカシャカっと畳にこすりつければいいのは映画を見て知っている。でも幼い私たちは、まず湯のみの中にサイコロが入らなかった(笑)。映画のように大きく腕を振り下ろしながら、サイコロを湯のみに入れないとカッコよくないから無理をする。

どこかに飛んでいったサイコロを探しに行っては戻ってきて、投げての繰り返し。「イカサマしたね!」って言いたいだけの遊びなのに、そこまでいかない。結局疲れてやめてしまうのがオチだった。やっぱり女の姉妹はおとなしくチェーンリングでもしていた方が平和な景色だと思う。

その後は、パチンコもせず宝くじも買わず、競馬は馬を見に行っただけという全くギャンブルに縁のない生活だ。映画からの悪影響なんてたいしたことはない。ただ最近は、夜寝る前の密かな楽しみとして「カイジ」を読んでいる。

●「賭博黙示録カイジ」のiPhoneアプリ

「カイジ」は「賭博黙示録カイジ」のiPhoneアプリで、iPhoneの書籍ジャンルで常に上位に位置している。すでに70番めまでアプリが出ていて、私はこの全てを買ってしまった! 私が今まで買ったiPhoneアプリの中で一番の出費になる。総額は計算したくない。たぶんそういう人は多いと思う。

もう遅いけれど、素直に紙のマンガ本を買った方が良かったのか、マンガ喫茶にでも行って読むべきだったのかいろいろ考えてしまう。映画「カイジ 人生逆転ゲーム」のDVDを借りて先に見るかについても迷ったけれど(来年続編決定だそう)、今のところマンガだけにしている。
・「カイジ 人生逆転ゲーム」公式サイト
< http://www.kaiji-movie.jp/ >

カイジの生き様はホラーのようでもあり、自分は決して足を踏み入れない世界をのぞき見ている気がする。自分は安全なところにいてズルい話だ。「ギャンブルをする人を見る」というのは、カイジのマンガの中のストーリーにも出て来る。

金持ちの老人たちが老後の楽しみとして、若者が命がけでギャンブルする様をニマニマしながら観察するシーンだ。嫌だわぁっと思っている私もまた、誌面のこっち側から彼らを見ているのだと気がつくと、少し罪悪感もある。

普通の人生だったら何十年も汗水たらして働かなければ得られない金額を、一晩で得るようなのがカイジのギャンブル。圧縮された人生のストーリーがあるようで魅力的でもある。そこに渦巻くのは得をするかもしれない幻想と、いつか勝つという夢。実際は勝つまでやり続けた人は、勝つまで命がもった人なのかもしれない。ギャンブルに勝つのが本当にそんなに良いことなのかどうかもわからない。

投資という意味で思い出すのは、私も以前収集していたアンティークジュエリーの老舗の店主との会話だ。アンティークの世界は本物も偽物も入り交じっているけれど、自分のお金で買い集めるようになってはじめてその価値が見えてくるという。本物を掘り出す楽しみは、偽物をつかむかもしれないリスクの山を超えてきた人だけが味わえるものなのだ。他のことにもあてはまりそうだ。

私は本当のギャンブラーを目にすることはないし、映画やマンガの中だからこそ娯楽として楽しめるのかもしれない。自分の生活とかけ離れていればいるほど、極端な設定であってもありそうだと受け入れることができてしまう。ギャンブルを見ているだけでは決して本当の楽しみは味わえていないけれど、だからこそ中毒にならずに済む。

カイジのマンガアプリを読んでから寝ると、あまり夢見は良くはない。ただ真っ昼間に読むものでも、ご飯の支度の前に読むものでも、お風呂の中で読むものでもない気がする(笑)。となると深夜だ。当分はカイジを買い続けてしまいそうだけれど、アプリ更新がノロいおかげで安眠できてありがたい(毒)。

【武田瑛夢/たけだえいむ】 eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/ >

川崎のIMAXシアターで「バイオハザードIV アフターライフ」を見た。物が超飛んで来る3D映画で、ミラの瞳が綺麗で、中島美嘉が出ていた。廃墟と化した町のガラガラになった高層ビルの窓枠から向こうの景色が見えるシーン。建造物の3Dが好きな人は好きかも。もっといろいろ書きたいようなこれで十分なような。。。