アンビエントメディアの夜明け[07]ソーシャルマガジンこそが新しい電子雑誌なのではないだろうか?/川井拓也

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電子書籍では、ページめくりなんて不要だという議論もありますが、「FlipBoard」ではソーシャルメディアのアグリゲーションに、あえての紙メタファーを入れることでポチポチ(ピタピタ?)と頻繁にタッチやフリップを繰り返さなければいけない既存のクライアントアプリと違う、優雅な時間をデザインしています。

「FlipBoard」を開くと、TwitterやFaceBookなどのソーシャルメディアの名前が目次のようにあるので、タップするとページめくりで雑誌を読むようにペラペラとめくれます。

1ページには写真や動画が埋め込まれており、見開きで10人ぐらいのツイートを俯瞰的に見られます。すべてが時系列に表示されるのではなく、写真などのある投稿を中心に、独自のアルゴリズムで並ぶのです。

この並びが絶妙で、まるで美しいデザインの雑誌を読んでいるような気分になります。紙の雑誌を見ているような感覚なのに、そこに表示されている内容は自分の興味がある「知人の今」というギャップに、新しい電子書籍の可能性を見た気がします。

つまり、今ある電子書籍、主に雑誌は既存の雑誌の単位と同じ売り方をしているわけです。1冊買うか買わないか? しかし「FlipBoard」を見ていると、いろいろな雑誌の好きなパートだけを買い集め、自分のソーシャルマガジンを作れる! ということに気がつくわけです。

私は映画好きですが、常に思っているのは、一度劇場で見た映画をまるまる1本の単位で買いたいと思うのはわずかだから、チャプターごとに売ってくれないか? と。007をDVD1枚ごと欲しくはないけど、あの冒頭のアクションシーンだけは全作集めたいから、1本あたり300円でも買いたいというような気分です。雑誌でいえば、SPAやプレイボーイは毎週買う気はしないんだけど、その中にある優れた連載が、ワンコインで買えるなら購読してもいいなみたいな。

「FlipBoard」は、目次こそ媒体別に整理されていますが、これが今後ミックスされていくと、ますます面白くなって行くなと感じたわけです。

簡単に言うと編集権ちょーだいよ。お金出して買うからさ、みたいな感じですね。

「FlipBpard」は手でめくることもできますが、トップ画面はMacのiPhotoでお馴染のケンバーンズエフェクト(画像がズームしながらフワッと次の写真に変わっていくエフェクト)で、スクリーンセーバーになりますから、知人の近況をボーッと見るアンビエントメディアとしても使えます。無料のアプリですから、ぜひとも今すぐ最近出番が減ってきているiPadに入れて表示しっぱなしにしてみて下さい。

ベストギア最新号でアンビエントメディアを見開き特集!(88ページ)
< http://www.bestgear.jp/magazine/ >

【川井拓也 / Takuya Kawai】
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