音喰らう脳髄[95]優しさ、つまり愛/モモヨ

投稿:  著者:  読了時間:2分(本文:約700文字)


しかし、寒い。

つい先日まで、「暑い暑い」と愚痴をこぼしながら日々を過ごしていたはずなのに、突如としてこの寒さだ。皆さん、着衣の用意に苦労していることだろう。

寒いのは気温だけではない。

財布の中身だって寒いし、世の中の景気も決して良くはなく、中国との関係悪化に見られるように、政府の対応も実にお寒い。どこか暖かいところがあれば身を寄せようと猫のようにあたりを見回すが、いまのところ、暖かさの気配もない。



だいたい、暑さの次にくるのは暖かさであったはず。本来、春と秋は人に優しい季節だったはずだ。その優しさがどこからも感じられない。気候・気象が非情であるのはわかっているが、それでもそこに優しさを求めてしまうのが人情である。

そんな世相であっても、ささいなところに優しさを感ずる時がある。いまだ兆しにすぎないとはいえ、優しさを旨とした人の動きも見てとれる。この夏、私は右足を悪くしていて、まともに歩くことができない始末だった。が、そうした折だからこそ見えた善意もある。

例えば、バリアフリーというやつだ。普段は、気にかけないできたバリアフリーだが、この夏は、それをそうとう意識して生活せざるをえなかった。駅に設置されたエレベーターであったり、時には歩道橋横に設けられたエレベーターの存在に、歩行不自由になってはじめて注意をむけた私だった。

生活に潤いをもたらすのは優しさ、つまり愛である、なんてことを寒さの中で改めて思い知るはめになる、それが私の2010年秋である。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
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