デジアナ逆十字固め...[110]宙玉レンズのテレビ出演/上原ゼンジ

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相次いでテレビからの出演依頼が来た。一つは「ぶらり途中下車の旅」で、もう一つは「王様のブランチ」。どちらもふだんあまり観ることはないけど、よく知ってる番組だから、なんか変な気分だ。テレビで自分のツラを晒す恥ずかしさはあるが、個人商店だから、宣伝になるならと引き受けることにした。

「ぶらり途中下車の旅」というのは、毎回違った旅人が鉄道を使って旅をしながら、沿線の紹介をするという番組だ。旅人としてパッと思いつくのは、やっぱり阿藤快だな。でも、本物の阿藤快が目の前に現れたら、どう絡めばよいのでしょうか?

一番初めの打ち合わせの時に、興味を持って聞いたのも、旅人は誰なのかということ。でも、出演する人には事前に教えてくれないのです。一応の段取りはあるんだけど、初めて出会うリアクションを重視したいということで、余計な情報は入れないというシステムになっているらしい。

ただ、私の場合、写真を撮っているところに声をかけられるワケで、「何を撮ってるんですか?」とか声をかけられた時に、(わあ、やっぱ阿藤快だ!)とか、(川合俊一デケーっ!)とか、心の中でビックリしながらも、平静を装って普通に受け答えをしなければならない。最初の出会いで失敗したら、取り返しのつかないことになってしまうが、大丈夫なのだろうか?



撮影は立川の昭和記念公園で行われた。宙玉レンズで撮影するんだったら、コスモス畑なんかを撮ったら面白いと、こちらからリクエストをしたのだ。コスモスはまだ満開ではなかったけど、一応絵になりそうな場所を選んでロケの開始。コスモス畑の中をタレントさんが歩いてきて、他のアマチュアカメラマンなんかにも声をかけつつ、私の所へやってくるという段取りだ。でも、それだったら、途中で誰だか分かっちゃうじゃん! せっかく隠してたのに。

私は一人コスモス畑に取り残され、ロケ隊が現れるのを待った。そして写真を撮りながらロケ隊の方をチラ見していると、チューリップハットをかぶったおじさんが目に入った。やっぱり阿藤快? それとも田山涼成? しかし、そのチューリップハットのおじさんは関係のない人で、本命は元巨人の宮本和知さんだった。「となりのマエストロ」の時は高田延彦だったし、なんかスポーツ選手に縁があるのだろうか。

撮影当日の暑さには閉口したけど、まああまりアガリもせずに会話できたんじゃないかな。こっちはカメラの操作をしなくちゃいけないし、ムービーで撮影しやすいようにするにはどうすればいいだろう? なんていうことを考えていると、テンパっている暇もない。あとムービーというのは、シャッター音がないから、あんまり撮られてる感じがしないんだな。

だからスチールの場合もまったくシャッター音がしなくなったら、撮影時に相手に与えるプレッシャーというのも変わるはずだ。人物撮影の場合、撮られ慣れてる人はシャッターを切るたびにポーズを変えたりできるけど、カメラの前だとすごく緊張してしまい、顔が強ばってしまうこともある。遠くない将来、カメラからシャッター音が消えたら、人物撮影もちょっと変わるんだろうな。

●はしのえみの腕に感嘆

「王様のブランチ」で私が登場するのは、はしのえみさん扮する姫様のコーナーだ。この番組は基本的に関東ローカルだから、地方では知らない人も多いみたいだけど、はしのさんの姫キャラは14年もやってるらしいし、「BOSS贅沢微糖」のコマーシャルなんかにも出てるから、認知度は高いんじゃないだろうか。

姫様はお付きの女の子二人とトリオで登場するが、姫様とも事前の打ち合わせはなく、私が一人待つ部屋へカメラとともに突然現れ、それが初めてのご対面となる。白衣を着た私を見て、何をする人だろうと想像を巡らし、最後に私が「実験写真家の上原です」と名乗ることになる。カメラを前に「実験写真家の上原です」と名乗ることには抵抗があったが、まあしょうがない、文句を言わず、この演出に従うことにした。

ただ、基本的には細かい演出はなく、はしのさんとお付きの女の子にレポートは任されていた。テレビを見ていて特に感じたことはなかったけど、はしのさんの芸人としての能力はひじょうに高いね。お会いして強く感じました。常人には、台本もなしにあんな風に喋ったり、リアクションしたりということはできないよ。お付きの女の子二人も(福井仁美さんと茜ゆりかさん)頑張ってた。素晴らしいトリオだと思います。

撮影は「写真の学校」の教室で行ったんだけど、宙玉レンズや手ブレ増幅装置を使って撮りっこをしたり、万華鏡写真をiPhoneで撮ったりといったことをしてきた。面白かったのは、手ブレ増幅装置に対抗して、はしのさんが動き出したり、大きなバネに取り付けたカメラを使って、はしのさんがセルフポートレートを撮ったりした場面かな。これは私もオンエアが楽しみ。

●スチールにもムービーにも適したカメラ

ロケ隊は家の方にもやってきて、カメラやレンズのブツ撮りなどもしていった。スチールとの違いは、カメラをパンさせたり、ズーミングしたり、フォーカスを移動させたりといったあたりだ。最近スチールカメラマンにムービーも一緒に撮ってくれという依頼が増えてきているようだが、動画と静止画の撮影は、まったく違う技術だと思う。

900万円するというビデオカメラをちょっと持たせてもらったけど、これは重さが8kgもあるらしい。しょうがなくこんな重さになってるんだろうけど、重さのおかげで安定するというのもあるし、一眼レフできれいに動画が撮れるっていっても、ムービーを撮りながらのフォーカス移動やズーミングがムービーカメラのようにスムーズにできるわけではない。

とはいうものの、WEBなどでもムービーで撮ることが当たり前の世の中になってくれば、スチールカメラマンへのムービーの依頼はますます増えることだろう。今ある一眼レフカメラというのは、フィルムを撮像素子に置き換えただけで、見た目のスタイルは銀塩時代とまるで変わりがない。早くムービーもスチールも自在に撮れる、今までに見たことがなかったようなカメラが出現しないものかと思うけど、それはいつぐらいになるのだろうか?

◇テレビ放映予定
「ぶらり途中下車の旅」(日本テレビ系列、BS日テレ)
10月2日(土)朝9時30分〜10時30分

「王様のブランチ」(TBS系列及びBS-TBS)
10月2日(土)午後1時15分ぐらいから、姫様のコーナー

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