[2933] デジタルとアナログの輪廻

投稿:  著者:  読了時間:16分(本文:約7,600文字)


《全部見ようとすると8時間近くかかります》

■音喰らう脳髄[96]
 脊髄反射で地政学を語るな
 モモヨ

■アナログステージ[43]
 デジタルとアナログの輪廻
 べちおサマンサ

■デジクリトーク
 ASIAGRAPH 2010 in Tokyo開幕
 喜多見 康

■イベント情報
 ASIAGRAPH 2010 in Tokyo
 デジタルコンテンツEXPO



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■音喰らう脳髄[96]
脊髄反射で地政学を語るな

モモヨ
< http://bn.dgcr.com/archives/20101012140400.html >
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尖閣諸島のことがあってから、私の周囲でも俄かに政治的な論議を交わす人々が増えてきているが、そんな中で気になることがある。

政治的な事柄、国益や領土の問題に対して目を向けたり目覚めるのは悪いことではない。たしかに私たち日本人は、そうした残酷な現実に対して鈍感すぎたところがある、私も政府のこの問題に対する対応には甘さを感じて憤っている一人であるけれど、その一方で、気にかかってならないことがある。

それは、尖閣を口に出す人の中に、ややもすれば、軍事的な攻撃傾向に直結しかねない安直な、脊髄反射とすら思える軽口を吐き出すような人がいることだ。私は、彼らを見たり、その発言を読むにつけ、太平洋戦争へと突き進んでいった過去の日本と日本人を見るような気がして、嫌な気分になるのである。

少年の日の私には、祖父母や父母達の世代がどのようにして戦争に突き進んでいったのかが謎だった。で、幾度となく大人たちにそれを問いただして、そのつど嫌な顔をされたものだ。むろん明確な返答など一度としてもらえなかった。しかし、その答えが今回の尖閣諸島の問題で一挙に明白になった、そんな感じがしている。

一人一人が戦争を望んだわけでないにしても、ある種類の(国民)感情がともすれば戦争への道へと国家を導くことは、決して、ありえないことではない。そう思い知った気もする。

様々な事象が錯綜とからみあったなかで動いているのが現実世界というものだ。かんたんに一刀両断にできるはずもない。中でも国益だの領土だのという地政学的な問題に対しては、脊髄反射的な行動は慎むべきだと思う。脊髄反射による放言の先に待っているのは、いつか来た道に他ならない。

......しきりにそんな不安を覚えていたところへ、ノーベル平和賞の問題が浮上した。対話や議論で世界にバランスをとりもどす好機としてこれを生かすことはできないか、そう願ってやまない。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/ >

私の旧作品がいくつかリリースされました。
百夜独演音曲集(リマスター)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003VXF8PK >

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■アナログステージ[43]
デジタルとアナログの輪廻

べちおサマンサ
< http://bn.dgcr.com/archives/20101012140300.html >
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ここ10数年、会議や打ち合わせなどのときは、常にデジタルものを携帯し、ノートパソコンやPDAなどでデジタル記録しているのですが、新しいデジタルモノを買ってはアナログに戻る......というサイクルの繰り返しをしていたりします。ここ最近、ベンダーさんやユーザさんなど、外打ち合わせのときはiPad+GoodReaderが活躍しておりますが、社内打ち合わせのときは、完全にアナログ(手書き)になっていたりします。

1998年に初めてノートパソコンを購入し、打ち合わせに大活躍間違いなし!とニヤニヤしながら理想のデジタルワークを思い描いていたのだが、買って一年くらいでやめた。理由は簡単、重くて持ち運びが面倒になったからだ。それからはノートとボールペンだけ持って、議事録をとるようになる。

それから数か月も経たないうちに、たまたま見かけたPDA(GENIO e550X)に心を奪われ、即買い。それから半年くらいはPDAを活用するも、ペンタッチ入力が面倒になってしまい、慣れて大活用どころか、飽きてノートとボールペンに戻ってしまう。

その後、IBMのThinkPad s30というB5ノートを購入し、コンパクトかつ軽量になったことからまた会議などでデジタル記録するようになった。やっぱりキーボードだと楽! と思いきや、いまでも理由は思い出せないのだが、気が付いたらノートとボールペンで議事録をとっている。

かれこれ10台近くノートパソコンを購入したが、このS30は購入してから数回リカバリーはしたものの、HDDは一回交換しただけで、いまでも現役で頑張っている骨董品。ほかのノートパソコンは二年も持たずに成仏。というより、直すのが面倒だったので、新品を購入していた非エコ人。

2005年頃からはデジタルものがないと、打ち合わせでもかなりキツい環境になってきたので、常にノートパソコンを携帯していたが、周りから「会議の度にノートパソコンを持ち歩くのは面倒」という声が上がり、データサーバとは別に、社員共用のサーバを立ち上げてもらった。

七室ある会議室に各一台ノートパソコンを設置し、パスワードでロックされているものの、それぞれのデータやファイルをその場で開いて進行できるようになり、会議や打ち合わせのときの持ち物は、完全にノートとボールペンだけで済むようになった。

デジタルで記録を残そうとすると、手書きのときのような「自分にしか解読・理解できないメモ」をとることが難しい。逆をいえば、他人から見たら落書きにしか見えないメモこそ、自分には理想のメモなはず。

会議や電話などで無意識のうちに描いている意味不明な図形を、デジタルで描こうとすると、別窓でイラストアプリなどを立ち上げながら、マウスやトラックパッドをグリグリしながら描かなきゃいけないし、そんなものを「今回のグリグリ(無意味な図形)のデキは素晴らしい!」といって保存するわけでもない。あの意味不明な図形は無意識に紙に描いているからこそ味があって、デジタルでわざわざ描く代物ではない。

デジタルで書面にする必要もないものは、会社のコピー機にスキャナー機能が付いているので、そのまま手書きのメモをスキャンしてメールでまわすという社内文化があるのですが、これがまた面白い。

先ほど書いた「グリグリ」が人によって精度が違うことを発見。当然といえば当然なんですが、単純に○と□を重ね描きするタイプと、○と□を縁取り、微妙なところを塗りつぶしていたり、シンメトリーにきれいな放射状の線を何本も描いて作品レベルに達していたり、完全に地球外生命体と交信しているようなものまである。みんな、真剣に打ち合わせやっているのか心配だ......。

社内用ノート、ユーザ打ち合わせ用ノートなどと、目的用途によって使い分けていたのですが、ここ最近は使い勝手の良さから、トラベラーズノート一冊でまとめていたりします。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマであり、ナノテク業界の技術開発屋
< http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/ >
< http://bachio.posterous.com/ > ←マメに更新中
< http://twitter.com/bachiosamansa > ←フォローしても役に立ちません
< http://www.retaggr.com/page/bachiosamansa > ←べちおまとめ

○ちょっと仮眠するつもりがガチ寝。実は、今回のデジクリ原稿の仕込みをしてなかったのです。就眠活動が不安定なことも手伝って、曜日の感覚を完全に失っていた。迂闊だ。/ということで、今回の原稿は配信日の今日に書いていたり、テヘへ。/最近、ヨメと手を繋いで寝ることが多い。といっても、オイラの寝る時間が不安定なので、正確には寝ているヨメの手を握って寝るのが楽しみ。/カサカサになっているヨメの手が気になり、アベンヌの薬用ハンドクリームをぬりながらヨメの手をスリスリとマッサージ。3日くらいでかなりスベスベな手になったよ。のろけ話ですみません。

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■デジクリトーク
ASIAGRAPH 2010 in Tokyo開幕

喜多見 康 ASIAGRAPH日本実行委員
< http://bn.dgcr.com/archives/20101012140200.html >
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今年も、10月14日(木)から4日間、東京お台場の科学未来館で「ASIAGRAPH 2010 in Tokyo」が開催されます。これは経済産業省が進めるJAPAN国際コンテンツフェスティバル(コ・フェスタ)の公式イベントである「デジタルコンテンツEXPO」の中での開催です。

この3年間、コ・フェスタ公式行事として、ASIAGRAPHは順調に発展して来ました。秋葉原からお台場へと開催会場を移し、観客動員数も初年度の17,000人から、昨年の29,700人(DCEXPO全体)まで、順調な延びと言えます。

また、コ・フェスタ公式行事となる前年の2006年の開催から、アジア独自のデジタルコンテンツ産業と文化の発展に貢献するために、CGアートギャラリーを併催して来ました。

2008年度からは、外務省、JAIF(日・ASEAN統合基金)の支援により、中国、台湾、香港、韓国、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インドネシア、インド各国を代表するCGアーティスト、クリエイターらの優れた作品も展示出来るようになりました。

本年度もアジア各国を代表するCG作品、静止画100点、動画100点を展示上映します。また代表的な講演としては『Pixarの魅力を支える最先端CGテクノロジー』と題して、PixarのエンジニアMichael Kass氏を迎え、「モンスターズ・インク」などのキャラクター表現の秘密に迫ります。

「借りぐらしのアリエッティ」が大ヒットのスタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫氏には、これまでの多大な功績を讃えて、ASIAGRAPH2010創(つむぎ)賞を贈り、記念講演をしていただきます。センターステージでは『攻殻機動隊』のテーマでお馴染みのロシアの歌姫ORIGAが、ASIAGRAPHの少女アーティスト石川真綾とコラボレーション、歌と映像の融合表現を披露します。

また、今年のCGアートギャラリー企画のドローイングセミナーでは、シンガポールの若きアーティスト、ヤップ・クン・ロン氏による、想像力とペン・タブレットのみで完結する驚異的な造形作業の過程を全てお見せします。

いずれもこの分野を代表する内容であり、本メルマガ読者の皆様には,楽しんでいただける企画と確信しています。

最後になりましたが、柴田編集長に毎年審査委員をお願いしている、CGアートギャラリー公募部門の入選作品展示も是非ご覧下さい。今年は600点にも及ぶ応募作品を全て審査していただき、たいへんご負担をかけてしまいました。それだけに展示は立派な内容になりました。

特に、アジア各国での予備審査も含めると400点以上の応募作品から、勝ち残って厳選された国際審査の動画部門(第二部門)の入選作品は必見です。お楽しみに。ただし全部見ようとすると8時間近くかかりますのでご注意下さい。

【喜多見 康】< http://www.d2.dion.ne.jp/%7Eykitami/index.html >
1959年横浜生まれ。学生時代にCGと出会う。その後それを職業に。以来20年間ずっとフリーランスでCGをやって来たが、50歳を目前に初の勤め人生活を経験。現在は文京学院大学経営学部で先生となる。

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■イベント情報
ASIAGRAPH 2010 in Tokyo アジアグラフ2010東京
< http://www.asiagraph.jp/index.html >
< http://bn.dgcr.com/archives/20101012140100.html >
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会期:2010年10月14日(木)〜17日(日)10:00〜17:00
会場:日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6 TEL.03-3570-9151)
< http://www.miraikan.jst.go.jp/ >
主催:ASIAGRAPH2010は、経済産業省と財団法人デジタルコンテンツ協会が主催する「デジタルコンテンツEXPO2010」の一環として開催されます。
料金:入場無料
※一部プログラムでは教材費が必要です。
※日本科学未来館の展示施設への入場は有料となります。

アジアグラフは、アジア独自の多様な文化と、科学と芸術の融合が生み出すアジア独自の優れたデジタルコンテンツを更に発展させるために、世界の第一線で活躍するアジアの研究者とクリエイターが集い、先端技術の発表や作品の展示を行う、学術・芸術・展示が一体となった総合イベントです。(主催者情報)

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■イベント情報
デジタルコンテンツEXPO
< http://www.3dcgawards.com/camp/ >
< http://bn.dgcr.com/archives/20101008140300.html >
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期間:2010年10月14日(木)〜2010年10月16日(土)
会場:日本科学未来館(東京都江東区青海2-3-6)
   東京国際交流館(東京都江東区青海2-2-1)

「技術戦略マップ(コンテンツ分野)」に示された次世代コンテンツ技術をフォーカスするプログラム『次世代コンテンツ技術展(ConTEX)2010』。
アジア地域で特に成長著しいコンピュータグラフィックスをフォーカスするプログラム『ASIAGRAPH 2010 in Tokyo』。
ポスト・ビジネスプラットフォーム期を迎え大きな注目を集めている3D映像をフォーカスするプログラム『国際3D Fair 2010 in Tokyo』。

デジタルコンテンツEXPOは、それら3つのプログラムを機軸に、昨年の実績を踏まえながら更に発展させ、デジタルコンテンツ分野で活躍する研究者やクリエイター、企業関係者等が参加し、最新の情報を交換しながらデジタルコンテンツ産業の5年、10年先の将来像を描き出す国際イベントです。(主催者情報)

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■編集後記(10/12)

・山本弘「アリスへの決別」を読む(ハヤカワ文庫JA、2010)。中短篇7本の構成で、表題作「アリスへの決別」は行き過ぎた児童ポルノ法がテーマ。なかでも面白過ぎたのが「リトルガールふたたび」。100年後の世界を描いたディストピア(反ユートピア)SFで、日本が専制君主制に至る過程が、2109年3月のある日、小学6年生の教室で教師の口を借りて語られる。100年前から「低IQ化スパイラル」に陥った日本は、増長するバチャキ(バーチャル貴族=ネットに入り浸って、なにも知的活動をしていなにのに、自分たちをエラいだとか知的だとか錯覚している者たち)によるネット言論の暴走で、言論の自由が失われる。おバカ芸人が首相になり、とりあえず国民の多数が望んでいることをやればいいと安直に考え、民意を直接取り入れるサイト「国民の声」をつくるが、それが怪物化して暴走、時代の流れにだれもが逆らえなくなっていき、とうとう核武装した日本はアメリカに向けてミサイルを発射......。「ネット浄化法」の生まれる前の話だ。「これからの時代、ディストピアは大衆自身の意志によって生まれて来るのではないか」という著者の指摘はおそろしい。「ヒトラーだって選挙で選ばれたことを忘れてはいけません」。いまの日本も低IQ化にまっしぐらという感じがする。あぶないぞ、日本の未来。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/415031005X/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー4件)

・三連休中にネット通販を利用した。一つ目は、「24時間以内の出荷」になっているAppleストアでのネット通販。あとの二つはAmazonで買う。Amazon販売とマケプレでの業者販売。どちらも在庫あり。Amazonを利用することが多く、次に主にパソコン関連商品を扱うショップと続く。注文して13時間でAmazonから出荷案内が来る。次に遅れてマケプレ業者から休み明けに発送するとの案内が届く。よく利用するAmazonやパソコン関連ショップ数社は、休み関係なく出荷するので確認していなかった。楽天関係や小さめのパソコン関連ショップだったら、出荷や営業日のカレンダーがあるし、申し込みフォームにも記載されているので、こちらも気構えている。Appleストアからの注文受付メールにお届け予定日が記載されていたが、どう見ても24時間以内じゃない。まあ、こう書いてあるけど前倒しになったりするのよねー、なんてのんびり構えていた。三連休最終日に、店舗の方のAppleストアでイベント。スケジュールは頭にあったが、中身が結びついていなかった。ストアに入った瞬間、通販しないでここで買えば良かったんじゃないかと、ちらっと思ったが、持って帰ることを思えば、通販で良かったんだよと考え直す。帰宅途中にサイトを確認するが、出荷準備中の表示から変更なし。翌朝も。ようやく利用案内を確認し、24時間というのは営業日換算と知る。つまり三連休だと24時間以内の表記であっても、出荷は四日後ということもあるわけか。今まで気にならなかったってことは、平日か日曜日に申し込んでいたんだろうなぁ。(hammer.mule)