[2936] 「映画は見せ物だ」と三池崇史は言った

投稿:  著者:  読了時間:29分(本文:約14,400文字)


《リアルって何だろうな》

■映画と夜と音楽と...[481]
 「映画は見せ物だ」と三池崇史は言った
 十河 進

■ところのほんとのところ[45]
 ニューヨークからモントリオールへ・後編
 所幸則 Tokoro Yukinori

■歌う田舎者[16]
 君は軍国酒場を知っているか
 もみのこゆきと


■映画と夜と音楽と...[481]
「映画は見せ物だ」と三池崇史は言った

十河 進
< http://bn.dgcr.com/archives/20101015140300.html >
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〈スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ/中国の鳥人/DEAD OR ALIVE 犯罪者/極道恐怖大劇場 牛頭/十三人の刺客/大殺陣/十一人の侍〉

●タランティーノ監督と三池崇史監督には共通する何かがある

三池崇史監督が「十三人の刺客」(1963年)をリメイクしていると聞いたのは、昨年の秋のことだった。その後、どうなっているのかと思っていたら、今年の秋の公開を前に、ベネチア国際映画祭に出品されたことが新聞に出た。この映画祭の審査委員長はクエンティン・タランティーノだし、何らかの受賞が期待される作品だと書いてあった。

確かにタランティーノ監督と三池監督には、何か共通するものを僕も感じる。それは、単に残虐な暴力シーンの描き方だけではない何かだ。映画をオモチャとして遊びきろうとする志だろうか。タランティーノは、三池監督の「スキヤキ・ウェスタン ジャンゴ」(2007年)に俳優として出演している。好きな監督の作品だから、出演したのだろう。

三池崇史という名前は、もうずいぶん以前から聞いていた。何本かの作品も見ている。最初に三池作品として意識したのは、「中国の鳥人」(1998年)である。Vシネマ専門監督の印象があったから、本木雅弘主演作品は少し意外だった。この映画に出演した石橋蓮司が、「僕は三池監督の素材。どんな使われ方でもいいから出演したい」と、三池監督に惚れ込んだという。

その後、「DEAD OR ALIVE 犯罪者」(1999年)の評判がよくて見にいったのだけれど、正直、よくわからない部分もあった。簡単に言うと、刑事(哀川翔)とヤクザ(竹内力)の対立と抗争を描いた映画なのだが、ラストにいたってふたりは火を吹く怪獣となって戦い、最後は地球が爆発してしまうのではなかっただろうか。

海外で評価が高いという「極道恐怖大劇場 牛頭」(2003年)も不思議な作品だった。企画製作が東映の脇役だった曽根晴美。主演が曽根英樹である。僕は曽根英樹主演のVシネマは何本か見ている。その「極道恐怖大劇場 牛頭」では極道の頭が牛頭になってしまったり、胎内回帰し再び大人の姿で生まれてきたりするシュールなシーンが続出した。

三池監督と言えば、「新宿」「黒社会」「中国マフィア」「極道」といった単語が浮かんでくる。馳星周の小説と相性がよさそうだと思っていたが、すでに「漂流街」を映画化していた。馳星周の暗黒小説では社会の底辺でうごめくように生きている人物たちが描かれ、犯罪が行われ、人が血まみれになって死んでいく。その描写も克明だ。そのまま映画化すれば、三池崇史作品になる。

もっとも、僕は三池作品が苦手だった。少し敬遠気味だったのだが、「監督中毒 三池崇史」という本を読んで、見方を改めた。監督になる気はなかったのに、たまたま横浜映画学校に入り、その後フリーの助監督になり、Vシネマが始まって監督デビュー。そのまま年に数本の作品を作り続け、すでに50本以上の作品を残している、現在、最も売れっ子の監督である。

その三池監督が工藤栄一監督作品「十三人の刺客」をリメイクするというので、僕は少し複雑な心境になった。工藤栄一監督も職人で本編が作れない時期には、多くのテレビシリーズを撮った人だ。映像派であり、逆光が大好きだった。「必殺シリーズ」や「傷だらけの天使」など、テレビ作品にも名作は多い。しかし、三池監督とは正反対の作風だった。

時代劇としては「十三人の刺客」を「七人の侍」より上位に置くほど、僕は「十三人の刺客」が大好きなのでリメイクを見にいくのを迷ったのだが、予告編で後半の暴君襲撃シーンを見て期待をした。半世紀近く経っているのだ。アクションシーン、爆破シーンなどは、やはり圧倒的な迫力があった。

●「今度のはゴロちゃんがいいと評判だから...」とカミサンは言った

工藤栄一監督の久しぶりの時代劇「影の軍団 服部半蔵」(1980年)が公開され、併映として「十三人の刺客」がニュープリントで再上映された。そのとき、僕はカミサンと見にいったのだろうか。リメイク版「十三人の刺客」にカミサンを誘ったところ、「前の映画はよく憶えてないけど、今度のはゴロちゃんがいいと評判だから...」と言う。稲垣吾郎が菅貫太郎のやった暴君役をやっているらしい。

菅貫太郎という俳優が好きだった。「十三人の刺客」と同工異曲の「十一人の侍」(1967年)でも、悪逆非道、無類の淫逆というサディストの暴君を演じた人である。僕と友人のTは「スガカン」と呼んでいた。俳優座の役者で、映画やテレビで何度殺されたかわからない。僕は小林正樹監督作品「日本の青春」(1968年)で、浪人生の黒沢年男に影響を与える自衛官の役が凛々しくて好きだった。

「十三人の刺客」は、暗殺される殿様の悪役ぶりが非道であればあるほど、主人公たちの行動に観客が感情移入する。先の将軍の子で、現在の将軍とは腹違いの弟が明石藩に養子に入るが、家臣や領民を苦しめ、すぐに手討ちにし、老中たちには「無類の淫逆」と言われるような主君である。

物語は、明石藩家老が江戸城内で訴状を置いて切腹するシーンから始まる。工藤版ではすでに腹を切って死んでいる俯瞰シーンから始まったが、三池版では海外マーケットを意識したのか、内野聖陽のハラキリを見せる。海外の観客にとってはショックだろうが、日本に対して持つイメージを裏切らない。そんな見せ物に徹したサービス精神を感じるのも、三池作品の特徴だ。

明石藩家老の願いは、主君の隠居である。しかし、将軍のひと声で明石藩はおとがめなしになる。さらに、その明石藩藩主は、翌年、老中職就任が決定する。それを阻止するために、現老中の土井大炊頭(丹波哲郎→平幹二郎)は目付の島田新左衛門(片岡千恵蔵→役所広司)に明石藩藩主(菅貫太郎→稲垣吾郎)の暗殺を命じる。

「七人の侍」より人数が多いためか、ひとりひとりを描く余裕はないので、5人ほどはまとめて紹介される。島田新左衛門が援助をしていた剣客・平山九十郎(西村晃→伊原剛志)、新左衛門のご意見番である倉永(嵐寛寿郎→松方弘樹)、浪人佐原平蔵(水島道太郎→古田新太)などは、それぞれ企てに参加するまでのエピソードが描かれる。

工藤版で堅苦しい侍の世界に対するアンチの役を担っていたのが、旗本の家を出て芸者の家に居候しながら、放蕩三昧をしている新左衛門の甥の島田新六郎(里見浩太朗→山田孝之)である。その新六郎も「一度、真剣に生きてみたくなった」と芸者(丘さとみ→吹石一恵)に言い置いて出ていく。

──お帰りは?
──早ければ...ひと月。遅ければ...次のお盆に帰ってくる。迎え火炊いて、待っててくれ。

この名セリフを、三池版はアレンジしていた。脚本は天願大介。今村昌平監督の息子だ。「AIKI」(2002年)や「暗いところで待ち合わせ」(2006年)など、僕の好きな監督だが今回は脚色だけの担当らしい。オリジナル脚本は池上金男。60を過ぎて「四十七人の刺客」を書き、池宮彰一郎の名で小説家デビューした。三池版「十三人の刺客」はオリジナル脚本を原作としており、クレジットに「原作・池宮彰一郎」と出た。

●両手両足のない娘の裸身が正面から映される衝撃

リメイク版を見ると、どうしても以前の作品と比較してしまう。しかし、以前の作品を知らない人には関係のない話だ。僕も極力、比較しないように見ようとしたが、それは無理な話だった。僕は、工藤版を何度見たかわからない。すべてのシーン・すべてのセリフを憶えているし、印象的な台詞は暗記している。

工藤版では木曾の郷士だった13人目の刺客になる小弥太(山城新伍→伊勢谷友介)を山の民として登場させ、重要なファクターを持たせたのは、土俗的な世界を描き続けた今村監督を継承した天願大介の思いが込められている気がした。さらに、ラストで復活する小弥太は、三池監督独特の非現実的世界への飛躍であり、新しい作り手たちの主張が小弥太という存在に託されたのがわかる。

極悪非道な暴君役の稲垣吾郎はアイドルにもかかわらず、よく引き受けたものだ。工藤版の菅貫太郎は悪逆非道だったが、少なくとも正気の殿様だった。稲垣吾郎の暴君は、狂気をはらんで凄みがあった。幕府に直訴した家老の家族を縛って庭に並べ、幼子まで弓矢でなぶり殺しにするシーンの酷薄さは、菅貫太郎より強烈だった。

三池版では暴君の残虐ぶりを強調するために、オリジナルにはなかったエピソードを加えた。老中の屋敷で、新左衛門はひとりの娘を見せられる。一揆の首謀者だった農民の娘で、両手両足を切断され、舌を抜かれ、目を潰されている。その娘を暴君は慰み者にしたうえ、飽きて棄てたという。「家族は?」と訊く新左衛門に、娘は筆を口に加え、血の涙を流しながら「みなごろし」と書く。

CG加工だろうが、両手両足のない娘の裸身が正面から映される。その衝撃は凄い。目を背けたくなった。しかし、娘の姿が新左衛門に暴君暗殺の決意を促す。観客に納得感を与える。後半の一時間を費やして描かれる襲撃を観客は支持する。そして、「お目付島田新左衛門が一党...」と倉永が名乗りを上げ、新左衛門が懐から取り出すものによって、明石藩の侍たちを皆殺しにしても暴君暗殺は正義だ、というモチベーションが保たれる。

それにしても、後半一時間をかけて描かれる暴君襲撃のシーンはすさまじい。半世紀近く経って、こういう描写はどんどん本物らしくなっている。CGも多用されているのだろう。工藤版より明石藩士の数を圧倒的に増やし(200を超えている)、それをたった13人でどう迎え撃つかという期待、「斬って斬って、斬りまくれ」と叫ぶ島田新左衛門のあまりにシンプルな台詞に、観客は盛り上がる。

平日の夜8時50分からのレイトショーだった。200人ほどのスペースに、最初は僕とカミサンだけだった。上映間際になって若者たち数人と、若いカップルが入ってきた。2時間20分ほどの間、全員がスクリーンを見つめていた。最後に首が飛ぶシーンで、カミサンが小さく声をあげた。映画が終わり、クレジットタイトルが流れ、館内が明るくなっても、しばらく死闘の余韻が残っていた。

●正当派明朗時代劇からリアルな時代劇への過渡的な作品

「十三人の刺客」は、東映の明朗時代劇が空々しく感じられるようになり、もっとリアルな時代劇を作ろうという気運が盛り上がった頃の作品だった。その後、任侠映画でも同じことが起こる。「人生劇場・飛車角」(1963年)が当たった東映は、時代劇路線から任侠路線に移行するが、その任侠映画もパターン化し、もっとリアルなヤクザ映画を作ろうという流れで、「仁義なき戦い」(1973年)という集団抗争ヤクザ映画が登場する。

工藤栄一監督の「十三人の刺客」(1963年)「大殺陣」(1964年)「十一人の侍」(1967年)の3作を、「集団抗争時代劇」と評論家たちは名付けた。「十三人の刺客」では御大・片岡千恵蔵が中心にいたが、「大殺陣」「十一人の侍」には大物俳優は出ていない。「十一人の侍」では、まだ新人扱いだった夏八木勲が千恵蔵の役を担った。3作共に出ているのは、里見浩太朗くらいだ。

「十三人の刺客」は片岡千恵蔵や嵐寛寿郎など、戦前から活躍していた時代劇役者たちが、時代劇独特の台詞まわしで格調を高めていたが、「大殺陣」「十一人の侍」は若手俳優が中心のせいか、そういう印象はない。時代劇らしい格調の高さは「十三人の刺客」が一番で、正当派時代劇からリアルな時代劇への過渡的な作品として「十三人の刺客」が存在するのかもしれない。

しかし、三池版「十三人の刺客」を見終わって、リアルって何だろうな、と僕は考えた。工藤版には「ひとりが相手にできるのは、せいぜいが3人」という台詞があり、最期の死闘も13人対50人と現実的だった。しかし、三池版は見せ物に徹する考えからだろう、13人対200人に変えた。ただ、死闘の描写はリアルさを増している。火薬や血糊の使用量も半端ではない。

しかし、血しぶきが飛び、首が飛び、弓矢がのどを貫くからといって、それがリアルだとは思わない。クエンティン・タランティーノの映画が過剰に残虐描写をすることによって、逆に非現実感を帯びユーモアさえ漂わせるのと同じように、三池監督は残虐描写にリアルさを求めているように見えて、実はシュールな世界を作り出そうとしているようなのだ。

リアリティを出すという意味では、東映の明朗時代劇が常にハッピーエンドであったことに対するアンチテーゼのように、集団抗争時代劇を代表とするリアルな時代劇は、アンハッピーエンドで終わることが多い。暗く、苦い終わり方...。「十三人の刺客」は、刺客たちの死体をひとりひとり映して虚しさを感じさせ、「大殺陣」は権力への反抗の無力さを漂わせ、「十一人の侍」も死闘の後の虚無感が観客の胸を吹き抜ける。

三池版「十三人の刺客」も激闘の後の虚しさは漂うが、それでも妙な希望を感じさせてくれる。三池監督は「映画は見せ物」という基本を自覚しているのだろう。受けた仕事を、期日通りに予算内で、面白く仕上げる。そうでなければ、今の時代に、まだ50歳の監督が50数本もの作品を作れるわけがない。徹底した職人である。それでも、どの作品にも必ず三池印が入っている。

今回、オリジナル版以上だと思ったのは、そこら辺中に抜き身の刀が差してある場所に暴君と藩士たちを誘い込み、平山九十郎が流れるような殺陣を見せるシーンだ。彼は弟子に「わしをすり抜けた者はすべて斬れ」と命じ、刀を取り替えながら斬りまくる。オリジナル版では、隠しておいた刀を探しているうちに殺されてしまうのだが、その無様さが僕はいやだった。三池版では、超人的な剣豪のまま死力を尽くして死んでいく。

──「硫黄島からの手紙」のバロン西もよかったけど、伊原剛志がよかったわ。あの役、前は誰がやったの?
──西村晃。
──そんな年寄りがやったの?
──それは...黄門様になってからの話だろ。西村晃も昔は若かったの。「十三人の刺客」の頃は、もしかしたら今の伊原剛志より若かったかもしれないんだから。

誰もいなくなったシネコンのロビーを通り抜けながら、僕とカミサンはそんな会話を交わしていた。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com < http://twitter.com/sogo1951 >
村上春樹さんのインタビュー集を読破。例の啓示の話が何度も出る。1978年4月、神宮球場のヤクルト・広島戦。安田と外木場の投げ合い。芝生の外野席で村上さんは、突然「小説を書こう」という啓示を受ける。同じ試合を僕も三塁側内野席で見ていたのだが、啓示はなかったなあ。内野席がいけなかったのかも...。

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■ところのほんとのところ[45]
ニューヨークからモントリオールへ・後編

所幸則 Tokoro Yukinori
< http://bn.dgcr.com/archives/20101015140200.html >
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モントリオールに行く途中の経由地であるNY滞在もあと一日、とりあえずタイムズスクエアー回り1kmの周囲だけで撮影をしていたが、一箇所だけどうしても行きたいところがあってタクシーに乗った。

到着したそこは、グッゲンハイム美術館。セントラルパークのすぐ横にある。16年前NYに来たときは時間がなくて、メトロポリタンとMOMAまでしかいけなかった。

グッゲンハイムは、フランク・ロイド・ライトという[ところ]が大好きな建築家が作った美術館。やっぱり素晴らしかった、来てよかった。ホールに進んで上を見上げたとき、螺旋状のループを登って行った一番上から下を見下ろしたとき、本当に美しい。

ちょうど彫刻と写真をテーマにした写真展を開催していたので、[ところ]もいつかここで個展をしてみたいと切実に思った。相当な数の作品がいるだろうなあ、あっ、もちろん外見も素晴らしかったよ、晴れていたので余計白い螺旋の建築物が青空に映えて眩しかった。

建築物それ自体が芸術作品といえるものなので、これを撮ってもなあ、と思いながらつい撮ってしまった。だけどかっこいいNY One Secondになった。かなり嬉しい。

その後ソーホーやNYの原宿っぽい所にも、NYに住んでいる友人の友人に連れていってもらった。これでNYをなんとなく把握したような気もするが、次回は10日以上は滞在したいと思う。

翌朝、早い便でモントリオールに飛んだ。モントリオール空港から市内のホテルに行く場合、どのホテルでもタクシー料金は均一だ。明朗会計で助かる。円高の時期の計算だと3,000円しない。

ホテルは前回よりランクを下げたせいか、部屋が狭いのがちょっと。だけど、フロントにいつも何人かの人もいるし活気がある感じ。信号を渡ればそこには大きなスーパーマーケットがあるし、逆の方向に5分歩くとチャイナタウン。

その一角に[ところ]のお気に入りのベトナム料理屋がある。確実に美味しい定番のフォーがある。500円ぐらい。

今年2度目のモントリオールなので地下鉄も把握してるから、路線図なしでモントリオールで一番おいしいベーグル屋さんまで行ける。一個50円から60円で10種類くらいあるんだけど、地下鉄代金がちょっと高いので、少ししか買わないと結局高くつくので、ベーグル屋さんでは8個まとめ買い。

NYやボストンのベーグルと違い、わりと軽いのが特徴でぺろっと食べてしまう。一日目は軽く旧市街と新市街を散策、天気が悪い。雨時々曇りという感じだ。

前回、新市街に行ったときに一瞬晴れて夢中でシャッターを切ったので、今回は旧市街をメインに撮ろうと思っていた。とりあえず初日はベーグルと、近くのスーパーで買ったチーズとチキンのグリル(?)で夕食。これがまた、たまらないぐらいうまい。前回まずくて懲りたものは避けてあるので、今回はほとんどまずいものにあたらなかった。

それ以後も毎日雨の日が続く。それも結構な雨量なので少し参った。ベトナム料理屋には二日目にフォーを食べに行ったが、顔を憶えられているようで笑顔で挨拶されて、メニューもいつものとは違うものを頼んだのに、なぜかいつもの定番フォーが出てきた。違うと主張したら相手が恐縮していた。今回は合計3回食べに行った。

こういう時にアジア人でよかったなと思う。欧米に行って大抵の大きな街にはベトナム料理屋があって、ハズレはあまりないからだ。

5日目になってもほとんど雨、だいぶ参ってきた。撮りたいポイントはもうほぼ決まってきたのに、せめて薄曇りぐらいにはなってくれないと。もう帰る日が近い。というか明日だ。

とうとう帰国日の朝、ようやく晴れた。フライトが午後ゆっくりだったので、9時頃から旧市街を回る。やっと旧市街を晴れた日に撮ることができた。いいのがなんとか何カットか撮れた。だけど天候だけは思うようにいかないから、一週間以上滞在するのが希望なんだ。

まあ滞在が長いということイコールお金がいるってことだけど。無事13時ぐらいまで撮って空港へ向かう。途中で思いついて、タクシーの中からもずっと写真を撮ってたりする。

それの成果は、ぜひ今開催中の個展でみてください。

●所幸則写真展「写真における新しい取り組み」時間の流れへの考察
< http://www.tosei-sha.jp/gallery.html >
< http://www.tokoroyukinori.com/ >
会期:10月1日(金)〜10月30日(土)日月祝休
会場:ギャラリー冬青(東京都中野区)

●所幸則写真展「失われて行く渋谷、失われてしまった渋谷」渋谷@BAR AMRTA
時間の流れへの考察、喪失感。
< http://www.amrta.co.jp/index_02.htm >
< http://www.tokoroyukinori.com/ >
会期:10月1日(金)〜10月30日(土)日休
会場:BAR AMRTA(東京都港区)

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >

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■歌う田舎者[16]
君は軍国酒場を知っているか

もみのこゆきと
< http://bn.dgcr.com/archives/20101015140100.html >
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♪ここはお国を何百里
 離れて遠き満州の
 赤い夕日に照らされて
 友は野末の石の下♪(軍歌:戦友)

実は、今回のコラムは直前に差し替えております。あんた、またですか? のReduce Reuse Recycleであります。今後、3Rしたコラムひとつにつき、環境省からエコポイントがもらえるとか、薄型テレビと交換できるとか、少子化対策のために若い男をプレゼントとか、そのような施策を閣議決定してもいいのではないかと思う今日このごろであります。

そんなわけで軍国酒場であります。我が国固有の領土である尖閣諸島を、おめおめと他国に渡すようでは、ご先祖様に申し訳が立ちませぬ。しかしながら雇用状況も厳しい昨今、自衛隊に入隊するのも至難の技。誰だ、年齢制限オーバーとか言ったヤツは? 銃殺するぞ。

そんな我々庶民のために、軍国酒場は存在するのであります。この国を守る崇高な志に燃え、我が戦友J軍曹とともに体験入隊した軍国酒場を、国民の皆さんにも紹介するであります。

通信部隊による事前の諜報活動によると、現場は繁華街裏筋の寂れたビルの4階とのことでありましたが、そのビルの名前は「軍国会館ビル」。身も心も軍国なのであります。ちなみに裏筋という単語で別のものを想像した兵士は、銃殺に処されることになっているのであります。

1階の入り口には、巨大な白紙に書かれた「軍国酒場」の看板。4階に上る階段沿いの壁には「欲しがりません。勝つまでは」「農機具は農民の汗がしみこんでいる宝物」「強い日本軍魂」などのプロパガンダポスターが。4階までの階段はじっとりと暗く、微妙に漂うすえた匂い。既にその時点で入隊する勇気がくじけそうになる腰抜けな我々なのでありますが、突然、軽快に階段を上がる若者の姿が。......酒のディスカウントショップ従業員の配達であります。

現実に引き戻された我々は、気を取り直して4階の入り口を通過。すると鳴り響くけたたましい警報。「欧米か?」(古っ!)いや「空襲か?」。店の奥には本日の上官となる大日本帝国陸軍部隊長の威厳を湛えた姿が。どうやら我々は本日初の入隊者のようであります。しかし、大日本帝国婦人部隊長の姿が見えないのであります。部隊長曰く、銃後を守る婦人部隊長は本日風邪のため休んでいるとのこと。おいたわしい。

さっそく部隊長からは焼酎の投下と食糧の配給が。食糧はカンパン・金平糖・落花生。それに「爆弾投下!」の声とともに、ゆで卵の配給もされたのであります。

店内には軍服や機関銃のレプリカ、帝国軍人の写真などのディスプレイ。BGMはもちろん軍歌であります。ド演歌以外は何でも歌う私でありますが、世に軍歌というジャンルがあることをすっかり忘れていたのであります。それでも、「ラバウル小唄」や「月月火水木金金」「戦友」「加藤隼戦闘隊」程度はなんとか判別できたのであります。加藤鷹と間違った兵士は銃殺です。チョコボール向井でもありません。

部隊長は齢75歳。軍国酒場を始めて40年。国のために戦い散っていった同胞を供養するために、この酒場を始めたそうであります。着用している軍服も、亡くなった兵隊さんの軍服を着るような失礼なことはできないと、名古屋で生地を調達し新規に縫製してもらったものだそうであります。しかし店名が店名だけに、たまには右翼が来たり左翼が来たり、ヤクザものが流れてきたりで、緊迫した状況になることもあるらしいのであります。

ちなみにこの日は、我々が19時過ぎに入隊したあと、次の入隊者が来たのは21時過ぎ。その間、入り口の空襲警報で逃げ帰った腰抜け兵士が一人。新規入隊者は50代と思しき男で、「なぜ女二人でこんなところに来ているのであるか!」と詰問されたのでありますが、聞くところによると、この新規入隊者の入隊前の所属は富士通駐屯地であるとのこと。自分と同じエンジニア出身ということで、気が付けばCOBOLのコンパイラとラインプリンタというオールドファッションな話題で盛り上がってしまった我々だったのであります。

その傍らで、J軍曹は部隊長の軍服について「その軍服の階級は大佐ですね」と鋭い指摘。星の数で階級が決まっているそうなのであります。

さて、それではせっかくなので当日の部隊長の訓示エッセンスを皆様にも開示するであります。しかし、本日の訓示内容は大日本帝国婦人部隊長が風邪だったからこその話題だったかもしれないであります。

●男はモテる男でなければ生きる資格がない

部隊長は自称モテる男であります。戦後、軍国酒場を始めるまでにも様々な商売をして儲けていたそうなのでありますが、商売とは女心を掴むことができなければ、うまくいかない。そして、あちこちに人的ネットワークを構築することが大切で、それが商売の下支えをしてくれる。だから男はモテる男、それも男にも女にもモテる男でなければならんのだということなのであります。部隊長がマーケティングや経営の本を読んでいるとは思えないのでありますが、長年の商売実践で勘所を身につけておられるのでせう。なめたらいかんのでありました。

●赤線がなくなったから離婚が増えているのである

かつて、この繁華街にも赤線なるものがあったそうであります。いにしえの男たちは、そこで女を悦ばせる様々なテクニックや駆け引きを磨いていたのに、それがなくなった今、現代の男たちは練習する間もなく女と対峙せねばならない。十分な訓練もできず結婚することになるので、現代人は離婚が多いのである......なのだそうであります。ぶ、部隊長、そ、そ、そうでありますか!。

●女はウソをつかない動物である

部隊長曰く「女はウソをつかない動物である」なのだそうであります。しかし、一般的には女の方がウソつきだろうと思うのでありますが、部隊長、お説をガンとして譲らないのであります。そして、「男は女の三倍稼いで女を養い、守らねばならない。そんな甲斐性のある男が最近はめっきり少なくなった」と嘆いておられます。部隊長は究極のロマンティストやもしれませぬ。夢を壊さぬように「そ、そ、そうでありますか」と、とりあえず頷く我々でありました。

右翼と左翼の激突も見られる、スリルとサスペンスに満ちた軍国酒場。2000円ポッキリ飲み放題食べ放題で貴殿もいかがでありますか? 部隊長に大和魂を注入されること請け合いです。なお、婦人部隊長がお休みだったせいか、食べ放題はカンパン・落花生だけで、お腹をすかせて行った我々としては、少々ひもじかったのでありました。しかし教育的観点からいくと、カンパンが食べ放題というだけでも、戦時中を思えば非常にありがたいことであります、ハイ。欲しがりません、勝つまでは。


※「ラバウル小唄」
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※「月月火水木金金」
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※「戦友」
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※「加藤隼戦闘隊」
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【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

働くおじさん・働くおばさんと無駄話するのが仕事の窓際事務員。かつてはシステムエンジニア。わしは右翼でも左翼でも軍国でもありません。ただのミーハーであります。

ところで、出張先の奄美大島で事故った。時代遅れの昭和の女はいつまでたってもiPhoneの使い方に慣れず、「ちきしょー、今度のデジクリでは散々悪口書いてやる!」と罵詈雑言吐いていたので、これはiPhoneの呪いに違いない。レンタカー会社の保険のおかげで、修理費用は20,000円で済んだといえども口惜しや。島の山中に分け入って、ハブを5匹捕獲し役場に持っていけば4,000円×5匹=20,000円で買い取ってくれるので、出費はチャラになるのだが、このわたしの色気でハブを悩殺するよりも、ハブに毒殺される確率の方が高そうなので諦めた。

来週は久々のお江戸行幸である。出張期間、ブルーノート東京ではミシェル・カミロのライブがあるし、日本青年館では鳥肌実時局講演会、浅草ロック座では「花と蛇3公開記念特別公演」があるのだが、わしはいったいどれに行ったらええがじゃ。

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■編集後記(10/15)

・楽天とユニクロが社内公用語を英語にすると宣言した。ばっかじゃなかろか。ホンダの伊東孝紳社長は「ばかな話」と切り捨てた。「英語が必要なやりとりは英語でやる。時と場合によって使い分ければいい」という。これで決まりではないか。これ以上言うことはないが、産経の15回にわたる連載コラムをまとめて読んでみた。ここでは賛否両論と記者の考えをならべていてなかなか興味深かった。なかでも気になったのは、英語を話せることでビジネスなどが有利に運ぶのは明らかで、この取り組みは成功するように思われるという人からの意見。「そうすると、英語を上手に扱えることが経済的社会的成功の必須条件となり、日本語の能力は問題ではない社会が出現するはずです。極端な話かもしれないが、そんな状態になった人々も世界にはいました。日本語が話せなくなった人間の集団を、日本人といえるでしょうか」、まさしくその通り。これが成功し拡大するとしたら、日本語の危機、日本そのものの危機にもつながる(極端に言えば、だけど)。社内公用語を英語にという方針が極端すぎるからこんな話になる。英語より、まず必要なのは正しい日本語だろう。「柳腰外交だ」とうそぶく官房長官は、日本語の間違いを指摘されても引っ込めない。恥ずかし過ぎる。国会の「公用語」は日本語のはずだが。それにしても、あんたの内閣の外交のどこが「しなやかで、したたか」なの?(柴田)
< http://sankei.jp.msn.com/life/education/101001/edc1010011300001-n1.htm >
(産経新聞【風 英語が公用語!?】)全15回、さかのぼって読む

・Web制作者に関しては、英語ができた方が絶対有利。だってほとんどすべての新情報(技術情報含む)は英語で、先んじることができる。それらを翻訳してまとめるだけで人気サイトにだってなれる。海外のネットフォーラムで質問ができるし、積極的に回答していたら中心人物にだってなれるだろう。2バイトなためにかますプログラムがあったり。日本語の壁は大きい。ビジネス、特に大事な交渉の場では、ビジネスのわかるデキル翻訳者を入れた方がいいけど。/てふ君のはデマという話。信じた私が馬鹿だった。デマが出るなんて、ほんと有名人だなぁ。/事務所用に、自宅でも使っているApple Wireless Keyboardを買った。アマゾンでは在庫切れ。10/20に新OSXの発表があるらしいと聞いて、まさかな......と思っている。「Back to the Mac.」は嬉しい。/不動産関係のiPad用販促ツール。開発してみたかった......。/複数台のiPhone、iPadを一元管理できるシステム「BizMobile for iOS」。出るだろうなぁと思っていたが早かったな。これでビジネス用途での導入が加速するね。/久々にホームランバーを食べた。生協で売ってたの。(hammer.mule)
< http://www.w3.org/TR/html5/ >  こういうのとかね
< http://journal.mycom.co.jp/news/2010/10/14/003/ >
次期Mac OS Xは"Lion"? 米Appleが20日にMacスペシャルイベント
< http://www.itmedia.co.jp/promobile/articles/1010/14/news121.html >
プライムクロス、iPadを利用した分譲マンションの販促ツールを開発
< http://journal.mycom.co.jp/news/2010/10/14/007/ >
企業向けiPhone/iPad管理システムが登場 - 設定変更/アプリ導入も一括実行
< http://journal.mycom.co.jp/news/2010/10/14/028/ >
iPadやiPhoneで約50冊のデジタルカタログを閲覧「カタログパラリー」
< http://www.gignosystem.com/pdf/650_1.pdf >
いよいよiPhoneアプリに! 「江頭2:50の オレが時計だ」
< http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1010/14/news093.html >
VOCALOIDがiPad/iPhoneアプリに ヤマハが開発
< http://www.meito.co.jp/homerun/ >
買ったのは銀紙包みの袋詰め。やっぱこれでしょ!