アンビエントメディアの夜明け[08]ロボットにつながるキャラクター系アンビエントメディア/川井拓也

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操作していないのに動作している。しかもインテリジェントに。

「アンビエントメディア」をこう定義して、iPadアプリを見渡している連載ですが、今回はキャラクター系アンビエントメディアを見てみましょう。

アンビエントメディアはデジタルサイネージの一般化、つまり家庭内パーソナルサイネージがもっとも普及が早いだろうという前提にたち研究を進めています。それは新幹線のドア上の電光表示だったり、山手線のドア上のトレインビジョンだったりが、家庭内に入ってくるというイメージです。

しかし、そのスタイルは四角画面に限定されるわけではありません。アンビエントメディアは、進化していくとカタチが立体化し、ロボットに近づいてくると考えています。ロボットと聞くと、現状では何か趣味の領域で、少し前のクルマやバイクのようなものかもしれません。しかし、今後高齢者が増えたりしていく中でパソコンがロボット化することで音声認識、音声出力、身振り手振りによるアンビエントな表現能力を身につけていくでしょう。



ロボットの中でも興味深いのが「ナバズダグ」です。この、何回聞いても覚えられそうにない名前のロボットはフランス製で、2009年の1月に発売されました。うさぎ型のロボットで、設定したポッドキャストを再生したり、ニュースを読み上げたり、株価の指定銘柄をウォッチして、おなかの点滅で知らせてくれたりします。音声感知もできるので、「天気は?」と聞くとそのエリアのその日の天気をしゃべってくれます。

パソコンにキーボードやマウスで打ち込んだことを、画面に文字列や画像で返すというパソコンの機能を、画面はなく音声とフィジカルな装置によるフィードバックに置き換えたアンビエントメディアです。2010年では、いまだスマートフォンなんていうパソコンを手の平サイズにしたものがもてはやされていますが、いずれ文字入力や画面によるフィードバックもレガシーなものと感じる時代が来るでしょう。

日本では、ここまで高度で高価なロボットではなく「かわいい」文化に基づいた、ユニークなキャラクターのアンビエントメディアが発売されています。

ひとつは、ソリッドアライアンスが発売している「フリッジィズ」です。冷蔵庫に置くデジタルガジェットという、まったく新しいコンセプトで、牛乳パックのカタチをしたシロクマ、ペンギン、セイウチ、アザラシです。冷蔵庫を開けるとセンサーが反応して「おはよう!」とか「こんにちは!」なんて時間に合わせた声をかけてくれます。ドアを開けすぎていると、「早く閉めろ!」なんてエコなおせっかいをしてくれます。

やれることはそのくらいなので、インテリジェントには程遠いのですが冷蔵庫にガジェットを置き、センサーで音声フィードバックするというアイデアは、今後のアンビエントメディアに刺激を与えてくれます。ドアの開閉だけではなく、バーコードリーダーによる食品の感知、賞味期限の警告、オススメレシピの提案などにつながっていけば、立派なアンビエントメディアになるでしょう。
< http://articles.solidalliance.com/2010/06/21/1982 >

もうひとつは、ウィズが11月に発売を予定している「きゃらったー」というクマ人形。USBでパソコンにつなぐと、Twitterの特定のアカウントのつぶやきをリアルタイムに、クチをパクパクさせながら音声で読み上げてくれるというもの。よく牛やカエルの顔がついたラジオのおもちゃがあり、放送の音声に合わせてクチをパクパクさせていましたが、それの少し進化したものという感じでしょうか。

このおもちゃがパソコンより優秀なのは、特定のアカウントがつぶやいた瞬間にその内容をリアルタイムにフィードバックできることです。画面を使ってのアラートでは、なかなかリアルタイムの告知をアンビエントにフィードバックすることができません。
< http://amzn.to/9nEx6X >

このように、そろそろ指と画面による入出力の次が出てきてもいいんじゃないの? という空気も感じる2010年。アンビエントメディアラボでは、その先にどんなアプリやどんなコンテンツのスタイルがあるのかを研究していきたいと思います。

【川井拓也 / Takuya Kawai】
< http://www.3331.jp/ >
mail:kawai@himanainu.jp twitter @himanainu_kawai