[2943] 曖昧を排除する

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《5W1Hで話す心がけも大事》

■音喰らう脳髄[97]
 紅衛兵幻視2010
 モモヨ

■アナログステージ[44]
 デジタルモノ・アナログモノの使い分け
 べちおサマンサ

■Webディレクター養成ギブス[06]
 曖昧を排除する
 蓮井慎也

■セミナー情報
 第4回リクリセミナー with ワークショップ「聞いて学んで考えるUX講座」



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■音喰らう脳髄[97]
紅衛兵幻視2010

モモヨ
< https://bn.dgcr.com/archives/20101026140400.html
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テレビ各局のニュース番組で、ここ何日かの中国国内での反日デモの様子というのが報道されているが、それを見て背筋が寒くなった。なにしろ少年少女が多いというか、デモというか烏合の衆が大半を占めているのである。前に、地政学とか、国益を脊髄反射で語るな、というようなことを書いたが、あれではそれ以前の話だろう。

近年の日本国内もさることながら、中国ではマスコミの報道は国家の統制の元におかれていると考えてよい。そうした限られた報道しかなされない国の内部で、ただでさえ普段ニュースもろくに読まない、あるいは情報の解析能力すら充分に発達していない、少年少女とすら言ってよい世代の一群を、はたしてデモと呼んでいいものかどうか、私としては首を傾げざるを得ない。

あの様子を見て、私のような年代の者なら思い出すものがあるはずである。文化大革命の際の、あの少年少女たちだ。中国政府が文化大革命を如何様に総括しているのか知らぬが、あの騒動には青い暴力の発現という側面があった、そう私は思っている。つまりは、青少年の鬱々とした感情の発露、鬱憤晴らし、つまりは暴発である。

今回のデモで人々の先頭に立って「日本製品をボイコットしろ」と叫ぶ少年の表情から読み取れるものもまた然りだ。思うに、彼は日本製品を自ら稼いだ金で買ったことなど生涯一度としてなく、ボイコットする理由すら満足に語れないのに違いなく、彼らの原動力は若き鬱憤に他ならない。

しかし、この騒動で注目すべきは、行進の中ほどに掲げられた横断幕だろう。そこには「貧富の格差をなくせ」とか「多党による協力を認めろ」と書かれているのだが、後者は、日本人には無難なものであろうが、中国国内ではそうとうにインパクトがあると想像される。

多党による協力体制という湾曲な表現がなされているが、要は「一党独裁打破」ということである。こうした反日に姿をかりた体制批判に対し、中国政府がどのような反応をするか、私としては、いましばらく見守りたいと思っている。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>

私の旧作品がいくつかリリースされました。
百夜独演音曲集(リマスター)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B003VXF8PK
>

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■アナログステージ[44]
デジタルモノ・アナログモノの使い分け

べちおサマンサ
< https://bn.dgcr.com/archives/20101026140300.html
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以前にデジクリで少しだけ書いた記憶があるんですけど、視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚と人間の五感のうち、パソコンやポータブルメディアプレーヤーでは体感が難しい感覚に、触覚と味覚、嗅覚がある。触覚もバイブレーションなどの機能がついたデバイスがありますが、まあ、それは「お知らせ」色が強い用途だし、嗅覚にしても、USBアロマポットなどがあるから、体感できない。ということはないでしょうけど、それいい始めるとキリがないので、ここでは省いてみます。

デジタルブック(電子書籍)の普及が進んでいるなかで、デジタルブックの存在意義、価値を議論する声がチラホラ聞こえてくるようになった。ワタクシ自身は肯定も否定もしないし、あれば便利だけどなくて困るようなものでもない。

現に、小説やコラムなどの活字系はiPadで読むようになったし、ファッション雑誌やカルチャー雑誌は書店に足を運び、パラ読み(立ち読み)して趣旨が合えば購入するスタイルをとっている。App storeでは少しずつだが、雑誌も並ぶようになってきているが、パラ読みができないことと、カラー誌の楽しみのひとつにインクの匂いがあったりするので、それができないデジタルは避けている。

感覚的な問題ですが、洋書(モード雑誌やファッション雑誌など)の独特な紙の質感は嫌いではなく、むしろインクの匂いやしっとりとした紙質は好き。その国の気候や印刷機器などで変わるのは当たり前ですが、日本の書籍はサラっとした感じがあり、ページをめくる指に紙の重さは殆ど感じたりはしない。

たとえば、Vogue(ヴォーグ)というファッション、ライフスタイル雑誌があるのですが、アメリカ版Vogueと日本版Vogueを並べてページを捲ってみると、紙の手触り、ページをめくる音、匂いがまったく異なることに気がつく。アメリカ版、日本版、どちらが本(雑誌)として楽しめる? と、比べる問題でもないけれど、デジタルでは味わうことができない感覚を楽しむのもアリでは。

物事にはどうしてもメリット、デメリットがついてまわるもの。問題点、課題点を改善していくことはもちろん大切で、普及性、汎用性にも繋がる。悪いところばかりを取り上げていっても、なにも進捗しないのはお約束なので、デジタルブックもデジタルならではの良さを、もっともっと前面に打ち出していってもいいはずだし、できるはず。

といいながらも、印刷・出版業界はまったく無知なんで、自分の理想論ばかり書いて、業界のかたから「オマエは何も知らないで勝手なことばかり言うな」って叱られそうなので終わり。終わるけど、デジタルモノでもアナログモノでも、その人の用途というか、上手に使い分けていけばいいだけでは。

できないのは(やらないのは)、大人の事情と都合の問題だけだと思うんですけどね、ええ。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマであり、ナノテク業界の技術開発屋
< http://www.ne.jp/asahi/calamel/jaco/
>
< http://bachio.posterous.com/
> ←マメに更新中
< http://twitter.com/bachiosamansa
> ←フォローしても役に立ちません
< http://www.retaggr.com/page/bachiosamansa
> ←べちおまとめ

○今回も時間なく、煮え切らない内容ですみません/もっと書きたかったのですが、タイムオーバー/仕事を進めるのが大事なのか、睡眠を確保することが大事なのか選択に悩んでいたり/と、その前に大切なものがたくさんあるはずなんだけど...あはは/平均睡眠時間が3時間ないのはマズいですよね。

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■Webディレクター養成ギブス[06]
曖昧を排除する

蓮井慎也
< https://bn.dgcr.com/archives/20101026140200.html
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「フレキシブル(柔軟)に対応します!」今やどこのWEB制作現場でも標語のようになってしまっているこの"柔軟性"は、WEB制作プロダクションにとって、クライアントから求められているポイントです。クライアントの競合企業の動きに合せたり、社会情勢に合わせるこの柔軟さは、企業としてだけではなく、個人にもますます求められる要素ですが、この柔軟であることの裏側にはファジー(曖昧)という意味を併せ持ってることをご存知でしょうか。

当然、ファジー(曖昧)は求められていません。よってファジー(曖昧)を徹底的に排除しつつ、できる限りフレキシブル(柔軟)に対応することが、受注側の制作時間(リードタイム)を短縮し、発注側への請求額と受注側のリソースを抑えることになります。

いくら「フレキシブル(柔軟)に対応します!」と謳っていたとしても、曖昧がまかり通るWEB制作現場では、WEBディレクターがクライアントの言いなりとなり、聞いたことを右から左に流すようにWEB制作者に連絡し、意識違いがさらなる意識違いを生み、手戻りも多くなり、結果的に納期に間に合わない、あるいはギリギリ、連絡の行き違いや、様々な勘違いを生み、泥沼にハマるように負の連鎖が襲ってきます。

クライアントの考えや意図、好みの部分を読み解き、それをWEB制作者に理解できる言葉で的確に言い換えていくことが、WEBディレクターの役目であり、先に述べた受注側の制作時間(リードタイム)を短縮し、発注側への請求額と受注側のリソースを抑える役目も担っているのが、WEBディレクターと言えるでしょう。

では、このフレキシブル(柔軟)と相反するファジー(曖昧)を、一体どのように排除していくか、WEB制作現場から離れ、私たちの生活の中から見ていきたいと思います。

例えば、どこかで待ち合わせをするとき、どういった約束をするのか想定してみると、「○○(ランドマーク付近)で○時ごろ」こういった場所と時間指定をしていると思います。これは携帯電話の普及によって、およその時間にその場所付近に到着すれば、携帯電話を用いて連絡を取り合い、細かい場所を決めていくことができるようになったからです。

携帯電話が普及する前は、一旦外出してしまえば連絡を取り合って、あとで細かい場所指定をすることが難しいため、外出する前から「ランドマーク付近で○時」などと、より具体的な時間と場所の約束がなされていました。待ち合わせ場所に遅れるなどご法度で、携帯電話はメールで「遅れます」など連絡手段もほぼなかったため(待ち合わせ場所が喫茶店なら可能でしたが)、なおさら移動手段や径路、到着するまでの時間など相当な段取りがあったのだろうと想像します(私が社会人になった頃、すでに携帯電話は普及していましたので)。

携帯電話の普及に伴い、私たちは利便性を手に入れた反面、事前の段取りというものを失ったのだ、と言えると思います。

日本人は、特性として、TPOによって言葉を濁した表現と、その場を取り繕う言い回しを好む基本的性質があるようです。だからといってWEBディレクター自身が曖昧であってはいけません。むしろ柔軟なWEBディレクションが求められるために、「○時頃」「大体○○な感じで」と、相手に語尾を濁されることは甘受し、自分自身はなるべく語尾を濁さない表現を心がける必要があります。

これをWEBの制作現場に置き換えて考えてみると、簡単なところでは、色と時間が思い当たります。もっと複雑なシーンもありますが、よくあるシーンとして色と時間の問題で考えてみたいと思います。

「赤っぽく」と聞いて、"真っ赤"を連想する人がいる中で、一部の人は"朱"だったり、"ワインレッド"を連想する人もいるかもしれません。人によって感覚の違いがあってもよいのですが、ビジネスにおいてはクライアントという発注者が指定する「赤っぽく」が、どういった赤を連想しての赤なのか、具体的に聞き出し、その赤を的確にWEB制作者に伝えることが重要です。「ワインレッドで」と伝えるでも構いませんし、16進数で置き換えた指定でもいいのかもしれません。

また、「夕方」も人によってバラつきがあります。おおよそ15:00〜19:00の間に限定されるようですが、クライアント側は15:00だと思っていて、WEB制作側19:00だと思っていたと仮定すると4時間もの開きがあります。待ち合わせ場所で4時間待たされた感覚とイコールの待たされた感はないにせよ、不信感が募る一方です。「夕方とは何時ですか?」と、その人にとっての時間をなるべく正確に掴むことが重要になってきます。

勘違いしていただきたくないのは、杓子定規になってください、というのではありません。

自分(を含めたWEB制作者)には曖昧に厳しく、クライアントにとっては曖昧に優しく、という意味で捉えてください。

A社のOさんの夕方は17:00だけれど、B者のPさんの夕方は16:00と、相手によって合わせていくのは混乱しそうですが、意識しながら案件をひとつでも多くこなしていけば身につく内容ばかりです。曖昧を排除していくことは、クライアント担当者から「分かってるね!」と重宝がられ、競合他社の参入障壁になります。

より意識違いをなくす意味でも、5W1Hで話す心がけも大事です。曖昧の排除した表現に加え、5W1Hを明確にすることで、さらに意識違いをなくすことができます。

なお、WEBディレクター自身がいくら気をつけたとしても、WEB制作者の納品物のテストアップ時間が曖昧だったとしたら元も子もありません。よって、一緒に働くWEB制作者には、この曖昧を排除してした表現を求めるべきで、いずれはWEBディレクターにキャリアアップしたり、時にはクライアントとの電話による窓口折衝をするシーンを想定するならなおさら、制作プロダクション内では徹底した訓練が必要であると思われます。

曖昧とは、WEB制作現場に混乱をもたらし手戻り作業を増やすとともに、曖昧な時間設定がクライアントに不信感を抱かせます。多くのWEBサイトを捌くことが求められるWEBディレクターは、曖昧な表現を使うことが、その場をしのぐ意味では有効な場合もありますが、結果的には非効率につながるため、曖昧を使い分けられるレベルに到達するまでは、徹底して曖昧を排除していくことが得策です。

フレキシブル(柔軟)≠ファジー(曖昧)を念頭に、フレキシブル(柔軟)を追求するとともに、ひとつでも多くのファジー(曖昧)をWEB制作現場からなくし、クライアントとの良好な関係構築、意識違いのないWEB制作進行を実現いただきたく思います。

【蓮井慎也 / Shinya Hasui】WEBディレクター
地元のWEB制作プロダクションに所属。大手通販企業に常駐しWEB制作をしています。
オンライン名刺 < http://card.ly/hasui/
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■セミナー情報
第4回リクリセミナー with ワークショップ「聞いて学んで考えるUX講座」
< http://www.re-creators.jp/vol4/
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< https://bn.dgcr.com/archives/20101026140100.html
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日時:11月20日(土)13:00〜17:00(セミナー後に懇親会あり)
会場:兵庫県立大学 神戸キャンパス大講義室(兵庫県神戸市中央区東川崎町1丁目3-3 神戸ハーバーランドセンタービル23階)
受講料:3,000円(懇親会費別途)
講師:長谷川恭久 < http://www.yasuhisa.com/could/
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Webやデザインに関する情報発信をおこなっている、couldの長谷川恭久さんをお招きし、ユーザーエクスペリエンス(UX)の聞いて学んで考える講座を開催します。ユーザーの行動を意識したデザイン/設計、コンテンツを考えるためにはユーザーエクスペリエンスを理解することが必要ですが、それらは不明瞭でどうすればその視点・考え方を、サイトに取り入れられるのかは容易ではありません。

そこで今回はセミナー形式だけではなく、パネルディスカッション、セミナー、ワークショップの3部構成で、よりユーザーエクスペリエンスの理解を深める講座となっています。ワークショップでは実際に公開・運営されているサイトをモデルに、そのサイトの目的やビジネスゴールなどを情報を共有し、どうすれば達成できるのかをグループで一緒に考えるセッションになります。聞くだけでは難しいこのテーマを、実践しながら学びましょう。(主催者情報)

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■編集後記(10/26)

昨日掲載の「明日もデザインで食べていこう!」に間違いがございました。お詫びし訂正いたします。
(誤)「2010年(半ばくらい)までは無償で使っていいよ」
(正)「2010年いっぱいまでは無償で使っていいよ」

・電気事業連合会が「電気の源を考える」という、毎日約1/2ページを使った原子力発電の広告を開始した。企画・制作は読売新聞広告局である。各界の有名人(?)が読売の編集委員の質問(誘導)に答える形式で、10/24の第一回目は「環境とエネルギー自給率」をテーマに、勝間和代が登場した。この人が原子力発電に詳しいのかどうかは知らないが、それにしてもアバウトなことを言う。原子力発電を「怖いから嫌だ」と言う人も少なくありませんね、という問いに「これまでの実績をみる限り、原子力発電はCO2排出量が少ないですし、安全性もそれなりに信頼しています。安全性については『怖い』というような感情論で語るのではなく、統計データなどの客観的事実に基づいた議論をすべきでしょう。(略)実績を積み上げることで安全性をアピールしていくしかない」と応ずる。「それなりに信頼」とはどういうことだ。「統計データなどの客観的事実」とはどんなデータをいうのか。「実績を積み上げる」とは批判を感情論だからと受付けず、このまま原発を推進せよということなのか。「新幹線も飛行機も、はじめは乗ることを怖がる人が多かったと聞きますが、今は安全だと感じている人の方が多いでしょう」とまで言う。新幹線や飛行機を原発と同列にする無神経さ、あまりの無知に、この人が原子力発電を語る資格はないと断定する。「それなりに」影響力ある人なんだから、電事連の潤沢な金を使った広告で、こんないいかげんなことを言ってはいかんよ。(柴田)

・Twitterでいまだに「なう」を使ったことがない。気恥ずかしくて、敬遠しているのだ。と、隣の席のP氏が「なうはTwitter発祥ではないらしい」というページを見つけ知らせてくれた。そうなの? 「2004年暮れぐらいから一部で使われ始め、mixiなどを通じて伝搬していったものが、相性の良さからtwitterで広まったというのが正しいだろう」らしい。「どのようにtwitter上でポピュラリティを獲得していったのかは今後の研究を待ちたい」のだそうだ。/SOY CMS2。ベータテスター向けにダウンロードが開始されたよ。(hammer.mule)
< http://d.hatena.ne.jp/RRD/20090727/1248682147
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なぜナウやnawではなく「なう」なのか〜twitterのなんとかなう問題
< http://www.jmuk.org/diary/index.php/2009/08/02/origin-of-now/
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「◯◯ナウ」の起源
< http://www.soycms.net/soycms2/
>  SOY CMS2 ベータ
< http://japan.internet.com/allnet/20101025/2.html
>
サイバー大学が「e-カレッジ」iPad版の配布を開始
< http://www.youtube.com/doritosuk
>
マウスを使って360度見られるMovie。QTVR動画。