音喰らう脳髄[97]紅衛兵幻視2010/モモヨ

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テレビ各局のニュース番組で、ここ何日かの中国国内での反日デモの様子というのが報道されているが、それを見て背筋が寒くなった。なにしろ少年少女が多いというか、デモというか烏合の衆が大半を占めているのである。前に、地政学とか、国益を脊髄反射で語るな、というようなことを書いたが、あれではそれ以前の話だろう。

近年の日本国内もさることながら、中国ではマスコミの報道は国家の統制の元におかれていると考えてよい。そうした限られた報道しかなされない国の内部で、ただでさえ普段ニュースもろくに読まない、あるいは情報の解析能力すら充分に発達していない、少年少女とすら言ってよい世代の一群を、はたしてデモと呼んでいいものかどうか、私としては首を傾げざるを得ない。



あの様子を見て、私のような年代の者なら思い出すものがあるはずである。文化大革命の際の、あの少年少女たちだ。中国政府が文化大革命を如何様に総括しているのか知らぬが、あの騒動には青い暴力の発現という側面があった、そう私は思っている。つまりは、青少年の鬱々とした感情の発露、鬱憤晴らし、つまりは暴発である。

今回のデモで人々の先頭に立って「日本製品をボイコットしろ」と叫ぶ少年の表情から読み取れるものもまた然りだ。思うに、彼は日本製品を自ら稼いだ金で買ったことなど生涯一度としてなく、ボイコットする理由すら満足に語れないのに違いなく、彼らの原動力は若き鬱憤に他ならない。

しかし、この騒動で注目すべきは、行進の中ほどに掲げられた横断幕だろう。そこには「貧富の格差をなくせ」とか「多党による協力を認めろ」と書かれているのだが、後者は、日本人には無難なものであろうが、中国国内ではそうとうにインパクトがあると想像される。

多党による協力体制という湾曲な表現がなされているが、要は「一党独裁打破」ということである。こうした反日に姿をかりた体制批判に対し、中国政府がどのような反応をするか、私としては、いましばらく見守りたいと思っている。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
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