[2959] 念願かなってブルーインパルス!

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《集客の秘訣:おかしいくらいの自信がどこまで表せるか》

■わが逃走[76]
 念願かなってブルーインパルス!
 齋藤 浩

■電網悠語:日々の想い[174]
 カラー電子ペーパー:次は、重量からの開放だ
 三井英樹

■?×?×CrossOver Talk[14]
 自分の持っているスキルを最大限に活用してみる
 ──InDesignの中間データの活用法
 杏珠



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■わが逃走[76]
念願かなってブルーインパルス!

齋藤 浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20101118140300.html
>
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小学2年生のとき、テレビで見た航空自衛隊のアクロバットチーム『ブルーインパルス』の演技に感動し、さらに同級生の黒沢くん(仮名)がどこぞの航空祭に連れて行ってもらったらしく、やたら自慢話を聞かされたことも影響して「いつかは見に行きたいなあ」と思っていたのだった。

当時、親に連れていって欲しい旨伝えたところ、航空祭が開催される入間というところは地の果てであり、電車の本数も非常に少なく、一度行ったら帰って来れないと教えられたので諦めた。

実のところ、実家のあるO宮と入間とはかなり近いのだが、私は親の言うことをわりと鵜呑みにするタチだったので「同じ県なのにそこまでタイヘンだなんて、入間ってところは陸の孤島なんだな」てなことを思っていたのだ。今思えば、私の住んでいた場所も似たような環境だったのだが、巧みな政策により『O宮は、実質的には東京23区内』と考える風潮が我が家にはあった。

余談だが、私の伯父が世田谷に2億円の豪邸を建てた際、母は「いくら東京とはいえ、あんな狸の出るような田舎に家建ててもねえ...くっくっく」と小馬鹿にしたように笑っていたことを思い出す。そんなこともあり、子供の私にとって世田谷とは、青梅の先の山の中にある荒んだ土地という思い込みがあったのだ。後年、渋谷の隣と知ったときはたまげたね。

さて、その後の私は毎年11月3日の文化の日になると、実家の屋根から空を眺めることが多くなった。天気のいい青空を見上げていると、普段聞き慣れない轟音とともに、編隊を組んだブルーインパルスがちょうど頭上を横切り、入間方面に飛んで行くのを見ることができた。かっこいい!

この頃からずっと思ってることなのだが、私は戦争が嫌いだ。戦争をすれば儲かったり借金がチャラになったりするらしいが、ヒトを殺してまでそうなりたいとは思わない。そもそも人が人と殺し合うなんて、言語道断である。

しかし、そのための道具である兵器〜戦闘機や戦車など〜を見てどう思うかといえば「かっこいい!」なのです。こればっかりは本当にそう思うんだから仕方がない。大は空母やイージス艦、小はナイフや銃弾にいたるまで、いずれも目的のために研ぎすまされた機能美を感じてしまうのだ。

戦争のための道具の美しさを賛美するというのも、倫理的観点からどうなのか?などとずいぶん悩みつづけたものだが、かっこいいものはしょうがないよ、だってかっこいいんだもん。という結論に至りました。要は使わなきゃいいんです。使わないための意思と、この国に暮らすことの意味を考えつつ、素直に戦闘機の機能美を愛でよう。幸いブルーインパルスは、戦闘機じゃなくてジェット練習機だしな。と、ちょっと言い訳もしたりする。

そういえば高校生になった頃、一度入間へ行こうとしたことがあったのだが、「そんなのはモテないからやめた方がいいよ」と小林くん(仮名)から忠告された。言われてみれば、極端な趣味に没頭する男よりも、無趣味な奴の方が圧倒的に(一般的な女に)モテる。小林くん(仮名)のひと言が当時の私にかなり重くのしかかり、結局そのときは行くのをやめた。ちなみに小林君はその後銀行員になった。

月日は流れ、私もこの秋バカボンのパパと同い年になったのだ。すると、極親しい間柄の年上の女性Aさん(年齢非公開)から「ああ、なんだかこの秋はジェット戦闘機の爆音が聞きたいわ」とのお誘いがあり、同時にしばらく停滞していたブルーインパルス熱がよみがえり、念願かなってついに入間航空際に行ってきたのです! それにしても、狭く深い趣味を共有できるパートナーは実にありがたいと思う今日この頃。

11月3日の空は快晴。これぞインパルス・ブルー!!(意味不明) 入間の航空際は都心に近いということもあり、例年スゴイ人出と聞いている。今年は過去最高の28万人とかなんとか。会場に入るまでがものすごい人で、ぜんぜん進まない! など、様々な情報が入っていたが、結論から言えば、確かに混んではいたが、移動も見学も実にスムーズだった。

ブルーインパルスの演技に間に合う程度、だいたい12:30頃到着目標で向かい、帰りは16時頃会場を出たのだが、どうやらものすごく混むのは朝とブルーインパルスの演技終了直後だったみたい。

さて、会場である航空自衛隊入間基地に着き、金属探知機によるボディチェックを受けた後、メイン会場である滑走路へと向かう。すると、おお、人の佃煮みたいな中にF-15が埋まってる!
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig1 >

しかし、こんなに人がたくさんいるのに、普通に近くまで行くことができた。みんな譲り合って見学しているのだ。日本人てすごい。で、目の前のF-15だ。やはり本物は違うなー。お台場で見た実物大ガンダムは"本物っぽい模型"だったが、これはまぎれもない本物。なんかグランドキャニオンで「ディズニーランドみたい!」とか言ってるみたいなオレである。

着陸脚やインテーク周りの注意書のグラフィックが妙にソソる。無駄な部品など何一つない、機能する形状。ディテールも全体のフォルムも実に美しいのだ。おや、あそこにいる皿を背負ったプロペラ機は...E-2C!
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig2 >

こんなのがよく空飛ぶもんだなあ。皿の直径が意外にデカイのに驚いた。また、翼が畳まれた状態で展示されているところもイイ。思わず断面のディテールを撮影してしまう。

などとマニアックに見学していると、そろそろブルーインパルスの時間である。地べたにビニールシートを敷いて空を見上げる。パイロットの入場や離陸を見たいのなら、早朝に来て場所取りしないとダメかもしれないが、純粋に演技を見たいのならこんな時間に来ても余裕で見られるのだ。しかもステージは空。たとえ背の高い奴が前にいても、頭上が空である限り誰もが等しく特等席と言えましょう。

離陸に先立って撮影機材を点検する。今回持参したカメラはソニーのα350。ちょっと前の機種だが基本性能は高く、一眼レフにしては軽い。レンズはミノルタの100mm-300mmズーム。10年前に中古屋で8,000円で買ったもの。銀塩のα7000で使おうと買ったのだが、イマイチ出番が少なく、今回やっと望遠ズームらしい使い方ができた。

さて、実は私、こういったヒコーキ写真というものを撮ったことがない。たぶん、そのスジの人にはそれなりのルールがあるのだと思うが、そのような知識も持ってない。なので今回は、露出はマニュアル、フォーカスも手動で撮ってみた。

あらかじめ、空ヌケのいい場所にある展示機の尾翼でだいたいの露出をみて、あとは勘をたよりに補正する。感度を800くらいに上げて、多少絞ればピントも固定でなんとかなるか。シャッターは1/640〜1/800前後。と思って撮ったのだが、もっと感度上げてシャッタースピードを稼いでもよかったね。よ〜く見ると被写体ブレしてるものが多かった。飛び回る飛行機は、思った以上に早かった。

で、どんな具合だったかというと... 滑走路に向かって右側からまず4機が離陸、スモークを吹きながら編隊飛行を披露...
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig3 >

その直後、ソロの5番機が離陸直後に急上昇、
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig4 >

ばびゅーんと頭上を通過すると6番機も離陸。あっというまに見えなくなった...と思ったら4機編隊が戻ってきた!
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig5 >

すごい。よく接触しないなあ。なんでも機体と機体の間は最短で90センチだそうだ。これぞ神業。とか関心しているとなんかスゴイことに...
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig6 >

ぐおーん!
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig7 >
背面飛行だー!!
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig8 >
ぼばひゅうー
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ずぎゅーん
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig10 >
ばびゅわー
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ぎゅるるるる
< https://bn.dgcr.com/archives/2010/11/18/images/fig12 >

で、30分程いろいろやってくれた後、6機全てが無事着陸し、演技終了です。すごいわー、究極のエンターテイナーかも。次から次へと間髪開けず繰り広げられるダイナミックな演技の数々! プロだ! しばし唖然とする。

その後、F-4ファントムや支援戦闘機F-2等を見学。「蛍の光」が流れてきたので、ブルーインパルス饅頭を買って帰路についた。臨時の改札もきちんと流れていて、ごく普通に電車に乗ることができた。ピークを過ぎたせいか、車内もそこまで混んでない。

途中、池袋の飲茶屋さんで食べ放題コースで死ぬ程食って帰宅。まさに『メカと美食』の一日となりました。うーん、充実。来年もこのコースで行ってみようと思います。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/
>

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

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■電網悠語:日々の想い[174]
カラー電子ペーパー:次は、重量からの開放だ

三井英樹
< https://bn.dgcr.com/archives/20101118140200.html
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幕張でプレゼン集中修行をしている期間、全く同じ日程でFPDというイベントが開催されていた。一時間ごとにプレゼンがある身としては、ちょっと躊躇する。でも、最終日に超特急で覗き見た。滞在時間約30分。あの広い会場を思えば、無茶苦茶な客だ。

  ▼FPD International 2010
  〜フラットパネルディスプレイの総合技術展〜
  < http://expo.nikkeibp.co.jp/fpd/2010/
>

その無茶な中でも、想うことはある。当然ながら会場中がディスプレイで埋め尽くされている。お隣の我がクラウドイベントの倍の広さ。インフラからサービスまでを守備範囲としているにも係らず、このディスプレイEXPOの方が圧倒的に大規模である。情報処理に際して、ディスプレイは必須だ。「どこでも液晶」時代の到来には、それを支えるメーカーが不可欠であることを思い起こさせる。


さて、30分で見てきた内容である。お目当ては、ニュースで伝え聞いた、ブリヂストンの「AeroBee」。カラーの電子ペーパー。実際に見て触ってみる。正直鳥肌モノである。ハード系でここまでぞくっと来たのは久々だ。白黒で充分だと思っていたのに、一気に欲しくなる。

  ▼株式会社ブリヂストン | 化工品 | 先端機能材 | QR-LPD
  < http://www.www2.bridgestone-dp.jp/adv-materials/QR-LPD/
>

但し、発色が悪い広報誌といった感じがする。でも良い意味でワラバンシ的な匂いがして、私には好感度だ。どこかかすれていて、ギトギトしていない、というイメージ。だからグラビア雑誌を相手にする気などまるでない。技術者の方とも話したけれど、液晶フォトフレームと張り合う気など皆無である。その割り切りが気持ち良い。

専用ペンで、画面に赤入れをして、ページを操作して、などなど基本的な操作ができるデモ機が置いてある。A3サイズのものもある。A3を組合せて巨大なデジタルサイネージも可能であることも示している。そのデモ機はA3を組み合わせるのに縁の部分が少し広めに枠が付いていたが、基本的には端っこまで表示可能で、遠目には継ぎ目なしの巨大パネルはすぐにでも可能だとお話も聞けた。

通常はセピア色の画面を表示して、朝ごとに朝刊が届き、自由に赤ペンを入れて、赤が入ったページだけをスクラップする。そんな朝のシーン実現までの必要不可欠要素は全てクリアできている。凄い、思い描いてきた未来はすぐそこじゃないか。

ただ一般に売られるものまでは少し時間がかかりそう。ビジネス用(市販されていない分野)では既にモノがあるようで、iPad的な製品レベルのものもある。ただ、画面保護の意味もあり、ガラスを使用していて結構重いものだった(iPadより少し重い程度)。どこまで耐久性を考えるかは悩ましい問題だ。また、発色の意味では、毎日新聞の画面を表示していたが、あのロゴ背景に使われている青が、ほぼエメラルドグリーンに見えた。青の表示がまだ弱いというか、チューニング中というか。それもこれもどこまで「紙」を目指すのか、かもしれない。既に紙に勝るものを持っているのだから。欠点を差し引いても、魅力が勝る。


さて、迎え撃つ側である、E Ink(イーインク)。現時点でのデファクトスタンダード。ブリヂストンのお向かいに位置するブースで、既に商品化された電子書籍デバイスを一挙陳列。Kindleを始めとしてAlexやSony端末など、ズラーッと並べた図は中々壮観(常にどこかで並べて欲しい)。既に商品化されていること自体が信頼性であり、揺るぎない実績であるというメッセージ。

  ▼E Ink
  < http://www.eink.com/
>

そして、カラー版も展示。壁にも貼るようなパネル的なものもある。両者の違いは、方式が全く違うこと。それが書き換え時に見てとれる。E Inkは画面の書き換え時に、一瞬反転するような瞬間があり、そして一気に次画面が表示される。AeroBeeは、反転するようなことはなく、一旦全画面消去されその後上から徐々に新ページが現れる。巨大な画像をブラウザで見るような感じである。好き嫌いの問題か、レスポンス速度で気にしなくなる問題か。

改めて、競争が革新を生むということを感じさせる両ブースである。こんな戦いは大歓迎だ。早くより良い未来に進みたくなる。どちらも応援したくなる。


どちらの陣営であろうと、もっともっと安くなったなら、そのまま壁になるんだろうなと想う。書き換え時に電気は必要だが、それ以外は電気は不要である。まさに「壁紙データ」を読み込ませれば、数秒で部屋の模様替えが完了する。しかもカラーである。現時点ではどぎついカラーではなく、発色が悪いというか、少しくすんだ、よく言えば落ち着いた壁紙である。

おまけに、リアルの本棚がなくなっているかもしれない。全て電子書籍になってしまっていても、私なら許す。自炊などと破壊行為が伴うから罪意識が混じり辛くなる。最初からデジタルなら心を痛める要素がない。どこにでも持ち運べて、軽くて、きちんと読めるなら大賛成だ。ただし、所蔵一覧は壁にあっても良い。壁にあるボタンを押せば、一部の領域にだけ本棚画像が現れる。所蔵書の背表紙がずらっと並んでいる。順番も変えられる。電子書籍デバイスに移しているものは、半透明でも構わない。

部屋が変わる。生活空間が激変する。もちろん失われるものもあるだろう、しかし得るものも大きそうだ。紙を完全排除する必要はない。反面、削減した方が良いというのも事実である。紙を浪費してきた時代から、紙をもっと大事にする時代への本格突入か。本棚が皆無になる訳ではなく、本当に紙で伝えたい、残したいコンテンツだけが紙で出版される時代。出版する側、執筆する側が、用途を吟味して、形にする時代。読む側は、そこも含めて「装丁」として受け止め、選択する。

ネットのおかげで、距離も時間も超越できた部分は大きい。次は重量からも解き放ってくれるのか。絵に描いたような整理整頓された未来だけを期待している訳ではない。電子ペーパーは、「2001年宇宙の旅」的な未来でも、「ブレードランナー」的な未来でも、共存できる。ブレードランナーのような雑然とした未来であっても全然OKだし、むしろしっくり来るように思う。

考えてみれば、今みたいにノートPCで情報が運べること、無線LANでどこでもオフィスにできること、それらはほんの少し前までは夢の領域だった。様々な障壁が凄いスピードで崩れ行っている。しかも、それが当然のことのように受け止められながら。3年後には何が当たり前になっているのだろう。5年後には何が。楽しみでしょうがない。

【みつい・ひでき】感想などはmit_dgcr(a)yahoo.co.jpまで
・クラウドコンピューティングEXPOの最終日は結局1回だけのプレゼン
・集客の秘訣は、おかしいくらいの自信がどこまで表せるか、かと
・次回(=175)、今期最終回。ちょっとブレイク下さい m(_"_)m
・mitmix : < * http://www.mitmix.net/
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・Twitter : < * http://twitter.com/mit
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■?×?×CrossOver Talk[14]
自分の持っているスキルを最大限に活用してみる
──InDesignの中間データの活用法

杏珠
< https://bn.dgcr.com/archives/20101118140100.html
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デジクリ読者の皆さん、こんにちは。studio H.M代表のディレクター/デザイナーの杏珠(あんじゅ)です。
11月中旬になってめっきり寒くなってきましたね。「秋はいつ来たっけ?」と思うぐらい、あっという間に寒くなりましたが、いかがお過ごしでしょうか? 私は仕事もプライベートも、あっちにこっちに元気に動き回っています。

突然ですが、ここで皆さんに質問です。
InDesignを本業以外に使ったことってありますか?

・自分の使っている手帳のオリジナルフォーマット
・請求書、見積書
・プロジェクト管理表

これらを、プリントアウトをする前提でつくっていることが分かりました。以前からInDesignで培ってきたスキルを本業だけ、もしくはプリントアウトを前提としたものの制作だけにとどめるのはもったいないと思っていました。

色々な方向から検証して「自分の持っているスキルを最大限に活用してみよう」というテーマでお話をしてみようかと思います。みなさん、一緒に考えてみませんか?

●中間データとしてInDesignデータの活用法を考えてみる

「え? 紙媒体に使う以外に、なにか活用法ってあるの?」って考える方もいると思いますので、まずはInDesignデータの活用法として、どんな方法が有効なのかを考えてみたいと思います。使うメリットは2つあると思います。

1)グラフィカル、もしくは視覚的なデザインを画面で見たままアウトプットができること
2)複数ページになる媒体の制作・管理できること

この2つのメリットを生かした有効活用の方法をあげてみたいと思います。

1◎グラフィカル、もしくは視覚的なデザインを画面で見たままアウトプットができること

「WIRED」というiPad用デジタルマガジンのことをご存じでしょうか? 電子書籍に興味がある方は聞いたことがあると思いますが、このデジタルマガジン、実はInDesignCS5とAdobe Digital Publishing Suiteという、InDesignCS5用のプラグインとAdobeAIRアプリを使って制作されたものです。

まだベータ版(無料)ですが、Adobe Labsで配布されているAdobe Digital Publishing Suiteをインストールすれば、今すぐにWIREDのようなデジタルマガジンをInDesignをつかって制作することが可能です。

制作方法はここでは詳しく書きませんが、よく比較される電子書籍のePub形式とは違って、InDesignで制作したデータが各ページごとに一枚絵のような感じで書き出しされます。このAdobe Digital Publishing Suiteのすばらしい点は誌面デザインをするのに、今まで紙媒体で使用しているスキルや方法をそのまま活用できるということです。

先日「InDesignからiPadアプリの書き出しをやってみませんか?」と、とある社長さんから打診をいただいて実際に作って見たところ、制作時間は半日程度かかりましたが、プロトタイプができました。感動しました! その社長さんと、あーでもない、こーでもないと試行錯誤して、デジタルマガジンができあがった時の喜びは、今でも昨日のように思い出されます。社長さんにも喜んで頂けて、まさに二重の喜びでした。その工程は私のブログにてエントリしていますので、興味を持たれた方は見ていただければと思います。

WIRED Magazine
< http://itunes.apple.com/jp/app/id373903654
>
Adobe Labs - Adobe Digital Publishing Suite
< http://labs.adobe.com/technologies/digitalpublishing/
>
Design × Lifehack × CrossOver Lab - 【デラ研Topics】仕事が終わった時、握手できる関係はすばらしいのハナシ(iPad用アプリ書き出し動画あり)
< http://happy-montblanc.com/blog/?p=1834
>
Digital Publishingの道(アートディレクター・大里浩二さんのブログです)
< http://thinksneo.doorblog.jp/
>

2◎複数ページにまたがるものの制作・管理ができること

プレゼンなどで使用するスライドを作る場合、Illustratorでも作成は可能ですが、InDesignでは複数ページにまたがって制作・管理できるメリットがあります。動的なエフェクト(アニメーション等)をつける必要がなければ、KeynoteやPowerPointでなくとも、InDesignから作成したpdfで、十分活用できます。

そして、InDesignから書き出したflaデータを経由して、スライドをアニメーションにすることもできます。swfデータはブログなどに貼り付けることも可能です。ちなみに、今回ライトニングトーク用に作成したスライドをswfデータにしてブログに貼り付けてみました。

Design × Lifehack × CrossOver Lab - 【デラ研レポート】東京ライフハック研究会vol.3が終了しました。Ustream放送の裏側(前編)&LTについてのハナシ #tokyohack003 #tokyohack
< http://happy-montblanc.com/blog/?p=1856
>

●違ったフィールドで試したことをフィードバックして日々の仕事に活用する

今回のデジタルマガジンのような、直接本業ではないことをやると、自分の持っているスキルを磨くのと同時に、そのアウトプットの成果を、仕事にもフィードバックすることができます。

普段の仕事では使ったことのない新しい機能、スクリプトなどを使ってみて、その効用を試してみてはいかがでしょうか? 失敗しても仕事に影響することではないので、自己責任で色々試すことができます。そのフィードバックから、今やっている仕事に繋がることもあります。「この機能(もしくはプログラム)はイマイチ良くわからないし、めんどくさそう...」とトライしないのは、本当にもったいないと思うので、どんどんチャレンジしてみませんか?

●今持っているスキルを他のスキルに活用できないか考えてみる

今回はInDesignに係わるスキルを取り上げましたが、持っているスキルを、他のシチュエーションで使えないか考えてみてはいかがでしょうか? 「まったく違うベクトルで使えないか?」と考えることによって、意外な発見がありますよ。たとえば、私の持っているスキルに「元電気量販店の販売員」というものがあります。これを例にあげてみると...

接客業をしていたことで、人前で話すことはそんなに苦ではない。
→今(デザイン業)の仕事の営業をするときにあまり緊張しない

デザイン業とは全く関係ないところから派生したこのスキルですが、持っててよかったなぁと今ではしみじみ思います。

いかがでしたか? 自分の持っているスキルはムダになることはありません。そのスキルをどう生かしていくかは、自分自身で考え、色々な所で使ってみることで新しい発見につながります。自分磨きのためにも、いま自分が持っているスキルを有効利用してみませんか? きっと新しい自分が発見できてワクワクしますよ。

【あんじゅ】ask@happy-montblanc.com

東京都八王子市出身。
デザイン事務所「studio H.M」代表。エディトリアルを中心にデザイン業を営んでます。愛車のSKYWAVE250にPSPのマップラスナビをつけていろんな所に出没しています。相棒のMacBook ProとiPad、iPhoneをバックに詰め込んでどこでも仕事をするノマドワーカーでございます。大手コンビニエンスストアと某家電量販店でオーディオビジュアル機器(カーナビ、衛星放送機器、テレコ)の販売経験を持つ、妙な経歴の持ち主のディレクター/デザイナー。
「東京ライフハック研究会」「ePublishingPort」の運営スタッフをやっています。
『みんなが幸せになれることはないか?』をモットーに、日々自分が気になることを追求し、業種、仕事にとどまらず多方面で物事を追求し、答えを求めている天国思考な人物です。そして人と人、人と機械との素晴らしい信頼・相互関係が保てるような活動をしています。

今回のスライド作成のネタに関係しているのですが、私が運営スタッフとして参加している「東京ライフハック研究会」というコミュニティのイベントで、人生初のライトニングトークをやらせていただきました。スライドをInDesignで作成し、pdfに書き出しをして挑みました。ライトニングトークの初体験、実際にやってみて良かった点、次回のための反省点も分かって、とてもいい経験ができました。その様子をUstreamで録画したものもあるので、興味のある方はブログに遊びに来てみてください。

先日、Appleから発表になったMacBook Airですが、もう触った方はいますか? デジクリのライター陣の中でもいくつか記事が出てましたが、実際に実機を触ってみて、Airを購入して使っている自分の姿を妄想しまくっています。自分の手帳には、Airを買ったらどんなことをするか、どんなアプリを入れるか...さらなる妄想がふくらみっぱなしです。ああ、このまま購入してしまうのか?はたまた我慢するのか? 来月には結果が出ていると思います。もしAirを購入をしていたら、次回のデジクリのネタはMacBook Airネタになると思いますのでお楽しみに!(笑)

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■編集後記(11/18)

・それみろ、裁判員制度なんかやめてしまえ。最近続いた死刑求刑の裁判員裁判、Aは2人殺して無期懲役、Bは2人殺して死刑の判決が出た。その差は「永山基準」という"量刑の相場"によるものだから、納得はいかないが予想通りだ。しかし、その後がおかしなことになっている。Aでは、検察側が控訴を見送り、弁護側も控訴せず無期が確定してしまった。Bでは、判決後閉廷の直前、裁判長が被告に対し「控訴を求めます」と付言した。両方とも"超"異例である。Aでは、各高裁が裁判員裁判の量刑を尊重する態勢にあるので(最高裁が控訴審では裁判員裁判による一審判決を尊重すべきという意見を出している)、検察が控訴しても勝てないと判断したからである。従来のノーマルな裁判なら当然控訴しただろう。法と証拠に基いて死刑を求刑しておきながら、無期で矛を収めるなんてありえない。まさに検察の役割放棄である。被害者家族の無念さはいかばかりか。「たとえ結論が変わらないとしても、控訴審でさらに議論して欲しかった」とのコメントが普通の市民常識・市民感覚である。一審の裁判員裁判の判決を尊重するなら、もう高裁も最高裁も不要になる。まったくばかばかしい制度だが、柳田法相に質すときっとこう答えるだろう。「法と証拠に基づいて適切にやっております」。あんた鸚鵡か。Bについてはまた。(柴田)

・黄砂や豪雨って、毎年同じ時期にあるんだっけ? FIX(はめ殺し)窓があって、外側は自分で掃除できない。年に四回、窓掃除をやってもらえる。いつも窓が汚くなった頃、タイミング良くきれいにしてもらえている。半月ほど前に予定が通知されるので、結果を見ての掃除ではない。先週末に黄砂が大発生。で、おとといから掃除開始。一日一方角で、四日かけて行われる。うちは昨日だった。これが黄砂前だったら、三ヶ月間汚い窓で過ごさなければならなかっただろう。雨もそうで、横殴りの豪雨でない限り、窓に水滴はつかないのだが、汚れて豪雨の時期がおさまった頃に掃除。FIX窓は三面あって、一面ずつ上階からロープ二本を頼りに掃除してくれる。近所のよく似たマンション二棟はゴンドラ。うちのが一番高さがあるのに、ロープなのは何か理由があるのだろうか......と毎回思っていたのだが、ふと、この三面というのがネックなのかもと思い至る。二棟はFIX窓は大きく一面だけなので、ゴンドラで一度で済むが、うちのは三回降りつつ掃除。あ、あとゴンドラで降りるほどの幅がないのかもしれない。/「動いちゃ駄目だろ、切れないじゃないか」という犯人の言動を聞いて残酷だと思った。でも、どんな殺人事件でも生きたまま殺されるんだよな......。(hammer.mule)
< http://www9.plala.or.jp/nakanoryuzo/news-kakorogu/news-10.11-2.html#1117
>
あなたのトンカツ弁当、本当に「豚」カツですか?
< http://www.inside-games.jp/article/2010/11/14/45632.html
>
「マリオはなんで配管工?」 マリオの父が疑問に答える
< http://blog.livedoor.jp/darkm/archives/51093796.html
>
秋の夜長は俺の撮った写真でも見て過ごせ
< http://labaq.com/archives/51524129.html
>
日常がこんなだったら楽しくて仕方ないのに(動画)
< http://k-tai.impress.co.jp/docs/news/20101117_407507.html
>
事業仕分けで電子書籍中間フォーマットを議論
< http://osaka.cssnite.jp/vol25/
>  マイクロソフト特集