Webディレクター養成ギブス[07]段取力をアップさせる方法/蓮井慎也

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WEBディレクションをする上で、段取の悪さを誰かに叱られたり、自分自身で気づいて落ち込んだりしたことありませんか。「段取力」を身につけようと思って、その類の本を一度は手したことがあるかもしれません。それくらい、段取りのできる人/できない人、段取りのいい人/悪い人が、WEBディレクターに向いている/向いていない、を左右するといっても過言ではありません。

実のところ、私も20代前半からWEBディレクションをするようになり、その頃は上司から毎日のように「おまえは段取りが悪い」と叱られてばかりでした。だからといって「本を読むくらいなら寝るよ...」と、毎日の業務に忙殺され、時間がないのは自分の段取りの悪さであることも棚上げし、恥ずかしいことに本も読まず、開き直って寝る毎日でした。

段取りが良ければ何も言われず、段取りが悪ければ浴びせられるその一言。これが一種のバロメータになっていたことは言うまでもなく、ここではいかに段取力をアップさせる方法を、シンプルにご紹介したいと思います。

「WEBディレクターは、人に頭を下げることがお仕事です」この言葉通り、WEBディレクターの仕事は自分一人で完結せず、必ず社内外の誰かに何かをお願いするのが仕事なため、相手の仕事と自分の仕事を因数分解する必要があります。

自分でやるべき仕事も、誰かにお願いする仕事も、WEBディレクターにとってはどちらも自分の仕事であるため、自分でやること・お願いすることを一気に書き出して、優先順位をつけていきます。そして、自分の仕事と誰かにお願いする仕事を仕分けし、お願いしないと完結しない仕事から先に手をつけていきます。

この仕分ける内容こそがミソですが、自分の仕事とは、自分のできることではなく、自分にしかできない仕事のことです。誰かができるのであれば、その誰かにお願いする。できる人にお願いすることもまた、WEBディレクションの本質でもあります。自分にしかできない仕事を除くすべての仕事は、お願いできる対象になります。



少し話は脱線しますが、WEBディレクションとは誰かにお願いし、それをチェックするだけの、非常にシンプルなワークです。チェックできなければ、そのチェックさえもチェックできる人にお願いすればいいわけですし、そうなると余計に高い段取力が求められるのですが、段取りさえできれば、どうにでもなります。

もし、何かの仕事を抱え込み、苦しんだ経験があったり、それが現在進行形であったとしても、「それは自分がやるべきことですか?」と、自問自答してみると、これは自分の仕事か? あるいは誰かにお願いするべき仕事か? と簡単に仕分けられるようになってきます。

また、空いた時間を他の仕事や新しい分野への研究時間に充てることは、自身の成長につながり、自分のモノだった仕事を誰かにやってもらうことは、たとえ面倒くさいことであろうが、その仕事をする人間の成長につながると、前向きに捉えたほうがいいでしょう。

とはいえ、予算の関係で誰かにお願いしている余裕もないといったことが往々としてありますから、結局はすべてを誰かにお願いできず、自分のやる仕事と、誰かにお願いする仕事が仕分けられるのです。自分の中にある既成概念・固定観念を打ち破ってみると、思うところがあるかもしれません。

ここでの基本姿勢は、自分のやるべき仕事を後回しにして、お願いごとから先に済ませる、ということです。

お願いごとを終わらせたら、自分のやるべきことに集中し、それが終わったころ、出来上がってきたお願いしたものをチェックする。あれもこれも...となっていたことが、シンプルなシングルタスクになっていると気がつくでしょう。

しかし、お願いごとばかりをやっていて、自分のやるべきことをおざなりにもできません。「お願いごとを先にして、自分の仕事を後回しなんて、そんな簡単にいくわけないじゃん」という言葉が聞こえてきそうで、まさにそのとおりです。タスクをシンプルにする上で、優先順位のつけ方が重要なポイントとなります。

報告・連絡・相談(略してホウレンソウ)が社会人としての基本で、「特に具合の悪いことこそ先にホウレンソウしなさい」と教わってきたと思います。実はこれだけです。

この具合の悪いホウレンソウとは、すなわち日頃直面するであろう「ヤバいなぁ...」と、不安に思えるフラグを自分自身に立てられることです。"ヤバいなぁフラグ"を優先順位の一番高い所に置き、これを処理するためにかかる時間の計測が、WEBディレクターの最初の仕事です。

この不安要素を真っ先に潰していくことで、モノゴトは大抵うまくいきます。

"ヤバいなぁフラグ"を処理するために、ドキュメント作成がおざなりになるなら、そのドキュメント作成までもを誰かにお願いしてください。誰かにお願いすることに上長の承認が必要なら、さっさと承認をとりつけましょう。

残念なことに、相談してもまったく話にならない上長もいます。そんな時にはさらに上の上長に相談し、そこでも却下されることもあります。最終最後は社長にまでたどり着くことになりますが、自身の成長のためには、自分で自分が納得がいくところまでいくべきだと思います。

そこでも却下されるようなら、自身の"ヤバいなぁフラグ"の立て方が間違っていないか? 自問し、却下した上長へアドバイスを乞い、"ヤバいなぁフラグ"の立て方をアジャストすればよいでしょう。このアジャストは、自分自身の判断力を養う成長機会と捉えてください。

相談した上で、その案件がトラブル(最悪はクレーム)に収束したのであれば、それは上長自身に"ヤバいなぁフラグ"が立てられないことを意味しています。今後の身の置き場と身の振り方も考えたほうがいいのかもしれません。

また、相談にならない上長を弁護するなら、自身のホウレンソウの内容がお粗末で、上長が判断を誤ることがあります。なるべく正確にホウレンソウを行うことが大切で、相談したのにトラブルになっても、上長の"ヤバいなぁフラグ"が立っていないこともありますが、自身のホウレンソウの精度に問題がなかったか? 疑問を持ち、そこもアジャストしていくことも自身の成長過程として重要なステップになります。

大切なのは、不安要素を潰すことではなく、"ヤバいなぁフラグ"をどのタイミングで立てられるかが重要です。"ヤバいなぁフラグ"さえ的確に立てられれば、いかようにも不安要素を潰すことができるからです。

最後におさらいしますが、段取力を上げるために、難しい本を読む必要はありません。

(1)自分のやるべき仕事は、自分にしかできない仕事と定義する。

(2)自分以外でもできる仕事は、お願いできる仕事であり、なるべく誰かにお願いする。

(3)自分でやるとなった仕事はなるべく後回しにして、お願いごとから先に済ませる。

(4)自分でやる/お願いする優先順位は、不安な要素があるものから先に潰していく。

(5)上長に判断を求める必要があるならなら、ホウレンソウの精度を上げる


頭に入れておくべきはこの5つくらいのもので、それでも実際にやるとなったら難しいと思います。しかしながら、意識して取り組むのか、まったく意識しないのかで随分変わってくると思います。

常に自身のキャパシティよりも仕事量を少なくしておくことが、自身のボトルネック解消に繋がり、このボトルネック解消こそがプロジェクトなどの案件進行をスムーズにします。

まずは自身でできることも、思い切って誰かにお願いしてみてください。

【蓮井慎也 / Shinya Hasui】WEBディレクター
地元WEB制作プロダクションに所属。大手通販企業に常駐し、WEB制作をしています。
オンライン名刺 < http://card.ly/hasui/ >