気になるデザイン[52]自分の毎日を記録してみる
── 津田淳子 ──

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今年も残すところ、あと1ヶ月を切ってしまいました。なんだか、気がつくとあっとう間に時間がたっていて、でも、仕事は遅々として進まず。私は毎日何をしているんだろうと反省する日々なのですが、あらためて、自分がどうやって過ごしているのか、たまには記録してみようと思い、この2週間ほどを書き出してみることにしました。(気になるデザインの話じゃなくてスミマセン)

●11月23日(火)※勤労感謝の日

朝から、次号の『デザインのひきだし』でトライアルをお願いするデザイナーの方と吉祥寺で打ち合わせ。お休みの日なのに朝早くから呼び出してすみません。その後、渋谷のPARCOで、『印刷・加工DIYブック』関連のワークショップお手伝い。著者のひとりであるNIGNの大原健一郎さんが先生をやってくださって、「いろいろは製本方法をつかってノートをつくろう」を開催。たくさんの方に参加していただくことができ、よかったよかった。

ワークショップ後、大原さん初め関係者などと遅いお昼ごはんを食べるも、お休みだからいいかとスパークリングワインを1杯。昼間に飲むお酒っておいしいよねぇ。それから会社に戻って、明日の会議の企画書をしこしこと。

●11月24日(水)

今日は月に一度の編集会議。朝9時40分から始まるので、その前に週末に取材予定のレーザー加工会社や同行する方々に、スケジュールなど連絡。今日の夜に予定している取材の最終確認連絡。先割で入れていた記事のPDFがあがってきたので、ライターさんに送付。新連載のラフチェック。切手の目打ち穴ができるところがないか、問い合わせ。装丁道場の取材日程調整。昨日の日報書き。

それらを何とか終わらせて会議に臨み、私も来春出したいと思っている企画をプレゼン。無事企画が通ってホッと一安心。よし、頑張るぞ。お昼ごはんは九段坂下にあるサブウェイで買ってきてもらったターキーブレスト。もぐもぐしながら、メールを2本。午後も引き続き企画会議。終わったのは4時過ぎ。慌てて、装丁道場1本目の取材へ。うひゃー、すごい造本の提案だ! 終わって会社に戻り、明日からの出張に備えて資料の出力や連絡もろもろ。



●11月25日(木)

今日から3日間、関西へ出張。その一日目である今日は、朝、品川駅で祖父江慎さん、名久井直子さんと待ち合わせて、一路、大阪へ。車中では来年スタートしようと思っている(まったく個人的なものだけど)ことの打ち合わせをゴニョゴニョ。うふふ、なんか楽しいことができそうだよ。

でもって、新横浜でカメラマンとも合流し、新大阪で降りて、USJ近くにある加工紙メーカーへ。新しい金銀紙をつくるべく、試作スタート。最初からかなりいい感じになるも、ちょっと表面のニュアンスにおもしろみを出そうと、なぜか一同、近くのホームセンターへ。防虫網とか麻袋とか、金属網、網戸、荒縄、大きなモップ、金属たわしなどなど購入して、加工紙メーカーへ戻る。

それを使って試作すると、おおお、おもしろい!(ひきだし12でレポートするので乞うご期待!)祖父江さん、カメラマンは今日、東京に帰らないといけないのに、終電に近い時間になってきてしまった! 慌てて新大阪へ向かい、ちょっとだけあった時間で、念願のお好み焼きにビール。んまい! ここで祖父江さん、カメラマンと分かれて、名久井さんと二人、大津へ。ホテルにチェックインし深酒。

●11月26日(金)

朝早く、京都市内に移動し、和紙への印刷やそれをつかった工芸品などをつくっている会社へ取材。ひゃー、こんな風に刷っているのかとちょっと驚いた。京都駅に戻って、急いでお昼。京都らしさも何もなくワタリガニのパスタ。急いで京都の山の方へ移動し、そこでライター、カメラマンと合流。いやぁ、遠いところまですみません。ここからの地図は持っているものの、山の中をなんの目印も無く辿り着けるとは思えず、タクシーで現地へ。

ここではフロッキー加工の取材。(次号ひきだしの連載「本づくりの匠たち」でご紹介します)フロッキー加工って、その手法を知識としては知っていたものの、現場で見せていただいたのは初めて。うわ、こんな風にして加工していたいのか! おまけに、他にもおもしろい加工をいろいろ見せていただいて、一同大興奮。

夕方取材は無事終了し、皆で京都に戻って、ここからバラバラに。ライターと私は夜、大阪で取材のため移動。18時過ぎにホテルにチェックインし、その後、歩いて15分ほどのデザイン事務所へ行き、ひきだし連載の「装丁道場」の取材。深夜ホテルに戻って即寝。

●11月27日(土)

朝イチで奈良に移動。途中で名久井さんと再び合流し、法隆寺の近くにある紙の加工会社へ取材。レーザー加工で繊細な紙の抜き加工をしている現場を見て、うっとり。いやぁ、すてきなものができてる! お昼ごろ取材終了して、京都に戻り、急いでカレーを食べ(ホントに京都らしいもの食べてないなぁ・笑)、新幹線で自宅へ。夕方家に着くも、来客があるというので、急いで掃除やら家事やら久々に仕事以外のことをこなす。

11月28日(日)

お昼過ぎから会社へ。数日不在にしていたため、溜まった事務処理など。

●11月29日(月)

いつも通り、朝8時に家を出て出社。寒くなってきたなぁ。次号のひきだしにつける付録の打ち合わせ、その後、原稿確認して戻し。森下にある紙工会社2件へ取材。もう何度も伺っているところだが、行く度、おもしろい加工品を見せてもらって、またもや興奮。ふがー、すてき! 午後戻って、取材アポとり、表紙デザイン打ち合わせ、紙の手配、印刷・加工テスト手配、連載の校正出し、取材アポとり、スケジュール調整、印刷トライアルのデザイン打ち合わせ、表紙用レーザー加工テスト出し。来月出す新刊『予算がなくてもステキなデザインのフライヤー・コレクション』、パブリシティ用の献本発送など。終電の時間が迫って、あわてて会社を出る。

●11月30日(火)

いつも通り朝出社。次号でトライしたい、切手のような印刷加工物について、いろいろ調べているが、なんとか実際につくれそうなことがわかってきた。イヒヒ。新しい(というか、今まで紙に使われて来なかった)箔押しについて調べたり、その取材のアポ取り。また、ひきだし綴じ込みトライアル用のデザインをしていただくため、打ち合わせのスケジュール調整。他にも取材や打ち合わせのスケジュール調整、アポ取り、場所のセッティング、カメラマン手配など。その合間に、お礼のメールやら電話やら。アッとう間に夜もふける。うーん、時間が経つのはやすぎないか?

●12月1日(水)

午前中は、羽田空港取材のセッティングや申請書類づくり、時間調整などをはじめ、取材のアポ取り、打ち合わせなど。ゼイゼイ。午後から、次号のデザインのひきだしに使う加工の打ち合わせで、抜き型屋さんへ。おお、想像以上に細かいものができそうだな! ということがわかり、ホクホク顔。その足で、新しい本の打ち合わせをし、渋谷のデザイナーさんのところに作品を見せてもらいにいく。これだけしかできてないのに、もう夜の8時過ぎ。ショックを受けて、しょんぼりするも、帰りにおいしいお寿司を食べて一気に元気を取り戻す。単純すぎる。

●12月2日(木)

今日は電車が遅れて、9時ギリギリに出社。スタバにも寄れなかった。しょうがないので、会社のビル1Fにある自動販売機にコーヒーを買いにいくも、なんと、自販機が撤去されてた! ひょえー。しょんぼりして、とぼとぼ4Fのオフィスへ戻る。グスン。気を取り直して仕事。取材記事のレイアウトがあがってきたので、関係各所へ校正出し。連絡や撮影のラフ書きなど。

お昼前に来客があり、紙や加工に付いて打ち合わせ。お昼食べる時間なく、そのまま三茶のデザイン事務所に取材、新潮社へ取材。一瞬会社に戻って、荷物を持ち替え、吉祥寺へ。次号のひきだしに綴じ込む、抜き加工トライアルの打ち合わせ。といいつつ、お酒も飲んでしまい、打ち合わせの話は10分くらい、あとは紙とか加工とかデザインとかの話をつらつらと。

●12月3日(金)

朝から、試作のための印刷入稿や箔データ作成、紙の手配。うーん、間に合うのか? 抜き加工テストのための束見本なども手配。それに合わせて本文用紙の手配や、印刷会社との打ち合わせも。午後は、デザイナーさん来社で、切手(目打ち加工入り!)のような印刷物のトライアル打ち合わせ。この一年くらいずっと探っていた結果が出そうで、ドキドキする。うまくいくといいな。

その後、ポンス抜きの取材。ご年配の職人さん(兄弟!)は、お年とは思えないしなやかな動きで、重い紙も平気で持ち上げるし、抜き加工もすばらしい技術で、うっとり。終わるともう外は暗い。慌てて会社にもどって、この前の企画会議で通った本の打ち合わせ。その後メール20本ほど。お返事滞っててすみません(こんなところで謝ってどうする)。

●12月4日、5日(土・日)

この週末は会社の仕事ではないのだが、半年も前に知り合いから頼まれていた仕事で福岡、熊本へ。両方で大学に伺ってお話など。熊本では、日本製紙八代工場の近くをとおり、青い空に誇り高く建つ大きな煙突に魅入られる。ステキ。20時過ぎに帰宅。

●12月6日(月)

朝から鶯谷の紙工会社へ。そこで9時に待ち合わせて、一緒に松伏の工場に向かうはずが、先方が急にお客さんに呼び出されたとのことで、いい雰囲気の喫茶店で小一時間待機。予想外に美味しいコーヒーが出てきて、朝から得した気分。10時前に車で出発。

お昼前に松伏に付き(松伏ってけっこう遠いのね)アップダウン機による紙の抜き加工取材。午後会社に戻ってメールの返事など。表紙のチェック。出力して、今回は抜き加工がいろいろあるので、それの通りにはさみで切ってみる。すると、うーん、今更ながら気になるところが! デザイナーに恐る恐る電話して、今の懸念材料を伝える。するとデザイナーも「確かに」と納得してくれて、修正に入ってくれる。感謝感謝。日が変わる寸前に入稿完了。

──とまあ、こんな毎日を過ごしております。書き出してみると、けっこう忙しそうな感じですね(笑)。でも、取材に行くと、そこで聞く話や見せてもらうことはすごくおもしろく、日々充実しております。あと3週間で仕事納め(うわー、あらためて書くと怖い!)。よし、がんばるぞ!

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp  twitter:@tsudajunko
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