アンビエントメディアの夜明け[12]自分が動くと回りも動き出す──2010年がUstreamの年になることは2009年の年末に感じました。
── 川井拓也 ──

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「アンビエントメディアの夜明け」として始めた本連載ですが、もう年末!
2010年最後の今回は、一年を振り返るコラムにしたいと思います。

2009年の今頃はtwitterブームでした。いろいろなtwitter本が出版され、私も
「Twitterマーケティング」という本を共著で執筆しました。デジハリでは連
続講座として、業界別のtwitter活用講座を3回行い私も講演しました。この連
続講座でtwitterとの連携パワーポイントを作ったことが、私の2010年を大き
く変えることになりました。

当時、tweetbubblesというAirのソフトが話題になっていて、イベントなどで
よく使われていました。画面の右にどんどんtwitterのつぶやきが落ちてくる
ソフトで、パワーポイントやキーノートを使いながらその上に重ねることがで
きるものでした。

連続講座なので、このソフトを使いながらいろいろな試みをしてみました。最
初はレイアウトを最適化させて、パワーポイントを最初からそのスペースを空
白で作りました。それでtwitterで話題のキーワードを検索表示させながら講
演したところ、話題になりました。

そこで次の回では、イベントのハッシュタグを表示して、会場にいる人がつぶ
やけるようにしました。すると、イベントでは僕が一方的に話しているのに、
画面には会場にいる人の心の声がどんどん表示されました。

これは面白い! と思い、最終回ではその頃ダダ漏れで話題だったそらのちゃ
んに中継に来てもらい、同じようにやってみたのです。



すると前回とは比べ物にならない速度でつぶやきが表示されました!
< http://www.himanainu.jp/himag/?p=2410
>

そうか! この会場には50人しかいないけど、視聴者は150人もいて、その人
たちの思っていること感じていることが、会場にどんどん伝わってくるのか!
と原理的には理解していたことを、実際の効果として会場の空気感が変わるの
を目の当たりにして、僕は衝撃を受けました。

これは現実拡張メディアだ! この場とそれを見ている人の場をつないでリミ
ックスしているんだ! この衝撃により私は2010年はUstreamをとことんやっ
てみよう! と思ったのでした。

ところが、まだその時は自分でUstreamをやっていませんでした。何からどう
したらいいかも分からないので、とりあえずwebカメラを買って座談会を中継
してみることにしました。その「Ustreamの未来」という名前の座談会は、そ
らのちゃん、松村太郎さん、神田敏晶さん、杉山知之さんをお呼びしました。
暮れも押し迫った2009年12月29日のことでした。
< http://www.himanainu.jp/himag/?p=3049
>

そして、2010年になってwebカメラであらゆることを中継しながら、このメデ
ィアの持つ同時空性とは何なのか? について考えてきました。中でも空の鍋
を中継しながら「酒用意するから具求む!」と、住所のタイトルを添えて他力
本願にやってみた「ソーシャルカレー」は話題になり、映像の中へ合流可能性
というテレビにはないダイナミズムを感じることになりました。

2月になると孫社長が決算発表会直前にUstreamへの出資を発表し、業界に衝撃
が走りました。私もそれを知り、興奮したまま孫さんのtwitterアカウントに
だめもとでこんなつぶやきを飛ばしたのです。

「Ustreamへの出資凄いニュースですね! ぜひ表参道店に誰でも使えるスタ
ジオを作ってください! アメーバスタジオも目の前ですしね!」

感想と提案とフックをひとつにしたつぶやきは、運良く孫さんのiPhoneに届き、
最後の一文だけは見事に消された状態でリプライが戻ってきました。

「了解。やりましょう!!」

この出来事は瞬く間にニュースになり、その日だけで私のtwitterのフォロワ
ーは200人近く増えました。それから、私はすぐに「Ustreamer養成講座」とい
う講座をはじめました。

デジタルハリウッドの渋谷校ではじめたこの講座は、その後、場所を変えなが
ら全国で開催しました。驚くことにその講座を中継していると見ている人の中
に「こっちで募集するからやりに来てください」と提案してくれる人が続出し
たのです。高松、名古屋、大阪、佐賀など各地で開催していくうちにたくさん
の出会いがありました。

講座がきっかけで「ビデオサロン」にUstreamer列伝という連載を持つことに
なったり、いろいろなことが起こりました。何が原因で何が結果か細かく検証
はいしていないのですが、確かなことがひとつだけあります。
< http://www.himanainu.jp/himag/?p=2823
>

自分が動くと回りも動き出す。

ということです。2010年はそのことを痛感した年でした。2011年はどんなテー
マで動こうか? いろいろ考えているところですが、考えすぎずに感じたこと
に体を反応させるようにしていきたいと思います。これを読んでいる皆さんと
も、どこかでまた何かを一緒にできる日を楽しみにしています!

【川井拓也 / Takuya Kawai】
< http://www.3331.jp/
>
mail:kawai@himanainu.jp twitter @himanainu_kawai
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