音喰らう脳髄[99]「Body And Song」と「Celebration」
── モモヨ ──

投稿:  著者:


先週の木曜日(12月9日)、渋谷シアター・コクーンでケラリーノ・サンドロヴィッチ(以下、ケラ君と記す)作・演出の芝居『黴菌』を見てきた。この日はマチネー興行しかなく、昼の2時から3時間半近い間、観劇にいそしんだわけだが、子育てに追われる私としては極めて贅沢な時間の使い方だったといえる。

まだ上演中の芝居なので、ネタばれになるようなことは書かない。ただ、劇を見ている際に、『チェーホフ』『楡家』『商業演劇』などという若干の言葉が頭に浮かんだ。

で、そのことを中心にケラ君に感想を書き送ろうと思っていたが、帰宅してつらつらとパンフレットを眺めているうちに気が変わった。そのあちこちに私が思い描いたイメージにダブる言葉がちりばめられていたし、なによりも彼はプロなのだ。素人の私が考えるようなことは既に考えつくしたうえでの作品なのだろう。そう思われたからだ。



結局、感想は書き送らずに、当日、ゲットした彼の音楽作品、ケラ&ザ・シンセサイザーズ名義で制作した新作『Body And Song』をひたすら家でおとなしく聴いてすごすことにした。

あくる金曜日の夜は、同じく渋谷のタワーレコードで開催されたトークイベントにゲスト参加。こちらは古くから付き合いがあるジュネのバンド、Auto-Modの新作『Celebration』のリリースを期してのもので、昔話などを若干披露してのお手伝い。Auto-Modラベルのホッピー(例の飲み物)など、新製品(?)の発表もあり、奇妙ながらもごく正常にイベントは終了した。

帰りにそのホッピーと新作をお土産にもらったので、以後は、この二つの作品を交互に聴きながら過ごしている。

私自身は夏場の数ヶ月間を脚を悪くして棒にふってしまったが、その間も頑張っている仲間達がいる。そんな当たり前のことがひどく心に響き、うれしくも感じられる年の瀬である。

来年はどんな年になることやら。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
< http://www.babylonic.com/
>