音喰らう脳髄[102]そんなに鈍くなってどうする?
── モモヨ ──

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エジプトのデモ、大相撲の八百長騒動、火山の噴火など、世の中、大変なことになっている。

考えてみれば、この一つだけとっても一昔前なら大騒動になっていたはずなのだが、繰り返される大災害のせいかどうか、私たちの思考構造も少しずつ、こうした大騒動に対して鈍感になっているような気がする。

少し前のオーストラリアの洪水も、十年前なら、もっと注目されたろうし、大騒ぎになっていたはずなのだが、インド洋の津波や中国内陸部の地震など、巨大災害の報道が続く中、天変地異に対する私たちの関心も減ってきている。そんな気もする。

一連の報道を見る限り、いろいろな騒動の中でも大相撲関連の問題にだけスポットライトが当たりがちだ。しかし、以前、普賢岳で火砕流や土石流が続き、被害が甚大になった折に現地で復興工事にたずさわった経験があるだけに、霧島の噴火は気になる。

近隣、宮崎県で発覚が相次いでいる鳥インフルエンザについても、私たちはもっと関心をもっていい。何も大声を上げるつもりはないものの、私はそんなことをポツリと感じたりしている。今すぐに対処しなければならない問題だから、だ。

相撲を卑下するつもりはない。しかし、地域経済、地域住民の生活そのものを直撃する事実が目の前にある場所が、国内にあるのであれば、そこにフォーカスを絞るべきだろう。

なのに、現実の報道は大相撲に偏りがちだ。あるいは、私たちの感性もまた、繰り返す天変地異・地球規模の変動に影響されてしまっているのかもしれない、などとつい妄想をたくましくしてしまう。

「そんなに鈍くなってどうする?」

心のすみで誰かがささやいているような気がする。

Momoyo The LIZARD 管原保雄
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