[3009] MacBook ProにSSD+HDDの最強環境を構築

投稿:  著者:  読了時間:26分(本文:約12,800文字)


《便利さにもたれかかって、人が思考を停止している》

■?×?×CrossOver Talk[17]
 MacBook PRO(Early 2008)に新しい息吹を
 ──MacBook ProにSSD+HDDの最強環境を構築
 杏珠

■ショート・ストーリーのKUNI[93]
 午後の茶碗蒸し
 ヤマシタクニコ

■デジクリトーク
 『呱呱』(ここ)
 フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ

■セミナー情報
 カンデジFuse 5th「Web Dynamite!!2011」



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■?×?×CrossOver Talk[17]
MacBook PRO(Early 2008)に新しい息吹を
──MacBook ProにSSD+HDDの最強環境を構築

杏珠
< http://bn.dgcr.com/archives/20110217140400.html >
───────────────────────────────────
デジクリ読者の皆さん、こんにちは。studio H.M代表のディレクター/デザイナーの杏珠(あんじゅ)です。皆様、いかがお過ごしですか?

今月のテーマは予告通り、MacBook Pro(Early 2008)でも新MacBook Airのフラッシュストレージの快適システムを構築するため、スーパードライブを取り外し、SSDとHDDの2つのストレージを組み込む改造のお話です。改造するにあたっての、SSDとHDDのデュアルストレージにすることのメリット、デメリットや、導入するにあたっての注意点などを書いてみます。

うわさでは、今度発表される新しいMacBook Proはスーパードライブの代わりにフラッシュメモリ搭載モデルになるということも言われています。もし、所有しているMacのパワーアップをする方法を探している方、もしくはMacを新規購入する際、SSDモデルにする選択肢も考えている方にとって参考となればうれしい限りです。

●SSDとは何か? そのメリット&デメリット

今回のテーマの主役となるSSDですが、私もいまいち理解していないところもあったので調べてみました。カンタンに言うとSSDは、HDDと同じようにデータの記録ができる記憶装置です。HDDと違うところは、HDDがディスクを使っている代わりにSSDはフラッシュメモリを使っているという点です。それを踏まえて、SSDのメリットとデメリットを比べてみましょう。

SSDのメリットとして、以下の3つがあげられます。

1)HDDより読み書きが速いので、システムやアプリケーションケーションの起動、データの保存や読み込みが速い。
2)HDDのようなモーター駆動の構造ではないため、機械的に電力を使わなくてもいいので、HDDより省電力で済む。
3)機械的に駆動する部品がないため衝撃にも強い。

SSDのデメリットは、HDDに比べて容量と価格を比較すると割高であることです。

上記のSSDのメリットを生かし、デメリットをうまく解消できないかと考えた結果が、起動が速いSSDと、SSDより安価で容量を多く使えるHDDを組み合わせるという方法でした。これなら、使用するアプリケーションや最低限必要なシステム書類をSSDで管理して、普段使わない過去に作成したデータや、素材集や写真、音楽データなどをHDDに置いておけば、体感速度アップ+大容量保存のいいとこ取りのシステムができあがります。

●SSD+HDDのデュアルストレージにするメリット&デメリット

実際に二つのストレージを搭載する方法は、もともとあったスーパードライブを取り外し、そのスペースにHDDを移動、空いたHDDのスペースにSSDを組み込むという改造になります。それを踏まえてのSSD+HDDのデュアルストレージにするメリット、デメリットを上げてみます。

メリット:
いままで起動システムとして構築していたHDDを、バックアップ用のディスクとしても使える。SSDにもOSを新たにインストールするので、SSDからでも、今まで使っていたHDDからでもどちらからでも起動することが可能になります。万が一、SSDに問題が出たとしても、HDD側でシステムを起動して作業することも可能です。

デメリット:
スーパードライブを外すことになるので、CDやDVDで供給されているアプリケーションをインストールするのときや、データをDVDなどの空きメディアに保存したいときに、外付けのスーパードライブが必要になってきます。

今回購入した、スーパードライブの場所にHDDを換装するキットには、内蔵のスーパードライブを外付けスーパードライブにするキットが同梱されていますので、外したスーパードライブは外付けとして使えます。これなら、必要なときに接続して使えば問題ありません。

そして、最近販売されているアプリケーションケーションは、ネット経由でダウンロードしてインストールする形式がほとんどなので、頻繁にスーパードライブを使うこともほとんどないと思います(Mac App Storeなど)。

●SSDの容量には注意が必要

メリット、デメリットをあげて検証し、SSD+HDDにするメリットの方が多いと説明してきましたが、最後に注意しておきたい問題があります。それが「SSDの容量」です。今回購入したSSDは、予算の関係上128GBにしました。予算の都合がつくのなら、256GBなど容量の多いクラスのものにするのをオススメします。なぜそんなことをいうのか? それは。SSDに必要なデータをピックアップしてみれば注意点が見えてきます。

・起動に必要なOSのデータ
・アプリケーション
・使用するフォント
・繰り返し使うDropboxなどの共有データ

事務所で使っているMacBook Pro(Early 2008)で、上記のデータをすべて合わせると約90GBを使用することになります。特に直下の作業中データは含まれていないので、もし容量が大きいものを扱っている場合、そのデータによってあまりにも空き容量が少ないとなると、システム的に不安定になることがあります。では、どうやって解決したらいいのでしょうか?

●エイリアスとシンボリックリンクの活用

SSD容量の不足対策として、作成したデータなどを保存するときに、保存先をSSDではなく、HDD内の該当するフォルダのエイリアスをつくってSSDにコピーしておきます。保存するときにそのエイリアスを指定すれば、SSDにデータが保存されずにHDDに保存ができるようになります。

ローカルPC内での保存はエイリアスで解決できるのですが、問題はDropBox上のデータです。DropBoxにて複数のMacとデータが同期している場合、HDD上に作ったエイリアスをDropBoxに置いても、エイリアス内のデータは、他のMacと同期はされません。しかし、エイリアスではなく「シンボリックリンク」としてフォルダを作成したものをDropBoxに置けば、フォルダ内のデータはすべて同期されます。

ただし、他の共有しているマシンによっては普段は同期したくないけど、いざというときに必要といったケースの場合もあると思います。その場合は、共有したくないMac上で、DropBoxの設定画面から共有したくないフォルダのチェックを外すことで、データの同期をしなくすることも可能です。シンボリックリンクを簡単に作成したいときには「SymbolicLinker」というフリーウエアのアプリケーションがありますので、そちらを使用してみてください。

SymbolicLinker
< http://seiryu.home.comcast.net/%7Eseiryu/symboliclinker.html >

いかがでしたか? 今回の改造によって、事務所のMacBook Pro(Early 2008)の通常の起動時間に90秒かかっていたのが30秒に、IllustratorCS5の起動時間は10秒程度になりました。データの保存時間も短縮されますし、実質の作業時間以外で時間短縮できるメリットは計り知れないものがあります。さらに、何かあったときに、どちらのドライブからでも起動できるリスクヘッジ対策にもなります。

ただし、このような改造はメーカーの保証外のことですし、お金のかかることなので、万人向けの方法ではありません。ですが、今回紹介したHDD+SSDの環境構築の改造だけでなく、新しくMacを購入するときに「外付けHDD+SSD」といった組み合わせでも、HDD+SSDのデュアルストレージの恩恵を十分受けることができると思います。今後のことを踏まえて、SSDを導入するメリットも考えてみてはいかがでしょうか。

ちなみに当ブログにて、写真を交えた必要な商品の購入先や購入方法、SSDの換装方法などを写真付きでレポートしていますので、興味のある方はアクセスしてみてください。

Design × Lifehack × CrossOver Lab
【Mac】MacBook Proにも闘魂注入を! 〜MacBook Pro(Early 2008)にSSD128GB+HDD500GBのデュアルストレージ計画
< http://happy-montblanc.com/blog/?p=1987 >
< http://happy-montblanc.com/blog/?p=2042 >
< http://happy-montblanc.com/blog/?p=2130 >

【あんじゅ】ask@happy-montblanc.com
東京都八王子市出身。デザイン事務所「studio H.M」代表。エディトリアルを中心にデザイン業を営んでます。
Design × Lifehack × CrossOver Lab:< http://happy-montblanc.com/blog/ >
studio H.M作品集:< http://happy-montblanc.com/portfolio/ >
Twitter:< http://twitter.com/powerangix >
Facebook:< http://www.facebook.com/powerangix >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ショート・ストーリーのKUNI[93]
午後の茶碗蒸し

ヤマシタクニコ
< http://bn.dgcr.com/archives/20110217140300.html >
───────────────────────────────────
最初は雪が降ってるのかと思ったけど、よく考えたら冬じゃなかった。ふと見上げた空に点々、ほんとに小さい点々に、それはみえた。仕事が休みで、ひさしぶりに映画館に行った帰りだった。平日の昼間に都心を歩く人はみんなせかせかと歩いていて上を見上げる人は少なかったけど、それでも素早く一部の人が気づいた。

「なんだ、あれは」
「鳥?」
「ちがう。もっと大きい」
「いつからあったっけ?」

目を細めて見ても小さすぎて判別できなかった。最初は。それがだんだん大きくなった。雪のかけらのようだったのが虫のようになり、鳥の影かと思うようになり、次第に、もっともっと大きくなった。つまり、高度を下げつつあった。

「あれ? あそこにあるのは...」
「コロッケだ」
「そうだ、コロッケだ!」
「空にコロッケが浮いてるんだ!」

その言葉にたくさんの人が初めて空を見た。コロッケだけじゃなかった。空に浮いているのは。みたらし団子もあったし、ハンバーガーもあった。桜餅やおにぎりもあった。それらが少しずつ高度を低くして、頭上に接近しつつあった。

「きゃー!」だれかが悲鳴を上げ、それは一瞬で拡散した。みんな悲鳴を上げ、走り出した。走り出しながらも、頭上の物体が気になるので、少し走っては立ち止まってみたりしていたが、そのうち、物体の動きが止まった。

ハンバーガーもみたらし団子も、コロッケも、いまははっきりと細部までみてとれる距離にまで下りてきていた。どれくらいか正確にはいえないが、5階建てのビルよりまだだいぶ余裕の上空。なのに細部がわかるということは、途方もなく大きいということだった。コロッケもおにぎりも。

それら巨大な物体がふわりふわりと浮いている。落下する危険性は低そうだとみて、地上の人々はいまは走るのをやめ、ぽかんと口を開け、ただ見ていた。あたしは携帯でジュンちゃんにかけた。すぐに眠そうな声が出た。

「あたし。ねえ、見た、空?」
「空がどうしたんだ? いま起きたばっかりでさ」
「たいへんよ。いろんなものが浮いてて。早く見て。いまから帰る」

あたしはそれだけ言ってぱちゃんと携帯を閉じた。そうこうしてる間にも空の物体は少しずつ増えていた。あたしの前を歩いているサラリーマン風の中年の男がつぶやいた。
「ざるそばか。おれの大好物だ」

その男の頭上には巨大なざるそばが浮かんでいた。男が歩くと、ざるそばもついていくようだった。
「あんたもかい」
別の男が声をかけた。作業服姿で古びた自転車を押していた。
「というと?」
「おれもさ、カレーパンがこの世でいちばん好きなんだ」

その男の頭上にはカレーパンがぷかりぷかりと浮いていた。あたしはどきりとした。
「いつか『この世で最後の日にもう一度食べたいものは何?』という質問されてさ、おれは即座にカレーパンと答えたもんだ」
サラリーマン風の男が言った。
「私も同じ質問をされた。そして、ざるそばと答えた!」

瞬間、あたりが静まったような気がした。そしてその後、ざわめきが秒速で広がっていった。叫び出す人がいた。しくしくと泣き出す人もいた。
「今日で世界は終わりなのか」
「まじかよ!」
「うそだ。信じない」

あたしはいつか読んだ小説を思い出した。なんていう小説だっただろう。そう、恐竜が出てきて、こわくて悲しくて...ああ、思い出せない。かなりの人が携帯でだれかと話していたり、ネットを見たりしていた。タブレット型の端末をバッグから出す人もいた。近くのビルや住宅からどんどん人が出てきた。空を見ようとして。

「やばい。おれの上に牛丼が浮かんでる。つゆだくで」
「やっぱり。おれの上はギョーザ定食だ」
「いよいよきたか」
「なんか興奮してきたよ」
「みんないっしょに終わりってわけだ」
「それ、いいかもな」
「いやー、すげー眺めだ」

あたしはなんだか急がないといけないような気がして、走りだした。走ってバスに乗ろうとした。だけど、バスは動いていなかった。地下鉄も。だれもが空の見えるところに出てきて、どこかを指さし、何か言ってた。最初は至る所で聞こえていたクラクションはやがて聞こえなくなり、地上は人間と、動かなくなった車であふれかえった。

それだけではない。どんどん増える物体で、いまや空もあふれかえっていた。カツ丼やチーズケーキ、卵焼きから鉄火巻き、八宝菜、うまい棒やチョコバナナやポンデリングがふわりふわりと上下移動をしながら浮遊している。そしてひとつひとつが重なったり隠れたり、また現れたり、その動きは優美ともいえるもので、見ていて飽きなかった。

ある男の頭上では奇妙な光景が繰り広げられていた。空に浮かぶ、ぷくぷくと変形を繰り返す物体。白くてまるい、おにぎりのようなかたちをしている、と思うとそれがずぶずぶと崩れてがんもどきになる、と思ったのはわずか数秒でまたぐにゃぐにゃとかたちが変わっていつのまにか焼き鳥になっている。「この世で最後に食べたいもの」も決めかねている優柔不断な男なのか。

別のところでは小さな子供が空の上の巨大なアイスクリームを取ってくれとせがみ、母親を困らせていた。あたしはふと、自分の頭上には何が浮かんでいるんだろうと思った。あたしの好物ってなんだっただろう?あたしは、自分が特に何も思いつかないことに驚いた。おそるおそる上空を見ると、いまはぎっしりと食べ物におおわれた空が、あたしの上だけぽっかりとあいて青空がのぞいていた。そして、あたしが歩くと、その青空もついてきた。だれかがまた素早くそのことに気づいた。

「おい、あの女を見ろよ」
「あいつの上空だけ何もない!」
「本当だ」
「何なんだ、あいつは」
「あれが張本人?!」
「何の?」
「何でもいいさ!」
「つかまえろ!」

一人が走り出し、仲間がそれを追い、何もわからないまま周りの人が走り出し、あっというまにそれは集団になった。あたしは全力で走り、人と人の間をすり抜け、路地に入り、店の裏口にまわり、走って走って、死にそうになるくらい走った。

そしてまた、走った。走っても走っても、後ろから人々はついてきた。もう歩けない。パンストは破け、はだしの足先からは、どこで何を踏んだか血が流れていたけど、いつ靴を脱ぎ捨てたかさえ覚えていなかった。

腕もどこかにぶつけたみたいでずきずきと痛んだし、胸はいまにもバクハツしそうに激しく鼓動を打っていた。苦しい。呼吸ができない。もうだめ。あたしはみんなにつかまってしまう。ぜいぜいと息を吐きながら観念してふと目を上げると、茶碗蒸しが見えた。それは無数の浮遊する食べ物の中でなぜか、縁取りでもされてるみたいによく目立った。見覚えのあるかきつばた模様の器の茶碗蒸し。あたしの家の食器棚の上の段の奥のほうに入れてある器。それがゆらゆらとこっちに近づいてくる。その茶碗蒸しの下に、あたしはジュンちゃんのなつかしい顔を見た。

「遅いから迎えにきたんだ」
あたしは泣き出した。疲れがいっぺんに出て、顔をぐしゃぐしゃにして、わあわあと声をあげて泣いた。
「その茶碗蒸し...」

「うん。ずっと前に君がつくってくれた。とてもおいしかったからもう一回作ってほしかったんだけど、君はいつも忙しそうで言い出せなかった。茶碗蒸しは手間がかかるのよ、って君はいつも言ってただろ」
「あれは失敗したのよ。レシピの通りにしたつもりが、つもりが、うまく、いかなくて」
「そんなことない。とてもおいしかった。ほんとうにおいしかったんだ」

ジュンちゃんがあたしを抱き寄せると、背の低いあたしはすっぽりとジュンちゃんに包みこまれ、あたしの上空の青空は自然と閉じられた。それを見て、あたしを追いかけてきた人々は拍子抜けの体で立ちつくしていた。


「おい、これはいけない」
「血圧がどんどん下がっています!」
気がつくとあたしはベッドに横たわっていて、まわりで何人もの人があわただしく動いていた。身動きもできない。あたしはどうしたんだろう? こんなにたくさんの管がついて、機械につながれて。ああそうだ。今日は仕事が休みでひさしぶりに映画に行って。その帰りに、交差点で立っていたら急に車が突っ込んできて、あたしは一瞬で何メートルもはねとばされて...それから、どうなったんだろう? あたしは死ぬのだろうか? ジュンちゃんはどこにいるんだろう? ジュンちゃん。あたしの大好きなジュンちゃん。ジュンちゃんに、もう一回茶碗蒸し、作ってあげたかったなあ。

【ヤマシタクニコ】koo@midtan.net
< http://midtan.net/ >
< http://yamashitakuniko.posterous.com/ >

書いている途中で星新一の「午後の恐竜」を思い出した。無意識のうちに影響されていたのかなと思い、それ以後はあえて意識して書くようにした。といっても、まさか張り合うとかいうつもりじゃなくて。「午後の恐竜」は星新一の最高傑作だと思っている。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■デジクリトーク
『呱呱』(ここ)

フジワラヨウコウ/森山由海/藤原ヨウコウ
< http://bn.dgcr.com/archives/20110217140200.html >
───────────────────────────────────
柴田記:
数日前に、藤原ヨウコウさん(リアルにおつきあいしていた頃はこの名前だった)から印刷物が届いた。A1判に印刷された絵画である。刷り色は一見墨と銀のようだが、目を寄せ見方を変えると、ただならぬ高度な印刷が施されていることが分かる。絵柄は......よくわからない。仕事場の机の前にしばらく貼って時々見上げていたが、正直言って心癒されるものではない。むしろ異世界に誘われそうな怪しげな雰囲気だ。まさしく藤原ヨウコウの世界。......だから、いまは背面の壁に移動させている。

柴田:何ですか、このビジュアルは。
藤原:どのように見えてもイイのですよ。むしろどのように見えるかを鑑賞者に完全に委託したと言ってもイイです。そういう意味ではものすごい無責任な作品(笑)。光の当たり具合、見る時の時間帯に寄っても見え方が変わります。要は、物理的手段でしか表現できないモノを複製できる印刷を再評価しようという、試みのひとつでもあります。
柴田:これを見た妻は、よくわからないけど気持ちがいいものではない、と言っています。
藤原:この辺意見は真っ二つですね。まぁ、ボクの作品ですから仕方がないかも(大笑い)
柴田:いくら念をこらして見ていても、いったい何が描かれているのかわかりません。さいきん悪夢をよく見るのですが、このせいでしょうか。
藤原:あ、それ正解ですね(笑)

こんなわけのわかないやりとりをしたが、この印刷物はいったいなんなのか。藤原さんのサイト「夢幻空想綺界画帖異録」に、この作品の印刷プロジェクトが紹介されている。その一部を掲載する。───続きはWEBで、なんちて。

----------------------------------------------------------------------

今回我々は『21世紀に向けた印刷出版文化の再評価と、未来への展開』を主旨としてこの作品を制作した。特にアート印刷工芸社さんは全社一丸となってボクのデータを「印刷じゃないと真価が発揮できないモノ」として試行錯誤を頂いた。

最終的にはこのような形になったのだが、アート印刷工芸社さんはこの最終型に至るまでに途方もない努力を惜しまずに尽力して下さった。ボクが見た限りでは5〜7種類ぐらいの印刷をして下さったのだが、ボクが見ていないモノも多数存在する。

このプロジェクトは従来の印刷とは全く異なるアプローチで行われている。従来の印刷は「再現性と、限られた時間内に納入する」というのが現状である。何度もブログで言及しているがこれは大量生産大量消費という「経済効果」をベースに生まれた工業手法である。だが、印刷物には印刷物にしかない魅力もある。決してモニターで見るモノが全てではないのだ。

これまたこのブログで何度も言及しているように、印刷というのは極めて繊細であり、印刷でないとできない表現というのが実在する。江戸期の浮世絵版画がその最たるモノであろう。浮世絵版画の世界では「右から左に」と言うコトは基本的にあり得ない。必ず、彫師、摺師の解釈が介入するのである。イイ例が北斎の浮世絵版画であろう。

北斎の肉筆画をご覧になったことがある人なら分かると思うのだが、北斎の肉筆画は独特のけばけばしさと下品さ・粗野さがある。が、彫師・摺師が介入することによって、あの洗練された美しい線が生まれるのだ。なぜこうしたことが許されたのか? 答えは簡単である。北斎の版下絵に対する深い理解とよりよいアガリを彼らが考えるからであり、それを北斎が認めていたという事実である。言い方を変えれば浮世絵版画は文字通りのチーム作業で、互いのコミュニケーションを通じてより優れた印刷物を生み出そうとした土壌が、浮世絵版画という世界に類を見ない印刷物を日本から生み出した。

DTPが普及してから印刷現場におけるこのような考え方は急速に消え去っていった。その結果、生み出されるのは巨大な輪転式プリンターによるプリントアウトに過ぎない、と極言してもイイ。人が介在せずにオペレーションによってデータを右から左に流すのだからこうした事態が起こるのは当然の結果と言ってもよかろう。

だが、その結果我々は多くの犠牲を払ってしまったことをここに宣言する。

印刷のメイン・ストリームは無製版オンデマンドプリントへと移行するだろう。が、このロード・マップが示すのは最終的な「印刷物の死滅」である。実際、ほとんど虫の息になっているのだ。ほんの20数年前までごく普通に行われていた高度な製版技術も、刷版も人が介入することによって初めて成立していたのだ。逆の言い方をすれば「便利さにもたれかかって、人が思考を停止している」のが現状である。「そんなことはない」と現在現場にいる人は不快の念を示すだろうが、アナログ製版時代の職人技はデジタルではそうそう再現できない。当時の現場を見ていない連中に文句を言われる筋合いはない。あの時、確かに人が人としてモノと正面から対峙していたのだ。

だからと言って悲観することはない。まだまだ印刷には出来ることが沢山ある。
学び、考え、実践せよ。

続きはWEBで! ホントに
< http://blog.livedoor.jp/yowkow_yoshimi/archives/51728926.html >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■セミナー情報
カンデジFuse 5th「Web Dynamite!!2011」
< http://kandigi.net/event/187 >
< http://bn.dgcr.com/archives/20110217140100.html >
───────────────────────────────────
西暦20XX年、リーマンショックにより世界は不況の闇に包また。個人消費は枯れ、広告予算は裂け、あらゆる業態は倒産の絶滅の危機に見まわれた。だが、WEBクリエイターは死に絶えてはいなかった。どうなるWEB業界?! インターネット新世紀の最先端を駆け抜けるプロフェッショナルから読み解く5時間です。(主催者情報)

日時:2月26日(土)15:10〜19:30(終了後懇親会)
会場:大阪産業創造館 4Fイベントホール(大阪市中央区本町1-4-5)
定員:300名
参加費:4,000円(懇親会別途)

プログラム:
0.iPad芸人アキラボーイ

1.「基調講演 90分+質疑応答10分」
柳澤大輔(面白法人カヤック)

2.まにまにカレッジ出張セミナー「勉強会・コミュニティでスキルアップ」
秋葉秀樹(合同会社かぷっと、CSS Nite in OSAKA実行委員会)

3.「関西ネットショップ大学 ECトークセッション」
住太陽(SEO)、伊藤富雄

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■編集後記(2/17)

・門田隆将のノンフィクション「この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の軌跡」を読む(集英社、2010)。わたしが今までまったく知らなかった歴史がここにある。台湾本島から180キロも離れ、大陸からはわずか2キロにある金門島。60年前、国民党の蒋介石と共産党の毛沢東の「国共内戦」はこの島で決着がついた。敗走を重ねた国府軍の奇跡的な大勝利であった。以来、台湾は独立を保ち、金門島は現在も台湾領である。国府軍の絶対絶命の危機を救ったのは、軍事顧問として様々な作戦を提案し実行させた、元日本陸軍北支那方面軍司令官・根本博中将であった。日本敗戦に際し、内蒙古にいた4万人の在留邦人と、根本の率いる35万人の北支那方面軍を内地に送還してくれたのは蒋介石である(知らなかった...)。その恩義にひたすら報いるため、小さな漁船で台湾に密航した根本は、蒋介石から正式に協力要請を受けて参戦した。このことは台湾の正史にはない。複雑な政治事情と長い年月の経過で、根本の存在は完璧に消去されている。日本人でも知る人は殆どいない。筆者による根本の実際の行動を知る人や根本ゆかりの人物を探し出す作業は難航を極めた。よくぞここまで史実を発掘してくれたものだと感激する。公式な記録にない日本人の物語。2009年10月25日、筆者はある式典に参加した。そのときの感動的な出来事がエピローグにある。馬総統はさすがだ。翻って日本の首相のリーダーとしての資質のなさに絶望的な気持ちになる。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4087805417/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー24件)

・そういやスーパードライブを使うことってほとんどない。音楽CDを買っていないし、買うとしても一曲だけiTunesでという形だったりするのでドライブは使わない。あっ、「Nike+ Basic Run [SPEED]」は気になってる。仕事BGMにもなるし、ナビゲーション入りのは、声がかっこいい〜。攻殻機動隊、草薙素子役の田中敦子さんなのだそうだ。話は戻るが、仕事のデータもDVD受け渡しというのは、ここ数年ないし(ダウンロードで事足りる)。あー、ページもののDTPデータの場合、焼くことはあるな。外付けDVDドライブ(殻つきDVD-RAMも焼ける。あっ、こっちも「殻」がついた)やブルーレイドライブがあるから、接続めんどくさいけどやれないことはない。と思ったら、スーパードライブを外付けにするキットがちゃんとついているのね。またまた物欲が......。そういえば、MacBook Pro用の2.5インチのハードディスク500GBを5,000円足らずで買って、換装するためのトルクねじドライバーセットが約3,000円で(1本だけ買おうと思ったら、近くのショップには単品が売ってなかったので、今後もあるかもとプラス・マイナスドライバーなどと付け替えられるセットを買った)、換装用ケースもUSBから電源供給できるUSB3.0対応のは3,000円ぐらいして、HDDって安くなったよなぁと思った覚えが。/ヤマシタさんの頭の中を、ドライバーでぱかっと開けてみてみたい。きっとトルクねじだ。スイッチはどこにあるんだろう。(hammer.mule)
< http://nike.jp/nikebiz/news/other_110209.html >  リリース
< http://itunes.apple.com/jp/album/nike-basic-run-speed/id416058249 >
Nike+ Basic Run [SPEED]
< http://itunes.apple.com/jp/app/nike-gps/id387771637 >
素子を聞くにはアプリがいるみたいなレビューあり。Nike+ GPS
< http://itunes.apple.com/jp/album/nike-basic-run-lsd/id218267292 >
Nike+ Basic Run [LSD] 持久力つけるならこっちみたい。
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B002OOZZ8M/dgcrcom-22/ >
モノは違うけど、こんな感じのセット
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B004CQ3MEO/dgcrcom-22/ >
HDDケースはこれにした