[3016] サーキットベンディング★ノイズリバイバル

投稿:  著者:  読了時間:15分(本文:約7,400文字)


《任天堂さすがだ》

■境界線の歩き方[02]
 サーキットベンディング★ノイズリバイバル
 出渕亮一朗

■クリエイター手抜きプロジェクト[270]Adobe Premiere CS5編
 使用されている画像などの項目のレポートを出力する(2)
 古籏一浩

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■境界線の歩き方[02]
サーキットベンディング★ノイズリバイバル

出渕亮一朗
< http://bn.dgcr.com/archives/20110228140200.html >
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前回は女の子の遊びのお話だったので、今回は男の子の遊びについて話そうと思う。


2008年5月、八王子にある、ある大学構内で行われた、Make:Tokyo Meeting 03を見にいった。自作電子工作なんかの関連の雑誌、「Make:」を出版するO'Reily(オライリー)Media社主催のイベントである。

体育館や教室には、工学系大学生が中心と見られる出展者達による、技術系、アート系、オタク系の作品や展示物が所狭しと並んでいた。

そんな中で、ある教室ではパフォーマンスやイベントを中心にやっていたのだが、入ってみると、数人の若者が俯き加減で、机の上に広げた何やらぐちゃぐちゃした電子回路をいじくって、ピーガガガみたいなノイズを出していた。あーなんか懐かしい音だな〜と私は思ったのだが(理由は後述)。

そう、The Breadboard Bandというグループのパフォーマンスだったのだ。彼らはブレッドボードにより組みたてた電子回路を直接いじくることにより、インタラクティブにノイズを発生させて「演奏」していたのである。ブレッドボードとは、電子回路の試作をするための簡単に電子パーツを取り付け取り外しできる部品のことだ。

たぶん、彼らはサーキットベンディングにも影響されているのではないか?とわたしは感じた。


サーキットベンディング(circuit bending)とは、既成の電子楽器やコンピューター、あるいは、電子オモチャを改造したり適当にいじくったりして、新たなサウンドやビジュアルを作ろうとする試みのことである。

電気/電子工学の知識があって改造するのではなく、なんかわからないけど適当に電子回路をいじって、面白くなるのを見つけるというニュアンスがある。circuit(回路)をbend(ねじ曲げる)するのである。どんなものかは、最後に紹介するYouTubeムービーで感じてほしい。


サーキットベンディングとはちょっと違うけど、ノイズに関するアートで最近面白いと思ったものに、2009年文化庁メディア芸術祭受賞作品でもある、和田永氏のBraun Tube Jazz Bandがある。

この作品は、記録された音楽信号をブラウン管に表示し、それを撮影することによって、また音に戻すことができるという発見から発想されたという。音の信号を表示した複数のブラウン管を、パフォーマーが直接触れることにより映像をサウンドに戻している。歪んだノイズが非常に高揚感のあるサウンドを作りだしている。


文化庁メディア芸術祭といえば、私的には昨年度の最高に面白いと思ったアートは、USAのパフォーマンスグループ、ArcAttackによるものである。→後付けのYouTube映像参考:彼らが説明する英語をなんとか聞き取ったところ、このような仕組みによるものであるらしい。

テスラコイルという高周波・高電圧発生器により稲妻を発生させる(テスラコイルは先に紹介したMake:イベントでも展示実演されていた)。この時にジーというノイズが出るのだが、これをMIDIギターによってコイルの電圧を制御し、その変化する音で音階を作って音楽を演奏しているのだ。

コイルからの稲妻は、安室奈美恵のPVに出てくるような防御服を着たギタリストやパフォーマーに直接落ちていて、視覚効果もすごい。


初めにノイズの音が懐かしいという話をしたのだが、理由を述べよう。実は私も1980年代の初めから10年ぐらい、自作電子楽器等によるノイズサウンドを研究していたのである。

ちょっと今は聞くのが辛くなっているが、当時なぜああいった音を作ることにのめりこんでいたのか、今から理由を考えてみるとこんな感じだ。

ロックやパンクミュージックを聞く時の、高揚感やトランス感を生み出すのはどんなリズムや音なのか? を究極に突き詰めるとどんなものになるのだろうか。ちょうど、醍醐という伝説の食べ物は、牛乳の旨味を究極に突き詰めたものであるように。

その試みははたして成功していたのかどうか、ちょっと気になる方は紹介するムービーをご覧ください。

ちなみにCATDOGを検索すると、USAで1990年代に始まったらしい、CatDogという体の両端が猫と犬の頭という、変てこなアニメキャラクターが出てきてしまうのだが、私はずっとその以前から使っていました。

このライブで使っているのは、Red Noise Synthesizer(RNS)という自作シンセサイザーだ。原理はFMシンセサイザーなのであるが、たくさんの発信器ユニットを直接ジャンパージャックパッチングで自由につないで、周波数変調サウンドを生み出している。


最後に、今またサーキットベンディングや自作電子工作が盛り上がっているのは素晴らしいことなのだけど、少しアドバイスさせてください。

ひとつめは、サーキットベンディングのサイトやムービーに注意書きがあるように、電子機器をいじくるのは大変危険な行為であるということだ。AC機器は決していじらないようにと彼らは言っているが、電池で動作する機器の改造も実は危険である。電池のプラスマイナスを回路的にでもショートさせると熱を持ち、下手をすると電池が破裂することもあるからだ。

もうひとつは、最近はブレッドボードを使ったアート作品もよく見かけるのだが、ブレッドボードはあくまでも試作実験用のものであるので、完成作品はちゃんと基板に部品を半田付けして制作して欲しいと思う。作品を振り回しても、ちょっと落としたくらいでも壊れない強度と安全性が欲しいからである。

参考:
MAKE: Japan
< http://jp.makezine.com/blog/ >

The Breadboard Band
< http://www.breadboardband.org/ >

What is Circuit Bending?
< >

Braun Tube Jazz Band
< http://plaza.bunka.go.jp/festival/2009/art/001204/ >

ArcAttack's Lightning Proof MIDI Guitar
< >

CATDOG / MISSION Live at Channel 100 TV
< >

【出渕亮一朗】ryoichiro.debuchi(a)gmail.com
コンピューターグラフィックス、インタラクティブアート分野のアーティスト
グラフィックス分野のプログラマー
< http://www.debuchi.com >

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■クリエイター手抜きプロジェクト[270]Adobe Premiere CS5編
使用されている画像などの項目のレポートを出力する(2)

古籏一浩
< http://bn.dgcr.com/archives/20110228140100.html >
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今回もAdobe Premiere CS5でレポートを出力するネタです。前回のスクリプトでは、ビン(フォルダ)内にある項目が出力できませんした。Premiereは無理に参照しようとすると、すぐにエラーで停止してしまうような感じなので、対象となる項目がフッテージ(素材)かフォルダかを調べてから実行しなければいけません。

ここらへんはAdobe AfterEffectsと似ています。プロパティ名も、似ているので推測しつつ作ってみました。

以下のスクリプトを実行すると全てのフッテージ、ビンのパスをテキストファイルとして出力します。


// プロジェクト内の項目情報を出力する(再帰)
(function(){
var savefile = File.saveDialog("保存するレポートファイル名を入れて下さい!");
if (!savefile) return;
if (!savefile.open("w")){
alert("レポートファイルを保存できません");
return;
}
savefile.writeln(app.project.name); // プロジェクト名
savefile.writeln(app.project.path); // プロジェクトが保存されているパス
var itemList = app.project.rootItem.children;
getName(itemList);
// getName
function getName(root){
for(var i=0; i<root.numItems; i++){
savefile.writeln(root[i].treePath);
if(root[i].type == 2){ // ビン(フォルダ)の場合に再帰
getName(root[i].children);
}
}
}
})();


より見やすくインデントを付けて出力したい場合には、以下のスクリプトを使ってください。


// プロジェクト内の項目情報を出力する(再帰)
(function(){
var savefile = File.saveDialog("保存するレポートファイル名を入れて下さい!");
if (!savefile) return;
if (!savefile.open("w")){
alert("レポートファイルを保存できません");
return;
}
savefile.writeln(app.project.name); // プロジェクト名
savefile.writeln(app.project.path); // プロジェクトが保存されているパス
var itemList = app.project.rootItem.children;
var nest = -1;
getName(itemList);
// getName
function getName(root){
nest++;
for(var j=0,indent = ""; j<nest; j++){ indent = indent + " "; }
for(var i=0; i<root.numItems; i++){
savefile.writeln(indent+root[i].name);
if(root[i].type == 2){ // ビン(フォルダ)の場合に再帰
getName(root[i].children);
}
}
}
})();


Premere CS5でスクリプトを作る人がいるかどうか謎ですが、参考情報としては以下のようになっています。

・プレミアのスタックの深さは227〜272あたりまで(状況により変化)
・シーケンスや映像などの素材(フッテージ)のタイプ番号は1
・ビン(フォルダ)のtype番号は2
・プロジェクトルートのtype番号は3


【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
< http://www.openspc2.org/ >

プレミアのJavaScriptはリファレンスが全くないので大変。でも、公開されているドキュメントがしっかり間違っているというパターンにも遭遇したので、最後は自分でテストするしかないのでしょう。

先週吉井さんが紹介していたiPad用のペンを購入してみました。
・Touch Pen
< http://www.princeton.co.jp/product/digitalaudio/piptp2.html >

アプリケーションはHTML5+Canvasで自作したもの程度でも、すんなりペンに追従してきます。高速化/最適化すれば、もっと速くできるとは思うけど実用上十分。というか絵の勉強用にしか使わないけど。下絵トレースするようにすれば、学習効果出るかも......。


・Retro Driver【9話まで書いた】
< http://www.openspc2.org/reibun/comipo/RetroDriver/ >

・HTML5+JavaScriptアイデア&実践サンプル【発売中】
< http://www.amazon.co.jp/dp/4048704486 >

・JavaScriptコーディング ベストプラクティス【発売中】
< http://www.amazon.co.jp/dp/4844361791 >

・Google API Expertが解説するHTML5ガイドブック
< http://www.amazon.co.jp/dp/4844329278 >

・ハイビジョン映像素材集
< http://www.openspc2.org/HDTV/ >

・Adobe Illustrator CS3 + JavaScript 自動化サンプル集 発売中
< http://www.openspc2.org/book/PDF/Adobe_Illustrator_CS3_JavaScript_Book/ >

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■編集後記(2/28)

・10年超使って来た炊飯器がおかしくなった。炊いている途中で保存のマークが点灯して、リセットもできない。昨年のいつごろだったか、同じ症状が起きたので、プラグを抜き差しするという乱暴なリセットでやりすごした。すぐに価格.comで炊飯器を調べた。だが、その後は何も起きずに、今回も翌日から正常に戻った。妻は電気製品が使えるうちは"かわいそうだから"新しいのを買わない主義だ。わたしはまた価格.comで炊飯器を調べて、候補をリストアップした。絶対に新しい炊飯器の方がご飯がおいしいはずだ。ああ早く最新型を買いたい。ところで巷で話題のGOPANだが、炊飯器+ホームベーカリーだと思い込んでいた。サイトのQ&Aを見て、あっさり否定されてしまったが、米からパンをつくるアイデアと技術開発はなかなか意義深いと感心した。売れ過ぎて生産が追いつかないという報道もあるが、不具合のレポートも多数ある。それにしても、実勢価格8万円近くとはずいぶんお高い。本仕込食パンがセールで6枚切り1袋109円〜129円である。130円としても8万円あれば615袋買える。ふたりで1袋3日保つから、1845日分か。5年分のパン代をいま投じる勇気はない。試しに妻に問うと、ホームベーカリーなんて面倒なことは絶対イヤとあっさり却下。まあ、わたしもそうだが。でも、餅つき機欲しいな。(柴田)
< http://jp.sanyo.com/gopan/index.html > SANYO GOPAN

・ニンテンドー3DS。夜中に並ぼうかと言っていた家人。ダメもとで近くのバラエティショップに開店に合わせて出かけたら、あっさり買えてしまった。任天堂さすがだ。3DS発売日に子供向けのソフトがあったかどうかは知らないが、一貫して子供向けをうたっているわけで、子供や親が買えないようでは悲しい。発売日を首を長くして待ち、お年玉を握りしめて当日開店とともに買おうとして売り切れではやるせない。親が子供と約束して、手に入らなかったら面目丸つぶれ、かもしれない(最初から約束しないかな)。で、その3DS。遊びたいが仕事があって無理なため、ちらっと見せてもらったところでは、正面からだと3Dになっていて(うぉー、裸眼で本当に3Dに見える)、斜めからだと3D眼鏡をつけていない時のようなブレた画像になる。個人用携帯ゲーム機ならではの3D。内蔵ゲームだけでも遊べて、自分の顔や友人の顔を撮影してそれを撃ち落とすもの、付属のARカードを使ってのARゲームなど。ARゲームで可能性が広がるよね。ポケモンカードとか。すれ違い通信でいろいろあるそうで(中途半端なネタふりですみません......ほんと触っていないのであります)、東京マラソンで、沿道の観客とハイタッチをし、そのカウントをした方のニュースを見て、これからはマラソンランナーが3DSを携帯して走り、沿道の人たちとのすれ違い通信をするというのもアリだなぁと。そもそも走るようなスピードでも通信できるんだろうか。うーん、観光名所でのスタンプ代わりにコレクションできるとかってのは既にありそうだな。(hammer.mule)