武&山根の展覧会レビュー 文化は遺伝子に刻まれているのか? ──【暁斎・暁翠の描く能・狂言の世界─幽玄と笑い─】展を観て/武 盾一郎&山根康弘

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山:こんばんはー!

武:おはこんばんちは! んちゃ!

山:ほう、、しょっぱなからなかなかつまらないじゃないですか。

武:中学1年の時に好きだった女子がアラレちゃんに似てたもんでね。

山:関係ないやないか。


武:あの頃の気持ち、あの身悶えする甘酸っぱい感傷を、いつでも胸に呼び醒ませるようにキープしてるのさ。これも訓練なのだな。

山:ああ。ないものねだりっちゅうことか。

武:そうだなw まあセンチメンタルな。けど思い出して自分で自分に憑依できるよ。

山:してどうすんねん。

武:制作するんですよ。


山:ほー。まあそんなことはどうでもええねんけど。

武:どうでもいいって! そうそう、昨日は呑んだなあ! 西川口!

山:呑みましたねー! ってそんなに呑んだんかな。記憶がないので。

武:帰路をまるで覚えてない。起きたら家だった。びっくらしたわ。ポテチとワンカップがあるw そしてツイートもしてる。もう自分が怖いわ。

山:僕もどうやら帰りにコンビニで酒を買ったらしいけど、手は付けてなかったぞ。


武:俺、呑みかけ。今呑んでる。

山:二軒目の立ち飲み屋の途中までは覚えてるねんけど。

武:俺もw 1軒目の24時間居酒屋で焼酎ボトル空けてるもんなw

山:なんか悪さしてへんかったかな。

武:俺もすんげえ不安。西川口の街の雰囲気がまた男の血をかき立てるからな。



●西川口駅から歩いて行く河鍋暁斎記念美術館


山:さて、本題です。本日は初めての場所ですね。前から気にはなっていたが行ってなかった、河鍋暁斎記念美術館です!

「暁斎・暁翠の描く能・狂言の世界─幽玄と笑い─」展
< http://www.ac.auone-net.jp/%7Eganka/top_page.htm >

河鍋暁斎(かわなべきょうさい、1831年5月18日〈天保2年4月7日〉─1889年〈明治22年〉4月26日)は幕末から明治にかけて活躍した絵師である。歌川国芳に入門後、狩野派に再入門、その後独立。酒乱だったり政治批判で捕まったりしてます。えーと、なんでしょう、全く困った人ですねー。


武:いやあ、結論から申しますと良かったなー。絵っていいなあ。幕末〜明治という時代もいいよなあ。江戸時代ってフィクションとして認識してるんよね、俺。で、明治から「日本が始まる」というか。そういう江戸と明治の断絶が史観としてあるんですよ。


山:フィクションなんか。

武:江戸時代より遡るとメルヘンになっちゃうのよ。だけど河鍋暁斎のように江戸から明治にかけて仕事してた人も当然いるわけで。

山:そりゃそうやなw 僕の好きな月岡芳年とほぼ同世代ですね。

武:けっこう、意識してたりしそうだよね。

山:二人とも国芳門下生か。

武:そうそう。すんげえライバルだったんじゃないかな?

山:どうなんやろね。意識はしてそうやな。


武:暁翠は暁斎の娘。館長さんの祖母にあたる人なんですよね。やべえ! 暁翠って女子美だ!

山:何がやばいのか解らんが。。。タイトルにもある通り、この方の絵も展示されてました。

武:浮世絵って江戸時代のメルヘンチックな世界なのに、館長の祖母というリアリティに最初ちょっとビックリしました。暁翠は浮世絵師かというとちょっと微妙ですが。


山:言うても100年ちょっと前の話やからね。それほど昔でもないやんか。江戸時代。

武:そうなんだけど、とても遠く感じるよね。

山:まあ実際には知らんしな。

武:俺の遺伝子にこういう江戸は刻まれてるだろうか?


山:あ、なんかすごくいいレビュー見つけた。
< http://wedge.ismedia.jp/articles/-/310 >
  もうこれでええかw お疲れさまでした!


武:おい! 一応それっぽいこと俺たちも言っとこうよ。

山:赤瀬川原平が書いてるんやし、もうええやんw

武:赤瀬川原平なのか!

山:そうみたい。

武:赤瀬川原平でいいわw エスタブリッシュメントなレビューはこちらを参照して下さい。


●まるで知らない能狂言


山:で、今回の展示は能・狂言画を集めた展示でした。

武:そうですね。解説文があるのですが、それをじっくりこらえて読みますると能と狂言がほんのり分かってきて、そうなると俄然面白くなるんですよ。展示の流れはこれ。

江戸時代に能が武家の式楽(公儀の儀式に用いる音楽や舞踏)となって以後、能の正式な曲組は、「五番立」となりました。能の曲目は、初番目物(脇能)・二番目物(修羅物)・三番目物(鬘物)・四番目物(雑物)・五番目物(切物)という五つの曲籍に区別されており、一度の公演では、まず「翁」(式三番)という儀式的な曲を上演し、その後は、五つの曲籍から一番ずつ選曲していって五曲上演しました。狂言は、初番目以後、能と能の間に配置して、四番上演されたのです。

式三番(「翁」)→初番目物(脇能)→狂言(脇狂言)→二番目物(修羅物)→狂言→三番目物(鬘物)→狂言→四番目物(雑物)→狂言→五番目物(切能)

今回の展覧会では、皆様にも「五番立」の曲組で能狂言の作品を楽しんでいただきたく、曲順に並べた能画の間に狂言画を挟むように展示しました。往古の舞台と同じく、緊張感漂う幽玄な能画の合間に可笑しみや笑いのあふれる狂言画でひと息入れながらお楽しみ下さい。
< http://www.ac.auone-net.jp/%7Eganka/tenji_genzai.htm >


山:確かに絵だけ観てても、ほんとにうまいし見とれるんですが、能狂言がわかるとさらにおもしろいんやろね。

武:そうだろうなあ。10年前に観たらここまで面白いとは思わなかっただろうなあ。こういうのが好きな今の自分にビックリしたなあ。


山:僕は能狂言はほとんど知らないけど、暁斎の絵はそもそも好きやったんで、やっぱりええなあ、という感じでした。

武:筆づかいがね、いいんだよなあ、ホント。娘さんの暁翠も丁寧で上手な絵なんだけど、やっぱり違うんだよ。躍動感っての? あんな風に描けたら楽しいだろうなあ。


山:実際に描くスピードもかなり早かったみたいやね。

武:酔っぱらって描いてるのもありましたが、それもいいんだよね。リズム感かなあ。日本画系ってさ「絵が止まっちゃってる感」ってあるじゃないですか。それがないんだよね暁斎。


山:暁斎が浮世絵を取り入れたりしてるからなんかな。

武:それはあるよね。映像的なんだろうね、浮世絵って。

山:劇画と言うかね。


●なぜ好きになる?


武:そうね。こういうの好きになるとは思わなかった。歳なのか、それとも遺伝子なのか。浮世絵って「日本なのに知らないもの」としての興味はあったけど、絵そのものが好みだったか? というとそういう自覚はなかったんですよ。けど「実は好きだった」のだろうか?とか、いろいろ考えてしまった。

山:何を一人でぶつぶつ言ってんねんw


武:誰か説明してくれ! この感覚を! もどかしい! うーんと、浮世絵のメタファーは好きだったけど、絵面が本当に好きだったかと言うと、そうでもなかった。20代。そういう自己認識だった。けど、今は好きなんですよ! これはそもそも好きだったことを発見したのか? 好みが変わってこういうのが好きになったのか? 歳のせいで保守化したせいなのか?遺伝子がそうさせるのか? そもそも保守化ってなんだ? とか、いろいろ考えてしまうのです。


山:暁斎美術館には浮世絵は展示されてなかったけどな。

武:ああそうか。あれは何画になるんだ? ざっくりと日本画か? 幕末明治画か?

山:日本画になるんやろけど。なんやろねえ、例えば武さんは「浮世絵」というジャンルにはさほど興味はなかったけど、独特の筆致には反応はしてたんじゃないんですか。ただ武さんの場合、自分では描けない、と思ってたんやろうから、あまり気にはしなかった、とか。僕は中学ぐらいのときよく模写してたからな。好きやったんで。

武:暁斎の模写?

山:いや、浮世絵の。

武:大首絵?

山:大体そうやな。

武:へえ! 俺は小学生の時、藤子不二雄と手塚治虫の模写だなw クラスメイトに描いたりしてたな。ブラックジャックw


山:そう言えば漫画もかいてたな、、ということは結局のところ、身近にそういうものがあったからってことなんか。いや、浮世絵なんてどこにあったんやろ?

武:俺ん家にはなかったなあ。

山:うちにもなかったと思うねんけど、どこで見てたんやろ。漫画はまああるよな。

武:ユトリロの画集があったのは覚えてるが、子どもの俺はなんの食いつきもなかったな。あとサザエさん全巻あったな、いじわるばあさんとか長谷川町子は揃ってたw


山:だいたいね、お能みたことありますか?

武:ないですねえ。テレビでなんかの場面を観たくらい。

山:ちゃんと観る機会ってほとんどないよなあ。

武:行くきっかけがつかめない。

山:じゃあ次のレビューはお能でw


武:どこでやってるんだ? そしていくらくらいかかるんだ?

山:< http://www.nohkyogen.jp/event/kanto/index.html >

武:1万円かあ。アーティストはタダにしてくれ!

山:安いのもあるぞ。へー、結構やってるんやな。

武:江戸から明治の能狂言の位置付けって現代のそれとは違うよね、きっと。

山:江戸幕府に保護されてますから。

武:見る側の位置付けよ。今に例えるとどんな感じだったのかなあ。


山:ミュージカル観に行く感じとか。

武:ミュージカルなんてそうそう観に行かないじゃん。

山:行く人は行くんとちゃうの? じゃないとあんなにやらへんやろ。

武:劇団四季は2回ほど観たけど。おばちゃんたちがいっぱいいたよ。

山:観てるやんw 歌舞伎も同じやろ。

武:庶民はミュージカルなんてしょっちゅう観に行かないだろ。

山:能だってそうやろ。ただ寺や神社とかでやる薪能とかもあるから、結構観てたんか? 調神社にだって神楽殿あるしな。どうなんやろ。


武:能狂言がすこぶる高尚なのかと思ったりもするけど、解説文章を読むと、ストーリーは案外と俗っぽいのよね。神様と関係してる感じが高尚っぽく感じちゃうんだろうけど、昔からしたら神々も俗っぽいわけだからなあ。

山:悲劇と喜劇、ということなんかな。能は幽霊ですね。

武:ああ、幽霊か。そんなに悲劇はないような気がする。。荒唐無稽な感じなのはあるよね。


山:うーん、、これはちゃんと観たり調べたりしないと何もわからんw

武:そうね。ではお能を観に行くとしますか。いざ篠原演芸場へ!
< http://0481.jp/c/shinoharaengeijou/ >

山:それは大衆演劇やないか!

【河鍋暁斎記念美術館】
< http://www.ac.auone-net.jp/%7Eganka/top_page.htm >
開館時間:10:00〜16:00(16:00まで入館可能です)
休館日:毎週木曜日(祝祭日は開館)/毎月26日〜末日・年末年始
入館料:一般300円、学生200円、小学生以下100円

【武 盾一郎(たけ じゅんいちろう)/制作配信再開】
take.junichiro@gmail.com
twitter < http://twitter.com/Take_J >
Take Junichiro Art works
< http://take-junichiro.tumblr.com/ >
制作配信してます:Ustream
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制作日誌:武盾一郎のはてな
< http://d.hatena.ne.jp/Take_J/ >

【山根康弘(やまね やすひろ)/温泉行きたい】
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