おかだの光画部トーク[54]写真や映像は何を伝える事ができるのか その2/おかだよういち

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前回のデジクリから約ひと月と間があいてしまいましたが続きです。

最近、NHK以外の報道番組を見ていて、果たしてこれは事実を予断なく伝えるニュースなのかと不思議に感じる事がよくあります。原発のこと、食中毒のこと、少し前は大相撲の八百長のこと、そして特定の政治家の話題では、写真や映像とともに、うっすらと不安を煽ったり緊張感を感じさせるような不協和音で構成されたBGMが流れます。また、被災地の避難所で子供達やお年寄りのインタビューのシーンでは、悲しく涙を誘うようなBGMが流れます。

人間は、音楽や声のトーンなど耳から入ってきた情報によって敏感に感情を動かされます。ドラマの特になんでもないシーンでも、素敵な音楽がプラスされるだけで涙が出るほどの感動的な場面に変わったりもします。

例えば、戦場の写真に激しいヘビーメタルや攻撃的なヒップホップをプラスすると、「もっと戦え! 敵を殺(や)ってしまえ!」という感情が沸き起こり、片やジョン・レノンのイマジンを聴かせながらまったく同じ戦場の写真をみせると、「戦争反対! 人類平和!」という感情になるというような実験があります。



つまり、事実を淡々と伝えることが求められる報道番組が、作り手側の編集や演出によって、自由に印象操作がされている気がします。よほど強い意思を持って見ていなければ、視聴者の世論なんて思うがままにコントロールできてしまうのじゃないでしょうか。

前回紹介したような、撮影者がそれぞれの目でを通して見て表現した真実を、そのままピュアに見るのか、間に編集者がいて音楽や文字など何らか意思が付加されたものを見るのかで、それは真にもなり虚にもなる。見る側にはそれを正しく判断できる高度な能力が必要だと思います。

さて、デジカメ全盛+ソーシャルメディア各種に日々接するこの時代の我々は、ただ見る側だけでなく、いつでも撮影側になったり編集して発信する側になることができます。

「Untitled!!!!!!!!」で会場の参加者約300名に質問したところ、「今この瞬間カメラを持っている人(携帯やiPhoneなど含め)」は100%でした。「TwitterやFacebook、mixiなどに写真や動画アップして共有したことがある人」は80%くらいでした。

かつてはカメラがとても高額で、撮影するにはフィルムも必要だし撮影後の現像代も高かったので、仕事として写真を撮るプロ以外のカメラマンを「アマチュアカメラマン」と呼んでいました。100%がカメラを持っていて、日々なんらかの写真を撮って多くの人と共有し合っている今では、当たり前すぎてわざわざアマチュアカメラマンなんてこと言いません。

あまりにも当たり前すぎてあまり深く考えずに撮って、編集して、アップして、共有して、を行っていますが、ソーシャルメディアでは何気なく撮ってアップしたあなたの写真も、もしかしたらどんどんリツイートされて多くの人に影響を与えているかもしれません。

また、あなたが撮影した時の意図や、あなたにとっての真実とはまったく違う言葉が付け加えられて、まったく違う印象になって広まっていくこともあるかもしれません。

写真だけで伝えられること。
言葉だけで伝えられること。
そのふたつが組み合わさった時に伝えられること。
それに音楽や声が加わった時の力。

そんなことを少し頭の片隅に置いて、写真や映像を見たり撮ったり、編集したり発信したり共有することを楽しむのが、いま大切なんじゃないかと思っています。

【おかだよういち/WEB&DTP デザイナー+フォトグラファー】
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JR大阪駅が新しくOSAKA Station Cityになり、連休中も数10万人が集まり大盛況だったそうです。あちこち探索したいのですが、人混みや行列が苦手なので、もう少しの間様子見。