[3063] 本の未来なんてわからない

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《なんの工夫もないサル真似》

■アナログステージ[56]
 文化を守ることも進化
 べちおサマンサ

■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[08]
 本の未来なんてわからない
 沢辺 均



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■アナログステージ[56]
文化を守ることも進化

べちおサマンサ
< https://bn.dgcr.com/archives/20110614140200.html
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いまさらmixiネタ。旬は過ぎてしまったであろうmixiですが、だんだん「あらぬ」方向へと向かい始めてきている。日記が「ウリ」だったはずなのに、ホーム画面の改悪により、友人(マイミク)の日記更新が分かり難くなってしまったのをはじめ、余所SNSのいいところだけをチョイスして寄せ集めてみました!的なコンテンツっぷりを見続けてきて、「いよいよ沈没の道へ歩んだか」と、半ば呆れていた。

昨年の9月に、mixiの笠原シャチョーは、「Facebookと違う"極"を作りたい」と意気込んでいたにも拘らず、結局はFacebookやTwitterの壁を破るどころか、なんの工夫もないサル真似で止まってしまっている。

・「Facebookと違う"極"を作りたい」 mixiの戦略、笠原社長に聞く
< http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1009/15/news073.html
>

もともとは、mixiユーザの招待状がないと入れない、閉鎖的なスペースだったのが、アプリでの金欲しさ(課金)に登録制にするなど、鎖国経験のある日本文化にぴったりだった仕様が、開国してからmixiの「良さ」だった部分が消え去ってしまっていた。

いまのmixiをみていると、こだわりの珈琲豆を使った喫茶店が、「カツ丼はじめました」「冷やし中華はじめました」「本日のランチ☆青椒肉絲定食 ごはんのおかわり無料!」と書いたバナーを壁に貼って、喫茶店から定食屋さんに移り変わっていく感覚。こだわりをなくした喫茶店。

ほかのSNSなどから、アイデアを参考にして、そこから独自に消化させてリリースするコンテンツならまだしも、なにひとつ超えることができないまま、見切り発車に近いことばかり続けてばかりの印象は拭うことができない。そして遂に、mixiのもうひとつの「ウリ」であった、足あと機能が、昨日改悪実施された。

・『mixi』ユーザー悲痛な声『足あと機能改悪反対!』コミュ参加者が2万人を超える:ガジェット通信
< http://getnews.jp/archives/121636
>

・mixi足あと機能改悪反対!:mixiコミュニティ
< http://c.mixi.jp/ashiatokaiaku
>

ここ数年で、ワタクシの交友関係でもmixi離れが進んでおり、ワタクシ自身もすでに、サンシャイン牧場のためにmixiに存在しているような感じ。mixiで日記を更新する楽しさも、マイミクさんの日記更新を楽しみにすることもなくなり、運営サイドから、アンバランスな雑煮を食わされているかのような、そんな匂いなのが、いまのmixiだ。

上場したことによって、経営戦略は何よりも大切なことだが、もっと大切なのは、いま掴んでいるユーザを放さないという経営戦略のはずなのに、あえて、いままで築いてきたmixiの文化を崩そうとしているのは、外部から参入してきたアホ(社外役員とかね)が、中身のない教養と経験話で引っ掻きまわしているのか...... とか考えちゃったり。まぁ、そんなのはmixiだけに限らず、どこの会社も同じようなアホは居るんですけどね、アハハ。

──『足あと』が象徴する『mixi』的なSNS文化が苦手な人は、もうすでに『Twitter』や『Facebook』に移動しちゃっているはず。つまり、今も『mixi』に残るユーザーは、『mixi』が可能にしてきた閉鎖的で安全感があり、細やかなコミュニケーションを好む傾向が高いのではないでしょうか?──

ガジェット通信から一部引用ですが、まったくもってその通りだ。ネット界での住み分けは、今に始まったことではなく、インターネット創世記から、自分にあったジャンルで住み分けされてきている。SNSに限らず、2ちゃんねるにしてもそうだ。そう考えれば、mixiのポジションというのは、誰から見ても明確に分かる。

独自に築いてきた文化を守っていくことも、進化だと思うんですけどね、ハイ。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
FAプログラマであり、ナノテク業界の技術開発屋
< http://bachio.posterous.com/
> ←更新してまっせ
< http://twitter.com/bachiosamansa
> ←フォローしても役に立ちません

○順調に進んでいく仕事の裏で、なにか穴が開いているような気がして、ここ最近、睡眠を上手にとることができない日々/心配性という類ではないけど、順調に進むと、「もう少しこうできるかも」とか、「ここをこうしてみよう」などの欲が出てきてしまい、それを考え始めると寝付けなくなったり/今までは、トラブル続きからの脱出から、晴れて製品としてリリースしていたのに、いきなり卓上の計算だけで上手く進むことにも疑念が。正規リリースでトラブル続きはマズいけど、リリース前の開発ってものは、トラブルが付いてまわって当たり前/いや、本当に順調にいきすぎていて、怖いんです。

○記憶に残っている2週間の出来事→休み関係なく仕事してた→お出かけもしてない→先々週の金曜日に、夕方17時くらいから、翌日の朝7時頃まで飲んで歌ってくらい。昼に起きると、酒は抜けているものの、声がまったく出ない→その日の夕方、懐かしい面々と横浜の野毛にモツ焼きで飲み始める→さすがに酒に飽きる→しかし、日曜日にまた飲む。その3日間で1か月分以上の酒を飲んだはず→何だかんだと出かけていたか。

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■電子書籍に前向きになろうと考える出版社[08]
本の未来なんてわからない

沢辺 均
< https://bn.dgcr.com/archives/20110614140100.html
>
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先々週、はじめて休載してしまいました。柴田編集長から怒られました。ゴメンナサイ。

この連載は「電子書籍に前向きになろうと考える出版社」なわけだけど、そもそも、紙の本はなくなるのだろうか? 紙の本が電子書籍に置き換わる方がいいと考えているのか? なぜ、前向きになんだ? ってことで、今回は本の未来はどうなるのか? について考えをまとめてみます。

●未来なんてわからない

本の未来はどうなるのか? と2011年に問われたら、その質問の意味は、本は電子書籍になるのか? 紙の本は電子書籍に取って代わられるのか? という質問だと考えていいと思う。

もちろん、出版不況で人はどんどん本離れてるとか、ウエブで情報や知識は足りてるんだから本なんか必要ないんじゃないかとか、本は残るかもしれないけど出版社は要らないでしょ、インターネットでだれでも発信できるんだからとかいう質問も考えられるけど、ね。

で、紙の本は残るのか、電子書籍に置き換わるのか? といった未来予想についてボクは「わからない」としか答えられないんだ。ホントにわからないし、積極的に「わからない」という態度を維持するのがいいとも思っている。

だけど、未来は「わからない」んだけど、でも今起こっていることは全部「正しい」(勝間和代さんの本のタイトルのパクリですけど)とも思っていて、このふたつは両方とも自分にとって大切なポイントなんだ。

たとえば携帯電話。携帯電話は、電話をどこでも持ち歩けて、一人一台なものにしたんだよね。これは、やっぱり必然なんじゃないだろうか? 言い換えれば正しい。

いくら技術的に、持ち歩ける無線の電話が可能になっても、人がそれを求めなければこれだけ普及したりしない。一人一台が不必要なら、相変わらず電話は家族(みたいな複数の人間のあつまり)に一台みたいだったんだと思う。

人がそれを求めて、一人一人が持つようになったんだから「正しい」(というややっぱり必然かな?)としか言いようがない。

これに立ち向かって、携帯は家族を解体してしまうので間違っているって「携帯禁止法」をつくろうとしてみても、現実は変えられないでしょ。立ち向かいたいんだったら、携帯がなくても多くの人がマネしたくなるような、携帯に替わるモデルを生み出さなきゃ無理だ。

では、本のありようのさまざまなモデルを考える上で、見ておくべき今起こっていることはなんだろう。

●デジタルからはもう戻れない

まずはじめに、情報がモノからはなれてデジタル(0と1でいいんだよね)に置き換わったということ。

次に、その0と1を使ったりコントロールしたりして人間に、デジタルへの置き換えとアナログへの置き戻しをしてくれるコンピュータが発達して、ついにだれもが持てるものにまで費用を下げたこと(パーソナル化、ですね)

そして、0と1という特性を利用して、それを線を使って届けあうインターネットというシステムを生み出したこと

これが僕らの周りに起こっていることだ。で、これは多くの人に利用されているというカタチで支持されているし、支持されたから多くの人が利用できるほどにその費用を下げることができた。

このデジタルはとっても便利。0と1は、音でも映像でも、もちろん文字でも表現できて、また音そのものに戻すことができるようになった。

おかげで、ボクはiPhoneやiPadやPCで動画を他の人に送り届けることができるし、映画を何本も持ち運べる(もちろん、届けられるってことと、届けて欲しがっている人がいるのか? ってのは別の問題です)。

馬車の時代に自動車が生み出されたように、絵筆しかない時代に写真が生み出されたように、もうこの便利さからは後戻りできないと思っている。

馬車の最高スピードの何倍ものスピードが出せる自動車は、事故を増やし、事故の規模を大きなものにした。でも、ボクらはそこから後戻りできなかった。どうやって交通事故を減らすか、という方向に進んだし、多分それは間違えていない道だったんだと思う。

文字情報が0と1に置き換えられる便利さからは、もう後戻りできないんだと思う。画面の読み辛さとか、装置の重たさを解消して行く方向で、今ある0と1の良くない点を減らして行くってことが、多分正解なんだと思う。

それから、馬や馬車が完全になくならずに残っているように、紙の本がゼロになってすべてが電子書籍になることもないと思う。

●だから電子書籍に前向き

ならば、できるだけ電子書籍を運転してみて、そのいいところも弱点も早く気がつきたい。だから、電子書籍に前向きになる出版社でありたいと思っているのです。

ボク自身は、かなりの紙フェチなんだけどね、今だって電子書籍で読み終えた文字物は一冊だけだし、毎晩読むのは紙の本。

でも、こんな想定すら間違っているかもしれないよね。そんときは、極力素直に、ゴメンナサイと言ってすまそうと思っている。

実は未来問題を語るときにイチバン大切なのは、間違ってたらゴメンナサイというってことなんだって思う。間違ってたらゴメンナサイを封印してしまうと、東電みたいに、どう見ても想定を間違えたにも関わらず、「想定外だった」って言いワケばかりをでっち上げて、ゴマカさなきゃならなくなる。それってつらいでしょ。

【沢辺 均/ポット出版代表】twittreは @sawabekin
< http://www.pot.co.jp/
>(問合せフォームあります)
ポット出版(出版業)とスタジオ・ポット(デザイン/編集制作請負)をやってます。版元ドットコム(書籍データ発信の出版社団体)の一員。
NPOげんきな図書館(公共図書館運営受託)に参加。
おやじバンドでギター(年とってから始めた)。
日本語書籍の全文検索一部表示のジャパニーズ・ブックダムが当面の目標。

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■編集後記(6/14)

・「砂の栄冠」つづき。主人公・キャプテン七嶋は、なんとか秋の埼玉県大会を勝ち抜き、関東大会の出場を目指す。関東大会で勝てなくても健闘さえすれば、文武両道の伝統ある公立進学校という切り札もあるのだから、樫野高校がセンバツに「21世紀枠」で推薦されるだろうという計算だ。なるほど、埼玉県大会で夏に優勝できる可能性はゼロに等しいのだから、これがもっとも現実味がある甲子園行き実現の道だ。「21世紀枠」の選考基準は巻末のコラム「甲子園研究所」に書かれていたが、へえ、知らなかった、センバツの真実。もっともセンバツは殆ど興味がないから見ない。この11年間で高野連が選んだ26校はすべて公立、県内屈指の伝統校で進学校だ。これは観客増と毎日新聞の売り上げ増が目的なのはミエミエ。どうすれば選抜されるかというと、ボランティア活動や地域貢献を行い、明るく正しく挨拶ができる「いい子ちゃん」であること、加えて困難克服のエピソードがあれば盤石。要するに高野連に好かれるチーム作りをめざせ、ということだ。埼玉県など参加校が128校以上の県は秋の大会でベスト16以上、それ以下の県ではベスト8以上で推薦資格を得る。ずいぶんハードルが低い。キャプテン七嶋の狙いは正しい。けっして大金ではない1000万円の使い道にも注目。面白いなあ、絵はヘタだが←しつこい(柴田)

・山崎将志著「残念な人の仕事の習慣」を図書館で借りた。著者さんごめんなさい。で、この本を読んでいる最中、慌てて家人に声をかけた。近くのスーパーに雰囲気の特異な男性客がいて、夜20時〜21時頃に行くと会える。気づいたのは家人(わたしは普段、他人のこと見ていないのだ......美人さん以外は)。大きな押し車で何度もレジに並び、商品を一つずつ購入する。レジのお姉さんのこと好きなのかしらと思っていた。が、この本のレジ袋のくだりで、あのお客さんは割引狙いだったのだと合点が行った。スーパーではレジ袋を断ると、エコポイントなるものがつく。このスーパーでは5ポイント(5円)。これは一回につき、なので、20回並ぶと100円引きと同じ。夜にしか見かけないのは、割引シール目当てなのか、それともレジが空くからか。とにかくお姉さん目当てじゃないとわかって、なんとなく残念であり、割引に気づかなかった自分って......である。(hammer.mule)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4776206307/dgcrcom-22/
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→アマゾンで見る(レビュー33件)
< http://ameblo.jp/nakagawa-shoko/entry-10918580079.html
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しょこたんも見たのね。この公演はおすすめ! って完売だけど。
< http://mamesoku.com/archives/2291461.html
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羊毛フェルトでコブラのダック星人