ネタを訪ねて三万歩[78]失敗を恐れるな、数をこなせ/海津ヨシノリ

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多摩美術大学造形表現学部のデザイン学科2年生を中心に、写真部が発足しました。それまでも写真部は存在していたようなので、新しい部活というわけではありませんが、似たような部活が色々在るのが大学なので気にせず見切り発車したようです。

もっとも私が顧問というわけではなく、顧問の存在しないサークル的な集まりです。つまり、私も部員の一人というわけです。もちろん撮影会などで質問が出ればアドバイザーになります。

私が共通教育科目として全学部の学生に対して開講している、共通教育のコンピュータ画像処理論という講義では、写真撮影技法にも触れていますので、勢いとしてはその課外授業みたいなものですね。

もっとも授業とはまったく無関係ですので、これは参加している学生の意識の話です。ちなみに、これは例の海津ゼミとは無関係です。とにかく写真は基本的な事が理解できれば、あとは個々の世界観だけです。そこに講師や生徒の壁はないですね。

ということで、第一回目の撮影会は武蔵小山にある林試の森公園に行ってきました。ここは明治33年(1900年)6月に当時の農商務省林野整理局が「目黒試験苗圃」としてスタートさせ、その後「林業試験場」「目黒公園」と名前を変え、平成元年6月1日に「都立林試の森公園」として生まれ変わっています。意外に広く東西に700m、南北に250mと細長い造りで、外周を一周するためには40分程必要です。

初めて訪れたのに、何か懐かしく、学生の時に授業でスケッチに訪れた、目黒にある国立科学博物館付属自然教育園を思い出してしまいました。もっとも、本当にスケッチに訪れたのが国立科学博物館付属自然教育園なのか、目黒公園時代の林試の森公園なのか、実際のところは私もよく分からなくなっています。



まっ、お隣さんのような位置なので、曖昧な記憶でもいいかなと思っています。もっとも、撮影は一度訪れただけで面白い写真が撮れる確率は低く、何度も通って空気を読み取らないと決定的瞬間に繋がらないと感じています。何事も繰り返しが大切ですね。

もちろん、決定的瞬間といっても報道写真の話ではありません。その瞬間瞬間という意味では、どの写真も決定的瞬間だと私は感じているからです。

当日はかなり日差しが強く、木漏れ日と日陰の落差が大きかったので、写真撮影的にはかなり難しい条件だったかもしれません。再撮影があれば、迷いなく一眼レフに日中シンクロ(ハイスピードシンクロ/FP発光)可能なストロボを持参します。所有ストロボのデジタル一眼用では、愛用しているSIGMA ELECTRONIC FLASH EF-610 DG SUPERかな。

さて当日の私は、EPSON R-D1xGにCOLOR SKOPAR 21mm F4.0と、NOKTON 50mm F1.5 Asphericalを携えて参戦したのですが、起伏が激しい公園ではなかったので21mm(31mm)の出番は意外と少なく、50mm(77mm)が大活躍でした。

R-D1シリーズはかなり特殊なカメラかもしれませんが、このアナログ感は本当に癖になっています。実は最近Nikon D7000をゲットしていたのですが、まだ一枚も撮影をしていないのです。なんだかもったいない丸出しですが、少々込み入った仕事があって新しい道具に神経を集中できなかったからです。道具はじっくりと楽しまないとダメですからね。

で、最近凄く気になっているのが、とりわけ一眼レフの仕様です。それはレンズに絞りと被写界深度の関係が刻まれていなかったり、マニュアル撮影が面倒だったりすることです。ただカメラを向けて、シャッターを押せばよいということではありません。最低限の理屈が理解できていないと、作画に繋がりません。コンピュータもそうですが、一般生活の中で出てこない概念や仕組み、用語が出てくるだけで拒否反応が出てしまいますからね。

それと昨今のズームレンズ至上主義。ズームレンズは確かに便利ですが、頼りすぎてしまうと、自分が動くという写真撮影で大切なことがおざなりになってしまいます。今日は50mm勝負といった潔さで撮影に挑んでみることで、意外な発見や撮影技法を見つけることができます。例えば、絞りを絞って大きい数字にすれば広角レンズ的なイメージを、逆に絞りを開いて小さい数字にすれば望遠レンズ的なイメージを演出することができます。

また、ズーム比はせいぜい5倍ぐらいが許容範囲と考えた方がいいかもしれません。それよりも超えてしまうと、広角側に極度の歪みが発生してしまいます。つまりはシワ寄せですね。要するに無理が発生するというわけです。

もちろん、高額なレンズはそのあたりを極力補正していますが、一般的なレンズは価格が命ですからね。ちなみに所有しているズームレンズの中でメーカー純正以外の製品としては、TOKINA AT-X 116 PRO DX 11-16mm F2.8。ズーム領域が11mm〜16mm(35mm判換算で16.5mm〜24mm)と大きな差がないのですが、このクラスのレンズとしてはとても優秀で気に入っています。

話を戻すと、とにかく学生は色々チャレンジして沢山の失敗をしないとダメ。なんとなく頭で理解しただけで終わってしまいがちな現代の風潮は、結果として理解したことに繋がっていないように感じています。難しい言葉と精神論で、意味不明なことを話す作家の言葉を鵜呑みにしてはいけません。

とにかく、失敗の繰り返しが大事です。要するに、数をこなすということ。次に大事なのは、想像と妄想。短時間でどれだけアイデアを出せるかですね。

見たモノ聞いたモノを、瞬時に自分の価値判断で好き嫌いの白黒はっきりさせる訓練を続けてみると面白いものです。ただ感じるのではなく、好き嫌いを瞬間決定する訓練です。これを繰り返していると、「ここをこうすれば自分は好きになる」「あそこがそうなったら嫌いになる」と発展し、アイデア出しに繋がっていきます。これは毎年学生にも勧めています。ただし、実践している学生の割合は不明です。

ところで、最近少し面白い体験をしました。映像デザインコースに所属している学生の作品に私が登場してしまったのです。思いっきりSF作品で、私はかなりイイ役柄でライトセーバーを振り回しています。

作品について何も解説しないと色々突っ込まれそうですが、これは私が講義で解説した映像のメイキングに触発された学生が軽いノリで作成したもので、ほとんどぶっつけ本番でいきなりの撮影でした。そのため自前のライトセーバーを使うことはできませんでしたが、可能であれば次回作にも登場したいと思っています。

タマビウォーズ×造形兵団+
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■今月のお気に入りミュージックと映画

[ボクキミビリーバー]by ghostnote in 2010(日本)
仲里依紗主演の「日本人の知らない日本語」テーマ曲です。軽いのも重いのも、アップテンポの曲は学生の頃から大好きでしたので、このノリは気持ちがいい。最近、作品や人の親切行為を弄び、善意を道具に使ったりするメーカーの愚行連発で気分は最低。もう笑うしかないです。そんな不愉快な時に、少し元気にしてもらえた曲だったのかもしれません。

[日本人の知らない日本語]by ROBOT in 2010(日本)

TVの深夜枠で放映されていた作品です。原作本は持っていますが、こんな内容になるとは思ってもみませんでした。もし何も事前情報がなかったら見ていなかったと思います。ということで、この作品は基本的にコメディーですが、深夜枠で放送されていたことが「もったいない」くらいの完成度と内容です。

主演の仲里依紗にとっては初主演作品で、彼女の魅力全開です。それに輪をかけるキャスティングの見事さ。生徒役の外国人達は誰もが本当に魅力的。携帯配信などで続編が放送されているようですが、どうしようもない番組を垂れ流すくらいなら、ゴールデンタイムに再放映して欲しい作品ですね。

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■アップルストア銀座でのセッション

8月15日(月)18:30〜20:00 Apple Store Ginza
Hands on a Macとしての画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol. 59』としてAdobe Photoshop CS5による人物写真のレタッチ処理の基本操作とコツを整理します。直して良い部分とマズイ部分の判断。「らしく」のさじ加減の重要性を確認して頂きます。予約無用・参加無料・退席自由です。


【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家

ホームページやBlogのリンクで、一番困ってしまうのがリンク切れ。要するに、やめてしまった方や数年間更新していない方のリンクを、どう扱うかが困った問題です。唐突に消すのも失礼かと思い続けていましたが、リンクをしているのが私の友人であっても、訪れた方にとってそれはどうでも良いこと。リンクが片っ端から切れていることの方が失礼極まりないことと、気持ちは傾いていました。

そして、定期的に何気なくチェックしていると、旧Blogが突然消滅しているではありませんか。これは知人が管理していたBlogなので、無断で削除されてしまったわけですが、いつ処理されたのかも分からず、文句を言うのもこじれる原因と泣き寝入りしました。

そこで、消滅してしまった旧Blogのリンクを整理するついでに、Blogのみリンクが切れているところや、数年間更新していないところをバッサリ消し去ってしまいました。情報は提示している側にもある程度の責任はありますからね。ホームページ側でも、消滅してしまっているリンクは当然消しています。処理をしている本人にとっても、気分の良い作業ではありませんが、こればかりはどうしようもありません。

yoshinori@kaizu.com
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