ネタを訪ねて三万歩[79]まったく異なる3タイプのカメラ環境が整って
── 海津ヨシノリ ──

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6月にNikon D7000とTOKINA AT-X 116 PRO DX 11-16mm F2.8をゲットしたばかりでしたが、8月に入ってLUMIX DMC-GF2とM.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6もゲットしました。

LUMIX DMC-GF2はダブルレンズキット(LUMIX G 14mm / F2.5 ASPH、LUMIX G VARIO 14-42mm/F3.5-5.6 ASPH)でしたので、一気に交換レンズは3本。これで私が必要とする画角の95%を一気に網羅してしまいました。

そして、私にとってこれが初のマイクロフォーサーズ一眼レフです。コンパクトカメラのような筐体なので、液晶モニターでの構図&フォーカス調整となり、カメラを向けられても被写体となる人が緊張しないのがいいですね。

実は、このLUMIX DMC-GF2を購入した直後に、RICOH GXR用に新たにリリースされたGXR MOUNT A12の試作機を借りてテスト撮影する機会が訪れました。時々声が掛かかるのですが、今回はかなりびっくりしました。

なにせ、このGXR MOUNT A12をGXRボディーに装着するだけで、ライカMマウントレンズが利用できるからです。ピント合わせは当然マニュアルフォーカスとなりますが、補助機能として輪郭強調とコントラスト強調というフォーカスアシスト機能を搭載しています。

どちらもピントが合致した部分のエッジを強調してくれるので、マニュアルフォーカスであっても、拡大表示することなくピント合わせを正確かつ快適に行うことができます。実際使ってみて、すぐにこの便利な機能に慣れてしまい、一週間だけの所有でしたが、このカメラに完全な一目惚れです。

(参考)ライカMマウント用レンズをGXRで使用できる「GXR MOUNT A12」
──マイコミジャーナル
< http://journal.mycom.co.jp/articles/2011/08/11/gxr_mount_a12/
>



とにかく、これで愛用のEPSON R-D1とULTRON 28mm F2.0、そしてNOKTON 50mm F1.5 AsphericalにSUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Asphericalで武装したレンジファインダーカメラを加えると、まったく異なる三者三様のカメラ環境が揃い、楽しみが倍々増しました。

Nikon D7000はもっともオーソドックスなシステムで、ファインダーを覗いて構図を決めるタイプ。片やLUMIX DMC-GF2は、液晶モニターで構図を決めるタイプ。

EPSON R-D1はファインダーを覗いて構図を決めるタイプですが、レンズを直接通して見ているわけではないので、見え方と写り方に若干の差が発生します。ピントも、SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 Asphericalに至っては目測処理ですし、デジタルカメラなのに完全にアナログ感覚での対処となります。

3つのそれぞれ異なったシステムが、今まで以上にスナップ撮影などでモチベーションを上げてくれそうです。

モチベーションが上がれば、あとは撮影するだけ。写真は難しく考えずに気軽に撮るのが一番ですね。ただ、最近は本当に難しい時代になっていますので、町中のスナップを慎重にしないと誤解を受けてしまいます。

偶然であっても、レンズの先に人物が入ってしまうなんてことは絶対に避けなくてはなりません。知らずに写り込んでしまうベランダの洗濯物なども注意ですね。

そういった意味では、Nikon D7000のような典型的な一眼レフは周りに威圧感を与えてしまうかもしれません。その点、普段バッグの中に入れて一番活躍しているPanasonic LUMIX DMC-FX550、CASIO EXILIM EX-S10という2台のコンパクトカメラであれば、かなり無造作に撮影しても誤解を受けることは少ないと思われます。

このイメージというものは本当に大切ですね。私は今でも大切に持っているMamiya C330fという二眼レフカメラが大好きです。このカメラは、撮影時にカメラマンが上から覗く、ウエストレベルファインダーでピント調整を行います。

そのため、被写体となる人物と目線が合わないので、緊張することなく自然な写真を撮りやすいというメリットがありました。実はこのカメラで3回ほどモデル撮影をしたことがあります。もちろん仕事です。その時は突発でしたので、このカメラでなんとか急場を凌ぎましたが、これが引き金となり、同じMamiyaのRB67Proを購入し、幾つかの商品撮影を行っていました。水戸黄門がまだ助さんだったころの話です。

もちろん、デザインがメインでしたので6×7フィルムでの撮影を限界とし、それ以上の環境には手を出さないようにしていました。今もこのカメラは部屋の中で休んでいます。処分できないのは悪い癖かも知れませんが、人一倍道具に対して愛着を感じてしまう私の癖は永遠に直らないかも知れません。

ところで、道具は使い込んでいくと、どうしても調子が悪くなってくるものがあります。この夏は愛用していたAi NIKKOR 105mm F1.8と、AF NIKKOR 85mm F1.8の両方のヘリコイド(カメラのピントを合わせのためにピントリングを回転させ、レンズ鏡胴を受光面に対して前後させる仕組み)が硬くなったので修理に出しました。

後者の方が症状は軽かったのですが、交換部品が必要で修理代金は倍になってしまいました。続いて、購入したばかりだったSIGMA ELECTRONIC FLASH EF-610 DG SUPERのTTL調光が光量不足となるので調整(?)に出しました。購入したばかりでしたので、ショップに交換を求めようと思ったのですが、『クーリングオフは行いません』と宣言しているような店でしたのでメーカーに直接連絡をして対処してもらいました。でも、購入直後なら普通は交換なのですが、まっ、おとなしくしておきます。

さて、ここまで読んだ方にはうすうす感じ取っていただけると思いますが、私はどちらかと言えば無骨なデザインのカメラが好きです。もちろん性能は譲れません。ですから、性能が良くて無骨な形が好きというわけです。

ただし『無骨=野暮』という意味ではなく、『無骨=機械的』といった意味です。よって、現在主流となりつつある丸みを帯びたデザインが『あまり好きではない』という意味です。ですからLUMIX DMC-GF3がリリースされたにもかかわらず、あえてLUMIX DMC-GF2を購入しました。道具のデザインはモチベーションに影響するので無視できません。

ただし、どうして丸みを帯びたデザインが好きではないかと問い詰められると、明確に自分の中で整理できません。あえて言えば、機械がSF映画の中のように、有機的に進化することに対して生理的な反発があるのかも知れません。

もちろん、この先も永遠にその感覚で機械を買い分けるかどうかは私にも分かりません。なにより、丸みを帯びているか否かの判断も実に曖昧なので、ほんの少しのこだわりと言い換えるべきだったかも知れませんね。

例えば、かなり気に入っているのが、1950年代にアメリカでリリースされたEastman Kodak Signet 35。そして、1960年代にソヴィエト連邦でリリースされたVOSKHOD 45mm/f2.8。どちらもとても形がユニークかつ無骨でお洒落です。

ただし、残念ながら私自身は所有していません。中古で時々出回っていますので購入することは難しくありませんが、もうフィルムカメラで遊ぶ余裕はなくなってしまいました。そのうちどこかのメーカーが、パトローネタイプのアダプターでデジタル撮影ができる装置を開発してくれれば話は違いますけどね。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

[ふたりの愛ランド]by Chage&リイサ in 2011(日本)
84年にJAL沖縄キャンペーンソングとして「石川優子&チャゲ」でリリースされた曲を「Chage&リイサ(仲里依紗)」としてカバー。ミスタードーナツのクールミスド「夏ドーナツ」のCMとして使われています。シングルカットはないみたいです。ノリがいいのに販売されないのはちょっと残念ですね。

[インクハート/魔法の声]by イアン・ソフトリー in 2008(アメリカ・イギリス・ドイツ)

コルネーリア・フンケの小説「魔法の声」を原作とした、ブレンダン・フレイザー主演のファンタジー。残念ながら日本では未公開でした。実はブレンダン・フレイザーのファンなので、無条件に鑑賞したい作品というわけです。

メギー役のイライザ・ベネットは、若かりし頃のキャリー・フィッシャー(スターウォーズのレイア姫)に似ています。ストーリーは正統派のファンタジーですが、私はキーパーソンとなっている本から出て来てしまったポール・ベタニー演じる"ほこり指"が気に入ってしまいました。
本の中に戻りたい"ほこり指"は作者に出会って自分の運命を知ってしまいます。それにもかかわらず、本の中に戻っていくラストは涙腺緩んでしまいました。そして、ファリッドの存在が......以下ネタバレのため自粛。どうして公開されなかったのか不思議なくらいにいい作品です。祖母役のヘレン・ミレンの存在もナイスですね。こんなお婆さんが大好きです。

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■アップルストア銀座でのセッション

9月19日(月・敬老の日)18:30〜20:00 Apple Store Ginza
Hands on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol. 60』としてAdobe Photoshop CS5により写真から絵画風イメージを作り出す手順をハンズオンいたします。なお、ハンズオンセミナーは予約制で、申し込みに関してはAppleに一任しております。


【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家
yoshinori@kaizu.com
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後期から多摩美術大学造形表現学部デザイン学科で「スタジオライティングの基礎と露出計の使い方」というスポット講習会を行うことになりました。毎回上級生優先で、6名限定の単発講習会を取り敢えず6回だけ設定しました。要望があれば追加講習を設定する予定です。上級生優先の意味は、次年度に受けるというチャンスがない、または少ないからです。もちろん必要に応じて今までも個別にレクチャーしていたり、私の講義でプリントを配布したりするなどのフォローはしていましたが、講義だけで理解するのは難しいですからね。しかし、今回は完全に『日刊デジクリ』と言うよりは『写真を楽しむ生活』になってしまいました。