ローマでMANGA[43]まだ夏休みなので反省会
── midori ──

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まだ夏休みです。学校は。マンガ学校の開始は10月、私のセミナーは11月だから、まだまだ「夏休み」は続く。

私のセミナーは、開始時はクラスに入り切れないくらいの30名ほどで、時間が経つに連れて少なくなっていき、最後には2〜4名になるのが恒例だ。それでもいいのだけど、もうちょっと多く残ってもらいたいとは思ってる。

講義内容をもっとわかりやすく、もっと目からウロコにすることなのだと思うけど、では実際にどうしたらそうなるのか、というのは私も教えてほしいところだ。

●ネームは何度もお直しよ!

講義の進め方として、長年かかって、コマ割りの解説を中心にし、実技として4ページの作品を二本作ってもらう、という形にまでこぎつけた。マンガの命はコマ割り。でも、それぞれの癖やリズムがあるから一般化するのも難しく、だから一人づつ短い作品を作ってもらって、それぞれに合うようにお直しをする、というのが授業目的。

毎年、ネームの段階で何度かお直しをするのだ、というのをわかってくれない生徒が多く出るので、そのへんの説明をじっくりする必要がある。

私のセミナーは点数には関係ないので、課題制作や私用で忙しかったりする生徒は毎週の参加はしない。課題内容だけ聞いて、家で仕上げてきちゃったりする生徒もいるのだ。それでは意味がない、とこの辺を声を大にする必要あり。どうしても用事がある人は、せめて受付にネームをおいて私に渡るようにするか、メールに添付で送ってくれるようにと、声を大にする必要あり。先に勝手に仕上げちゃうな、と。



●ウジウジ考えるず手を動かすのよ!

みんな引き出しの中が少ないので、ぱっと簡単なアイデアが出て来ない。そのくせ何かかっこいい作品をという下心は一人前にあるので、ウジウジと頭の中でこね回し、その場(クラスの中)で絵を、ラフを描かない。

で、では4ページの作品を作ってみましょう、ということで、描いてもらおうとすると、ウジウジが始まるのだ。ラフだと言っているのに。とりあえずなにか描いて、そこで駄目なとこ、使えるとこを見て作品に仕上げていくんだから、と言っても、あっちでウジウジ、こっちでウジウジ。

だから、自由課題ではなく、キャラを皆で想定(したことにして、実は私が誘導してる)し、キャラの性格を作りながら、物語(というか、簡単なエピソード)まで決めてしまう。

それでもウジウジして、クラスの中では描かず、家で考えることにしてしまう生徒がいる。後回しはよくないぞー。「傑作を求めているのではなく、作品を一つ仕上げるのを目的としてるんだから、怖がらずにどんどん描いて!」を何度か言うのだが、更に声を大にする必要あり。

●コマ割りとは時間を作ることよ!

二次元の紙の上で時間をつくることが、コマ割りの大きな役目だ。時間を作るとは、主人公の感情の動きを作ること。なぜなら、焦って慌てて早く時間が過ぎたり、恐怖や驚きで、ほんの数秒が長く感じられたりるすからだ。

先日、トイレで、ふと、「そうか、例えばアクションのスピードの速い場面1ページとゆったりお話をする場面1ページを作ってもらって、自分で比較できたら、『コマ割=時間を作る』の意味が分かってくれるかも!」と思いついた。

私が便秘気味であるので、トイレでは割と瞑想時間が得られるのだ。漫画雑誌読みの時間に当ててしまうことが多かったのを、何も手に持たないで座ってみた結果だ。もっとも、その前に漫画雑誌をペラペラとめくってみたのが反芻されたのかもしれない。

自分では当たり前すぎて、今さら声を出すことでもなかろう......と思ってしまうのを反省する。毎年、そういう目に遭ってるはずなのに、ついつい繰り返してしまう。当たり前すぎて、「今さら声を出すことでもなかろう」ということが意識にすら上がってこないというのを問題にする必要あり。

●要するにひとことで言うとメリハリの世界なのよ!

「メリハリ」という言葉の訳がイタリア語にない。他の国の言語であるなら教えてほしい。そもそも、メリハリとは......「メリハリ」は「めりかり」が転じた言葉である。「メリカリ」とは、低い音を「滅り(めり)」、高い音を「上り・甲(かり)」と呼んでいた邦楽用語のひとつで、......だそうです。訳がないわけだ。
< http://gogen-allguide.com/me/merihari.html
>

「強弱をつける」とか「山と谷を作る」とか訳せば近くなるか。例えば、速いスピードのアクションシーン(具体的にはいくつか連続するコマがそれぞれまったく違うアングルを持つ)ばかり全編にあったら、どんなにうまいコマ割りをしても、アクションのスピード感が減じてしまう。

で、1ページのスピード感を出すコマ運び、そして別の1ページでゆったり時間(アクションの後、止まってハァハァ言ってるとか)(具体的には、連続するコマでそれぞれのアングルを大きく変えない)を表現するコマ運び、で、なんとかひとつの話としてつながるようなシーンを選んだら、生徒たちによりわかり易くなるかも。

●時間の表現とキャラの感情表現とを分けてみたらどうか

時間を表現することと、キャラの感情を表現することっていうのを、ふたついっぺんに学習してもらおうとするからわかりにくくなるのかもしれない。後ろ髪引かれつつ、一度分けてコマ割りを作ってもらうほうがいいかもしれない。

つまり、一回目の作品は時間を表現することに専念する。二回目でキャラの感情をも表現する。これはやったことがなかったので、やってみる価値アリ。トイレの瞑想は役に立つ。

【みどり】midorigo@mac.com

イタリア、猛暑です。平気で40度近くになります。我が家は郊外で、緑が多いので街中に比べると楽なのだけど、窓から入ってくるのはドライヤーのような風。冷房なくてもいられるだけまし? 冷房がないから、我慢するほかないのだけど。

仕事でベネツィアを回ってきました。「裕福」になった中国から観光客が増え、おかげで、日本人と中国人の違いがベネツィアの観光業のイタリア人にはよくわかってきたようです。こちらが日本人だと分かると、お行儀の良いこと、礼儀正しいことを褒められ、ベネチアングラスの店や画廊の主人からは、本物がわかる人々であることなど、さんざん賞賛されました。

別の不安。ベネツィアにも中国人経営の店が増え、中国産の「ベネツィアグラス」が増えてるそうです。ただ、儲ければいい、という店は中国産の偽ベネチアングラスを安価で売る。確かに、れっきとした店で50ユーロで売ってるお皿とよく似たものを5ユーロで売る屋台や店を見かけました。

でも、見てるといまいち品格に欠ける。おみやげならそんな値段のほうがいいんでしょうね。店を構えてて頭が痛いのは家賃の値上げ。でも、文句を言うと、中国人なら言い値で借りてくれるから、出て行ってくれていいと言われるのだそうです(移民してきた中国人たちは、その地の正規の銀行に頼らずに、彼らの世界で金の貸し借りができるそうなのです)。

ベネツィアが中国人と偽物に乗っ取られてしまう??? こういうこと、ベネツィア以外の世界中の都市で起こっているのではないかと危惧してます。

イタリア語の単語を覚えられます!というメルマガ出してます。
< http://archive.mag2.com/0000075559/index.html
>