Otakuワールドへようこそ![142]今までで最高の人出のデザフェスにて/GrowHair

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デザフェスってこんなに混雑するイベントだったっけ? と思っていたら、デザフェスの中の人からツイッターで「過去最高の来場者数を記録しました!」というツイートがあった。今回初めて見に来人が多かったようで、若干おとなしめの印象があったが、全体的には、絵画や造形などの真面目なアート作品の発表から、音楽演奏やダンスやパフォーマンスから、前衛的で真面目なんだかふざけてるんだかよく分からないインスタレーションまで、膨大なエネルギーに圧倒されるカオスな空間が展開された。11月12日(土)、13日(日)の2日間、いつものように東京ビッグサイトで開催されたアートの祭典。

私にとっては、セーラー服を着てうろついても場の空気を壊していない、貴重な機会である。けど、今回は、人が多い割には、全体的におとなしく、お行儀がよく、遠慮がちな印象があった。いつもだと、私の姿を見かけるなり「写真撮らせてくださーい」と声をかけてくる人がひっきりなしで、なかなか前に進めなかったのだが、今回は撮りたそうにしながらも声をかけるのをためらい、誰かが声をかけたら便乗して撮ろうと様子をうかがっているふうの人が多かった。人がごった返しているせいで、すれ違う人など至近距離まで来て初めて私の姿に気がついて、びくっとなってる人がよくいた。



●アイドルは一挙手一投足が見られている

私が出展者側として初めて参加したのは'09年の秋。以来、春秋春ときて、今回のが5回目の出展参加になる。初めてのときは、アートを専攻したわけでもない私なんぞが参加してすみません、な気分で、小さく身を縮めておっかなびっくりという感じだったが、2回目にはすでに大胆にはっちゃけていた。

2日目にキャンディ・ミルキィさんが来ることを事前に知り、それならこちらも敬意を表してそれなりの格好で迎撃しようと思ったのが、人がいっぱいいる公の場にセーラー服姿で出た始まり。初めてのときはドキドキ→見た人の反応がポジティブでノリノリ→名物のように言われ始めて引っ込みがつかないことに(←いま、このへん)。

前回までは、セーラー服持参で行って、会場のトイレで着替えていた。初めてウチから着て出掛けたのは6月11日(土)のことで、神奈川県の鶴見にあるラーメン屋が「30歳以上でセーラー服で来店するとラーメン1杯タダ」という企画を掲げているのに乗っかって、タダでゴチになって来たのであった。なので、ウチから着て出てデザフェスに参加するのは今回が初めて。

初日、往きのりんかい線で、ドアの右脇に立っていると、左後ろの右端のシートに座っている若い女性2人が明らかにこっちを気にしている。雰囲気からしてデザフェスに向かっているようだ。国際展示場駅で降りて、エスカレータで地上階に上がると、改札口を出る手前で声をかけられ、その場で写真撮影。やはり目的地はデザフェスだそうで。それが最初のショット。

2日目の帰り、真夜中近くなってウチの最寄り駅の改札口を出ると、楽器を抱えた若い男性が2人、多分、仲間が来るのを待っているのであろう、立っている。その前をさも普通のことのように歩いたら、すぐに追いかけてきて「写真撮らせてください」と。ライブで演奏してきた帰りだという。それが最後のショット。

アイドルはウチを出てからウチに帰り着くまでがアイドル。ひっきりなしに人から見られているので、気が抜けない。気が抜けないと言いながら、メシを食った後などちょっとうとうとしてると、すぐに誰かに写真を撮られてツイッターにうpられる。

そうでなくても「セーラー服着たおじいちゃんがケバブめっちゃ食べてる」とか「紺のハイソックス(にはちと足りないが)に黒のローファー」とか。あ゛ー、それ、単にハイソックスがずり下がってただけです。普通の行為やちょっとした身だしなみの隙などが常に細かくチェックされてる。ひえ〜アイドルってたいへん。

●縛られてカメラの放列が

今回は、「関東アンダーグラウンド集会」というグループに混ぜてもらい、和風でホラーな展示をした。私の写真は、いつもだと被写体が人形なのだが、今回は人物。出展者仲間と自分。暗いエリアの角地。同じ列の3つぐらい隣のブースは、SMチックな縛りを実演していた。ブース名は「東京棲んでるガールズ」。縄師はハララビハビコさんという女性で、SMにおける女王様という感じのいでたち。来場者から希望者を募り、赤い太めの縄で縛ってくれる。

映像監督の寺嶋真里さんと一緒に見て回っていたときで、「ねえねえ、縛られてみようよー」と誘われる。寺嶋さんが先で、次に私。いや、寺嶋さんもノリノリで、見物する人たちへのサービスで、アヘアヘ顔。昭和のAV女優みたいだと言った人がいた。私の番になったら、人だかりがさらにすごいことに。「撮影OKでーす」と言ったら、ものすごい数のカメラが向けられた。レンズレンズレンズ......。レンズ畑。

どんな縛り方をするかは事前に希望を聞いてくれる。寺嶋さんは上半身を縛られ、胸が強調されていた。私のときは、あれでいいですか? と何だったかのぬいぐるみを指され、見ると亀甲縛りにされている。はい、じゃ、それで。首にかけられた縄に上から下へと次々にコブコブが作られていき、股を通って背中へ。亀甲にしていくと、締め付けられる。ああっ。って、たぶん緩めに縛ってくれているようで、それほどの拘束感ではない。けど、こっちが体を動かすと、股を通っているのが食い込んできて、ああっ。こんな状態をめっちゃ大勢に凝視されているという羞恥感覚がたまらない。

●写真を手渡ししてくれた可愛いコの謎

2日目の夕方、展示を見て回っていると、若くてめっちゃわかいいコが近づいてきた。私をずっと探していたそうである。前回5月に撮った2ショ写真を渡そうと持って歩いていた、と。ややや、ありがとうございますっ。おおお、かわえ〜。あ、自分がじゃなくて、自分もだけど、そのコが。まるで作りもののようなかわいさで、清純で、メルヘンチックで、ファンタジーの世界に生きてる感じ。

あつかましくも、デジタルデータでももらえないかと聞いてみたところ「そういうのはよく分からないんで」という。そうそう、そうだよね、デジタルとかよく分かんないよね。私もデジカメなんて使い始めたのはそうとう遅かったし、ケータイなんていまだに所有したことないし。

自慢したいので、写真の写真撮ってネットに上げてもいいかと聞くと「恥ずかしいので、それはちょっと」という。はいはい、しませんからご安心を。写真はOP袋に入れられ、ショートケーキのイラストの小さなシールで封をしてある。裏側に、ミッキーマウスの小さなメモ用紙が入っていて、ピンクのペンでmixiの8桁のID番号が書かれ「よかったらマイミクに追加してやってください」とある。

やあ、うれしいなぁ。ネットで検索かけて見つけ出し、メールでコンタクト、みたいな便利なことは考えもせず、プリントした写真にメッセージを添えて持ち歩いて探し出してくれた、というアナログ感覚がとてもよい。と、ここまでならいい話、で終わっちゃうんだけど、話の続きは謎めいてくる。

帰って、さっそくmixiで見つけ出す。あれぇ? ID番号、打ち間違えたか? 顔が分からないよう、口から胸にかけてだけのアップの写真。会ったときの印象とはうって変わって、お色気ムンムン。真っ赤な口紅。プロフィールに「かわいいものが大好き♪なごく普通の女の子」とあるのはいいとして、「しかし、その実態はただの変態ロリコン野郎である」と続く。

え? もしかして、いま流行りの男の娘? 「こんな可愛い子が男の子のはずがない」のフレーズが頭の中をぐるぐる。ね、ね、そうだよね、女の子だよね?けど、過去には、面と向かって話をしてさえ、男の子とは思えなかった完璧な女装子さんを何人も見たことがあるし。うーん、うーん。どっちなんだろう。

mixiだと、ナンパ目的のメッセージやらマイミク申請がどさどさ寄せられるのが鬱陶しいってことで、ナンパよけに男の子のふりをする子がよくいるし。ね、ね、そっちだよね? ま、性別なんて細かいこと気にしなきゃいいんだけど。でもやっぱり気になる。

といって、人に性別聞くのも失礼だよなぁ。さてどうしたもんか。もしかしたらID番号の写し間違え、ってこともあるかもしれないから、マイミク申請する前にメッセージを送ってみよう。「プロフィール欄をみてちょっと混乱しまして......」と言い訳を述べつつ、聞いてみる。

ほどなく返信が来て「女性ですよ〜」と。ああよかった。ような、普通すぎてちょっとがっかり、なような。女子ばかりの美術大学(って、そこしかないのかな?)の4年生だそうで。卒業制作にいそしむ日々を過ごしているそうで。なら、卒制展、見に行きます、なんてやりとりをしている。

これって、おっさんがセーラー服着て歩いたらマジにモテてるってことだよね?モテないとお嘆きの貴兄におかれましても、ぜひひとつ試してみてはいかがでしょうか。

●アートはどこに?

全体的な印象として、来場者が増えたのはいいこととして、なんとなくおとなしくまとまってきた感じ。いや、展示のレベル自体は上がっていて、真面目な姿勢で全力を尽くしてアートに向かっていく情熱を感じさせる力作が多いのは確か。けど、デザフェスって、なんでもありの、学園祭ノリのカオスなお祭りムードなところもまたよくて。

奇抜さ、異様さ、不気味さで勝負、みたいな。ここまで病んじまった変な俺を見てくれー! と絶叫しているような勘違い系アートとか。いや、私のもそのカテゴリーなんだけど。もう写真集とか出しそうな勢いの自分被写体ナルシシズム全開写真。

カオスよりも秩序が際立ったのは、服飾やアクセサリーのコーナーが特に。ファッションタウン。若い女性でにぎわっている。デザフェスの出展条件は、自分で作ったものを展示すること、ほぼそれだけ。プロアマを問わない。なので、実店舗を構えているお店が、デザフェスでも出店というケースがけっこう多いように見える。

ブースの借り賃がけっこう高い上に、そういうプロフェッショナルなところは、ちゃんとした作りの店を構えるので、設営にかかる費用はそうとうだろう。デザフェスの2日間で採算とるのは難しそうだけど、宣伝の場と割り切れば、この機会に知ってもらって、実店舗へ誘導して常連さんゲットという流れにもって行く狙いで、ペイするのでしょう、きっと。

見る側にとっても、実際のストリートで100軒以上の店舗を回ろうとしたら、足を棒にして歩かないとならないけど、デザフェスだとひとつのブースは間口が1.8mで、展示物がコンパクトにまとまっているので、たくさんの店舗を見るのに都合がよい。双方にとってメリットがあり、このエリアはアートというよりも商業区域といった感じ。いや、もちろん歩いていて楽しいのは間違いないんだけどね。

ただ、全体的に、脱力系、おバカノリだったり、病んでる系、カオス系の展示がやや勢いが衰えたか、という感じがするあたり、若干さびしい気が。デザフェス名物のオレパンダーさん、私はお会いしそびれてしまったが、今回もいらっしゃったそうで。もっと目立つように歩き回っちゃってもよろしかったんではないかなー、なんて。

naoさんという、アングラ系・サブカル系のイベントを中心に人物写真を撮っている方がいて、デザフェスではあらかじめリストアップしておいたソレ系アレ系のブースを回り、奇抜ないでたちの人々を連れ出し、ぞろぞろと引き連れて練り歩く。私ももうすっかり狙いをつけられている。今回はゾンビがテーマだったそうだけど、ゾンビでない人も、ある水準の異様さを呈していればOKってことで、引っ張り込まれる。

一人でもそうとうな強烈な人が、かき集められるとたいへん強力な集団となる。集合写真など撮り始めると、すごい数の人だかりが形成される。踊る阿呆に見る阿呆っていうけど、見られる側の快感を知ってしまうと、ちょっと手放せそうにない。

さて、結局、これぞアートだな、としみじみ思えたのはいつかというと......。2日目の午後7時にイベントは終了する。それから9時までの2時間で、撤収しなくてはならない。9時近くなり、あらかたのブースが片付き、西ホールの大きな空間が広々と見渡せるようになってくると、ライブペイントで描かれた絵が取り残されているのが際立つ。ばかでかい白い壁に二日がかりで描かれた力作の数々。見る人はもういない。あとは片付けられる、つまりは捨てられるのを待つばかり。見る人はいないけど、そこに存在しているだけの実体。作品とゴミの中間。純粋なエネルギーの結晶。

いつも思うけど、りんかい線の国際展示場駅に向かって、やけに暗く、だだっ広い空間を歩くとき、さっきまでのあの喧騒が嘘のように静寂なムードになり、深い感動が一気に押し寄せてきて、ああこれでよかったんだ、となんだかしみじみと自分の人生を肯定できる瞬間が訪れる。今回はセーラー服姿でそれを思う、48歳の初冬であった。

●おまけ:人々の反応

ツイッターで、「セーラー服」に「デザフェス」「おじさん」「おっさん」「髭」などを組み合わせて検索かけると、ざっと50件ばかりのツイートが収穫できました。

◎あー、びっくりしたなぁ、もう系。

・足キレーってひそひそ言われてる人がいたのでどんな美脚が! と振り返ったら、セーラー服姿の白髪なおじさまが...
・やけに足の綺麗な爺さんがミニスカセーラー服のコスプレしてたwww あれはアートじゃなくてテロだろwww
・デザフェスで一番衝撃的だったのはセーラー服を着た白髪のおじいさん
・おっさんがセーラー服きて威風堂々と歩いとる...っ、デザフェスあなや恐ろしい...
・剥げた髭もじゃのおじいさんがセーラー服着てた、、あれは妖精?
・ピンクのファー付の学生鞄持ってニーソで革靴でも変じゃないと言えるのか?ww RT でもセーラー服ってもともと水兵さんの服だからおじいちゃんが着ててもおかしくない
・今サンクスで頭はげてて白髪のメガネでセーラー服きたおじいさんと遭遇した。かたまってしまった

◎ぜんぜんびっくりしない系。

・セーラー服着たおじさんがいても何ら違和感のない空間
・今、セーラー服着たおじさん、というよりおじいちゃんがブースの前を通ったw That's デザフェス

◎否定はしないけど系。

・セーラー服をさりげなく着こなして颯爽と歩くオジサンが。あ、セーラー服...え?! 振り返って二度見! 違和感あるんだけどない! 似合ってたなー。って、その人有名人だったらしい
・ミニのセーラー服着たおじぃちゃんがいる。。サンタクロース並みの髭は、おさげの三つ編み。。まぁ、表現の自由だがさ。
・新宿なう。白髪のじーちゃんがスカート丈膝上のセーラー服着て歩いてるよ。いろんな意味で勇者だ...

◎肯定的な方も。

・セーラー服おじいさんなんぞwwwwwwwwwwwwwwwwかわええなおいwwwwwwwwwww
・セーラー服きたおじいさんいました。髭のピンクリボンが不思議と可憐
・セーラー服がかわいい白髪髭のおじいちゃ、、、ん?
・そういや今回のデザフェスもセーラー服じいちゃん見た、あの人見るのが楽しみでデザフェス行ってる節もある
・デザフェスで見たセーラー服着たおじいちゃんのスネが眩しすぎて、自分まだまだだと思った
・そういえば、デザフェスで眼鏡かけたおじさんがセーラー服着てて気持ち悪かったです(※褒め言葉)
・偶然の相席、なんとも紳士な方でした!
・この間某所でセーラー服を着たおっさんをはじめて生でみたんだが、その堂々した姿に思わず「生きろ、そなたは美しい」とその場でつぶやいてしまった。どんな服であれ見事に着こなされると違和感がない。ほんとに

◎誰似?

・宮崎駿みたいなおっさんがセーラー服着て亀甲縛りされてた。流石にちょっと面白かった。
・冥王レイリー風のおじいさんがセーラー服を着て歩いている((((^o^))))
・鈴木清順監督似のおじいちゃんがセーラー服着てた
・仙人みたいな長いヒゲを生やしたオッさんがセーラー服着てたでござる
・埼京線なうです。セーラー服着たおじいちゃんが乗ってきた。セーラー服に白い髭ってミスマッチね。あ、もしかして新手のサンタさん?Σ(`・ω・´;)

◎特定されとるやん。

・グロウヘアーさん縛られとるwww
・アングラ界では海外においても有名なGrowhairさんと少しお話していた。いい方
・growhairさんっていう美術家さんで、ベネチアをセーラー服で歩いてる人なんですよー
・首都のセーラー服おじいさん‥ことGrowHairさん! 見つけた瞬間に写真いいですか! と声おかけしたんですが、それをきっかけにGrowHairさん撮影大会が・・w すごくかわいい
・入場して真っ先に暗いブースみにいって、いきなりグロウヘアさん発見して、しかも公開緊縛されていたww今回はルーズソックスじゃないらしい。古いってゆわれたから今時JKみたく紺ソックスにしてみたんだって。探そうとしなくても存在感放ちすぎてすぐ見つかるww

< http://www.designfesta.com/ > デザフェスのサイト

< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/DesignFesta1111 >
ツイッターに上がっていた写真。アルバムにいただき

< http://qhoto.org > nao さんのサイト。写真多数。若干グロ注意。
今回のもまもなくアップされるでしょう

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
デザドル(←デザフェスのアイドル)。

祖国の体制に何の不満あってか、密航を企てた不届き者がおり。11月6日(日)は下北沢のスタジオにて英語の授業の第2回。生徒は真剣にアイドルを目指すリアル女子中学生・高校生9人。みんなめっちゃかわいい。講師は私。セーラー服姿なのは、単なる趣味で。始めますと言ってスクールバッグから資料を取り出そうとすると──。ぴょんと飛び出してきた茶色いやつ。ゴキやん。ささっと走ってピアノの後ろに逃げ込む。女子中学生・高校生の群れの前にゴキを放つとどんな騒ぎになるかを思い知らされる。いつ出てくるかとみんな気が気ではなく、スプレーで仕留めるまでの15分間はほぼ授業にならず。反省。成果は12月25日(日)のライブで発表されます。詳細決まったら告知します。