気になるデザイン[69]金の箔押し・パワー爆裂と静謐と/津田淳子

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01.jpg昨日、書店でレジに向かうと、何やらキラキラしたものが山積みされている。おおおっ! これが噂の「週刊少年ジャンプ」か!!

噂も何も、ジャンプなんてみなさんめちゃくちゃよくご存知のマンガ誌だと思うのですが、今週号はすごい。何がすごいかというと、こち亀連載35周年記念で、表紙に金の箔押しがされているのだ。

全盛期に比べれば部数は落ちているんでしょうが、今でも数百万部は刷ってるであろうジャンプで、箔押しする(価格は250円)ってだけでもすごいのに、表紙の天地両部分に押され(箔押しは押す面積が広ければ広いほど高くなる)、かつ箔押し部分には、こち亀主人公の両さんが象られた小判模様まで押されている! ネットを探したけど画像が見当たらないので、こちらをご参照下さい。

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もしくは全国あまねく売られていると思いますので、現物をぜひともご覧ください(諸島部など発売が遅れる地域の方はしばしお待ちを)。



これは箔押しをする際に使用する金属版に、あらかじめ両さん小判の模様を入れ、それで熱と圧をかけて箔を押すと、箔が紙に転写されると同時に、版の小判模様も押されて、箔の表面に細かい凸凹ができて模様となるんです。

日本では通常の平らな箔押しが圧倒的に多いのですが、版さえつくればこうした模様入りの箔押しも、加工工程は通常の箔押しと変わりないので、有効な加工方法だと思います。

というわけで、超大部数のものに、広い面積で、かつ模様入り箔押しがされている。書店でキラキラ目立ち、手にとった時に小判がホントに神々しい。すばらしい加工使いに「即買い」した週刊少年ジャンプが、今回の気になる装丁の一冊目。

気になる装丁のもう一冊は、『ヴァニティ』(唯川恵著/光文社刊/定価900円+税)。ブックデザインは鈴木久美さん、イラストレーションは網中いづるさん。
< http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334927851 >

これは書店に置かれてるのを見たとき、なんだか海外のペーパーバックのような感じが気になったもの。そして手にとって、本の軽さに驚き、開いたときのしなやかさにさらにやられて、レジ行きに。

書籍ながらカバーはなく、表紙がむきだしになっているんですが、その表紙の淡いグリーンの色合い、そしてそこにタイトルがひっそりと金で箔押しされていて、同じ箔押しがされている本といっても、前述したパワー爆裂の週刊少年ジャンプとは対極の、静謐で密やかな感じのする本書。

この本は、短編集なのですが、各短編ごとに本文の組み方が変えられ、かつ刷り込まれたイラストも各々色が変えて刷られていて、本を読む楽しみを増幅させてくれる。

軽くて気軽に読めていいなぁと思いながら電車の中で楽しみましたが、最後の「おわりに」に、著者自身がこんなことを書かれていました。

──(前省)そういう意味で、いつもとはちょっとテイストの違ったものが含まれている。こんな形で一冊の本が出来上がるとは思ってもいなかった。同時に、いつもと違う形で生まれた小説集なら、いつもの単行本とは違う形にしたいと思った。

カバーも帯も使わず、軽装で、バッグの中に簡単に放り込め、くるっと丸めて手に持つこともできる、ある意味、雑誌に近い、そんな本にしたかった。大切に本棚に並べてもらえるのも有難いが、時には、端っこが折られたり、紙がくしゃくしゃになっても構わない、朝ベッドで目覚めたら自分の体の下で潰れていた、そんな本があってもいいのではないかと考えたのだ。(後省)──

なるほど、その通りの本に仕上がって、読んだ私もそれを新鮮に思って読んでいた。こうして著者の思いが形になってできた本、すてきだなぁ。

そうそう、最後に「装丁」がらみで、ひとつ告知をさせてください。紙商社の竹尾の見本貼本店で、先週末から開かれている「感じる装丁」展。これは日本図書設計家協会の装丁・装画家68人が『星の王子さま』、『クリスマス・キャロル』、『竹取物語』のオリジナルブックカバーを作成して展示してあります。

その関連イベントで、出品者の上野かおるさん、清原一隆さんと一緒に、12月13日(火)18:30からトークショーを開催します。申し込みは本日29日(火)まで。参加費無料ですので、ご興味ある方はぜひおいで下さい。申し込みはこちらです。
< http://www.takeo.co.jp/site/event/central/201106.html >

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp twitter: @tsudajunko

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デザインのひきだし・制作日記 < http://dhikidashi.exblog.jp/ >