アナログステージ[67]メーカの責任と自己責任の境界線──後編/べちおサマンサ

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こんにちは。「♪もーいーくつーねーるとーおしょーおーがーつー♪」というような感じで、あと26回寝るとお正月になってしまうという現実が、目の前にきました。あーやだやだ。今年を振り返るにはまだ早いですが、2011年の正月からまだ一ヶ月しか経っていない気がします。夏が暑かったのかさえ疑問に感じてしまったり。

そんなこんなで前回の続きです。続きというよりも、実は前回配信した数日後には、レッドゾーンを越えていた立腹指数がケロっと下がってしまい、なんであそこまで怒っていたのかさえ謎になってしまったり。もともと「怒る」という感情が薄いせいもあるけれど......。

・メーカの責任と自己責任の境界線──前編
< http://bn.dgcr.com/archives/20111122140300.html >




●数日後には膨らんだ風船が萎む

話し合いの結果、「製品評価を伴うコストダウンに繋がるのなら、イニシャル(初期費用)は掛かってしまうのは仕方ない」という、いたって当たり前の判定を某役員が出してきたので、「それならば話は変わってくるので、下請けさんに協力して貰えるように頑張る」と、パンパンに膨らんだ風船の口から、空気が一気に漏れ出して萎んだ状態になったのです。

イニシャルコストを親会社が出す、出さないで、下請けさんの動きは当然変わりますし、下請けさんにしたら、「なんでアンタんとこの仕事なのにウチが自腹で投資しなきゃいけないのよ」となるのは当然。作業工具や、ほかの仕事でも必要になる設備などは、自社(下請けさん)で賄うが、ウチの仕事にしか使わない、ほかには使えない、というものは、親会社が面倒をみるのは当然。

そこを何か勘違いして、「仕事をあげてるんだから、そのくらい自分のところで頑張りなさいよ」というのは、まったくもって筋違いの一言なのです。仕様変更に伴う出費が数万円程度なら、「継続して受注貰えるなら、まぁ、そのくらいは仕方ないかなぁ」と妥協してしまう下請けさんも、中にはいるかもしれないが、数十万単位での出費になると、さすがに「まぁ、いっか」レベルにはならないはず。いまのご時世で、そんな太っ腹な会社は、まずないでしょう。

ここで、ウチ(会社)が「一円たりとも出しません、企業努力でなんとかしてくださいね」なんて突っ張ったとしたら、下請けさんが取る行動は、出して貰えないイニシャルコストを、半年や一年で回収できるように、製品単価に上乗せするか、仕事を断るかのどちらかになる。下請けさんサイドからしたら、逃げ道はこのふたつしかないということを、某役員は全然分かっていない。

いや、分かっているからこそ、イニシャル分割上乗せをさせないために、「ついでだから、コストも下がる変更をしてね」という発言をしたのか......。うーん、姑息だ。なんだか原稿書いているうちに、怒りがまた込み上げてきた。変にムカムカするのも嫌なので、この辺の話は終わり。

●『予想を上回るかた』が世界にはいっぱい

やっとタイトルの本題? になりますが、前回の最後のほうで、メーカの安全責任とユーザの自己責任について触れましたが、ここ数年、この境界線の幅がとても狭くなってきているように感じます。製品不具合が発生した場合、これは当然メーカ責任になりますが、そうではなく、メーカが予想もしていない使いかたをユーザが行い、そこから発生した事故は、どちらの責任になるのか?というような話は、読者さんも、よく耳にしていると思います。

結局は、ニュースになって企業イメージを悪くなることを避けて、メーカ責任というよりは、『内密に和解』となるケースが殆どですが、メーカも「まさかそんな使いかたをするとは...」と納得できないところもあったりするはずです。日本国内だけでなく、世界中に出荷しているメーカさんなら、なおさら、「予想を上回る人種」がいることを痛感していると思います。うちみたいに、使用する人が限られた特殊な装置なのに、予想を上回る人がかなりいらっしゃるので、汎用だと、本当に大変だと...。

責任回避(裁判になっても負けない)のためにできることは、前回も書いたとおり、メーカサイドが、現状で可能な限りの安全を組み込むのと、マニュアル(取扱い説明書みたいな冊子)の完成度を高める、この2点がポイントとなる。しかし、先ほど書いたように、予想を上回るユーザはたくさんいる。その人たちから回避するとなると、マニュアルは辞典並みの厚さになってしまい、製品よりもコストが掛かり、本当の意味できりがなくなってしまう。

【このCD-Rで次のような取扱いは大変危険ですのでお止めください】
1:ブーメランとして遊ないでください(投げても戻ってきません)
2:お皿の代わりにしてCD-Rの上に食べ物をのせないでください
3:カラス避けに紐でぶら下げないでください。日光が反射し、危険です
4:街で笑われる可能性が高いため、CD-Rを繋げてメガネとして使用しないでください
5:CD-Rを積み重ねてベッドとして使用しないでください。崩れ落ちる可能性があります

など、本当に書き出したら大変なことになってしまう。しかし、予想を上回るかたは、ブーメランのような機能を期待して、CD-Rを公園や河原で投げてみるも、戻ってこないCD-Rに怒りを覚え、帰宅早々にサポートセンターに苦情の電話を入れたりするのだ。

「ありがとうございます、○○○お客様サポートセンターでございます」
「もしもし? 先日購入したCD-Rなんですけど、ブーメランのように投げても自分のところに戻ってこないんですけど、どうなってるんですかね?」
「お客様、大変申し訳ございません、ご購入いただきましたCD-Rでございますが、こちらは、データ記録メディアとなっておりまして、ブーメランのようにお使いいただくことはできない製品となっております」

「そうならば、なぜ取説に書いてないんですか? 期待して投げてみたのにガッカリですよ! 時間のムダですよ! なんなんスか! ハァハァ」
「申し訳ございません、今後の製品改善のため、お申し出の内容を、弊社の技術センターに報告いたしますので、お客様のご連絡先を教えていただけますでしょうか」
「もういいですよ、おたくの製品はもう二度と買いません! ガチャ」

というような、サポセンに電話するまえに119番に電話しなさいよ的な、ケースが、実はウチの会社にあったことがある。あまり詳しくは書けないのですが、完全に使用目的から外れた使いかたを試みようとしたが、動かないことに「こんな(金額が)高い装置なのに、なんでできないんだ!」みたいなクレームが技術サポートにあった。

それ以来、仕様書というか、オペレートマニュアルに、「このような使いかたはできませんのでご了承ください」という記述が数点加わったのですが、その内容といえば、「車で空を飛行することはできません」というような、なんとも気の毒なテキストをのせる羽目になった。

ハード的なことばかりではなく、ソフトウェアにも、いろいろと予想を上回るユーザさんがいるのはご周知の通りで、これも大変な思いをされているメーカさんがいらっしゃると予想いたします。

例えば、メールを書いて送るのは、利用しているユーザさんで、そのソフトを開発した会社ではない。送信先を間違えて送ってしまったり、画像や資料を間違って添付して送ってしまうのも、ユーザさんであり、ソフトを開発した会社ではない。指定したアドレスと違う宛先に、勝手に送ったりするようなバグがあるならその会社の責任になるが、自分で間違えたものを「確認アナウンスを出さないのが悪い」や、「添付を忘れたのは(間違ったのは)、メーラーのシステムとして欠落している」など、メーカの責にするのはいかがなものだろう。

ユーザが本来の製品をもとに、個々に応用した使いかたは、とても使い勝手に優れ、便利になったりする。メーカも気付いていなかった製品の裏の顔を、ユーザさんによって教えていただくことも多々ある。それを元に、次回のバージョンアップで標準仕様に加えたり、そこから発生していくアイデアもたくさんある。

『なにをとっても完璧なメーカ』というのは、今後も存在しないだろうし、ありえない。ユーザと共に育っていき、時代にあった仕様をリリースしていくのはメーカの責任でもある。なので、ネコを洗濯機で洗ったり、石油ストーブを背負って通勤するなど、都市伝説になるような使いかたは、ぜひとも避けていただきたいものです。

【べちおサマンサ】pipelinehot@yokohama.email.ne.jp
某ナノテク業界の技術開発屋。NDA拘束員。
< http://start.io/bachio > ←まとめ

○茶目(browneyes)さんの真似っこして、start.ioで纏めてみました ニッ/ちょっと前の後記で、「FEEDさせすぎて複雑に絡まって何がなんだか分からなくなっている状態」って書いたのですが、その後、一旦整理してみようと紐解きを始めるも、面倒になってリタイア/紐解きでひとつ気になったのが、メインのPosterousを更新すると、BUZZにFEEDかかるのだが、設定したつもりもないし、どこでBUZZが拾っているのか、ぜーんぜん分からんのです/はじめはBUZZとは気がつかず、ぐ+(Google+)にFEEDされているのと勘違いしていたり/ぐ+からはPICASAのほうに画像がFEEDされていることは分かったんだけど、PICASAにもなんでFEEDされるのか謎。設定してないんだよなぁ。調べればいいんだろうけど、これまた面倒なので放置していたり。

○記憶に残っている2週間の出来事→11月23日に、日産スタジアム(新横浜)で開催された、『ウタジアムVel.0』を観賞してきました。今回は、初回ということもあり、120名くらいの合唱参加者さんたちで盛り上げてくれましたが、数年後には、スタジアムを埋め尽くすような人数(合唱参加者)になることを楽しみにしております→野毛大道芸へ初めて足を運んでみました。大道芸よりも、商店街に無数にあるモツ焼き屋さんのほうに気をとられるのは仕方ない。軽くひと回りしたところで、そそくさとモツ焼きフィーバー。いまの生活サイクルだと、貴重な癒しの時間。

・日産スタジアムで第九を歌おう!
< http://www.nissan-stadium.jp/utadium/index.html >

・横浜の下町「野毛」公式ホームページ
< http://www.noge-net.com/ >