Dの憂鬱[07]デザインに手を出すな
── 笠居トシヒロ ──

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毎度、笠居です。と言うか、本年最初のテキストでしたね。ミナサマ、明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。m(_ _)m

昨年末は、怒涛のサイトリリースラッシュで、デジクリの原稿も一回落としてしまいました。m(_ _)m

でもって、年賀状も全く出せず、いろんな方々にも不義理をしてしまいました。ほんとゴメンナサイ。m(_ _)m

で、まぁ、忙しい忙しいと言ってても、ディレクターってのはデザイナーみたいに自分自身で手を動かすことはないわけで、仕事内容のほとんどは「調整」なわけです。

調整って何よ、そんな事言っても特に何もやってないでしょ? と思われる方も多いかと思います。オレも自分がデザイナー仕事メインでやってたときはそう思ってましたw(ごめんね>その頃のディレクター諸氏)

まずディレクションで大事なのは「握る」とう作業。これにはふたつの意味があって、まずはクライアントの要望や嗜好をしっかりと把握するということ。これをしっかりやらないと、制作に入ってから大どんでん返し→なんだよこんなの頼んだこととぜんぜん違う(ぜんぜん、はオーバーだけど、わりとよくある話)じゃん! 全部最初からやり直し!なんてことになりかねません。




もうひとつは、この延長線上になりますが、これこれこういう形で進めますよ、大丈夫ですよね? とクライアントとの確約を取り付けること。これには、デザインの方向性だったり、細かいスケジュールだったり、コンテンツ作成上の詳細な規約だったり、といった制作に関わることすべてが含まれます。

この「握る」作業をしっかりやらずに、ぜーんぶ制作サイドに丸投げする方もたまーにいらっしゃいます(^_^;) 「特に要望ないんで好きにやってもらっていいですよ」という導入だった場合は要注意w 十中八九、「クライアントが気に入らないって言ってるんで修正して(でもどこをどういうふうに修正すれば校了になりそうかの方向性指示とかはナシ)」が納期ギリギリまで続くことになります。

逆に優秀なディレクターは、クライアントの要望をしっかり把握し、デザイナーにも的確な方向性指示をしてくれます。それがたとえ「この既存サイトが一番イメージに近いんで、こんな感じで」といったある意味グレーな指示であったとしても、まったくイメージ空っぽな発注よりは全然ましです。

また、いついつまでにこれこれを、といったスケジュールに関しても、事前にクライアントと「握って」いるので、前日になって「やっぱり早めに見せてってクライアントが言ってるんで2日ほどマキで」とか無茶な注文はしません(半日くらいはアリですが(^_^;))。

クライアントにもきちんと「この作業には◯日かかる、と事前に申し上げてますが」という対応ができるし、どうしてもな理由でそういった要望に対応しなければならない場合でも、クライアントに対して「恩を売る」ことができるわけですから、タダで転ばなくて済むということです。

が、実はいちばん厄介なのは、「握ってない」だけではなくて「握ってるつもりで、じつは自分のやりたいようにやる」ディレクターです(^_^;) よくあるのが、デザインの細かい部分に必要以上に注文をつけてくる場合。

もちろん、ディレクターとしては、クライアントだけではなく、デザイナーに対しても上記の「握る」に近いことをしておかなければなりません。その中での一番の課題が「クオリティの担保」です。上がってきたデザインに対して、GOを出せるかどうかの判断は、ディレクターにかかっています。

ですから、デザインに注文を出すのは当然なのですが「どう考えてもそこはクオリティうんぬんと関係ないでしょ?」といった注文を出してくるディレクターがいます。ちょっとした書体の違いだったり、商品の傾き加減だったり、いわば「感性」の部分、人によって良いとも悪いとも取れる部分で、細かい注文を出してくる方。

さらにそこを直すまでにクライアントの指定する期日を過ぎても平気w 遅ればせながら、と提出したものに対してクライアントからの要望が「元に戻して」だったりすると最悪です(^_^;)

そういった方、どうやらデザイナー上がりの方に多いようです。「ちょっとこっちで組んでみたんで、このレイアウトでやって下さい」といった感じでもって来られるわけですが、デザイナー側としてはまぁ、面目丸つぶれなわけですw

ただ、ディレクターサイドとしては、これはじつはやっちゃダメで、どんなに歯がゆくても、制作部分はクリエイターに任せなきゃいけない。クオリティの担保はディレクターの仕事だけど、そこで自分が手出ししちゃうと、デザインテイストがディレクター好みになるだけで、クライアントと「握った」こともご破算になっちゃうし、これから先デザイナーとの信頼関係も築けません。

結果、クライアントからは「あいつに頼むと、どんなコンテンツでも似たようなものしか上がってこない」となるでしょうし、デザイナーからは「あの人の仕事は結局あの人の思い通りにしかならないから、本気でやるのはバカバカしい」となるでしょう。

上にはクリエイトを信頼させ、且つそれ以外の部分(スケジュール等)をコントロールし、下にはクライアントの要望を的確に伝え、実現させる。ぶっちゃけた話、手は動かしてないけど頭はフル回転というこの仕事、思ったほど楽じゃない今日この頃であります。

【笠居 トシヒロ/WEBディレクター、デジハリ大学院客員教授、京都嵯峨芸術大学講師】

年末から私的なトラブル続きで、仕事にも影響が出そうなくらいヤバかったんですが、さすがにここに書くのははばかられるんで、ミナサマお察し下さいということで(^_^;)
色々ご迷惑おかけした方々、すんませんでした。m(_ _)m
#謝ってばっかやなー(^_^;)
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