[3187] そうだ! 嬉しいんだ生きる喜び

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《探してみてください。いや、探さないでください。》

■わが逃走[97]
 東京二十年前の巻
 齋藤 浩

■電網悠語:HTML5時代直前Web再考編[182]
 そうだ! 嬉しいんだ生きる喜び
 三井英樹

■境界線の歩き方[12]
 コスコレに行ってきた☆ダンマス3は家で見ていた
 出渕亮一朗



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■わが逃走[97]
東京二十年前の巻

齋藤 浩
< https://bn.dgcr.com/archives/20120119140300.html
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謹賀新年。

正月にサイタマの実家に帰ったら、着いた早々父から「今日は早く帰れ」と言われた。久々に息子が来ると母が疲れるからという理由だそうだが、そりゃ年相応にくたびれてきてはいるけど母はいたって元気であり、せっかく息子が帰ってきたのになんか他に言い方あるだろ? なんて思わなくもない。

まあそんなこんなで実家ライフはとっとと切り上げ、20時間後には事務所のある東京都世田谷区へ戻ってきたのでした。で、今日ご紹介するのは、そのときに発掘された昔のネガ(20〜30年前のもの)からスキャンした写真。大昔でもないけど、ちょっと前の東京の風景をご覧ください。

私がムサビの学生だった頃、「帝都物語」(荒俣宏)なる小説にハマりまして、その舞台となった帝都・東京の建築たちを記録しておきたい! と思い立ち、何度かカメラ片手にぶらついたことがあります。

ところが私が撮ると、それらの建築はことごとく解体されてしまうのです。それに気づいてからは、しばらく撮影を自粛していたのですが、結局その甲斐もなく、いわゆる名建築とされるものたちはただ四角いだけの味気ない建物に変貌してゆきました。

周りを見渡しても、社会状況も激変した21世紀の今に、敗戦直後に計画された道路拡張工事がスタートしたりと、やはり東京という土地は土建屋にやさしいスクラップ&ビルドの街であることは変わらないようです。

"保存ビジネス"でエラい人が私腹を肥やせる構造を作らない限り、この流れは止められないのでしょうか。文化のない街には経済も育たないと思うんだけどなあ。

おっと、新年早々考え込んじゃうのはいかんです。なつかしくも美しい、ちょっと前の東京をご紹介しましょう。

◎食糧ビルとその周辺

最後の17年間は三階に「佐賀町エキジビットスペース」が入っていたため、かなり知名度はありましたね。それにしてもここが閉鎖されたのが2000年でしたか! まだ5、6年前だと思ってました。うーん、光陰矢の如しです。

この写真を撮影した頃はバブル期だったため、まだ周囲にもかろうじて同時代の建築を見ることができました。つまり、バブル期のバブルな計画は、バブル崩壊後に適用されて、不景気のさなかに名建築の解体ラッシュが起きたのです。

さて、この食糧ビル、狭い道路に囲まれたデカイ建築なので、地面に立って全体像を撮影することは不可能でした。

ああ、この頃15mmレンズを持っていたら! なにせ当時の私の機材はミノルタα7000と28-85mmのズームレンズのみ。塀に背中を押し付けながら撮影して、アーチの続く壁面しか撮れないという状況です。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig01 >
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig02 >

これでなんとかダイナミックな量感と繊細なリズムを感じ取ってくれい!
この建物はがっちりした三階建て(だったと思う)のロの字型ビルで、中庭に入ると、こんな感じ。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig03 >

ヨーロッパの映画にでも出てきそうな雰囲気でした。この食糧ビル、ものの本によれば、1927年(昭和2年)竣工とあります。ふたつの大戦の合間の、自由とか文化とか、そういったことをきちんと主張できた時代を肌で感じることができなくなったことは寂しいかぎりです。
内部。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig04 >
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階段と廊下です。変な威圧感もなく、いい人っぽい感じです。そうなのです、なぜか私は建築に人格を感じてしまうところがあり、食糧ビルや三信ビルなんかはデカイけど話のわかる人って感じがします。それに対して、九段会館や国立博物館などは横暴な性格なのでやや苦手です。

そして、周囲にも小さないい感じの建物がたくさん残っていました。中でもこの旧村林商店はスゴい! エントランスの見事なレリーフを見よ!
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig06 >

おお、中央に籠目模様が配してありますね。なんとも帝都物語な感じです。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig07 >

もう解体されちゃったんだろうなーと思っていたら、なんとまだ現存するらしい!? こいつぁ確かめにいかないと! 近日中に深川へ行くぞ! それまで無事でいてくれ!!

◎同潤会大工町アパートメント

「帝都物語」の重要な脇役にこの「同潤会アパート」があります。プライバシーという概念が日本の文化に浸透してゆく過程を語る、その象徴として登場したんだったと思う(違ったらごめんね。なにせ読んだのは四半世紀前だ)。

同潤会アパートといえば、表参道ヒルズとなってしまった青山アパートメントが有名ですが、美しさでいえばこの大工町アパートメントの方が上でしょう。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig08 >

中央の円筒内の階段は、立体としても空間としても絶妙なオーラを放っていました。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig09 >
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig10 >

◎聖路加病院

行ったときにはすでに手遅れ、解体作業中の悲しい姿です。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig11 >

一部は保存されたらしいから、また行ってみようかと思う。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig12 >

聖路加病院といえば塔の部分が有名だが、裏手のちょっとした扉周辺も美しかったりします。
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig13 >

◎九段下の憲兵アパート

昭和10年竣工。廃墟だと思って入っていったらまだ人が住んでた!
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig14 >
< https://bn.dgcr.com/archives/2012/01/19/images/fig15 >

不気味な空気が漂っていたこともあり、2〜3枚写真撮ったらとっとと帰ろうと思ったときにはすでに住民により通報されていたらしく、すぐにケーサツにつかまった。

「えーと、美大生で、課題で写真撮ってました」(嘘じゃない)とは言ったものの、過激派じゃないかと疑われ指紋をとられる。オレはおぼっちゃん育ちなので、ケーサツに指紋をとられたことがかなりショックだったのです。

後日、このことを同級生の女の子に話すと「あたしもケーサツに注意されたけど、にっこり笑ってごめんなさーいって言ったら許してもらえたよー」。

担当講師にも話したところ、「カメラマンたるもの、つかまってナンボじゃい。オレなんて海外で自動小銃つきつけられたことが何度もあるぞ」と鼻で笑われたのでした。こうして人は強くなってゆくのです。

以上、東京の名建築についてでした。実家から発掘されたネガの中には、この他にも渋い写真がたくさんあったので、今後だらだらと紹介していこうと思います。

それではみなさん、今年もよろしく。

【さいとう・ひろし】saito@tongpoographics.jp
< http://tongpoographics.jp/
>

1969年生まれ。小学生のときYMOの音楽に衝撃をうけ、音楽で彼らを超えられないと悟り、デザイナーをめざす。1999年tong-poo graphics設立。グラフィックデザイナーとして、地道に仕事を続けています。

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■電網悠語:HTML5時代直前Web再考編[182]
そうだ! 嬉しいんだ生きる喜び

三井英樹
< https://bn.dgcr.com/archives/20120119140200.html
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ここ数週間、同じ歌が頭の中で響いている。アレンジは、マーチ風の時もあれば、オーケストラ風の時も、シャウトしたようなものまで様々。微妙にその時の気分を察して、心の中で楽器が選ばれるように思う。

   ♪そうだ! 嬉しいんだ生きる喜び
    たとえ胸の傷が痛んでも
    アンパンマンのマーチ/作詞:やなせたかし/作曲:三木たかし

息子達が小さい時によく一緒に見たアニメ。アンパンマン。以前から私の中では、ドラえもんより高評価(原作ではなくテレビ版の話だが)。某マルチメディアスクールで、講師を一瞬やった時には、教材的に使ったこともある。

ストーリーの組み立ても、キャラクターも、背景などの近景から遠景の使い方まで、限られた予算の中で大健闘している。何よりも安心して子供を任せられたのも大きい。幾つかの話は息子達よりも真剣に見ていたかもしれない。

それにしても、こんな形で再会するとは思わなかった。今回の出会いの発端は、毎日曜日に通う教会の牧師。作者やなせたかしがクリスチャンであることもあり、孫との共有財産でもあり、かなりのお気に入りで、何週かごとに歌い、これは讃美歌だと力説する。



歌詞を探して、読み返す。深い。ただ聞くよりも、ずっと深い。とても子供向けのものじゃない。難しすぎると反対されたというのも頷ける。「胸の傷」とかそもそも通じるのだろうか。でも逆に幼児にそう歌われると、かなりグッとくる、とも言える。

   ♪そうだ! 恐れないでみんなの為に
    愛と勇気だけが友達さ

今年高校を卒業する娘は言う。「愛と勇気だけが友達さ」は、寂し過ぎる、他に居ないのか、と。当時は友達とそれを笑っていたとのこと。でもね、その通りなのかもしれないんだよ、と思ってしまう。

孤独の中で、自分の心の中に灯る何かとだけ連れ添って闘わなければならない時がある。そして、そんな風に闘える者が本当に強いんじゃないか、とか口から出そうになった。

愛とか勇気という言葉がためらわずに口にできた時代。そんな時期に、そんな言葉を心の底から大声で歌う。そして、諸々の現実の壁の前に、そんな言葉を口にしにくくなる。でも、年を取ると、やはりそこに真実があるように思えてくる。愛とか勇気とか、形のないものをよく言葉にしたなと思わされる。

そして、こうした歌を歌い続けて大人になったら、もしかしたら強いんじゃないかと思うようになってきた。疑いも持たずに、小さなときから胸を張ってこうした歌を歌い続けたなら、何かあったときでもふとこうした歌が口からでてくるんじゃないだろうか。

そしたら、幾つかの不安は消し去るかもしれない。胸の傷が痛んでも、人生は素晴らしいと言えるかもしれない。言葉の持つ力の大きさを想う。



アンパンマンを見ていた頃、そのシンプルさにも感動していた。アメコミのヒーロー達のように、なぜ僕は皆の為に...と悩むシーンを見たことがない。私が知らないだけかもしれないが、さすがに一話15分という制約の中では無理そうだし、見ている子供達の望むものでもないのだろう。

   ♪何の為に生まれて 何をして生きるのか
    答えられないなんて そんなのは嫌だ!

アンパンマンは迷わない。自分の生きる目的に疑問を挟むこともない。ただ、皆のため、僕らの為に生きて行く。明快、気持ちがいいくらい。でも、当の本人は強くない。助けを求めた少年が、アンパンマンを助けることの方が多い。でも、迷わない。そこが大事なのかもしれない。結果と目的とは必ずしも一致する必要はない。

また、迷っている暇もないのだろう。牧歌的に見えつつも、人生を楽しむ為に彼らは精一杯なのだ。一緒にお茶を飲んだり、散歩したり、たわいもない日々が重要なのだとも言われている気がする。

自分に課せられた使命や目的を再考する時間など持つ必要はなく、そんなことを考えて立ち止まるよりも、一緒にお茶を飲んで楽しもうよ。原作の持つ、ある意味終戦後の物悲しい空気を一掃して、焼き上がったパンの香りの豊かさで、アニメ版は満たされている。



さて、現実の世界の話である。複雑に絡み合った諸々の壁が、バイキンマン以上にしつこく行く手を遮る。先を行きたい自分も、アンパンマンのように一途にはなれず何度も立ち止まって色々考える。

   ♪今を生きることで 熱いこころ燃える
    だから君は行くんだ微笑んで

ネットは一巡してしまった感がある。何もない所から、一見なんでもありの世界へ。もはやネットにないものは存在しないかのようだ。でもネット越しに見える世界だけが、本当の世界ではないことを震災はまざまざと教えた。

それでも、生活の一部として、ネットはもはや不可欠なライフラインとなっている。そして、多くの新デバイスがこれでもかと登場しては、一部は定着し、多くは消えて行く。

   ♪時は早く過ぎる 光る星は消える
    だから君は行くんだ微笑んで

時代が変わり、キャッチーなものよりも、より安定した仕組みとしてのWebが求められ、0から1を創り上げて来た熱気が冷め、1から2を3を5を生み出す熱気が以前とは違う形で沸き上がっている。「だけど」行くのではない。「だから」行くんだろう。Web屋としての使命を少しでも感じているのなら。

【みつい・ひでき】@mit | mit_dgcr(a)yahoo.co.jp
< http://www.mitmix.net/2012/01/182.html
>
・やなせ氏は名曲「手のひらを太陽に」の作詞家でもある。
 ミミズだっ〜て、何度歌ったことかw
・参考 → NEWSポストセブン|
 アンパンマンから日本人へ「なんのために生まれて生きるのか」
< http://www.news-postseven.com/archives/20110502_18841.html
>
・良い一年でありますように。

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■境界線の歩き方[12]
コスコレに行ってきた☆ダンマス3は家で見ていた

出渕亮一朗
< https://bn.dgcr.com/archives/20120119140100.html
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「ダンマス3」ことニコニコ動画踊ってみたの祭典「Nico Nico D@nceMaster」の3回目が、2011年10月15日に六本木nicofarreにて行われた。これは絶対見たい! とチケット発売日に電話スタンバイ。が、発売開始時刻とともにかけた電話はつながらず...10分後、チケット完売のつぶやきがtwitterで流れ始めた。人気半端ないなと思いつつ、ダンマス3はニコニコ生放送を予約して見ることにした。

私はタイムシフトで見たのだが、リアルタイムで見ている人は映像を見ながら直接PCから打ち込んだコメントを会場に流すことができるのだ。nicofarreは正面左右の壁がすべてLEDの画面となっており、ここに映像を映すことができる。コメントは右⇒正面⇒左と壁を回って流れて行く。それをまた自宅のPCで見れるので、かなり参加している気分となる。

3回目のテーマは「実力で勝負じゃない、知名度で勝負じゃない、個性で勝負だ」ということで、「サラリーマン」「JK」「コスプレ」枠などいくつかのジャンルにエントリーして選考された人たちが出演している。出演順を自宅視聴者のアンケートで決めたりとか、かなりインタラクティブだ。

ある統計によると、ニコ動での踊ってみた人最多数のハッピーシンセサイザーの振り付け師、人気上昇中のめろちんや、笑顔でフリームーブのにゃんたろ、特別出演枠のDANCEROIDとか見どころはいっぱいあったが、クライマックスはラストの少し前に訪れた。

どこでもいそうなおじさんが、白い雨合羽みたいなものを着て一人で舞台に立った。曲はまさかのストロボナイツ。しかし動きはたどたどしく、まるで、雨の日の交通整理のお巡りさん。

だけど、あれ、なんか目から水が...、視聴者も同じように感じたのか、画面に、「あれ、なんか目から水か...」「感動...」といったコメントが流れ始めた。そして、「感動...」「感動...」「こんなに感動したストロボナイツは始めてみた」といったコメントで画面が埋め尽くされた。

なんで、あれで。本当に人間の心ってどうなってるんでしょうね。まさに、テーマ通りの結果となったダンマス3でした。確か主催者発表によると、ダンマス3のニコ生放送に訪れた方は約20万人、コメントは約40万件近くだったと思う。最近のテレビ離れしたと言われる若者はどこに行ったかというと、こんなとこに集まってたんですね。

続いて2011年12月4日には、コスプレーヤーのための祭典、TOKYO NICONICOCOSPLLECTION(コスコレ)が同じくnicofarreで行われた。これはけっこう余裕でチケットが取れた。

初めて入ったnicofarreはやはり楽しい会場だった。壁面に映像やコメントが流れて行く。会場内から携帯を使って壁面にコメントを流している人もいた。また全世界にも生放送されたということで、海外からとみられるコメントも流れていた。

このイベントでは、コスプレーヤーのウォーキング、アクション、ダンスの三つのスタイルで構成されていた。ダンスは踊ってみたの有名ダンサーたちが初音ミク等のコスプレをして踊るものだった。会場は熱気に溢れているけど、ポジションが悪いと見づらいのも確かだ。家のPCで、すばらしいカメラワークでじっくり見るのもまた悪くないよ。

最近、代々木公園にあるダンサーの「聖地」のひとつ、「青壁」を探しに行ってみた。このすばらしいグラフィティが描かれた壁の前で、踊ってみた動画がたくさん撮られているのだ。たぶんあの辺だろうと思った所にやはりあった。

それはある公園口の前の陸橋の柱なのだが、なるほどな〜と思った。代々木公園の周りの道路は「ここでスピーカー等で大きな音を出さない事」という内容の看板がある。公園内にも同様の看板がある。公園口から向かって左に「赤壁」右に「青壁」があるのだが、ここは確かに道路でもなければ公園内でもないという、まさに法の目をかいくぐった地点なのだ。

同じ辺りにあった25年ぐらい前の、代々木公園の歩行者天国を思い出す。所狭しといろんなパフォーマーがいて、隣同士に並んでいるバンドが演奏するので、もはや音楽ではなく、公園中にノイズがわんわんいっている感じだった。そんな中を大勢の観客は通り過ぎたり集まったりしていた。

突然、代々木公園のホコ天を中止にしてしまった当時のお偉いさんは、本当に味気ないことをしてくれたものだと思う。日本を訪れる海外からの観光客の大きなお目当てのひとつが、代々木のホコ天であったことを知らなかったのだろうか。

今、東京の若者がいつでも自由に屋外で表現できる場所は、この青壁の周りの狭い場所に狭められてしまったのだろうか? いや、だけど、インターネットのおかげで今では自宅でも、どこの田舎の公園でも自分の表現ができ、世界中の人たちに見てもらうことができるのだ。

Google ChromeのCMじゃないけど、自宅で撮ったダンスムービーがYouTubeで何百万回も再生され、今や世界中の10代女の子のカリスマに弱冠20歳にしてなった、DANCEROIDの愛川こずえさんみたいな人もいる。

でも、人とのつながりが希薄になった? これぞという人がいれば連絡を取って直接会いに行けばいいのだし、広く浅くも、個人と深くもどちらの付き合いができるようになったということは、選択枝が増えたということで幸せなことなんだろう。

今のこのサブカルチャーシーンは、私が昔から好きな沖縄芸能と発祥が似ているのじゃないかと考えている。まず、琉歌を作る人がいる。それに歌三線を付けて曲を作る本家がいる。それをあちこちで歌って広めて回る、「歌ってみた」の人が出てくる。さらにその歌にフリを付けて踊りにして「踊ってみた」の人が出てくる。こんな感じで匿名の作り手たちが次々に感応して、パワーのある沖縄芸能が生まれた時代があったんじゃないかと思う。

ひとつカミングアウトすると、「何面白そうなことやってんだよー、自分も混ぜてくれよー」みたいな感じで、実は私の踊ってみたチャンネルもあるのです。場所は秘密ですが。探してみてください。いや、探さないでください。

ニコニコ動画踊ってみたの祭典! Nico Nico D@nce Master
< http://www.nicovideo.jp/danmas
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ダンマス公式サイト

TOKYO NICONICO COSPLLECTION
< http://www.nicovideo.jp/niconico_coscolle
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コスコレ公式サイト

コスコレ!れいちぇる×仮面ライダー217 magnet公式画質
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れいちぇる「巡音ルカ」、仮面ライダー217「初音ミク」でmagnetを踊っています。いわゆる「百合」がテーマです。少々ショッキングなシーンも。

【こげこぞ】Spring Showerはしゃいで踊ってみた【EGO[K]OZO】HD
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こげ子さんとこぞうさんが代々木公園の「赤壁」と「青壁」の前で踊っています。例は山ほどあるけどこれを選んだのは、一番最近のもので好きなダンサーが踊っているのが理由。

【りりり】Bad Apple!!【ただのん・仏壇仮面】
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子供のダンスなんてかわいさで釣ってるだけで、動きを表面的にまねしただけのものだと思っていたんですが、この6歳のりりりちゃんはすごすぎる! 海外からも驚愕と賛辞のコメントの嵐。バックの二人と踊りたいとサンタさんにお願いしたら、かなったそうです。


【出渕亮一朗】ryoichiro.debuchi(a)gmail.com
コンピューターグラフィックス、インタラクティブアート分野のアーティスト
グラフィックス分野のプログラマー
< http://www.debuchi.com
>

今回12回目の一周年を持ちまして、「踊ってみたの系譜」に始まった、この「境界線の歩き方シリーズ」はいったん終了とさせていただきます。短い間でしたが、ご愛読ありがとうございました。ネタがたまれば、またその時に何か再開したいなと考えています。

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■編集後記(01/19)

・朝日新聞出版が「週刊 マンガ世界の偉人」全50冊の刊行を開始した。パートワーク創刊特価号蒐集マニアのわたしはさっそく買った。「エジソン メンロパークの魔術師と呼ばれた発明王」180円、A4変型で52ページ、エジソンに関係する内容は34ページ、フルカラーのマンガ部分は26ページ、大きなコマに大きな文字、総ルビ付き、エピソードは少なく物足りないが、記事ページもあるから、子ども向き読み物としてまあまあの出来だ。50人中、日本人は坂本竜馬、織田信長、宮沢賢治、手塚治虫、松下幸之助、江戸川乱歩、本田宗一郎、植村直己、円谷英二、そしてインスタントラーメンを発明した安藤百福。彼らが偉人? ユニークな選定ともいえる。世界一有名な日本人・葛飾北斎がないのはマズイと思うが。スティーブ・ジョブス、アンナ・パヴロワ、アイルトン・セナ、偉人のジャンルの人たちか? マイケル・ジャクソンなどは顔の変化をどう描く? 情熱と信念を持って生き抜き、世界を動かした人を偉人というらしい。定価490円で薄い情報量、あまりおすすめではないな。これより少し前に刊行が始まったのが小学館の「週刊 池上彰と学ぶ 日本の総理」全30巻だ。歴代62人は日本に何を残したのか、何をもたらしたのかを詳細に記述するという。田中角栄、池田勇人、中曽根康弘らは単独だが、平成の宰相はまとめて一冊だ。民主党の3代で、総理の権威、品格は地に堕ちた。いまや総理には嫌悪感しかない。「歴代総理の『真実』を知る。日本の『今』を知る。」って、いまどきこんな企画が支持されるのか。わたしは買わない。(柴田)
< http://publications.asahi.com/ijin/
>

・出渕さんありがとうございました!/アンパンマンたいそうが好きだ。優しく応援されているみたい。/「Mozilla Vision 2012」が今週末に。満席らしいのだが、セッションによってはUstreamで中継あり。チェック!/来週にはiPhoneアプリのセミナーイベント、アプリル×まにまにカレッジ共催「もう遅い?今がチャンス?悩むあなたにiPhoneアプリの裏側大公開!」が。内容は開発フロー、ノンプログラマーのためのアプリ開発、就転職マーケット、受託開発、広告収益、ダウンロード販売のリアルなど。/GoogleとWikipediaがSOPA法案に抗議中。前者はロゴを黒く塗りつぶし、後者はサービス停止。日本語版は通常運転。どちらも今や無くてはならないものになっているので、サービス停止されたら困るよ〜。(hammer.mule)
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>  アンパンマンたいそう
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>  3番まで
< http://mozilla.jp/events/vision/2012/
>
「オープンって何?!」を体験する2日間
< http://m2.cap-ut.co.jp/event/semiX02/
>  iPhoneアプリのセミナー