装飾山イバラ道[91]岩盤浴で読む地獄漫画/武田瑛夢

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このところ寒いので岩盤浴が癒しの場だ。サウナならスポーツジムにあっても、岩盤浴となると日帰り温泉施設や岩盤浴専門のスパなどに行くことになる。私はサウナ&水風呂も大好きなオヤジ気質であるけれど、温度差の激しいのもせわしい感じに思うことがある。汗をシャワーで流して、拭いて、サウナマットを持ってと、やることも多いし。

その点、岩盤浴には水風呂の行程がないので、岩盤浴着という甚平みたいなウェアを着たまま移動して、マットを敷くだけでいい。最近は本の持ち込みOKのところもあるし、漫画喫茶並みに自由に読める漫画が置いてあるところもある。

正直、私は自分の本を温浴施設に持って行く気にはならない。なんやかんやで濡れるだろうし、あまり明るくもない施設内で読むには、普通の文字だけの本は向いていないように思う。やはり漫画が気楽なのだ。




●どんな漫画が合うか試す

試しに置いてある漫画から好きなものを選んだ。選ぶと言っても限りがあるけれど、「ドラゴンヘッド」があったので適当に途中の巻から読んでみた。話は日本が舞台で、突然の謎の煙にむせぶ中何人かで逃げながら、暴徒と化した人間と戦っているようなシーンだった。

「ドラゴンヘッド」の映画はテレビで見ていて、天変地変が起こっているストーリーなのはなんとなく知っていた。地獄絵図の中でも次の目標を見つけながら、東京を目指す主人公たちが痛々しい(ここだけでは誰が主人公なのかわからない)。

黒い煙に追われながら、なんとかヘリコプターに乗って移動する主人公たちの苦しみが、すごくリアルに感じられる。なぜか。ここが無性に熱いからだ。岩盤浴で読む漫画には〈世紀末的〉〈絶望的〉〈退廃的〉〈無常観〉〈底なしの恐怖〉といった内容が似合うことがわかった。個人的な好みであることも認めるけれど(笑)。

読んでいると不思議と岩盤浴の熱さも忘れ、10分20分が過ぎていく。たぶんその理由は、普段の温度よりも息苦しい熱さにある岩盤浴の室内で、漫画の中の何倍も過酷な状況を覗き見ることで「まだまだやれる感」が出てがんばれるからではないだろうか(笑)。

次に岩盤浴に行った時に私が選んだのは「美味しんぼ」だ。岩盤浴の熱さとまったく関係のない世界の漫画を試してみた。これもまた気分転換になってありがたかった。一話があまり長過ぎないものいい。

いろいろ読んでみるうちに、どんな漫画でもけっこう楽しめることがわかった。私はそれまでサウナはテレビがあるところが好きだったのに、岩盤浴ではただジーっと我慢していた。漫画があるだけでこんなに楽しいと今頃気づいて、なんともったいなかったのだろう。

20分ぐらい岩盤浴に入って漫画の話のキリがよくなったら、さっさと外に出て水を飲む。体を冷やすための温度を下げた部屋を用意している施設もある。温度の違う岩盤浴と休憩を何セットか繰り返すと、すっかりストレスフリーな状態になる。

●これが熱い世界に合う漫画だ

岩盤浴や入浴時にぴったりのおすすめ漫画を考えてみた。まず挙げたのは湿度まじりの熱さの中で、汗をダラダラかきながら暗い地獄を見下ろすような気持ちになれる漫画だ。今回のタイトルで勝手に「地獄漫画」とまとめさせてもらった作品たち。

「ドラゴンヘッド」「MONSTER(モンスター)」「寄生獣」「デビルマン」「カイジ」「漂流教室」「進撃の巨人」などが、岩盤浴の熱さを忘れるほどの過酷な世界を描いた漫画だ。陰気か陽気かでいうと間違いなく陰気だけれど、読み終わってから涼しい部屋に出たときの爽快感がハンパない! 冷たい水があるだけで天国だ。

地獄ではないけれどまったく別世界の漫画では、気軽な「美味しんぼ」もいいし、「トリコ」もいいかも。「トリコ」ってテレビアニメでやっているのを見て衝撃を受けたグルメ漫画(?)だ。「北斗の拳」と「ポケモン」と「美味しんぼ」を合わせたような内容で異彩を放っていた。子供が好きそうな要素をすべて入れたようなワンダーワールドだ。漫画本がどんな感じなのか確かめてみたい。

・トリコ 公式サイト 東映アニメーション
< http://www.toei-anim.co.jp/tv/toriko/ >

「ガラスの仮面」も岩盤浴で久しぶりに読んだらおもしろくて、今は当分これで楽しめそうだ。長いけれど、何巻目を読んでもすぐにその世界に引き込んでくれるのでおすすめ。やはり実力系漫画はいい。「テルマエ・ロマエ」はまだ読んでいないけれど、同じお風呂系だしおもしろいかもしれない。鮮度の高い新しい漫画は、まだ岩盤浴で貸してくれないので自分で買っていくしかないだろう。

本の持ち込みを禁止にしている岩盤浴も多く、それはそれで整然とした室内になっているので存在価値もある。持ち込み物の制限の厳しさも館内の雰囲気に影響を与えるので、自分の気分によって使い分けたい。地獄漫画の後のソフトクリームも最高であることを付け加えておく。汗をかいても痩せない理由でもある。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/ >

動物動画が大好きでよく見るけれど、スノーボードをするカラスの動画がすごい。たまたま屋根から滑っただけでは? と思ってよく見ていると......。ロシアから投稿されているようだけど、食べるために道具を使うのではなく、遊ぶために道具を使うことの方がより高等な気がしておそろしい。
・スノーボードをするカラス
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