買物王子の家づくり[22]年末年始は新居に一人/石原 強

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ギリギリまで工事して最後の仕上げも終わり、ついに我が家が完成しました。年末の引っ越し日にもなんとか間に合いました。しかし、ここでもアクシデントが続いて、忘れられない年末年始となりました。

●完成した家を眺める

引き渡し日当日、天気が良く気持ちがいい日です。一番乗りで何も入っていない「すっぴん」状態です。早速、家の中を一通り眺めて回ります。

黒い外観の正面、何度も書いたように階段を上がると玄関です。階段を上る途中にインターホンとポストがあります。入り口は黒い壁に囲まれてで暗い感じですが、天窓があって玄関前は光が差します。奥に見える扉は一階の納戸です。床はコンクリートで外からしか入れないので、倉庫として使います。
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玄関は引き戸です。天窓の光が内に入るように、大きなガラスがはめ込まれた扉にしました。正面の扉は納戸の入り口です。玄関から土足のまま入れるようになっています。天井を少し低くしていて、扉をあけて部屋に入るるとより広さが際立つような演出になっています。
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玄関からダイニングに入ります。ここは我が家の中心です。すべての部屋にアクセスする起点になります。三階に上る階段、一階に下りる階段の入り口があり、カウンターの奥はキッチン、その奥がリビングです。天井には二つの天窓があって昼間は部屋を明るく照らします。階段の前には造作の棚を設置。今のところ、唯一の収納です。
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キッチンは一番のこだわりポイント。デザインで選んだエイダイのゲートスタイルS-1です。シンプルなステンレス製で、引き出しはひとつだけ。シンクに取り付けたスワンネックの水栓は、ドイツ「グローエ」のデザインにクリンスイのビルトイン浄水器がついています。壁はこだわりの「メトロタイル」貼りです。
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キッチンの奥はリビングです。大きな掃き出し窓は、網なしでクリアな強化ガラスです。床のナラ無垢材フローリングは、頑張ってワックス塗りをしたところ。きれいに仕上がっています。
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リビングに入ると上にも先にも空間が広がります。我が家の見せ場です。吹き抜けの高さは5m、天井は遥か上に見えます。窓からは南側の緑地を挟んで道路が見えます。歩道を歩く人と高さが同じだけど距離感があっていい。東側の窓は青い空のを切り抜く額縁です。面積は狭くても広がりのある空間は、のびのびできて気持ちよい。
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三階への階段は、見た目を重視したスチール製です。薄い踏み板で、蹴込み板もないので軽快な感じがします。
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三階の踊り場から南側の部屋を向いたところ。前と後ろに部屋があり、二人の息子にそれぞれ割り当てる予定。階段の柵の高さでは、息子二人にはないも同然、しばらくは転落防止のネットを張るつもりです。
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三階南側の部屋。東側の窓だけなので、ちょっと暗い。でも真夏の日射を考えるとこのくらいでちょうどいい。正面はリビングの吹き抜けに面した回転式の窓です。リビングを上から覗けます。
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窓から吹き抜けを見下ろしてみるとこんな感じ。窓を開けなくても、下にいる家族の気配を感じることができそうです。
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三階北側の部屋。正面は嵌め殺しの窓です。低い住宅が並ぶので、思いのほか眺めがいい。東側の窓には隣家の外壁が迫っていますが、お互いに窓の位置がかぶらなくて良かったです。
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一階に下りるのは木製階段、手すりもそれにあわせて、角材をそのまま貼付けたように見えるシンプルなデザインです。下りた正面が部屋で、左側はバス、トイレ、洗面の水まわりです。
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一階の部屋。夫婦の寝室になります。右は壁いっぱいに洋服をかけられるハンガーポール、奥にはささやかなワークスペースがあります。後ろは掃き出し窓です。その外は猫の額どころか「ネズミの額」とでも喩えたい、ささやかな庭があります。余裕ができたら自分で庭づくりをやってみたい。
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一階の洗面室。シンプルな集成材のカウンターに洗面器を置いたもの。上にはミラーボックスを設置予定です。左はユニットバス、さらに飾り気のない白い空間です。
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まだ、生活に必要なモノが入っていないので「我が家」と呼ぶには、よそよそしい感じがします。これから家族で生活をしていく中で、しっくりと馴染んでいくのでしょうか。そんな過程も楽しみになってきます。

●あっけない引き渡し

指定の時間に待っていたら、フルヤさん、続いて現場監督のキクチさんが到着しました。「オオハラさんが家の事情で来られなくなったので、かわりに来ました」とのこと。お二人と引き渡しを進めることになりました。

フルヤさんからは、建築確認の申請書類、検査済証のファイルを受け取りました。キクチさんからは二冊のファイル。薄い方には、竣工届け、鍵・設備の引き渡し書、トラブル時の連絡先のリストが入っています。分厚い方は、設備機器の説明書が一式がファイリングされています。

引き渡しで一番大事な「儀式」は鍵の受領です。キクチさんに促されて、固く封されている家主用の鍵を取り出します。ドアに家主用の鍵を差し込んで、施錠、解錠しました。その後、これまで使っていた工事用の鍵を差し込むと、まったく開かなくなりました。魔法のようです。最後に物件の引き渡し確認書に押印して終了。30分程度のやりとりでした。

二人が帰った後は、家の中がシーンと静かになりました。この瞬間から今は自分の家になったものの、まだ実感が湧きませんでした。昨日までは工事現場として、大工さんが作業をしていました。自分がお客さんの立場です。それが今日から、家族の生活の場になったのです。

その静寂もつかの間、次々と鳴るインターホンの音に遮られました。ガスの開栓、インターネットの回線工事、エアコンの取り付け工事と、入れ替わり立ち代り人が来て慌しく対応しました。

そうこうしているうちに、前日に梱包した荷物を満載した引っ越しのトラックが到着。ドタバタと運び込まれます。三人の運び屋さんの手で、荷物はがどんどん運び込まれていきます。すっきりした家の空間は、あっという間にダンボール箱で埋め尽くされました。

家具の搬入でアクシデントがありました。三階に設置しようとした本棚が階段を上がらないというのです。仕方ないので納戸に収めることにしました。ダイニングテーブルはなんと玄関も入らない。「分解すればなんとかなるかもしれません」と口では言うものの、「無理なので置いときます」と帰り支度をはじめています。結局、駐車場スペースに置き去りになってしまいました。

●年末年始は一人で荷解き

翌日、まずはダイニングテーブルを家に入れなければなりません。購入時には自分で組み立てたので、逆の手順で分解します。止めてあるネジを外して足を外すと、なんなく家の中に入りました。

家族が戻ってくることを見越して、まず階段の入り口に「ベビーゲート」を設置しました。子供が階段から落ちると危ないからと戸建てに住んでいた友人が借してくれました。ダイニングから一階と三階への階段口それぞれに設置しました。

ちょうど取り付けが終わった時、携帯電話が鳴りました。家に預けた息子二人がウイルス性胃腸炎でダウン。看病もあるので「今日は戻れそうもない」という妻からの連絡です。

年越しは一人で荷解きをすることになってしまいました。それなら急ぐこともないと、テレビやネットの配線を済ませて昼休憩。その後、気合をいれなおして、見上げるほどのダンボールの山を解体していきます。

落とし穴だったのは、ダンボールに書かれたメモが、大雑把であまり当てにならないことです。自分で詰めていないので、すべて開けてみないと、実際に何が入っているかわからないのです。日々の生活で必要でないものは、そのままにして次々に開けて選り分けていきます。

ひととおりチェックして、生活必需品の目星がついてきました。近所で夕飯を済ませて、本格的に片付けに入ります。まずはキッチンから。紅白歌合戦を横目に、一人黙々と作業を続けます。なんとか家族が生活できるようになったかなと思えたのは、「ゆく年くる年」が始まる頃でした。

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前回に続いて施主のマンガ紹介。伊藤理佐「やっちまったよ一戸建て!!」家を建てるという目的やきっかけは違うけど、家を土地を買う、施工者を決める、設計するという各ステップでの驚き、迷い、悩みには共感します。いろいろなことが一遍に押し寄せてきて、地に足が着いていない感じになるのがよくわかります。後から冷静に見ると滑稽なんですね。

「一人用一戸建て」注文住宅なんてアリ? って思うけど、天野彰「おひとりさま」の家づくり(新潮新書)という本もあります。一人で住むかはともかく、「個」を大切にした家づくりを考えるというテーマです。いろいろな制限の中で取捨選択する際に、「自分の心地よさ」を重視する考え方は参考になります。