Dの憂鬱[09]業界用語を蹴っ飛ばせ
── 笠居トシヒロ ──

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まいど、笠居です。三寒四温と言いましょうか、暖かくなったり寒くなったり、コロコロと気候が変わる今日この頃ですが、皆さん体調崩したりしていませんか? おれは元気に呑んだくれていますw

とはいえ、さすがに朝まで飲むと翌日キツイんですけど(^_^;) こないだなんか朝まで飲んでて、ちょっとだけ仮眠して、そのまま打ち合わせ行ったら「酒臭い」言われました。社会人として失格ですね ヽ(´Д`;)ノ

そんなボーとしたアタマで打ち合わせに臨んでしまったときよくあるのが、「相手の言ったひとつの単語の意味がわからなくて、そればっかり考えてるうちに会議が終わってしまい、話の内容がサッパリ残っていない......」というヤツです。

ま、アタマボーでない時は、すぐにiPhoneで検索して言葉の意味を把握するようにしてるんですが、検索してもぜーんぜんわからんこともままあるわけです。




【エクイティ】

こないだは、某外資系企業のキャンペーン打ち合わせで、こっちが出したデザインに対して「ウチの商品のエクイティと全然ちがーう。やり直しー」みたいに言われて『エクイティって何?』って検索したら「Equity=衡平法=英米法の国々において、コモン・ロー(common law)で解決されない分野に適用される法準則である」とか出てきてますます混乱したわけなんですが。

その後もっと詳しく検索した結果、あちらさんの言いたかったのは、どうやら「ブランド・エクイティ(ブランドが持つ資産性・価値)」という意味(なんで衡平法が価値という意味になったのかよくわかんない)で使われていたらしく、まぁ早い話が「製品のトンマナに合ってないよ」ということを言いたかったらしい。

【トンマナ】

ていうか「トンマナ」もわかりにくいか。「トーン&マナー」の略で、デザインやコミュニケーションに一貫性を持たせること。全体の雰囲気に合わせましょうってことですね。

こんな感じで「よくわからん業界用語」ってのが氾濫しておりまして、オレみたいなジジイに片足突っ込んだ状態でディレクター職に鞍替えしたような人間は、言葉の意味を調べるだけで半日使ってしまって、全然作業が進まねーということもあったりなかったり。

というわけで、今回は「わけわからん業界用語」を洗い出しては蹴っ飛ばしてみたいと思うわけです。よろしくお付き合いを。

【バジェット】

オレが一番最初にであった「わからん業界用語」は「バジェット」でした。わからんかったけど、後輩の女の子に言われたんで、わからんと言えずwわかったふりしてフンフン頷いて、後で調べたわけですけど、要するに「予算」のこと。こんなん、なんでわざわざ「Budget」とか、横文字に言い換えるかがわからんw。

ただまあ、代理店から「見積もり出して」って言われた時、アタリつけるために「その他もろもろも含めた総予算っていくらなんですか?」って聞くより、「全体のバジェットってどのくらいなんですか?」って言う方が聞きやすかったりするんで、まぁそういうことなんかなー、と勝手に理解してますけど。

【リテラシー】

先に出した「エクイティ」とよく似た感じ(オレの中でね)なのが「リテラシー」。「あいつはリテラシーが低いから云々」みたいな使い方をよくするわけですが、「Literacy」は、「基本的な読み書き能力」とか「情報の応用力」くらいの意味なんで、オレらの業界で言うところの「リテラシー」は、だいたい「ITリテラシー」を指してることが多いわけです。

2ちゃん用語で言い換えると、「リテラシーが低い」=「情弱」となりましょうか。ホントに読み書き能力まで疑われるような人も、居たり居なかったりですがw

【ステマ】

最近、宣伝企画を立てるときによく「ステマにならないように」と言われますが、この「ステマ」は「ステルス・マーケティング」の略で、いかにも消費者の総意であるかのごとく水面下で情報を操作して、購買意欲を刺激するマーケティング手法のことです。

新商品の発売時に長蛇の列を作る。一般人の顔をしてブログで商品を持ち上げる。Twitterで商品の良さをつぶやく。2ちゃんでライバル商品を叩く。amazonのレビューで好印象を与える投稿をする etc......。

要するに「サクラ」ですね、「サクラ」。「サクラ使っちゃダメよ」って言えば済むことなんですけどねー。でもまあ、「サクラ」って言うより「ステマ」って言ったほうが、なんか凶悪そうに聞こえるんで、そういうことなんでしょうね。

【F1】

いつだったか「ターゲットユーザーはF1で...」って言われて、アタマに故アイルトン・セナが浮かんだのはオレばっかりが悪いわけじゃないと思います。

そのあと、ジャン・アレジのヨメさんで、化粧品のCMにだけ出てるあの女優はなんて名前だったっけ? ってとこまで考えこんでしまって、打ち合わせに身が入らなかったのはオレが悪いですがw(後藤久美子でした)

で、「F1」てのは、「Female-1」で「女性の第一世代」の略。ビデオ・リサーチの視聴率調査で使われる集計区分で、女性20〜34歳のグループのこと。同様にF2は、女性35〜49歳、F3は女性50歳以上。男性の場合は、M1、M2、M3と言います。

ターゲットが「F1」てのは、すげーよくあるパターンで、いま業界ではこの世代の女性が一番カネ持ってて、カモだと思ってるフシがありますw 世の女性は絶対否定すると思いますけどw

【まとめ】

他の業界でも、その業界の人にしか絶対わかんないような言葉がありますよね。競馬業界だと「デッパ=スタート」「向こう流し=バックストレッチ」「1ハロン=200m」とか。

でも、業界用語はいいんだけど、我々のやってることって「人に物事を伝える」仕事だと思うんですよね。「どうすればより良く伝わるのか」を考える立場にある人が、自分たちの間で意思疎通が出来なかったらマズイと思うわけです。

特にこの業界って、日々の流れが早いもんだから、新しい用語がドンドン生まれてて、それを使いこなしてる奴がカッコイイ的な勘違いが生まれやすい土壌もあったりするんで、余計危ういと思うんですよね。

【教訓】

出来るだけ人に伝わりやすい平易な言葉を使おう。わからない言葉が出てきたら、恥ずかしがらずにその場で聞こう。

ではまた来月〜〜、てへぺろ(・ω< )

【てへぺろ】

モモノキイエローで芸人声優の日笠陽子の「持ちギャグ」のひとつ。うっかりした時に、てへと笑ってぺろっと舌を出す仕草の擬態語、らしい。相手がイラっとした時にすかさず発動させる。

イラっとした気分を緩和する効果があるが、基本的に可愛い子に限る。2009年に日笠が使い始めたが、時を経て2011年に芸能人が使い始め、ついにはギャル語として普及してしまった。

【笠居 トシヒロ/WEBディレクター、デジハリ大学院客員教授、京都嵯峨芸術大学講師】
< http://www.mad-c.com/
> < kasai@mad-c.com >

年度末ということもあってか、ホンマに忙しいです。なんだこりゃ。その割には飲んでる、というか飲まなきゃやってらんないというか、この年になってアル中まっしぐらなんじゃないかと不安になる今日この頃であります。
てへぺろ(・ω< )