クリエイター手抜きプロジェクト[310]FinalCut Pro 7編 オリジナルのフィルタを作る(1)
── 古籏一浩 ──

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今回は、FinalCut Proでオリジナルのフィルタを作成してみます。と言っても書いている本人も勉強しながらなので、おかしな部分もあるかもしれません(理解しきれていない部分は多々ありますので......)。

おまけに、すでにFinalCut Pro Xがでているという状況なので、このネタを出すタイミングを間違えたかも、と思ったりもしてます。が、FinalCut Pro Xは以前のバージョンとはまったく別もので、簡単に乗り換えることができない人も多いかと思います。

それはともかく、FinalCut Pro 7やそれ以前のバージョンを使っている人も多いでしょうから、何らかの役に立つかもしれません。

ということで本題に入ります。まず、FinalCut Proでフィルタ処理を行う場合には、ツールメニューからFXBuilderの項目を選択します。すると、FXBuilderテキストエントリというウィンドウ(タブ)が表示されます。

ここにスクリプトを入力します。ここで入力するのはFXScriptと呼ばれています。FinalCut ProのフィルタでもFXScriptで作成されているものが多くあり、FXBuilderで開いて中身を見ることができます。

それでは、簡単なところから作ってみましょう。とりあえず緑の四角を描くスクリプトを作成します。実際のスクリプトは以下のようになります。





scriptid "GreenRect"
filter "緑の四角";
group "自分のフィルタ";

code
point rectPoint[4];
MakeRect(rectPoint, -50, -50, 100, 100 );
FramePoly(rectPoint,dest, kGreen ,10 );


FXScriptは3つの部分に分かれています。1つ目がフィルタのカテゴリや名前を指定するヘッダー部分、2つ目が入力値を指定するスライダーなどUI部分、3つ目が実際のコードになります。上記の場合はUI部分がないのでヘッダーとコード部分の2つになります。

まず、ヘッダー部分ですがscriptidにはフィルタの固有の名前を割り当てます。次のfilterには、エフェクトウィンドウ上に表示されるフィルタ名を指定します。groupにはフォルダ名(カテゴリ名)を指定します。既存のカテゴリを指定することもできますし、新しいカテゴリ名を指定することもできます。

ヘッダー部分が終わったら以後が実際のプログラムコードだ、ということを示すcodeという1行を書きます。これで以後に続く内容がプログラムだと解釈されます。

さて、緑の四角を描くには(x1,y1)-(x2,y2)と4つの座標点が必要になります。この点を入れておく容れ物を用意します。座標点はpointの後に変数名を必要な座標点の数を指定します。

用意した点に座標を入れるにはMakeRect()を使います。これはまとめて四角形の座標を設定できる命令です。最初のパラメータに変数名、以後は(x1,y1)-(x2,y2)の順番で座標点を指定します。なお、原点は映像の中心になっており、右下にいくに従って座標値は大きくなります。

最後にFramePoly()を使って四角形を描きます。最初のパラメータに座標点がある変数を、2番目が四角形を描画する先、3番目が描画する色、最後が線の幅になります。

ここで、いきなりdestとkGreenという変数名がでてきます。これらはあらかじめFinalCut Pro側で用意(定義)されているものです。destは表示されている映像を示しています。つまり映像上に描画する場合にはdestを指定すればよいことになります。

kGreenのように小文字のkで始まる変数名は、多くの予約語があります。kの後に色の名前を指定することができます。kRedなら赤、kWhiteなら白色を示すことになります。

無事に入力が終わったら、コマンドキーとKキーを押してください。小さいウィンドウがに緑色の四角形が表示されるはずです。スクリプト中の数値や色名などを変えてみるとよいでしょう。

【古籏一浩】openspc@alpha.ocn.ne.jp
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