ネタを訪ねて三万歩[87]マニュアル人間という困った人々/海津ヨシノリ

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新学期に合わせ、それなりに予習を行っていました。まっ、準備と言い換えるべきかも知れませんが、前年度の授業で気になった部分を改善するというわけです。そのため、意外と古い参考書が大いに参考になります。

ですから、この時期はAmazonで中古を買い漁っています。「何をいまさら」と言われそうですが、実際の仕事では特に必要なくても、学生の視点で考えたときに「何が必要か?」ということを教員側で把握すべきであると感じているからです。

そして、そのような情報は最新バージョンに合わせた参考書よりも、少々古いバージョン向けの方が的確であることが少なくありません。便利になると本質がぼやけてしまいます。仕事と課題は真剣と竹刀ほどの違いがありますからね。

その真剣だって常に最新のモノが優れているわけではありません。問題なのは使い手の技量とセンスなのは、改めて私が言うことでもありませんでしたね。

今年は更に良い意味で、授業開始当日になって困った問題が発生してしまいました。共通教育(全学共通カリキュラム)研究室に、カラー複写機が導入されたのです。




今まではモノクロ複写機でしたので、カラー画像が多い配布プリントは、モノクロ複写機で不鮮明になりそうな部分を可能な限り線画に変更するなどの調整を施していました。

おかげで、プリント100頁ほどのデータ修正が必要になってしまいました。でも、学生にとってはカラーの方がいいに決まっていますから、頑張って切り替え作業に突入しました。

そう言えば、重い腰を上げ、MacOSXをMacBookProは2月に、MacProは3月末にようやくLionにしました。iCloudやiBook Authorを使いたいがためだったのですが、正直失敗したと感じています。

些細なことなんですが、インターフェースに馴染めません。【システム環境設定>一般】でスクロールバーの表示を【常に表示】しても出てこなかったりと、気分は最低。SnowLeopardに戻したい気分です。重いし、使い勝手は悪いし困ったものです。

まっ、これは単に私の嗜好に問題があるのかもしれませんね。実はGmailの新しいインターフェースも私はダメでイライラしています。

※なお、この問題は数日間後に知らないうちに直っていました。先月からどうもAppleに嫌われているようです。

もっとも、イライラしていても使わなくてはならないモノもあるわけです。使い続けていくうちに、それらの良さがわかってくることもあります。問題なのは、すべての人が使いやすいと感じるモノなど世の中に存在しないということが、意外と正しく伝わっていないことかもしれませんね。一見すると正論でも、冷静に考えれば外れってことは案外多いのではないでしょうか。

例えば、英語を社内公用語にすることがブームのようですが、英語が堪能だから仕事が出来るわけではないことに、どれだけの幹部が気づいているのか疑問だったりします。

ソフトが使えても、デザインが出来ることには結びつかないことと同じですね。デザインごっこなら出来ますけど。とにかく、一歩下がって考えてみることを忘れてしまった人が多いのかも知れませんね。

あるいは主力製品を使いこなせない社員ばかりを中途採用した結果、仕事は出来るのかもしれないけれど、その会社の主力製品を使うユーザーからは総スカンという悪例も沢山見てきました。いわゆるマニュアル人間化の弊害ですね。

4月の頭に、多摩美術大学造形表現学部デザイン学科の2年生女子数名から飲み会に誘われ、二子玉川で盛り上がったのですが、私も含めて合計7名のうち、未成年者が4名いたので、アルコールとノンアルコールを頼んだところ、考えられない珍事件が勃発。

新学期で普段の時よりも厳しかったからか、アルバイトらしき女店員がなんと私にまで身分証明書の提示を求めてきたのです。私が10代に見えるってかなり危ない感覚ですよ。店内は決して薄暗いという状況ではありませんでした。もう爆笑しながら「私20歳以上ですから」と免許証を見せて納得して貰いました。

実は年齢が記載されている身分証明書と言えば、非常勤講師証明書があるのですが、残念なことに多摩美術大学の場合は写真がないので説得力に欠けてしまうのです。しかし、免許証を持っていなかったらどうなってしまっていたのでしょう。

ちなみに、多摩美術大学造形表現学部は、現時点では日本で唯一の夜間部の美術大学・大学院であり、1年生だからと言って未成年とは限らないのです。

他大学を卒業し仕事を続けながら通学してくる学生、現役生ではあっても昼間は仕事や自分の活動にエネルギーを割いている学生、定年退職後に生涯教育として美術を選んだ学生など、千差万別の学生が入り交じり、それが刺激となって、とても良い作品を作ったり舞台をこなしたりする学生が多いのが魅力です。

問題は飲み会の時間。授業の終了が21時10分なので、上野毛近辺でも21時半から、二子玉川で始めると22時近くからになってしまいます。あっという間に終電近くになるこのスリリングな時間だからこそ、集中して盛り上がる飲み会というのが特徴かも知れません。

そんな多摩美術大学造形表現学部は、場所が二子玉川の手前という好条件も含めてあまり知られていないのが少々残念ですが、多摩美術大学全体が目立った宣伝をしていないのがいけないのかもしれませんね。

さて、話をマニュアル人間に戻すと、実は近所のスーパーではタバコやアルコール類を購入する客に対し、店内にある20代(赤)と30代(緑)の札を提示するルールになっています。

一見してわからないようなボーダーラインの客であれば仕方がないと思うのですが、どう若く見ても50代という客に対しても提示を強要させる徹底さには、正直「この人達めちゃくちゃ変」と感じてしまいます。

例えば先日は車椅子の70代、もしかしたら80代の男性に対しても提示を求めていました。もちろん当事者は怒り狂ってしまうことが多く、多くのバトルを目撃しています。かりに19歳の学生が20代の札を出せば購入出来るのでしょうか。意味のないルールとしか思えません。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

[I'll Be Home For Christmas]by She & Him in 2011(U.S.A)

シー&ヒム(She & Him)はアメリカ人女優のズーイー・デシャネルとノラ・ジョーンズの作品への参加などで知られる、アメリカ人シンガーソングライターのM・ウォードによるインディー・ロックデュオ。アルバム"A Very She & HimChristmas"はとってもナイスです。とにかくボーカルが綺麗すぎる。季節外れのクリスマスも彼らの曲ならいつでも"welcome"ですね。

[Lost in Space]by Irwin Allen in 1965〜1968(U.S.A)

邦題「宇宙家族ロビンソン」は、1965年から1968年までCBSネットワークで放送されていたアメリカ製SFドラマのこと。1998年公開の「ロスト・イン・スペース」はこれのリメイク。ちなみに監督は複数います。

日本では1966年から1968年にかけて、第2シーズンまでが放送(アメリカでは第3シーズンまで放送)されていましたが、なんと言っても傑作揃いだったのはモノクロの第1シーズン。1998年公開の劇場版「ロスト・イン・スペース」はこれのリメイクとなります。

とにかくこのドラマは、ジョナサン・ハリス演じるDr.ザックレー・スミスの怪演が人気に一役買っていました。ところでこのジョナサン・ハリスは、撮影当時は意外と若く51歳だったことを知ってビックリです。

残念なことに、2002年に87歳の生涯を閉じてしまいましたが、『バグズ・ライフ』ではカマキリの手品師、『トイ・ストーリー2』でウッディを新品同様にした人形の修理屋の声などをやっていました。

レンタル版が待てど暮らせど出てこないので、とうとうしびれを切らしてしまいました。オープニングは、イントロから話が少し進んでオープニングに入るアバンタイトル式。終了時は次回予告の代わりに、次回のイントロを先に放映するクリフハンガー方式となっていたことが、当時の日本の視聴者にとっては新鮮だったようです。

なお、第3シーズンからメインテーマ曲が変更になりましたが、第1、2シーズンのメインテーマ曲の方が圧倒的にいいですね。ということで、あとは「原子力潜水艦シービュー号」や「タイムトンネル」「巨人の惑星」の日本語字幕版のリリース待ちですね。残念なことに現状はimport版しかないので。

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■アップルストア銀座のセッション

5月21日(月)18:30〜
Hands on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol. 68』
Adobe Photoshop CS5による、静止画からQuickTime Movieを作成する手順をハンズオンいたします。なお、ハンズオンセミナーは予約制で申し込みに関してはAppleに一任しております。セッションの翌月に予定されているハンズオンセミナーの参加希望者を、セミナー修了後に募集するのがここ数か月の恒例となっています。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/怪しいお菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
< http://www.kaizu.com >
< http://kaizu-blog.blogspot.com >
< http://web.me.com/kaizu >

学生が銀座でグループ展&イベントを行うというので、オープニングパーティーへ出掛けたのですが、会場であるお店は普通に営業しており、そんな雰囲気ではなかったのでボーッとしていたら、店員さんに「何かお探しのモノは?」と普通に、そして明らかに不審者を見るような感じで突っ込まれてしまったので早々に退散してきてしまいました。クッキー焼いていったのですが......残念。と、落ち込んでいたら本人からメールがあり、オープニングパーティーの準備が遅れてしまったのだとか。そこで思い出したのが、その日は13日の金曜日でした。今年は2月にもあったし、7月もありますね。3回ある年ってそんなにないそうです。次は2015年、その次は2026年だとか......。