[3252] ミュージシャンと俳優の間

投稿:  著者:  読了時間:27分(本文:約13,300文字)


《生きた心地がしなかった2時間》

■映画と夜と音楽と...[542]
 ミュージシャンと俳優の間
 十河 進

■ところのほんとのところ[78]
 「こういう時に限って」だらけ
 所幸則 Tokoro Yukinori

■イベント案内
 成安発!フレッシュマンガ家原画展
 〜雑誌・出版社の枠を越えた、人気コミックの原画展〜


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■映画と夜と音楽と...[542]
ミュージシャンと俳優の間

十河 進
< http://bn.dgcr.com/archives/20120420140300.html >
───────────────────────────────────
〈ミスター・ミセス・ミス・ロンリー/ローグ・アサシン/キッズ・リターン/BROTHER /AIKI/犯人に告ぐ/その男、凶暴につき/HANA-BI/シリウスの道/パッチギ/笑う警官/アウトレイジ〉

●役者が歌うと歌の世界に情感があふれドラマチックになる

原田芳雄さんが歌う「赤い靴の憂歌」を、ときどき聴いている。30年も昔、ラジオ番組をオーディオテープにエアチェックしたもので、松任谷正隆さんがホストで「原田芳雄、ブルースを歌う」というテーマだった。原田芳雄さんが亡くなって、改めてアルバムデータをアップストアからダウンロードした。12曲が入っており、最初の曲は「プカプカ」である。

昔のエアチェックのオーディオテープには「りんご追分」が入っていて、これが絶唱と形容したいほど素晴らしい。そちらも聴きたくなってユーチューブで検索したら、TBSアナウンサーだった林義雄さんのお別れの会で原田芳雄さんが歌い上げた「りんご追分」がヒットした。しばらく聴いていると、ほほを涙が伝った。心の中の何かが掻き立てられたのだ。

役者が歌うと、歌の世界がドラマチックになる。エモーショナルな情感があふれ、心を揺さぶるものに変化する。「赤い靴の憂歌」も横浜の酒場で男が帰ってくるのを待っている女を歌ったものだが、原田芳雄さんの歌を聴いていると目の前で物語が展開している気になってくる。幻のスクリーンが現れる。改めて惜しい役者だったと思う。

原田芳雄さんが亡くなって、もう半年以上が過ぎた。その後、「原田芳雄 B級パラダイス」というエッセイ集が復刊になり、昨年末に読んでみた。ほとんど知っていることばかりだったけれど、俳優座の研究生としての修業時代のことは知らなかったので面白く読んだ。アドリブの多い独特の演技が個性を作り、多くの役者たちに「アニキ」と慕われた人だった。

その原田芳雄さんの通夜の客として何人もの俳優たちがテレビのインタビューに答えていた。桃井かおりや石橋蓮司が出てくるのは当然だろうな、と思って見ていたが、原田美枝子が親しい関係者として登場し、コメントしていたのは少し意外だった。インタビューを聞いていると、夫婦揃ってお世話に...などと言っている。えっ、夫は誰? と僕は思った。

その後、原田美枝子は原田芳雄と神代辰巳監督の「ミスター・ミセス・ミス・ロンリー」(1980年)で共演していたな、と思い出した。宇崎竜童と三人でもつれ合うようにスクリーンに登場したのを甦らせた。神代辰巳監督の映画では、誰もが睦み合うように体を触れ合わせた。そんなシーンが最初に浮かんだ。

それにしても、原田美枝子の夫は誰なのだ、という疑問が去らない。ネットで調べてみたら「石橋凌」という名前が出てきた。えっ、そうなのか...と思いながら、僕はハリウッド映画「ローグ・アサシン」(2007年)に日本のヤクザ役で出演した石橋凌を思い浮かべた。ジェット・リーとジェイソン・ステイサムを相手に、五分に渡り合っていた。

もちろん、石橋凌の顔はわかる。しかし、僕はカミサンに「原田美枝子のダンナって石橋凌なんだって。石橋凌と白竜と大友康平って、見分けがつかないと思わないか?」と話していた。「まあ、雰囲気が似てないこともないわね」とカミサンが答える。そうか、僕だけじゃないんだと少し安心する。それにしても、この三人、男っぽいというだけではなく、共通する何かがあるのではないだろうか。

●歳を重ねて最近は大物風の役が増えている石橋凌

石橋凌を初めて見たのは、「ア・ホーマンス」(1986年)だった。劇画を映画化した作品で、最初は実績のある監督が撮るはずだったが、主演の松田優作とのトラブルで降板し、「だったら俺がやる」と松田優作自身が監督することになった。石橋凌はヤクザの役で、この映画で注目されたと記憶している。調べてみたら、俳優として新人賞ももらっている。

石橋凌のその後のフィルモグラフィーはなかなか充実しているし、ハリウッドにも進出し何本もの出演作がある。ジャック・ニコルソンとも共演している。一度だけしか見ていないのだが、最近はテレビドラマ「運命の人」で外務省の高級官僚を演じていた。部下の事務官が大事な書類のコピーを新聞記者に渡したために、責任をとらされ左遷される役だった。

しかし、その風貌からかヤクザやアウトロー役が多く、作品の傾向もだいたい決まっている。北野武監督の好きそうな俳優で、「キッズ・リターン」(1996年)ではヤクザの組長を演じ、ヤクザとマフィア以外は出てこない「BROTHER」(2000年)にも出演した。天願大介監督の「AIKI」(2002年)では、珍しく合気道の達人を演じて風格があった。

歳を重ねて、最近は大物風の役が増えている気がする。ヤクザなら組長だったり、高級官僚だったり、大企業の経営者といった権力者の役が多くなった。貫禄が出てきたのだろう。ベストセラー小説を映画化した「犯人に告ぐ」(2007年)では、神奈川県警トップのキャリア官僚を演じていた。

そう言えば、このときの石橋凌はなかなか味わいがあった。主人公(豊川悦司)は神奈川県警の管理官で、かつて警視庁との合同捜査で誘拐事件を担当するが失敗し、子供を殺され犯人も逮捕できないまま田舎の所轄署に左遷されている。そのミスの責任を主人公に押しつけるのが県警トップの石橋凌である。

数年後、犯罪を予告する連続殺人犯が現れ、石橋凌は主人公を神奈川県警の本庁に呼び戻す。捜査に失敗したら、全責任を彼にかぶせるつもりなのだ。主人公はスケープゴートの役割を持たされつつ、犯人逮捕を命じられる。自らは常に安全な位置にいることを優先するキャリア警察官僚の保身なのだが、石橋凌が演じることでキャラクターが矮小化されない。権力者らしい貫禄が漂う。

石橋凌の側近のように付き従い、権謀術数を駆使して出世をめざす、権力志向の権化のような役をやっているのが小沢征悦で、石橋凌以上のキャリア官僚らしさを見せる。しかし、結局、彼も最後は石橋凌に見捨てられる。キャリア官僚は自分が生き残るためには、すべてのものを切り捨てるのだ。そんな警察内部の権力闘争の裏をかく主人公の仕掛けが面白い。どんでん返しもあり、犯人逮捕の大筋とは別のプロットが生きている。

この映画では主人公がマスコミを利用して犯人を追い詰めていくのだが、主人公がナイトショーにレギュラー出演して人気が高まると、石橋凌が嫉妬し始めるのが笑えた。犯人をあぶり出すために、主人公はスタジオから犯人に向かって逮捕が間近いことを宣言し、「今夜は震えて眠れ」と大見得を切るシーンがヤマ場である。劇場型犯罪を突き詰めると、こんなシチュエーションになるのかもしれない。

●白竜と石橋凌が対決したらどちらが勝つかはわからない

白竜の作品歴のタイトルを見ると、石橋凌が出演してきたジャンルとほぼ重なる。オリジナルビデオ作品でも「首領(ドン)への道」といったタイトルがズラッと並ぶ。初期には崔洋一監督のデビュー作「十階のモスキート」(1983年)などにも出ていたようだが、僕の記憶にはない。あの映画を思い出しても、主演の内田裕也の姿しか浮かんでこない。

僕が初めて白竜を記憶に刻み込んだのは、北野武監督のデビュー作「その男、凶暴につき」(1989年)である。最初に見たとき、何てイヤな映画なんだろうと僕は思った。むき出しの暴力が描かれていたからだ。その中でも白竜は本物のヤクザのように怖かった。酷薄そうで感情を見せず、いつ切れて暴れ出すかわからない不気味さを湛えていた。

北野武監督は白竜が気に入ったのだろう。「みんな〜やってるか!」(1994年)で再び使っているが、石橋凌とは一緒には使っていないようだ。白竜と石橋凌が対決したら、どちらが勝つか結果はわからない。あるいは、雰囲気が似ているので観客が混乱してしまうかもしれない。そんな心配があったのではないか、というのは僕の勝手な想像だ。

もう一本、北野武作品として海外でも高く評価された「HANA-BI」(1997年)にも、白竜は出演している。この映画では、北野武は刑事役だった。同僚の刑事(大杉漣)が自分の身代わりになって撃たれ、半身不随になる。岸本加代子が演じた病気の妻を連れ、主人公は放浪の旅に出る。ここでも、白竜はボディガードの役を演じている。

この原稿を書きながら石橋凌と白竜を頭の中で並べてみているが、比較すると白竜の方がのっぺりしたイメージかもしれない。表情を殺してしまうと、何の感情も読み取れないような顔になる。そのぶん、不気味さを感じる。何を考えているのかわからないから、怖いのだろう。石橋凌の場合は、まったくの無表情にはならない。表情を殺しても、何らかの感情が読み取れる。

最近、白竜をあまり見ないと思っていたが、数年前、WOWOWのオリジナルドラマ「シリウスの道」(2008年)で主人公が通うバーのマスター役をやっていた。藤原伊織さんの原作はとても面白い小説で、白竜がやった役は重要なキャラクターなのだが、白竜は原作のイメージを裏切るもののはまり役ではあった。無表情なのだけれど、何もかも見通している不気味さを見せた。

●大友康平をうまく使っていた道警シリーズ「笑う警官」

石橋凌は1956年生まれ、今年、56になる。白竜は1952年生まれで、今年還暦を迎える。大友康平は石橋凌と同じ1956年生まれなので、今年、56歳だ。似ていると思ったが、やはり三人は同年代だった。大友康平は、もっと多く出演作があると思っていたけれど、作品歴を調べてみると意外に少ない。

僕が最も印象に残った役は、「パッチギ」(2004年)のラジオ局のディレクター役だったが、意外にもそれまでに数本の映画出演があるだけのようだ。井筒和幸監督の「のど自慢」(1999年)に出演し、監督に気に入られたのかもしれない。「パッチギ」では、出番は少ないが重要なキャラクターを演じた。

大友康平が演じたラジオ局のディレクターは、主人公と朝鮮籍の少女が公園で「イムジン河」を演奏し歌うのを聴いて、「いい歌だ」と主人公に名刺を渡し、番組に出てくれないかと言う。クライマックスは、主人公がラジオ局のスタジオで歌う「イムジン河」が流れる中、加茂川で朝鮮高校の生徒たちと日本人高校生が大乱闘を展開する。

「イムジン河」を歌わせようとするディレクターに、ラジオ局の上司が「放送禁止の歌だぞ」と中止を命令する。大友康平演じるディレクターは何も言わず上司をつまみ出し、殴り合う音だけが聞こえてくる。やがて唇から少し血を流した大友康平が、スタジオに戻ってくる。大友康平の持つタフでハードな雰囲気を生かしたキャラクターだった。

もっとも、石橋凌、白竜がヤクザやアウトローを演じることが多かったのに比べると、大友康平は使われ方が少し違うようだ。最近、テレビのバラエティ番組に出演しているのを見ると、明るいキャラクターで笑いを取っているし、そういう役も増えている。しかし、どこか暗さを感じさせるところがあり、不気味な殺し屋なんかが似合いそうだと思っていた。

大友康平をうまく使っていたのが、佐々木譲さんの北海道警察シリーズを映画化した「笑う警官」(2009年)だった。このシリーズは数人の警察官が主人公になるのだが、「笑う警官」では宮迫博之が演じる津久井が同僚の女性警官と不倫して殺した容疑をかけられ、拳銃を所持しているため射殺命令が道警の上部から出たというシチュエーションから始まる。

津久井の同僚の佐伯(大森南朋)や小島百合(松雪泰子)たちは津久井がはめられたと信じ、真犯人を朝までに捜し出すためにジャズ喫茶「ブラックバード」に集合する。映画のテーマ曲のように「バイ・バイ・ブラックバード」が使われているが、このジャズ喫茶がいい雰囲気で、寡黙なマスター大友康平が渋い味を出している。

ここでも例によって警察内部のキャリア官僚たちの暗躍が描かれるのだが、かつて不祥事を起こして警察を辞職した警察OBのマスター大友康平は、主人公たちの味方なのか敵なのかわからないまま物語が進んでいく。もっとも、津久井の冤罪を晴らすために集まった仲間も、誰が裏切るかわからない。小島百合が佐伯を疑い出したときには、僕もびっくりした。

「笑う警官」の大友康平はジャスバーの寡黙なマスターで、佐伯たちの話を聞いていないような顔でグラスを磨いている。終始、表情は変えない。しかし、白竜と違ってのっぺらぼうの無表情ではない。不気味さはないが、不可解さはあるという感じだ。実際、ラスト近くになって、大友康平はアッと驚くキャラクターに変身した。こんなのアリ? と僕はスクリーンを見つめてしばし茫然とした。

●日常的世界で平均的に生きている人間が持っていない匂い

ここまで原稿を書いてきて、僕の頭の中でようやく石橋凌、白竜、大友康平の区別が明確になった。それぞれの顔が代表的な役柄と共に浮かんでくる。それでも、どこか似ている気がする。彼らは、暴力の匂いがする。危ない世界で身体を張って生きているイメージもある。日常的世界で平均的に生きている人間が持っていない匂いを感じるのだ。

それが役者の持ち味というものだろう。たとえば、彼らと同世代の役者で小日向文世という人がいる。最近は役柄を広げて、北野武監督の「アウトレイジ」(2010年)では汚い悪徳刑事を楽しそうに演じていたが、彼なら普通の小市民的サラリーマンが演じられるだろうけれど、石橋凌、白竜、大友康平には無理だと思う。

それは、彼らが元々ミュージシャンだからなのだろうか。大友康平はハウンド・ドッグのヴォーカルだし、石橋凌もロックバンドのヴォーカルである。白竜もまた、ミュージシャンとしてデビューした。彼らはミュージシャンから俳優になり、独特のキャラクターを創り上げた。もちろん、ミュージシャンから役者になった人は大勢いる。しかし、彼らには似通った何かがあるのだ。

原田芳雄さんのように俳優でブルースを歌い、歌の中に僕に涙を流させる情感を込めることができたように、ミュージシャンから俳優になった彼らは、演技の中に歌の世界で会得した何かを込めることができるのかもしれない。どちらにしろ、観客や聴衆の記憶に残り続ける演技、あるいは歌唱ができるのは、才能のある限られた人たちだけだ。彼らの背後では、創造の女神(ミューズ)が微笑んでいる。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com < http://twitter.com/sogo1951 >

最近、どうも厭世的になり、嫌人癖が出そうで自戒しています。できれば、誰とも会わず、ひとりで「森の生活」のように暮らしたいと思っているのですが、浮き世に生きる者としては無理なこと。己が人に嫌われないようにしなければ...と改めて自戒しています。

●長編ミステリ三作「愚者の夜・賢者の朝」「太陽が溶けてゆく海」「黄色い玩具の鳥」の配信を開始しました→Appストア「グリフォン書店」
●第25回日本冒険小説協会特別賞「最優秀映画コラム賞」受賞
既刊三巻発売中
「映画がなければ生きていけない1999-2002」2,000円+税(水曜社)
「映画がなければ生きていけない2003-2006」2,000円+税(水曜社)
「映画がなければ生きていけない2007-2009」2,000円+税(水曜社)
●電子書籍版「映画がなければ生きていけない」シリーズがアップされました!!
「1999年版 天地創造編」100円+税
「2000年版 暗中模索編」350円+税
「2001年版 疾風怒濤編」350円+税
「2002年版 艱難辛苦編」350円+税
「2003年版 青息吐息編」350円+税
「2004年版 明鏡止水編」350円+税
「2005年版 暗雲低迷編」350円+税
「2006年版 臥薪嘗胆編」350円+税
「2007年版 驚天動地編」350円+税
「2008年版 急転直下編」350円+税
< https://hon-to.jp/asp/ShowSeriesDetail.do;jsessionid=5B74240F5672207C2DF9991748732FCC?seriesId=B-MBJ-23510-8-113528X >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ところのほんとのところ[78]
「こういう時に限って」だらけ

所幸則 Tokoro Yukinori
< http://bn.dgcr.com/archives/20120420140200.html >
───────────────────────────────────
さて、[ところ]は「東京画」でのNYフォトフェスティバル(5月16日〜20日)の準備したり、上海からやって来ているキュレーターに「個園─中日現代美術交流展」(4月21日〜5月20日)に展示するための作品を渡したり、Niiyama's Gallery and Sales Salonでのヌード作品の個展の準備にかかったり、所塾生との交流会をしたり、盛りだくさんすぎる日々を過ごしている。

もちろん[ところ]のプリント作業がもっとも時間がかかるので、時間をちゃんと確保していたのだけれど、こういう時に限ってハードディスクが妙な雰囲気になった。これがトラブル第一弾だった。

[ところ]は6台あるHDのうち、2台が認識しなくなって困っている。いや、困っているどころではない、恐怖に支配されているのだ。写真家にとって、いまやデータが命になってしまった。

今月は物入りなのでちょっと苦しい懐事情でもある。月末にはガツンとお金が入ってくるはずなので、それからHDを買いたいところではあるが、この恐怖には勝てない。というか、データの保護が最優先課題であるので仕方がない。

取りあえず、6TBのHDを買いデータをコピーする。これがまた時間がかかる。時間を効率よく使おうと、寝てる間にまとめて3TBほどコピーしようとしたのだが、5時間ほど経ってトイレに行くついでに覗いてみると、壊れているファイルがあったため、コピーが止まっていたりする。

どこまでコピーできたのかはっきりとしないために、結局200GBぐらいずつコピーを繰り返した。あー、もう本当に大変。

コピーがやっと5TBほど進んだので、プリントを開始できたのが3日目の昼からだった。あと2日後には個展用、NY用、なぜかこの3日の間にさっくり売れたヌード作品の、大きいサイズのプリントをやらなければならない。

頑張って4日目の朝方までには9割ほど順調にプリントをしていたのだけれど、最後の一枚という時になって、プリンターが認識しなくなった。エプソンの電話サポートを受け、いろいろいじってみたが復帰しない。

しかも、こういう時に限って大事なカメラを落下させてしまい、メーカーの人と会わないとどうにもならない。カメラを落とした[ところ]が悪いのだけれど、まさに「こういう時に限って」だらけなのだ。

それでもエプソンの人が夕方来てくれて、30分程で問題は解決した。それまでの2時間は生きた心地がしなかったので、一気にグターッとなってしまった。

昔「マーフィーの法則」というのが話題になったけれど、本当にこういう時に限って、起きて欲しくないことが起きるんだなと実感した数日間だった。だけど、こういう問題は解決するたびに達成感があるよね。

エプソンとシグマの方も、真剣に素早く問題解決してくれたし、それと3日前に名前を決めた「東京渋谷PHOTOフォトグラファーズ」のメンバーが、いい感じのテーマを見つけそうなのでうれしい。

「東京渋谷PHOTOフォトグラファーズ」とは、渋谷という街を個性的なアプローチで表現する写真家の集団で、主宰は[ところ]です。すでにサトウタケヒト、布施有輝、所幸則はそれぞれまったく違うアプローチで写真を撮っているが、そこへ更に違うアプローチの二人が加わった。あと二人もきっと自分のアプローチでやってくるだろう。

渋谷を個性的に撮っていると思う写真家は、ぜひ[ところ]にコンタクトして下さい。共感できたら参加してもらいたいと思っています。興味のある方は、[ところ]のHPからメールください。もしくはFacebookのメッセージでもいいですよ。

秋には第一弾の展示を、アオガエルという渋谷のちいさな電車の中で始めたいと思っています。来年の春にはもっと大きな場所でやる予定。

「東京画」は東京を描き出すプロジェクト。僕も共感し参加しているし、「東京画」が参加するNYフォトフェスティバルにも、日本選抜作家として現地に行ってきます。「東京画」はこれからますます面白い展開になって行くと思うので、とても楽しみです。

中国で最高の美術大学がある杭州のモダンアートギャラリーで、中国と日本を代表する現代美術家のグループ展が開催され、【ところ】も参加します。
「個園─中日現代美術交流展」
展覧会場:人可芸術中心 Renka Art Center(中国杭州市)
< http://www.renkeart.com/ >
期間:4月21日(土)〜5月20日(日)
日本側アーティスト:草間彌生、荒木経惟、所幸則、端聡、岡部昌生

個展「1second─ほんとうにあったように思えてしまう事」
会期:5月10日(木)〜6月9日(土)
会場:Niiyama's Gallery and sales Salon
曖昧な人の記憶、現実とは実は曖昧なもの。確かにあったと思っている記憶も現実も「本当にあったように思えてしまう事」なのかもしれない。僕が現実に見て残したいと思って撮った美しいNUDE作品を展示します。

◎ミュージックライフ+ 空想レコード美術館 VOL.8 THE WHO IS ALRIGHT
写真家所幸則が架空のTHE WHOのアルバムを作っています。
【ところ】のインタヴューがとても面白いです。
音楽と【ところ】と写真を絡めた切り口が斬新です。
ここで簡単な解説がみられます。
< http://www.shinko-music.co.jp/musiclifeplus/ >

ここでダウンロードできます。iphone/ipad用デジタルフリーマガジン
< http://itunes.apple.com/jp/app/music-life/id406608067?mt=8 >

【ところ・ゆきのり】写真家
CHIAROSCUARO所幸則 < http://tokoroyukinori.seesaa.net/ >
所幸則公式サイト  < http://tokoroyukinori.com/ >

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■イベント案内
成安発!フレッシュマンガ家原画展
〜雑誌・出版社の枠を越えた、人気コミックの原画展〜
< http://www.seian-illust.net/manga10/ >
< http://bn.dgcr.com/archives/20120420140100.html >
───────────────────────────────────
成安造形大学では、同校からこの3年間でプロデビューした、10名のマンガ家の原画展を開催いたします。

ひなきみわ『miifa』(モーニング/講談社)、ringo『ぶらっくろっくちゃん』(4コマなのエース/角川書店)、たかはし慶行『化けてりや』(ビッグガンガン/スクエアエニックス)、『閃乱カグラ‐少女達の真影‐』(コミックアライブ/メディアファクトリー)など、人気作品を一堂に集め、マンガ生原稿や雑誌掲載時よりもハイクオリティなオリジナルデータからのデジタルプリントに加え、デジタル仕上げ前のペン原画、下絵、ネームなど、普段作品からは知ることの出来ない制作過程も展示いたします。雑誌・出版社の枠を越えた、期待の新人たちの原画展にご期待ください。

展覧会タイトル「成安発!フレッシュマンガ家原画展」
主催:成安造形大学
会期:4月20日(金)〜5月12日(土)12:00〜18:00 4/22、4/30〜5/6休館
   4/29 作家来場(高畠エナガ、松本結樹、てらいまき)

会場:成安造形大学【キャンパスは美術館】ライトギャラリー 入場無料
滋賀県大津市仰木の里東4-3-1 TEL.077-574-2111(代表)
お問い合わせ:成安造形大学イラストレーション領域 illust@seian.ac.jp

●原画展示作家

・高畠エナガ
2011年卒業。現在雑誌「スーパーダッシュ&ゴー!」(集英社)にて短編読み切り連載中。4/25に単行本「Latin高畠エナガ短編集1」発売。

・たかはし慶行
2007年卒業。現在雑誌「ビッグガンガン」(スクエアエニックス)にて『化けてりや』を連載中。

・ringo
2009年卒業、2011年研究生修了。同年雑誌「4コマなのエース」(角川書店)にて『ぶらっくろっくちゃん』(原作:huke)でデビュー。同単行本も発売中。雑誌「月刊少年エース」(角川書店)6月号より『デート・ア・ライブ』(原作:橘公司)連載開始。

・ひなきみわ
2009年卒業。同年雑誌「モーニング」(講談社)にて『miifa』でデビュー&連載中。同単行本1、2巻も発売中。今年3月より雑誌「マーガレット」(集英社)にて『Piyocolate(ぴよこれいと)』連載開始。

・鷹爪あまみ
2011年卒業。同年雑誌「月刊コミックアライブ」誌(メディアファクトリー)にて『閃乱カグラ‐少女達の真影‐』原作:高木謙一郎(マーベラスAQL)でデビュー&連載中。同単行本1巻も発売中。

・金崎くーこ
2007年卒業。2011年、Webマンガサイト「漫画街」(銀杏社)にて『女流まんが道』を連載。現在5月からの連載再開に向けて準備中。

・松本結樹
2012年卒業。4年在学時に雑誌「Fellows!(Q)2011AUTUMN」(エンターブレイン)にて読み切り作品『雷が鳴ると』でデビュー。同誌2012-SPRING号に読み切り作品『雪はそんなにきれいじゃない』掲載。

・てらいまき
2009年卒業。雑誌「Cocohana」(集英社)にてイラストエッセイ『京都おとめがたり』を連載中。

・でっどぴーぷる
2012年卒業。雑誌「じ〜く2号」(SATマガジン出版)『WC委員会』でデビュー。

・かやッペ
2006年卒業。雑誌「まんがタイムきららMAX」(芳文社)にて『あみこみクローバー』など読み切り作品を発表中。4月発売号のまんがタイムきららMAXにて新作読み切り「妖茶芸館」(あやかしさげいかん)が掲載される。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
編集後記(04/20)

●みうらじゅん、リリー・フランキーの「どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか」を読む(扶桑社、2011)。中途半端な青い色に、このタイトルが白抜きされて、なんともなげやりな表紙。ほとんど期待しないで読み始めたが、意外や意外、この二人、ぜんぜん堅気じゃないけど、言ってることはまっとうだ。こんな台詞おれが言いたいと思う。価値観はブレず、言葉は色あせていない。嫉妬を感じるほどうまい言葉のやりとりだ。

ある日、「どうやらオレたち、いずれ死ぬっつーじゃないですか」という諦念と覚悟を併せ持った言葉が会話の中にひょいと出て、異常に盛り上がった二人が、その気持ちの昂りを記録しておきたいという要望から、何度も対談を重ねて仕上げた本がこれだ。全4章で、「人生」「人間関係」「仕事」「生と死」にまつわる話を展開し、番外で「みうら&リリーが皆さまの悩みに答える人生駆け込み寺」がある。その構成はきまじめ過ぎて、彼らの自由な会話には合わない感じもする。誰が書いたのか詳細な注釈がいい。対談は完成度が高く、たぶん何度も筆を入れていると思う。

L「若い人がこの本の文章を読んで、すぐ意味がわからなくてもいいと思いますよ。いずれわかるから。だって、本とか映画とかって、そのときすべてがわかるものって大したものじゃないし」M「あとでジワジワ効いてくるもんだよね」とは、自信あるんだな。認めるけど。大したものです。

妻はクイズ番組が大好きで、ロザン宇治原のファンである。「クイズ王がいまいち利口に見えないのは、知識を持っていても教養があるように見えないからだ」「大事なのはその人の持つ教養で世の中を変えられるかということで、雑学なんかじゃ世の中1ミリも変わらない」「雑学や知識だけしか持っていない人との話は鬱陶しい。その人たちには駄洒落を言う余裕がない」なんてM&Lのウケウリを発したら、当然ながら著しく妻の機嫌を損ねて、しばらくマズいことに。口は災いのもと。(柴田)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594063055/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー5件)

●宝塚歌劇で銀河英雄伝説。宙組トップお披露目。脚本・演出は、『エリザベート』『ロミオとジュリエット』などの小池修一郎氏。誰が双璧やるんだろう、キルヒは、アンネローゼ様はと友人らとキャスティングを想像して楽しんでいる。その昔、徳間書店側から宝塚に話を持って行ったものの、ラブロマンス要素が少ないから断られたそうな。宝塚は好きだが、ラブロマンス要素はなくても良いのにと思ってしまう話は結構多い。いまだに『ベルばら』の印象しかないのも残念。1時間半〜2時間半程度のお芝居では、深く掘り下げるのは難しいけれど、題材は幅広く、昨年だと27種のお芝居、11種のショーが上演された。種と書いたのは全国ツアーや東京公演があったりするため。これにディナーショーやミュージックサロンなどが加わる。そりゃ全部がベルばらで行くわけにはいかないし、スターにも上手い下手がいるし、不作良作も混ざるってもんだ。

本宮ひろ志原作の『猛き黄金の国 士魂商才!岩崎彌太郎の青春』は2001年にやってるし、白洲次郎の話『黎明の風』は2008年。なんとか王朝から一般人の話まで、日本から世界、太古から現代、シェイクスピアから伝記・小説や漫画、映画、テレビドラマまで、ほんとに幅広くてチャレンジャー。『メイちゃんの執事』『相棒』『逆転裁判』あたりだってやっちゃった。もちろんどれも宝塚フィルターかかってるし、エグいのはやらない。殺陣はゆるいというかダンス。キスシーンは寸止めだけど、演者が女同士故の遠慮の無さか、切り込み過ぎなハイレグ衣装や体中触りまくりな、ちょっとエロ過ぎませんか、というシーンまであったりする。レイプシーンのダンスは、ここまで表現しなくてもいいんじゃないの? というストレートなものまであった。そういうのは東京に行く前に修正が入ったりすることもあるので、キツいという噂が出たら宝塚大劇場で観てみてね。男性は行きにくいという話をよく聞くけれど、一人で来ている人は結構いるし、お店に入りづらいというのと同じで、お客さんたちは何も気にしていないよ。気にするとすれば座高や足の広げ方、携帯電源ぐらい。前の方に男性客がいると目立つので、スターさんたちにサービスしてもらったりしてて、うらやましかったりする。(hammer.mule)
< http://gineiden.jp/teikoku/special02a.html >
「銀河英雄伝説」は、以前にも舞台化の話があったとお聞きしていますが
< http://kageki.hankyu.co.jp/revue/back2011.html >
去年の公演
< http://news.so-net.ne.jp/article/detail/694224/ >
夏目雅子さんの姪御さん。瀬奈ちゃんが好きと聞いて応援したくなった
< http://www.eonet.ne.jp/%7Eshirogane/kabuto.htm >
カブトムシに耳はあるの?