おかだの光画部トーク[77]金環日食いかがでしたか?
── 岡田陽一 ──

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昨日、2012年5月21日(月)の朝、日食見ましたか? 東京、横浜、名古屋、大阪など、人口の多い太平洋側の地域を食の中心が通ったので、月が太陽を隠し、周囲に輪ができる金環日食が観測されました。またそれ以外の多くの地域でも、太陽の大部分が欠ける部分日食が観測されました。

金環日食の詳しい内容や映像については、昨日のニュースやワイドショーなどでもいっぱい放送されていたようなので、ここでは、わたしが神戸で体験したレポートを記しておきますね。

わたしの住む、兵庫県の西端の相生市では、金環日食が観られるエリアから若干外れていましたので、神戸まで行って観ることにしました。

数日前からの天気予報で、当日朝はどうも全国的に天気が良くないと聞いてたのですが、たとえ雨でも曇っていても、それはそれで、その状況を楽しもうと思いスタンバイ。

家から、神戸までは約1時間ちょっと。欠け始めるのが6時17分だったので、4時半に起きて準備して5時に出発しました。
目指すは神戸のハーバーランド。
< http://flic.kr/p/c2TL6N
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道中のラジオでは曇って観えないと言っていたのですが、相生から神戸へ東に向かって走る車のフロントガラスは朝陽が眩しくて、バイザーを下ろすほどしっかり晴れてました。

「これならばっちりかも!」と期待しつつも、神戸で金環日食が始まる7時半ころにちゃんと晴れてるかどうかが一番大事なので、雲がかからないように心に念じつつ、順調に神戸に向かいました。

ハーバーランドに到着して、駐車場に止めて東の空を見ると、先ほどまであんなに晴れて眩しかった太陽が雲に隠れているじゃないですか。
< http://flic.kr/p/c3eP37
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しかも、厚い雲が南から北へ流れてる状態。6時17分を過ぎてこの状態がしばらく続いたので、日食の最初の方、欠け始めは観ることができませんでした。後、1時間程で金環日食。せめてそれまでにはこの雲が通り過ぎて欲しい。

風が結構強くて、太陽を覆っていた雲も、かなりのスピードで北へと流れていたので少し期待がもてました。その南にはもう厚い雲はなく、晴れ間も見えていました。

カメラを三脚にセッティングしたり、レンズにNDフィルタを取り付けたり、周辺の様子を観察したりしていると、20〜30分程で雲が通りすぎて、欠けた太陽が顔をみせました。
< http://flic.kr/p/c3eQ19
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やった! とにかく、はやる気持ちのまま撮った一枚目がこの写真。
< http://flic.kr/p/c2Ta3w
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あんまり上手に撮れない......。とにかく通常は使うことなどほぼない、太陽撮影用のND100000という真っ黒なフィルタを付けての撮影なので、太陽以外は何も見えない。そして、レンズ越しでも太陽って意外に小さいし、早く動く(三脚で固定してるので、どんどんファインダ内で中心からズレていく)。

太陽が明るく写りすぎるので、かなりアンダーに露出補正をして、ここからは定期的にシャッターを切る。連続して見ると、月と太陽の動きがよくわかる。

周囲にはわたしの他にも、何人か日食グラスを使って見てる人や、カメラで太陽を狙ってる人たちがちらほら居ました。港の広々とした場所だったので、もっと大勢が見に来るのかと思っていましたが、両手で数えられるほど。世間はあまり興味なかったのかな?

不思議に感じたのは、それでも10数人が全員同じ方向の空を日食グラスやNDフィルタ越しに見ているのに、何事もないかのように、まっすぐ前だけを見てウォーキングしたり、犬の散歩をしている人たち。

この世紀の天体ショーの真っ最中に、まるで別世界に居るかのような人たちを見て、「人それぞれで面白いなぁ」って感じました。

さて、金環日食の始まる7時半が近づいてくると、辺りが変な暗さになってきました。普通に青空とハーバーランドの景色なのですが、影がうすいというかエッジがやわらかいというか。

Photoshopなどで使う色補正で言うと、輝度を下げて、彩度を50%くらい落とした状態くらいの感じを受けました。赤いポートタワーも、なんだかくすんだ感じ。

そして肌に感じる太陽のあたたかさというか、辺り全体が一瞬でひやっと感じるほど、気温も下がった気がしました。でもこの感じは、カメラが勝手に補正してしまうので、あまり写真では表現できないですね。
< http://flic.kr/p/c2TJbQ
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さて、神戸から観た金環日食、食の最大の頃の写真がこれです。
< http://flic.kr/p/c2TpkW
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神戸では金環日食に入ってぬけるまでの時間は2分程度でした。この2分間は、ファインダー越しにずっと見ていると、月と太陽の動きがとてもよくわかる、すごく幻想的な時間でした。

宇宙のスケール感というか、太陽と月、実際には全く大きさが違う2つの星が、たまたま地球からの位置関係で見かけ上ほぼ同じに見えるという、驚異的な偶然と、太陽と月と地球の軌道が見事に一致した瞬間を見ている偶然を感じながら、あっという間の2分間がすぎて金環日食が終わりました。
< http://flic.kr/p/c2TpkW
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その後、日食終了の8時50分ごろまでを見届けて、数年前から楽しみにしていた世紀の天体ショーイベントが終わりました。
< http://flic.kr/p/c2TDn7
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月曜の早朝だったので仕方なかったことですが、惜しむらくはこの神秘的な風景を、ひとりぼっちで見ていたことですね。

【岡田陽一/Web&DTP デザイナー+フォトグラファー】
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今月から、いろいろな変化にともない名前の表記も漢字になりました。