ネタを訪ねて三万歩[88]飲み会キャラバンとfacebookと/海津ヨシノリ

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4月の某日、多摩美術大学造形表現学部デザイン学科で私が関わっているデジタルコースの歓迎会が行われました。これは2年時からコース別れするために、3年生が2年生を歓迎するという飲み会をコース毎に行っている慣例行事です。

実は私、何故か映像コースの歓迎会にも毎年デフォルトで組み込まれていたりします。で、今回も場所は例年通りに二子玉川のTAPAとなりました。しかし、何故かビジュアルコースや映像コースの学生、更には転部や他大学に編入した学生に卒業生まで加わった40名ほどで大騒ぎ。学生と色々本音で話せるこんなセッティングは本当に大歓迎です。

その6日後の17時45分に、新宿のランキンランキン前で女性と待ち合わせるオジサン二人。もちろんオジサン二人のうちの一人は私です。最初は当然意識していなかったのですが、周りで待ち合わせしているのは圧倒的に若い人だらけ。

オジサン系はホームレス風(?)のファンキーな方ぐらいしか目に入りません。大学の新歓(新入生歓迎コンパ)の待ち合わせ場所ということも影響していたようです。とにかく、なんだか異空間に放り込まれてしまった感じでした。

そのあと三人で茶茶白雨にて酒盛りという名の打ち合わせを行い、デザートまで食べて終了のはずが、店を出たとたんに軽くコーヒーでも......ということになり、たまたま目に入った中村屋のパーラーに即決し、エレベータに乗ったのですが、入り口に若い女性が沢山いた違和感から、そのまま上のレストランに向かいます。

コーヒーだけでもいいですか? と店員に聞いて、大丈夫ですよと確認したのに、席に着いた途端にワインをボトルで注文することになってしまったのです。まっ、適当な客は色々いると思いますが、自分達がそのいい加減さをネタにワインで盛り上がってしまいました。




人の行動は本当に予測できません。アルコールが入っていて仲間が居たら更に増幅してしまいます。でも、このお互いがスイッチを入れ合っている絶妙な関係、あるいは空間が大切なのです。とにかくじっくり時間を掛けて親密になった友人達だからこそ、お互いのツボをわきまえているからか、本当に心地良い時間を過ごすことができました。

ちなみに、この宴席は学生とではなく、東京都立中央・城北職業能力開発センターの教員同士の情報交換会です。実はここでの活動が多摩美術大学の学生にも影響し、また多摩美術大学での活動が職業能力開発センターの学生にも影響しています。もちろん、それを認識しているのは私だけなのですが、世の中は意外と間接的なパワーで支えられているわけです。

そしてその翌日、多摩美術大学造形表現学部造形学科日本画専攻を2011年に卒業した学生、同じく造形学科油画専攻を2012年に卒業した学生二人と二子玉川で食事会をしました。二人とも女性です......と、しっかり強調したくなるオジサンモード。

実はその日は授業のある日で、授業を終了したのは少し早めの21時ジャスト。しかし、いつもより質問する学生が多く、結局食事を始めたのは22時過ぎとなってしまいました。このように授業終了後の一時間ぐらいは質問の対応に追われる事も珍しくありません。

前にネタにしましたが、私の記録は2時間半です。つまり21時から23時30分まで質問に対応していたことがあります。順番待ちの列の後ろにいた学生は相当疲れたのではないでしょうか。夜間部はこれが少し大変です。

余談ですが、私の共通教育(全学共通カリキュラム)での講義は全学科の全学年が履修できる関係から、単位が取れているにも拘わらず何年も聴講する学生、卒業したはずなのに何故か座っている学生が多く、話題に事欠きません。

ですから、新しいネタを仕入れるのに少々苦労しています。そんな関係で、本来なら出会うはずのなかった学生と卒業生が、私の講義の後に出会ってしまうことも珍しくありません。人間どこでどんなつながりが発生するかわからないですからね。もっともそれが楽しいのです。

そして数日後の5月某日、今度はデザイン学科プロダクトデザインコースを今年卒業した男性二名と、何故か武蔵野美術大学を今年卒業した女性を交えて三軒茶屋で飲み会です。

実はここでfacebookへ丁寧なお誘いを受け、色々と思うところはあったのですが、そろそろ限界と重い腰を上げました。そもそもこの一連の飲み会キャラバンに関わったほとんどの人が、facebookを行っていたことも当然影響しています。ちなみにSNSはこれが初めてです。正確にはGoogle+の方が先なのですが、まだまったくの白紙状態ですので。

で、連絡を取りたい人を検索すると一応出てくるのですが、写真も含めて本人だと確証の持てる情報がないことが多く、ダラダラ捜していても時間ばかり経過してしまうので断念してしまいました。

なにせ、登録一日で友達が100名突破してしまったからです。うまく隠れたつもりが、四方八方から発見されてしまった感じですね。一番驚いたのは、スウェーデン人の友人に開設10分後に発見されたこと。勝手が分からな過ぎたこの日はかなり焦ってしまいました。

ところで、この友達の定義は実に曖昧ですね。今の時代、同じ東京の半径5km圏内に住んでいるはずなのに、10年以上も何の連絡もコネクションもなければ、友達ではなくて「あんた誰?」でしょう。

最低限、年に一度の年賀状のやりとりぐらいがギリギリの境界線かも知れませんね。もちろん、引っ越し等の関係で連絡が取れなくなっている場合は例外です。引っ越しもなくメールアドレスも変わっていないのに、10年超えはあり得ないですからね......普通は。

話を戻すと、飲み会の場所は三軒茶屋中央劇場(映画館)の近くにある「こんにゃくの刺身」が有名な居酒屋でした。お店は原則予約制で、完全禁煙が嬉しい日本酒の専門店。ただし何でも高過ぎて、普通の居酒屋の3倍は覚悟しないと危ない店でした。

そして、悲劇は突然起こりました。ビールで祝杯を挙げた後、専門店と言うことで日本酒に切り替えようとしたのですが、見慣れない銘柄に困惑したので居合わせた店員(中年の女性)に「何か辛口のお薦めを」と私が言ったことで空気は一変。

店員曰く「日本酒に甘口も辛口もない。米を原料としているので......」とウンチクを機関銃のように放ち始めた段階で、私は聞く耳を捨てました。この場合、専門的な知識ではなく単に「そのような場合は......」と、ニュアンスをくみ取って銘柄を提示すればよいこと。にもかかわらず、上から目線で客の揚げ足を取り、専門知識をひけらかす店員の態度に不快感が大爆発。

学生が同席していなかったら「ファストフード店でアルバイトの高校生から接客のイロハを学べ!」と捨て台詞を吐いて、その場で席を蹴っていたと思います。多分二度とこの店には行くことはないと思いますが、紹介してくれた学生に対して本当に申し訳ない感じでいます。人気にあぐらをかいた殿様商売の典型例ですね。とにかく感じの悪い店員の仕切る店でした。

そしてその一週間後、デザイン学科の某カテゴリーに入り、あまり話をしたことのない学生達との飲み会がありました。実はこの飲み会は、facebookを始めてから実際にfacebookを行っている「友達」との初めての記念すべき飲み会となったのです。

だからかもしれませんが、予想外の話題で盛り上がってしまったのは言うまでもありません。ただし肴はfacebookではありません。重要なのはキッカケ。それがお互いの色々なスイッチをONにしてくれます。

というわけで、こんな目まぐるしい飲み会というかイベントが最近とっても癖になっています。刺激をもらえるからかもしれません。どこか打算的な大人の集まりではないことも含め、色々な複合要素が癖に繋がっています。

そして、これがとっても楽しいのです。きっと打算的な大人達からはもらえない何かを沢山分けてもらえるからだと思います。もちろん学生としか飲まないわけではありません。打算的ではない大人だって世の中には沢山いますからね。

そもそも多摩美術大学造形表現学部は夜間部なので、現役生でも大人が多いということは、ある意味特殊事情かもしれません。でもこれは重要な事ですね。

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■今月のお気に入りミュージックと映画

[Chorus Of Fools]by The Crookes in 2011(U.K.)

ザ・クルックスの『Chasing After Ghosts』に納められている一曲。ジャングリーなギターとポエティックなボーカルで綴られる、ロマンティックでセンチメンタルなメロディーは体に鈍く、でも重く突き刺さる感じ。「ネオアコ」「ギタポ」「UKロック」ファンにとっては涙ものですね。

[Defendor]by Peter Stebbings in 2009(Canada)

日本未公開のカナダのアクション・コメディ映画。冴えない男アーサーは、ディフェンドーのコスチュームに身を包み、今日も夜の街で悪と戦う。という内容なのですが、かなりシュールで考えさせられる内容です。
主人公のアーサーは、知的障害を持つ真面目な男ゆえ、悪に対して苦悩するという内容です。この手の作品としては「キック・アス」や「スーパー!」がありますが、どれも世の中が荒廃していることの裏返しなのかも知れませんね。被害者は晒し者で加害者は人権保護ですから......。とにかくお薦めです。

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■アップルストア銀座のセッション

6月11日(月)19時00分〜 アップルストア銀座でのセッション
Made on a Macとして画像処理セッション
『海津ヨシノリの画像処理テクニック講座Vol. 69』
Adobe Photoshop CS6の可能性として、リリースされたばかりのAdobe Photoshop CS6に搭載された新機能の検証と、それらの利便性を独自の視点で整理いたします。Photoshop CS6はどこが変わったのか? 予約不要・参加無料・退席自由です。

【海津ヨシノリ】グラフィックデザイナー/イラストレーター/写真家/
怪しいお菓子研究家

yoshinori@kaizu.com
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お菓子の世界で最近注目を集めているのが米粉。アレルギー対策としても外せません。問題は使い方。なにせ食べ物の場合は失敗しても完食しなくてはならないので、そう簡単にあれこれ試せません。さりとて少量だけ作っても見事に失敗してしまいます。結局少しずつチャレンジしていくしかないのです。

幸いというか、今年はかなりのハイペースで学生とお茶会を開催しているので、ノウハウは少しずつ溜まってきました。しかし、そうなるとオーブンや調理器具に色々と欲が出て来てしまうのが気になります。道具は物作りの基本ですからね。