まにまにころころ[4]超音速旅客機とガチャ
── 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito ──

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こんにちわん。ソーシャルゲームのプレイに日々忙しい、コロこと川合です。
......あくまで研究のためですよ。

──ということで前回に続いて、もう少しだけソーシャルゲームの話

前回は、ソーシャルゲームにはまる様子はアディクションにおちいる過程とよく似ている、というような話を書いたように思います。特に、課金を繰り返して、ガチャに大金をつぎ込んでしまうあたりは、ギャンブルへのアディクションとよく似ているように思います。

──夢の超音速ジェット

もう少し、もう少しと、損失が続く中でコストをつぎ込むことをやめられない心理状態を、「コンコルド効果」とか「コンコルド錯誤」と呼びます。かつてフランスが開発した超音速旅客機「コンコルド」の商業的失敗になぞらえて。

このコンコルド、めちゃめちゃ速く飛べる、まさに夢の旅客機だったんですが、滑走距離が長く必要だったり、音速を超えるために騒音やソニックブームへの考慮が必要だったり、燃料が長距離持たなかったりと、色んな問題があったようです。

そのせいであまり売れなかったんですが、開発以来、莫大なコストがかかってることから、なかなか見切りを付けて諦めることができずに、なんとか改善して元を取ろうとずるずると投資し続け、傷口を拡げてしまいました。

スラッとしたデザインで、マッハ2という高速飛行、私たちの世代には未来の象徴というか、まさに夢のジェットだったんですけれど。未来の象徴と言っても、初飛行は私が生まれるずっとずっと前の1969年ですけどね。




調べてみると、定期運行が始まったのがちょうど私が生まれる前年1976年のようで、子どもの頃に見ていた学習雑誌とか図鑑には絶対に載ってたんですよ。そんな夢の機体が、まさか大人になる頃にはサンクコストの象徴になっていようとは夢にも思いませんでした。

──分かる気持ちと分からない気持ち

もう少しコストをつぎ込めば挽回できるかも知れない......コンコルドの話にしても、ギャンブルの話にしても、この気持ちは分かりますよね。確実に勝つことが要求される投資の世界では絶対にやってはいけないこととされているんですが、夢を追い求める世界ではまた違ってきます。

成功した起業家の談話として「勝つまで諦めないことが大事だ」なんてよく聞きますよね。コンコルドだって、最終的に成功してたらきっと美談になってましたよ。諦めないことが成功に繋がったとか、引き際をわきまえたことが勝因だとか、そんなの全部、結果論。たられば話と一緒で、後からだったら好きなこと言えます。でもまあ、結果がすべて、ということで。

でも、なかなか分からないのは、「ガチャ」につぎ込む気持ち。仮に最終的に当たったところで、得られるものはゲーム上のデータ。なんでそんなものに、というのが一般的な感想だと思います。一般的な感想、というか、正常な判断、と言ってもいいかもしれません。これを正常な判断を下せない状態に陥っていると見ると、まさにアディクションに重なるわけです。

──でも正常な判断の上でのことかもしれない

「あんなものにお金をつぎ込むなんてどうかしてる」と、切り捨ててしまうのは簡単ですが、その「あんなもの」って一体何なのか。ソーシャルゲームの中で「あんなもの」は、強い武器だったり、性能の高いキャラクターだったり、回復アイテムだったりするわけですが、共通して言えるのは、それが手に入ると、効率よくゲームを進めるためのもの、なんです。

普通にプレイしていれば一か月かかるところを、お金を出してアイテムを買えば一日で到達できたりする。そして、より楽しめる。よく「アイテムを買ってるんじゃない、時間を買ってるんだ」と言われます。

一か月のプレイ時間を3万円ほどで買えるなら悪くないって言われると、少し納得する人も出てくるんじゃないでしょうか。もっとも、それらしい「上手い言い訳」を言うようになるのは、アディクションの特徴だったりもするんですけれども。(笑)

効率よくゲームを進められて楽しめることに加えて、生身のプレイヤー同士が繋がりあってるソーシャルゲームではさらに、貴重なアイテムをもっていることは「賞賛」に繋がります。また、他のプレイヤーとチームを組んで遊ぶゲームでは、「チームへの貢献」に繋がります。この気持ちよさは、ソーシャルゲーム特有のもの。だからハマっていくんですよね。

──人のふり見て......

バーチャルなものであっても、賞賛されたり貢献できたりする気持ちよさは、実際に体験しないと分かりにくい。だからさっき書いたように「あんなものにお金を......」とバカにされるんですが、そんなことを言う人の多くも別のところでは、ちやほやされるためにキャバクラ行ったり、見栄のために高い服買ったり、気分をあげるために酒を飲んだりしてるわけですよ。たぶん同じかそれ以上のお金を使って。

あ、「貢献」するための行動は良いことですけど。文句を言いたいのなら、理解できないからって頭から否定するんじゃなくて、それなりに理解した上で、そして我が身を振り返りつつ、優しく諭しましょう。

──問題なのは

気持ちよくなるためにお金や時間を使うのは、適度であれば問題ありません。ソーシャルゲームもその他娯楽も一緒です。良識を持って、自分の自由にして問題のない金額の範囲で。

問題なのは、前にも書いたとおり、子どもがよく分からないままに巻き込まれていってること。これは大人がなんとかしないといけない問題です。錯誤させるような仕組みやCMもそうですが、親子関係や教育も見直すべきです。そのためにもある程度は理解しておかないと、業者のせいにしても、本人のせいにしても、何も解決しません。

──ゲームは魅力的で素敵なコンテンツ

社会問題になってることもあって、気をつけながらもなんとなく全体的に否定含みの書き方になった感は否めませんが、ハマりやすいということは、それだけ魅力的だということの裏返しでもあります。

思考停止してただ眉をひそめてないで、多くの人を魅了し、多くのお金を動かし、多くの雇用を生んでいることにも目を向けて、何がそうさせているのかを知ろうとしてみてもいいんじゃないですかね。

さて、大雑把に書きながらも、思いつくままにあれこれ書いているうちに長くなりましたが、この話はこの辺で終わりにしつつ、行動力の回復したアイドルと聖闘士が待つソーシャルゲームのプレイに戻りたいと思います。

......あくまで研究のためですってば!

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
< http://cap-ut.co.jp/
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