[3306] 老優たちの夢の跡

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《あんた、フランス中で有名になってるよ》

■映画と夜と音楽と... 553
 老優たちの夢の跡
 十河 進

■Otaku ワールドへようこそ![157]
 セーラー服を着てパリを歩いてたら警察官が近づいてきて...
 GrowHair




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■映画と夜と音楽と... 553
老優たちの夢の跡

十河 進
< http://bn.dgcr.com/archives/20120720140200.html >
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〈RED/ワイルドバンチ/新選組血風録/仁義なき戦い・代理戦争/蜘蛛巣城/マクベス/コールド・ブラッド 殺しの紋章/マーティ〉

●アーネスト・ボーグナインと山田五十鈴が生きた時代

7月上旬に訃報が続いた。アーネスト・ボーグナインが8日に亡くなり、翌日、山田五十鈴の訃報が朝日新聞の夕刊一面で大きく報じられ、カラー写真まで掲載された。さらに社会面でも追悼記事が出ていたが、その対抗面の隅に小さく遠藤太津朗の訃報が載っていた。アーネスト・ボーグナインと山田五十鈴は95歳、遠藤太津朗は84歳。フッと、「老優たちの夢の跡」というフレーズが浮かんだ。

アーネスト・ボーグナインは1917年1月24日生まれ、山田五十鈴は同じ年の2月5日生まれだ。アーネスト・ボーグナインは山田五十鈴より12日早く生まれ、1日早く死んだ。95年と5ヶ月あまり、生きた日数はたった11日しか違わない。その間、第一次世界大戦があり、ロシア革命があり、第二次世界大戦があった。ヒロシマとナガサキに原爆が落とされた。冷戦があり、赤狩りがあり、ベルリンの壁が崩壊し、ソ連がなくなった。

映画はサイレントからトーキーになり、スタンダードサイズがシネマスコープになりビスタサイズになった。草創期、スクリーンから人がパッと消える忍術映画が人気になったけれど、今はどんな映画にもCGが使われ不可能な表現はない。俳優にとっては、演劇、映画、テレビと仕事の範囲が増えたし、記録された演技は永遠に残るようになった。

そんな時代を、ふたりは生きた。アーネスト・ボーグナインは、1935年に18歳で入隊。同じ18歳の年、山田五十鈴は娘役として四本の映画に出演した。その後、戦前の代表作である溝口健二監督作品「祇園の姉妹」(1936年)と成瀬巳喜男監督作品「鶴八鶴次郎」(1938年)に主演する。アーネスト・ボーグナインの映画デビューは1950年であり、注目されたのは「地上より永遠に/ここよりとわに」(1953年)の新兵をいびる鬼軍曹役だった。文字通り鬼のような顔だった。

日米遠く離れ、何の接点もなかったアーネスト・ボーグナインと山田五十鈴だが、ふたりはほとんど同じ時間を生きたのだ。ボーグナインは「ワイルドバンチ」(1969年)「北国の帝王」(1973年)など、印象的な脇役が多い人だった。山田五十鈴は十代からつい最近まで映画、テレビ、舞台で主役として活躍した。ふたりが出会ったことはないだろうが、山田五十鈴はアーネスト・ボーグナインを知っていたに違いない。そんなことを想像して、僕は感慨にふけった。

そう言えば、最近の映画でアーネスト・ボーグナインが出ていて驚いたのは、あれは何だったっけ、ああ、老優たちが出ていた「RED」(2010年)だったな、と思い出した。引退した元CIAの腕利き工作員ブルース・ウィリスが現役CIAの暗殺隊に襲われ、真相を探るためにCIAの資料室にいくと、そこにいた生き字引のような資料係がアーネスト・ボーグナインだった。

真っ白な眉毛が長くのびていたし、髪も薄くなっていたけれど、あのギョロ目は変わっていなかった。「おいおい、ボーグナインかい」と僕は身を乗り出し、間違いないと確認し、拍手をしたくなった。「RED」はブルース・ウィリスの元上司がモーガン・フリーマンで、被害妄想気味の元同僚がジョン・マルコビッチ、狙撃を得意とする元女スパイがヘレン・ミレンである。老人たちが活躍する映画だった。その中でもボーグナインは90過ぎての出演だったが、元気そうだった。

アーネスト・ボーグナインについては呑み友だちのIさんから「アーネスト・ボーグナインの訃報を見たときは、えっ、まだ生きていたんだと、そちらでビックリ。95歳と聞けば、なるほどそれなら、と了解。あの顔は一度見たら、ちょっと忘れようがないですね。独特の風貌というか、面構えと言ったほうがいいか、昔はそんな役者がいっぱいいましたね」とメールが入った。

●ひと目見たら忘れない鬼瓦のような面構えの男たち

そう、面構え...である。42年前、僕に「ワイルドバンチ」(1969年)は絶対に見ろ、と教えてくれた友人のTは「笑った顔が怖いアーネスト・ボーグナイン」とよく言っていた。確かに、笑うと鬼瓦のように見える。鬼瓦のような顔というと、遠藤太津朗もその部類に入るだろう。若い頃からブルドッグを連想する面構えだった。遠藤太津朗の訃報は10日の夕刊に出たが、亡くなったのは7日だから遠藤太津朗、アーネスト・ボーグナイン、山田五十鈴の順で逝ったのだった。

遠藤太津朗は、以前は辰雄という本名で出ていた。僕が遠藤太津朗を初めて見たのは、封切りで見た「関の彌太っぺ」(1963年)である。彌太郎がお小夜を連れて旅籠にいき、「この家に関わりのある子だと聞きました」と預かってくれるように掛け合っていると、「こいつは騙りだ」と奥から丸太を持って出てくる下男が遠藤太津朗(当時は辰雄だったはず)だった。もっとも、出番は少ないし、あまり印象に残らない。僕は二度目に見て「ああ、遠藤太津朗だったんだ」と気付いた。

僕が遠藤太津朗の顔を記憶したのは、テレビシリーズ「新選組血風録」(1965年)だ。仇役である芹沢鴨を憎々しげに演じていた。イヤでも憶えてしまう顔だった。土方歳三(栗塚旭)が主役だし近藤一派をよく見せなければならないから、「芹沢鴨の暗殺」の回では特に乱暴狼藉を働いた。女を犯し、商家に無理難題をふっかけ、罪のない町人を惨殺する。そんな悪役が似合う俳優だったがファンは多く、ワイズ出版から出演作のスチールを集めた写真集も出版されている。

何度も見たのは「仁義なき戦い・代理戦争」(1973年)の遠藤太津朗である。関西弁が板に付いていて、杯を交わした広島ヤクザ打本の愚痴を広能昌三に言うシーンなど、僕はセリフまで憶えてしまった。神戸の明石組(もちろん山口組ですね)の大幹部の役だ。梅宮辰夫が演じたのは山口組若頭の山本健一だから、遠藤太津朗が演じた明石組直系組長のモデルは誰だろうと友人のTと推察したことがある。たぶん、山口組随一の実力者だった菅谷政雄だと落ち着いた。

遠藤太津朗系の役者がもうひとりいる。アーネスト・ボーグナインを思い浮かべると、僕が必ず連想する日本の俳優だ。名前は、冨田仲次郎という。1970年、「ワイルドバンチ」を二番館で初めて見てアーネスト・ボーグナインの顔をじっくり観察したときも、僕の頭の中には冨田仲次郎の顔が浮かんだ。脇役俳優だったし、役名もない役が多かったからあまり知られていないが、顔を見ればわかる人は多いはずだ。彼も一度見たら忘れられない顔をしていた。

●黒澤明監督作品「蜘蛛巣城」は「マクベス」の翻案

山田五十鈴のどの死亡記事の中でも触れられていたのが、本人が出演を熱望したという黒澤明監督作品「蜘蛛巣城」(1957年)である。芸歴の長い人だから戦前から代表作は多い。しかし、成瀬巳喜男監督作品「流れる」(1956年)、黒澤明監督作品「蜘蛛巣城」、小津安二郎監督作品「東京暮色」(1957年)の頃の山田五十鈴が僕は好きだ。もちろん「必殺からくり人」などの必殺シリーズを別にしてだけれど...。

僕が「蜘蛛巣城」を見たのは、上京した1970年のこと。名画座で追いかけて見た。前年に公開になった「ワイルドバンチ」と、13年も前に公開になった「蜘蛛巣城」を僕はほとんど続けて見たのだった。「ワイルドバンチ」は僕を圧倒し、「蜘蛛巣城」は浅茅役の山田五十鈴の怖さと、最後に矢を射かけられて目を剥く大仰な恐怖の演技をする三船敏郎が印象に残った。

「蜘蛛巣城」は、シェークスピアの「マクベス」の翻案だと聞いてはいたが、18歳の僕は「マクベス」を読んでいなかった。だから、どんな話なのかまったく知らずに映画を見たのだ。その結果、魔女のような老女が登場したり、「森が動くとき、おぬしは滅びる」といった予言が思わせぶりに語られたり、殺した同僚の武将の幽霊が現れたりする、おどろおどろしい話に面食らったものだった。

マクベス夫人の役である浅茅を山田五十鈴が演じ、何かが憑依したような鬼気迫る演技が評判だったらしいが、黒澤流の大仰な演技になじめない僕は、山田五十鈴の演技にもどこか白々しさを感じていた。しかし、今から思うと、山田五十鈴の存在はやはり凄かったと思う。「蜘蛛巣城」を思い出そうとすると、山田五十鈴の表情ばかりが浮かんでくる。40数年前に一度見ただけなのに...。

マクベス(鷲巣武時)は館に王を招き、マクベス夫人(浅茅)にそそのかされて寝入った王を殺す。やがて親友のバンクォー(武将の三木義明/千秋実が演じた)も殺し、王になったものの良心の呵責から幽霊を見るようになる。夫をそそのかし、王殺しを実行させた浅茅も「手が血に汚れている」と見えぬ血を洗い流そうとし続け、狂気に陥る。

「マクベス」は因果話めいた物語で、冒頭に三人の魔女が現れ、不気味な雰囲気で幕開けになる。マクベスとバンクォーが登場し、魔女たちからマクベスが国王になる予言を受ける。その予言があったから王を館に招いたとき、マクベス夫人は夫を奮い立たせそそのかし、王殺しを実行させるのである。そして、マクベスは最後に滅ぼされる。

「蜘蛛巣城」を見た後、僕はロマン・ポランスキー版「マクベス」(1971年)を見て、「蜘蛛巣城」が「マクベス」をそのまんま戦国時代を舞台にした日本の時代劇に翻案したのだと知った。やがて、小田島雄志訳「マクベス」を読んだものだから、劇場未公開だったジョン・タトゥーロ主演のマフィア映画「コールド・ブラッド/殺しの紋章」(1990年)をテレビ放映で見たとき、すぐに「これは『マクベス』じゃないか」と気付いた。

ジョン・タトゥーロはマフィアの幹部だ。ある夜、ボスを招いて祝宴を張る。ボスを自宅に泊めることになり、その夜、情婦にそそのかされてボスを殺す。ファミリーのトップになるためだ。ギャング映画だと思って見始めた僕は、ボス殺しが始まったときから「これは『マクベス』じゃないか」と身を乗り出した。なるほど、現代に「マクベス」を甦らせるには、この手があったかと感心した。

さて、「蜘蛛巣城」に登場する「武将2」を演じたのが、冨田仲次郎だった。ちなみに「武将1」は「七人の侍」(1954年)で村の長老を演じた高堂国典であり、「武将3」は侍のひとりだった稲葉義男である。彼らは、居並ぶ武将たちのシーンに出ていたのだろう。まったく憶えていない。しかし、冨田仲次郎の顔はどこにいてもすぐにわかる。武将の中にいたら、僕は間違いなく気付いたはずだ。時代劇によく出ていた印象があるが、フィルモグラフィを見ると現代劇も多い。

冨田仲次郎は、1911年に生まれている。明治44年だ。亡くなったのは1990年のこと。79歳だった。生きていれば100歳を超えている。それでも山田五十鈴やアーネスト・ボーグナインとは6歳しか違わない。1957年、「蜘蛛巣城」の同じ撮影現場にいたとき、山田五十鈴は40歳、冨田仲次郎は46歳だった。その姿は、今でも見ることができる。

●山田五十鈴と冨田仲次郎がハリウッド映画について語り合う

──ねえねぇ、冨田さん。「マーティ」って映画見た?
──見ましたよ。ベルさん。
──主演のアーネスト・ボーグナイン、凄いわよねぇ。似てるって言われない?
──言われたことはありますね。
──いい映画ね。さすが、アカデミー主演男優賞よ。
──ああいう映画が創れるのがハリウッドの強みです。
──それに、ああいう俳優が主演を張れる幅の広さもね。
──そうですね。
──冨田さん、主演やれるかも。
──日本映画じゃ無理ですね。
──上原謙さん、三船敏郎さん、森雅之さん...ですものね。
──私のような顔じゃ客は呼べません。ところで、監督が探してるんじゃ...。
──あっ、いけない。次は、浅茅が手についた見えない血を洗うシーンなの。

「蜘蛛巣城」の撮影の合間に、山田五十鈴と冨田仲次郎がこんな会話をしたかどうかはわからない。同じ映画に出ていたのだから、まったくなかったとは言い切れないだろう。脇役とはいえ、長いキャリアを持ち印象的な役者の冨田仲次郎である。業界では知られていただろうし、現場が一緒になることもあったはずだ。だから、こんな想像をして僕は楽しんだ。

山田五十鈴は「鈴」からの連想で「ベルさん」と呼ばれていた。「蜘蛛巣城」は、1957年1月15日に東宝系で公開になったから、撮影は1956年である。アーネスト・ボーグナイン主演の「マーティ」(1955年)は1955年12月15日に日本で公開になった。翌年の春に発表になったアカデミー賞で、ボーグナインは主演男優賞を獲得した。

「マーティ」は容貌にコンプレックスのある男と、容姿に自信がない女のラブストーリーである。肉屋の店員をやりながら一家を支え、兄弟たちも学校を卒業させた、もう若くはないマーティ(アーネスト・ボーグナイン)は母親と二人暮らしだ。結婚しろとうるさい母親だが息子が女性を連れてくると不機嫌になるし、マーティは醜男の自分が結婚できるとは思っていない。

ある夜、ダンスホールで連れの男に邪険にされた女性と知り合う。教師だというその女性と意気投合し、マーティは二人で楽しく過ごす。再会を約束して別れたが、友人たちに「昨夜、連れていた女はアグリーだな」と言われ、連絡することをためらう。自分の容貌にコンプレックスを持ちながら、やはり綺麗な女性を求めてしまう男の身勝手を彼は自覚し、最後は彼女の自宅の電話番号をダイヤルする。

「マーティ」を見たとき、日本でリメイクするなら冨田仲次郎主演だと僕は思った。だが、絶対に無理だろう。映画は美男美女の夢の世界だ。アメリカ映画でも主流はハンサムな俳優、セクシーな俳優である。アーネスト・ボーグナインは「マーティ」で主演男優賞を受賞し名優の仲間入りをしたが、その後、「ワイルドバンチ」のような無法者の役、「北国の帝王」のようなホーボーの命など気にせず無賃乗車を取り締まる車掌といった役(もちろん印象的だけど)ばかりだった。

「マーティ」は、たまたま醜男が主人公だから彼にオファーがきたのである。「マーティ」から67年、死を迎えて彼はどんな思いで俳優人生を振り返ったのだろう? 一方では、山田五十鈴のように10代から70年にわたるキャリアの中で常にトップの座にいた人もいる。まさに人それぞれだが、95年間を生ききる人生って、どんなものなのだろう、死に臨んでどんな想いが去来するのだろう。僕も、そんなことを考える年齢になった。

【そごう・すすむ】sogo@mbf.nifty.com < http://twitter.com/sogo1951 >

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■Otaku ワールドへようこそ![157]
セーラー服を着てパリを歩いてたら警察官が近づいてきて...

GrowHair
< http://bn.dgcr.com/archives/20120720140100.html >
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ああ南無三。俺の運もこれまでか。パリ北駅からフランス公共鉄道RER B号線に乗ってパルク・デ・ゼクスポジション駅で降り、外に出たところで3人の警察官が私の姿を認めて近づいてきた。うぇえ、やばいっ。すわ、国際問題勃発かっ。

明日の日本の新聞の見出しはきっとこんなであろう「セーラー服姿の日本人男性、フランス警察に身柄を拘束される」。本文はこんな感じか「セーラー服を着てパリの街をうろつき回った日本人男性が6日、フランス警察に身柄を拘束された。調べに対し「パリの人たちをびっくりさせようと思った。東京では問題なかった」などと供述しているという。外務省が強制送還を求めて交渉中」。外務省、ごめんっ。

今から逃げても逃げ切れるものではあるまい、と覚悟を決めていると「一緒に写真撮っていいですか」と。あれれ。で、こうなった。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120706#5762254498177065490 >
東京では考えられないフレンドリーさに、思わず「警察官のコスプレですか?」って聞いちゃったよ。それこそ不敬なこと言ってますね、どうもすいません。

東京とパリを歩き比べてみると、やはり人々の反応がずいぶんと異なり、文化の差異がうかがい知れて面白い。また、単にパリを見てくるだけの受動的観光よりも、パリに姿を見せつけてくる能動的あるいは道化的観光のほうが100倍も楽しめる。

●セーラー服で成田空港の出国審査を通過できるか

7月4日(水)の朝、セーラー服を着てウチを出た。ピンクのファーの大きな尻尾をつけたスクールバッグを肩から提げ、目印にと白の三角スカーフを結びつけたスーツケースをごろごろと転がして。

日暮里駅から乗った京成線特急スカイライナー9号は定刻通り8:42に終点成田空港駅に到着した。改札口を出るとすぐにセキュリティチェックがあるが、求められるままにパスポートを提示して、何事もなく通過。

出発ロビーには、七夕竹が飾られている。脇には短冊が置いてあって、自由に願い事を書いて吊り下げられるようになっている。私もひとつ。「無事に出国審査を通過しますように」。って、後からこれだけ見たら、国外逃亡を企てる指名手配犯かと思うべな。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris12070402#5761894679614206274 >

全日空のセクションに置かれた機械でチェックインを済ませ、荷物を預けるカウンターへ。「この格好で出国審査、通ると思いますか?」と聞いてみると「分かりません」という答え。え? 分からないの? 何で?って、前例がないんでしょうね、たぶん。

いちおう念のためにと、普通の服装も持ってきてはいる。セーラー服では通過させられない、と言われたら、着替えてから並びなおせばよいわけだ。けど、着替えはスーツケースの中だ。預けちゃうと、取り戻せない。すると、「ANA」の文字の入った大きめの紙袋をくれた。「これに分けて、機内持ち込みにされてはいかがですか」と。さすがぁ、機転が利く。ありがとうございますっ。

で、出国審査。ちょっとドキドキする。セーラー服を着て都内を歩くこと50回以上に及び、だんだん刺激を感じなくなってきていたところで、この感覚は新鮮だ。ところが、特に何も聞かれることなく、パスポートにぺたんとハンコを捺され、難なく通過。

次は手荷物検査。ここでは相当念入りに調べられた。30cmばかりの台に上がらされ、輪っかに柄がついたセンサーで、体表をくまなくなぞられる。なんか見世物っぽい光景じゃないですかぁ? 手荷物もなかなかOKが出なくて、何度もX線を通される。ワタシ、そんなに不審ですかぁ? なんとかして出国阻止しようとの努力も空しく、清廉潔白な私は、ついに通過を許される。法律に則ってチェックしてるわけだから、正当な理由がなきゃ引き止められないですわな。

これで前例ができたわけだから、航空会社のマニュアルに追記しておいてくれませんかねぇ「中年紳士がセーラー服を着て出国しようとする場合であっても、諸手続きを問題なく通過できる」と。

搭乗口前で記念撮影。近くで笑いをかみ殺していた若いオニイサンに頼んでカメラのシャッターボタンを押してもらった。そしたら、人が集まってきて、アイドル撮影会状態に。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris12070402#5761894679145914274 >

●進んだ個人主義とやらを見せていただきやんしょう

前回パリに行ったのは、'05年6月のことで、会社の出張で南仏に行った帰り、飛行機の乗り継ぎの関係で、丸一日、パリで空き時間ができたのであった。パリジェンヌをナンパしてみようと企て、公園で意を決して、若くてとびっきり美人の3人組に声をかけると、30分ばかり雑談につきあってもらえた。そのときのことは、'05年7月15日(金)のこの欄で「パリジェンヌ、ナンパ大作戦」と題してレポートしている。「Otaku ワールドへようこそ!」の連載第8回である。
< http://bn.dgcr.com/archives/20050715000000.html >

3人は「シアンス・ポ」という大学の学生なのだそうで。後で調べてみると、確かにその大学は近くにあり、フランスの歴代大統領を輩出している超エリート校であった。そのときに、日本の印象を聞いてみたのだが、返ってきたネガティブな答えをずっと忘れない私は意外と根暗だったりする。もちろん、勤勉など、いいことも言っていたのだが、その反面、「個人主義の考え方がまだまだ進んでいない」と。

ほう、そうですか、じゃあフランスの進んでいるという個人主義をとくと見せていただきやんしょう。東京ではおっさんがセーラー服を着て歩いても何の騒ぎも起きず、さらっとスルーされるのだけど、パリではきっとそれを上回るスルー度なんでしょうなぁ。

成田発パリ行きの全日空機内は半数以上が日本人で、シャルル・ドゴール空港の入国審査の列も日本人だらけなんだけど、空港からパリ北駅に向かう列車に乗ると、もはや日本人は一人も見当たらない。同じことは、'06年にイタリアに行ったときにもマルペンサ国際空港からミラノに向かう列車で経験したのだけれど。みんなどこ行っちゃったの? 巨大な群れからはぐれた一匹の小魚。急に不安になる。もはや日本人という均質的な集団の一員ではなく、ただの一個人なのだ。

パリ北駅でRER B号線からMetro 5号線に乗り換える。バスチーユの一駅手前のブレゲ-サバン駅で降り、駅からの道をいきなり間違えて迷い、通行人に聞きながらIBISホテルへ。フロントで、いでたちをほめられる。部屋にスーツケースを置いて、すぐに外出。徒歩でバスチーユ駅へ行き、Metro 1号線でエトワール広場へ。凱旋門からシャンゼリゼ通りを歩く。通りにはオープンカフェがいくつもあり、歩道の幅の半分くらいを円テーブルと椅子が占め、人々がワインやビールを飲んだり食事したりしてくつろいでいる。その前をすまして歩く。

なるほど本当だ。何も起きない。礼儀正しいというよりも、そもそも他人がどんな格好していようと関心がないみたい。さすがのスルー力。ただし、概して肌の色の黒い人たちは、そうでもなく、ぶわはは、と大声で笑ってから、あわてて口を押さえたりしている。まず感情の発露があって、それから遅れて理性が働く感じ。もちろん、みんなというわけではないけど、傾向的に。

シャンゼリゼ通りで地元の雑誌だかの取材を受けたとき、個人主義のことを聞いてみた。「そりゃ、理念的にはそうなんだけど、ちょっと回り、見てみろよ、特に男性の若いやつ。見事なまでに没個性的だろ」。なるほど。オシャレ成分を完全に抜き去ったカジュアルというか。みんなそんな格好。「地味カジ」とでも呼ぼうかね。「あんた、パリにそうとういい風、吹かしてるよ」。さいでっか、おおきに。

企画が通ったら「シャンゼリゼ通りにセーラームーン現る」みたいな記事にしてくれるとか言ってたけど、どうなったかな? たぶん、ジャパンエキスポに飲まれて消えたんではないかと。

●あんた有名になってるよ

翌日、7月5日(木)は、ジャパンエキスポの初日。ヨーロッパ最大の日本文化の博覧会だ。コミケの来場者数が3日間で50万人超であるのに対し、ジャパンエキスポは4日間で約20万人。1日あたりでみると、約4分の1だけど、そんな感じのしないにぎわいだった。

朝9時ごろのパリ北駅がすでにものすごいことになっていた。ポケモンやら、ONE PIECEのキャラたちやらに扮した若者たちで、ホームがごった返しているのである。列車が到着しても満杯すし詰め状態になり、ホームには大量の人たちが積み残され、2本見送らないと乗れないほど。しかもみんな大はしゃぎのお祭り状態で、奇声を発する者も多くいる。それは列車の中でも続いた。

もしおフランスにエレガントでブリリアントなイメージを抱いていたとしたら、この光景は、幻想を粉々に打ち砕かんばかりのシュールさだ。日本がフランスにこれほどまでの影響を与えていたかと思うと感慨無量なような、文化侵食どうもすいませんなような。

実は、日本においては、公の場でキャラのコスプレをして歩くことは自粛しあっているため、このような光景が出現することはない。しかし、個人主義の考え方の進んだフランスでは、そんなこと誰も気にしちゃいない。たぶん、オタクが嫌いな一般人を気づかって自粛しようなんて発想自体、微塵も思い浮かばないのだろうなぁ。

空港行きに乗って、終点の2つ手前のパルク・デ・ゼクスポジション駅でどやどやと大勢の人たちが降り、すぐ前の会場へと祭りは続く。巨大なホールがひとつ丸ごと入場待機列になっている。数千人の列は、折り返し折り返し、ゆるゆると流れている。

実は、4日間通しのチケットを持っている人は、開場1時間前の9時から入れるのと、遅れて来た場合でも、ホール内の列をバイパスする特権が与えられている。が、私はそれを行使しなかった。それは正解。すぐ前に、高校生の女の子2人と、そのうち一人の母親とが並んでいて、たっぷり話をすることができた。この子たち。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120705#5761896830200076738 >

フランスでは6月末から丸々2ヶ月、夏休みなんだそうで。道理で平日なのに若い人たちでにぎわってるわけだ。折り返しの列では、すれ違う人たちのコスプレ姿を見て楽しめるので退屈しない。私の姿を撮っておきたがる人もたくさんいたが。

待機列のホールを出てからも、遥か遠くにある会場のホールまで列は続き、駅を降りてから約1時間かかって会場入り。11時半ごろになった。入場チケットのバーコードをいちいち読み取ってるんだもんなぁ。

HALL 5全体とHALL 6の3分の2ほどがジャパンエキスポで、残りがコミックコンという別のイベントであった。規模の大きさと人の多さに圧倒される。オタク文化だけでなく、伝統美術の展示や武道の実演なども交えて日本の文化を総合的に紹介するイベントで、遊ぶこともできれば、日本の「美」の観念の結実を鑑賞することもでき、幅広く楽しめる。

ロリ服の女の子も多くいて、日本発の「萌え」とか「かわいい」の概念が深いところでよく理解されていると感じた。日本人によって日本人のためにデザインされたロリ服だが、フランス人が着てもめっちゃ似合っていて、この世のものとも思えない天使のようなかわいらしさを呈しているところが、ちょっとずるいと思ったり。この前のナンパしたパリジェンヌは写真を撮ってませんでしたが、今回はいっぱい撮ってきました。アルバムへのリンクは最後に。

私もずいぶん写真を撮られた。ずいぶんどころではなく、ひっきりなしに。展示をまともに見てる暇もなく、撮られ続けてた感じ。私はイベントではコスプレイヤーたちを撮る側の、いわゆるカメコなわけだが、撮られる側に回ってみて、レイヤーさんたちの辛抱強さが分かった思いである。

一人が撮りはじめると、周りにどっと人だかりができて、記者会見状態となり、しばらく途切れない。一段落ついたところで、歩き始めると、何歩も歩かないうちにまた呼び止められるという調子。カップルで来ていて、彼女と私との2ショットを彼氏が撮る、なんてパターンも非常に多かった。寛大だなぁ、さすが愛の国フランスだ。というか、男性とみなされてなかったのか、オレ。

次の日、3人ほどから別々に同じことを耳打ちされた。「あんた、フランス中で有名になってるよ」。どうやら、昨日撮った人たちがこぞってネットの掲示板だかコミュニティだかに写真をアップして、私が被写体の写真が大量に出回っているらしい。

自力では見つけられなかったので、フランス語に堪能な友人の弓月水晶氏にお願いして探してもらった。弓月氏と初めて会ったのは'06年のことで、ローゼンメイデンつながりの仲間のお茶会が秋葉原のメイド喫茶「Cafe Mai:lish」で催されたときのことである。

で、見つけてくれたのがこれ。なにこれ新聞? アメリカのウェブ新聞の最大手である「Huffington Post」のフランス版で、ル・モンド紙が発行しているらしい。
< http://www.huffingtonpost.fr/2012/07/05/la-japan-expo-sur-twitter_n_1651309.html >

あと、現地で関西テレビ(フジテレビ系列)からのインタビューに答えており、7月10日(火)4:54pmからの「スーパーニュース アンカー」でオンエアされた模様。ただし、関西エリア限定。

ジャパンエキスポではそれなりのインパクトを与えてしまったみたいだが、コミケではメイド服やロリ服などで女装した男性の姿は掃いて捨てるほど見かけるものである。その文化がフランスのオタクたちにまったく伝わってないはずはないのであった。なんと、セーラー服を着たおっさんは、フランスにもいたのである。イベント2日目、パルク・デ・ゼクスポジション駅で列車を降りると、ホームにその人はいた。奇跡の出会い。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120706#5762254493884866290 >

●無礼者の襲撃に不意打ちを食らう

パリ滞在5日目となる7月8日(日)にはフランスの進んだ個人主義にすっかり慣れきっていた。なるほど、どこへ行っても平気じゃん。ルーブル美術館でモナリザを見ることもできたし、その建物内にあるサロン・ド・テ(Salon de The)で優雅に紅茶を楽しむこともできた。

バスチーユに戻って来てからは、近辺の裏路地を散策した。木曜と金曜に行ったレストランで、ご主人が熱心に薦めてくれたエリアだ。今は閉館中のピカソ美術館があるあたり。古いヨーロッパの街並みは美しく、心が落ち着く。

バスチーユに戻ろうと川に蓋をした上の道を歩いていると、まったく予期せぬ襲撃にあった。何者かに背後からケツをひっぱたかれたのである。それも、パーンといい音が響き渡ったくらい強烈に。何が起きたのか咄嗟には判断がつかない。この姿でうろつき回っている私のことを本気で怒っている恐い系のおじさんがいるのだろうか、と恐る恐る振り返ると...。

高校生ぐらにみえる男の子が、猛ダッシュで逃げ去って行く。うんと遠くに仲間とみえる男の子が 2人立っていて、こっちを見て笑っている。肝試し的な遊びに使われたというわけか。こんのやろーーー!!! 強い調子で "What are you doing?" と言うのが精いっぱいだった。追いかけても、とてもじゃないが追いつけそうにない。

やりやがったなー。あー、むしゃくしゃする。東京では、いくら歩き回っても、こういうことは一度たりとも起きなかった。起きそうな感じさえしない。つまりはこれもパリの特徴ってことだろうか。進んだ個人主義とは裏腹な悪ガキもいる、ってことだな。

ひとつひとつの地域社会の特徴を抽出しようとするとき、観察社会学的なアプローチと実験社会学的なアプローチが考えられる。後者のアプローチとして、試しにおっさんがセーラー服を着て街を歩いてみるのはたいへん有効で、地域の特徴を物語る事例が手っ取り早く豊富に得られる。

てか、これで完全に吹っ切れた。これでも多少は遠慮しいしい、というところもあったのである。もう怒ったぞ。遠慮なんか微塵たりともしてやるもんか。翌日の飛行機で東京に帰るので、パリで最後の夕食になる。よさげなところをバスチーユ近辺で見つけようと、戻って来ようとしていたところなのであった。

バスチーユにもオープンカフェがたくさんある。あれ、いいなぁ、と思いつつ、それまでは、通行人から丸見えな場所で食事する勇気がなかったのである。もうこうなったら、バスチーユ広場の真ん前の、人通りの多い地下鉄の出入り口近くの、一番目立つ席で堂々とディナーを決め込んでやろう。フォアグラが食えるところがいい。

広場に面して3つ並んでいるオープンカフェの一番右にあるのがまさにそういうお店。「LE CAFE BASTILLE 1789」。この1789って、創業した年かな? すでににぎわっていて、屋外の席はほとんど埋まっているが、屋内にはまだ空席がたくさんある。入口に立つと、人々の話し声が一瞬静まって、軽くどよめきが起きたように感じられた。

ウェイターに "Can one person have dinner here?" (一人ですが、ディナーでいいですか?)と聞くと、「お好きな席にどうぞ」という。「外でも?」「はいどうぞ」。残念ながら一番外寄りの席はすべて埋まっていた。一番奥まっているものの、屋外に空席があったので、そこにした。

着席したらもう周りの人たちは関心がなくなったようで、それぞれの会話に戻っている。ディナーと言ったためか、丸テーブルに白いテーブルクロスをかけてくれた。ウェイターはとても愛想がよく、親切だ。バスチーユの歴史などもずいぶん詳しく説明してくれた。Guillaume Ragoo 氏。

私のカメラで写真を撮ってくれるようお願いすると、「写真撮るのは得意なんです」と。で、こんな感じ。うん、なるほどいい構図だ。フランス文化に完っっ璧に溶け込んでるワタシ。どうですこの違和感のなさ。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120708#5762980774004687442 >
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120708#5762980801794201906 >

念のためにと持っていった普通の服は、結局出番がなかった。帰りはルフトハンザでミュンヘン経由。ミュンヘンの搭乗口まで来ると、日本人がいっぱいいる。みんなどこに行ってたの? スッチーにほめられる。
"I like your dress. It's so beautiful!" (その衣装いいね。きれい)

7月4日(水)、成田空港、シャンゼリゼ通り
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris12070402 >
7月5日(木)、ジャパンエキスポ初日
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120705 >
7月6日(金)、ジャパンエキスポ2日目、凱旋門
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120706 >
7月7日(土)、ジャパンエキスポ3日目
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120707 >
7月8日(日)、バスチーユのオープンカフェでディナー
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/Paris120708 >

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。あるいは国際遊び人。アイデンティティ拡散。

うわ、いつの間にかファンサイトみたいなのができてるし。上原ゼンジさんに作っていただいた人形写真のウェブギャラリーからプロフィール情報をコピペされてるし。コメントやブログ引用などのリアクションが1万件以上って、そうとう拡散してる? しかもコメントはいろんな言語で。世界中に?
< http://tmghas.tumblr.com/post/26984042855 >

コメントは概して肯定的。「じいさん」という概念と「カワイイ」という概念のコンビネーションが意識の空隙をついたか。そうとうウケたっぽい。やっぱあれなんじゃないかな、日本の文化を海外に紹介するっていう真面目な動機もいいけど、そういう中に道化も混ぜとくっていうのは必要なことだったんじゃないかな。道化っていえば、スマイル党のマック赤坂氏も、ブース構えて選挙事務所にしてて、いい味出してたけど。

コメントから英語のやつを適当に拾って訳してみると...。

・50年後の私
・私が見た中で一番かわいいおじいさんだ
・日本のGandalfですか?(訳注:映画『指輪物語』の?)
・私もいつかこういうふうにかわいくなりたいもんだ
・見ろよこのじいさんの脚!
・コーヒーでむせたぞ
・オタクの極限
・なんてこと? この老人の脚、私のよりきれいじゃん
・誰でもかわいくなれるということか
・笑いが止まらなくて死にそうだ
・デザフェスで見た、ほぼ間違いなく
・彼の腕と脚、なんでこうまで完璧ということがありうるのだ?!
・様々な奇妙な形で私に訴えかけてくる
・ははははははははなんだこれ?
・脚がいかに完璧か、これは驚くべきことではないか。剃ってるし
・分からんけど、ある意味かわいいんではないかと
・それ、ミスターミヤギ?(訳注: 映画『The Karate Kid (邦題:ベスト・キッド)』の登場人物)
・めっちゃかわいい!!!!!!
・逃げろ! 任務は中止だ! そのエリアから避難しろ!
・この種のコンベンションが大好きなのは、こういう人が現れるから
・ちゃんと脚を剃ってるところに好ましい本気を感じる
・ここまでかわいくなれることは私には永遠にないだろうってとこがちょっと悲しい
・こいつ。日本の空港で見たぞ。それとパリのエキスポでも。
・じいちゃん、私の制服盗むのやめてよね
・顔見なければ男だと思わないわ。ましてや年寄りだなんて
・日本っていつも一歩リードしてるんだよなぁ
・変な日本人
・これがリアル日本...
・脚がめっちゃきれいやん
・東京の台湾料理屋でこの男、近くに座ってたぞ。こんなとこでまた見ることになるとは思いもよらなんだ

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編集後記(07/20)

●夢枕獏「大江戸釣客伝」を読む(講談社、2011)。わたしは釣りにまったく興味がない。子どもの頃はやっていたが、熱中するほどのものではなかった。だから、好みの夢枕作品なのに手を出さないでいた。第46回吉川英治文学賞を受賞したと知り、それでは読まなければなるまい。上下二巻構成で、一巻目の半分くらいまでは退屈だった。釣りの面白みとやらがわからないのだから、いまひとつ小説世界に入り込めない。投げ出そうかとも思ったが、我慢して読み進めると、やがて豊穣な元禄時代の描写にぐいぐい引き込まれる。夢枕獏に釣り上げられたのだ。

主な登場人物は津田釆女、宝井其角、多賀朝湖、紀伊国屋文左衛門らのほか、釣り名人や釣り船の主など、すべて釣りを核に集まった面々。ほぼ主人公となる旗本・津田釆女は実在の人物で、我が国最古の釣り指南書「何羨録」を著している。吉良上野介が義父である。だから忠臣蔵のエピソードもある。あの生類憐令にふれて三宅島に流され、綱吉の死後に許されて戻って来た天下の遊び人、絵師・多賀朝湖は、後の英一蝶である。柳沢保明、水戸光圀、芭蕉など元禄スターも続々出て来ておもしろい。釣りだけの話ではなかった。

なぜ人は釣りに出るのか。それは人は何故生きるのかというくらい根本的な問題である、らしい。釣りが身を滅ぼした男「投竿翁」ことなまこの新造の物狂いしたような語りによれば、酒や女や博打よりも、もっと性の悪い道楽が釣りであるという。釆女は思う。「人は淋しい。人は愚かだ。その淋しさや、哀しさや、愚かさの深さに応じて人は釣りにゆくのであろう。人は弱い。その弱い人間が、なんとか歩いてゆくためには、杖が必要だ。弱い人間がすがる杖、それが釣りなのではないか」......すいませんが、理解できません。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062169991/dgcrcom-22/ >
→アマゾンで見る(レビュー2件)

●パリでもセーラー服で通したGrowHairさん、あっぱれ! そしてお仲間の写真に唖然。個人主義って凄いな。どうやってまわりから浮かないようにするか、思春期の頃から苦心している自分にとっては羨ましいような、本場の風は強そうだなぁとも。知ってたら「スーパーニュース アンカー」を録画したのに。きっとヤマヒロさんが楽しいコメントをしてくれたに違いない。まわりのコメンテーターらの、ヤマヒロさんもやればいいのに、的な突っ込みもありそう。/最近、宝塚界隈でのコスプレイベントがあって、風景から浮いているというか、本気のコスプレ(宝塚歌劇。先日はロミオとジュリエット)を見た後だと、とても寂しい印象に。

Dropbox内のコンテンツが販売できる「Sellbox」のサービスが開始された。試してみようとしたら、Dropbox APIからのメッセージに、Dropbox内のすべてのコンテンツにアクセス可能と書かれてあって、びびって閉じた。たぶんアクセス自体はAPIで可能にはなるが、こちらから個別許可しないとSellboxからはアクセスできないようになっているに違いない。違いないんだが、特に売るものもないししばらく様子を見よう......。

難しい仕事がやっと納品できた。グラフィックデザイナーさんの要望には「そこですか?」というこだわりや、難しめのものが多く、勉強になるとともに大変だ。睡眠時間を削るのは当然として、お風呂の回数が減っていたり、家事をまったくしなくて、家人にお弁当を買ってきてもらうという生活が続いた。睡眠時間を削るのは無能の証拠で恥ずかしい限りであるが、検索しても、英語フォーラムですら出てこないような事例にぶつかると、解決に時間がかかり、トータル時間が読めなくなるのよ。早め早めに進めていても遅れがち。遅れると他の仕事のスケジュールと重なり、わけがわからなくなる。やっと「OmniFocus」(14日間使える評価版)を立ち上げたわ。Toodledoでいいやと思っていたけど、やはり多くの人がすすめるツールを使ってみたくなったの。(hammer.mule)

< http://news020.blog13.fc2.com/blog-entry-2558.html >
乙武さん 「『ハゲ』や『デブ』をネタにして笑うことはOKなのに、障害者だけがタブーなのは逆におかしい」←いや、その二つもネタにするのははばかられますよ......。ヤマヒロさんは前者
< http://www.ktv.co.jp/anchor/ >  アンカー
< http://sellboxhq.com/ >
Sellbox
< http://www.omnigroup.com/products/omnifocus/ >
OmniFocus。Mac版とiPad版がセール中
< http://www.appbank.net/2012/07/17/iphone-news/415862.php >
「撮ってみたい写真No.1」と巷で大人気の宙玉写真、創始者の先生に学んできたぞ。←上原ゼンジさん

< http://www.lifehacker.jp/2012/07/120719googlefeatures.html >
米Lifehacker推薦のまだまだ使える便利なGoogleサービス
< http://www.adobe.com/jp/joc/design/useful/ai25th/ >
Adobe Illustrator 25周年記念サイト
< http://gigazine.net/news/20120719-laser-powered-bionic-eye/ >
目の見えない人に埋め込んで視覚を取り戻すデバイス「Bio-Retina」
< http://www.ikedahayato.com/index.php/archives/12684 >
ポストイット形式でアイデアを募る「Blabo!」がリニューアル

< http://wada.cocolog-nifty.com/blog/2012/07/iphoneiphone-tr.html >
ヌンチャク型iPhoneケース。動画の擬音がいい!
< http://www.senacases.com/apple/iphone-4s-cases/magnet-flipper/ >
Sena Magnet Flipperも使いやすいよ(2世代に渡って使ってる)
< http://www.appbank.net/2012/07/19/iphone-application/444309.php >
声で予定を通知。いいなぁ、これ。キャラには興味ないが、この仕組みが。
< http://www.appbank.net/2012/07/18/iphone-application/443156.php >
ローマ字が作れる折り紙。パーティーの飾り付けにも使えますね!
< http://www.suntory.co.jp/softdrink/spcontents/pixiv/result/ >
C.C.Lemon擬人化プロジェクト結果発表

< http://www.lifehacker.jp/2012/07/120719photocopied.html >
電源タップなどをねじや釘で壁にかける時、コピー機を使うと失敗しない
< http://bloggingfrom.tv/wp/2012/07/19/7636 >
仕事でのチャットはチャットワークが界王拳並みにはかどる件
< http://blog.esuteru.com/archives/6408650.html >
【総額100億円】新宿歌舞伎町にできた「ロボットレストラン」

< http://www.asobuoiphone.com/archives/4103692.html >
Facebookで架空の友人演じるの楽しすぎワロタwww
< http://blog.livedoor.jp/news23vip/archives/4246662.html >
名物扱いされてるけど地元の人間はほとんど食べない食い物
< http://highgamers.com/archives/11774376.html >
ソーシャルゲーム作っている会社で働いているけど何か質問ある?
< http://blog.livedoor.jp/shobonz/archives/11628233.html >
今テスト勉強してるんだけど問題用紙が可愛い顔文字にしか見えなくなってる