Otaku ワールドへようこそ![番外]パリの秘宝はアメリカの香り/GrowHair

投稿:  著者:  読了時間:10分(本文:約4,900文字)


黄金色に輝くという伝説のエルドラドの秘宝をばわが手をもって発掘せんとの高邁な志に牽引されて、遥か地球の裏側、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスまで赴いたもみのこゆきと氏に敬意を表して本稿を捧げるものである。

幾多の旅人が捜し求め、血みどろの争いを繰り広げるも、誰ひとりその手に秘宝を掴むことかなわず力尽きて斃れたという伝説の黄金郷エルドラド。その在り処としてもみのこ氏が天啓を得たのは、アンデスの峻烈な山や谷でもなければ、アマゾンのジャングルでもない。南米のメトロポリスの片隅で妖しく踊るマッチョなガイのパンツの中。あれ?




●これまでのあらすじ:始まりは浅草だった

人形作家さん二人とともに、人体美の研究にと浅草ロック座に赴いたのは'10年1月17日(日)のこと。22日(金)の当コラムのプロフィール欄でごく簡単にレポートしている。
< http://bn.dgcr.com/archives/20100122140100.html >

薩摩藩士であるところのもみのこゆきと氏は、ここに花のお江戸の文化研究のヒントが隠されているのではないかと直感され、同年秋に上京された際、果敢に赴いている。その模様は '10年11月12日(金)の「歌う田舎者」連載第17回に詳述されている。題して「わたしの初体験」。
< http://bn.dgcr.com/archives/20101112140100.html >

のみならず、ブエノスアイレスを訪れた際には、男女共同参画社会を実現すべしとの高邁な理念に則り、男子禁制の「イケメン男子ストリップ」をレポートしているのである。'12年5月31日(木)、連載第33回。題して「ご旅行は計画的に ─エルドラドの秘宝─」。
< http://bn.dgcr.com/archives/20120531140100.html >

さて、このたび私はフランスの首都パリへ旅する機会を得た。海外に出ることなどめったにない私は、文化研究に余念のないもみのこ氏に研究の素材情報の足しにでもしていただけたらと、この機を逃さずかの地の事情にも探りを入れてきた次第である。

本題に入る前に、かような興業を見学することが、比較文化研究にいかに有用であるかを示しておきたいと思う。米国西海岸を例に挙げよう。

●ハリウッドの騒がしい掛け声

'94年だったか、当時の同僚と二人でアメリカ西海岸へ行った。二人とも初めての海外旅行であった。行ったからにはアメリカ文化のヒダの奥まで見てこなくてはなるまいという高邁な探求精神の下、ハリウッドの裏通りで通りがかったお店に、勇気を振り絞って入ってみたのである。

ここに、日米の文化の差異がはっきりと現れていた。まず、日本のストリップショーでは、ほぼ例外なく(← 全部見たんかい!)、ステージからキャットウォークが突き出てT字になっている。客席は、映画館のように縦横に整列して据えられている。

一方、ハリウッドのは、ステージがビリヤード台のように四角くて、それを取り囲む形でバーのカウンターのように一層だけ席が設けられている(つまり全員かぶりつきで、後方席というものがない)。ステージから天井まで垂直に鉄棒が何本か延びている。それにからみついて、くねくねするわけですね。あの鉄棒くねくねがいかにもアメリカ〜って感じしませんか?

映画 "Striptease"(1996)(邦題:「素顔のままで」)でデミ・ムーアがやってましたね。ちなみに、ストリップショーは、英語では "striptease" とも言います。あの原題は、そのまんまなわけです。

ウェイトレスがいて、飲み物を注文し、飲みつつ踊りを鑑賞する。入場料と飲み物代を足しても、日本の入場料よりも1,000円ばかり安かった。だが、アメリカにおいては、お客が踊り子に1ドル札をチップとして渡すという慣わしがある。あの映画でもやってましたね。踊り子のパンティーの横紐に挟んでいました。

日本より1,000円も安いんだから、その分ぐらいはチップで還元しておこう。1ドル札を6枚使い、細い棒に丸めたのを「く」の字に曲げて、"XXX" をかたどって、舞台に置いた。これが気前よく映ったか、たいへんウケて、他のお客をそっちのけで、目の前の鉄棒から動かずに、ずーっと踊っていてくれた。

文化の違いが最も顕著だったのは、お客の鑑賞姿勢である。日本だと、クラシックコンサートを聴くのとさほど変わりない態度でみんなおとなしく鑑賞し、ご開帳のタイミングできわめて紳士的に拍手する。ところで、全部見せちゃうのは、専門用語で「特出し」と言って、摘発対象になっていた時代もあったらしいけど、最近は、むにゃむにゃ...。

一方ハリウッドでは、お客が野次る野次る...。くねくねしている踊り子に"That's nothing!"(その程度じゃ、なんともないね!)とか。なんか、わいわい楽しく騒ぎながら飲むバーというノリである。明るいなぁ、と。

ところで、オランダのを見たという人から話を聞くと、これまた趣きが異なっていた。ガタイのいい女が北極グマのごとくのしのしと登場してきて、微塵の恥じらいも伺わせることなく、いきなりぱっぱぱっぱと脱ぎ捨て、がばっとさらすのだそうである。「どうだ見ろ!」と啖呵を切らんばかりの勢いで。これには萎えたどころか、恐ろしくなったそうである。

●はっきり言って行くとこ間違えた

さて、フランスはどうだろうか。いま、ウィキペディアで「ストリップティーズ」の項目を見てみれば、なんと、「フランスでは1880年代から1890年代にかけて、ムーランルージュやフォリーベルジェールなどのショウでは、わずかな衣装のみをつけた女性のダンスなどの見世物が行なわれていて、これが近代ストリップの源流となったと言われている」とあるではないか!

さらに、「クレイジー・ホース(キャバレー)」の項目には、「クレイジー・ホース(Crazy Horse)はパリにある、世界的に有名な観光ナイトスポットで、数あるパリのナイトクラブの中では老舗のひとつである。扱うテーマは女性のヌードショウでありながら芸術性を伴ったストリップショウであり、他のテーマを扱う同類のものとは一線を画している。その開業からの歴史は半世紀以上となっており数多くの観光客を動員し続けている」とある。くぅ〜〜っ。行く前にそこに気がついていれば!

適当なキーワードを組合せて検索かけたら、それっぽいのが四軒出てきた。その中に上記のはひとつも含まれていなかったのである。シャンゼリゼ通りからちょっと路地を入ったところに二軒。ノートルダム寺院のあるシテ島を挟んでセーヌ川の北岸と南岸にそれぞれ一軒ずつ。

それにしても、最初の二軒の共通点って...。シャンゼリゼ通りからベリ通りが延び、ベリ通りからポンチュー通りがT字に延びる。そのT字路の突き当たりに "Hustler Club" がある。ポンチュー通りからポール・ボードリー通りがT字に延びる。そのT字路の突き当たりに "Pink Paradise" がある。フランスでは舞台の形状ではなく、立地がT字なのか?

ウェブサイトが存在して、英語でも説明が提供されているのは "Hustler Club" だけであった。パリに到着した7月4日(水)、ホテルにチェックインし、近くで見つけたレストランで夕食をとり、バスチーユ駅から Metro 1号線に乗ってシャルル・ドゴール・エトワール駅へ。ホントはひとつ手前のジョルジュ・サンク駅で降りたほうが近いのだが、凱旋門からシャンゼリゼ通りを散歩してみたかったので。過去に二度パリに来ているのに、見てなかったのだ、凱旋門。

ジョルジュ・サンク駅を見落として通り過ぎ、倍以上歩いてから気がついて、戻ってくる。やっと見つけた。予想通り、バウンサーが立っている。望ましからざる客を跳ね返す役で、よく弾みそうな感じの大柄で恰幅のいい人が立っているものと相場が決まっているらしい。

こういうところに行くときは、目立たない格好で、こそこそっと行きたいものである。なのに、私の格好ったら、セーラー服、それも白の夏服に、明るいエンジ色のスカーフ。短いプリーツスカートからすらっと延びる生足。長いあご髭を二条の三つ編にして、それぞれにピンクのリボン。おっさんがストリップ見に行くのに、あまり向いた格好とは言いがたい。

「ここ、ハスラークラブですよね?」「そうだけど」「入っていいですか?」ぶっとふきだすバウンサー。苦笑いして困り果てている。たぶん前例がないのであろう。「いいですよね?」。半ば強引に入ってしまった。

一階と地下一階の二層構造になっている。一階に設けられた四角いステージはガラス張りの透明で、地下一階から見上げて鑑賞できるようになっている。透明ステージは、地下一階の床から一階の天井まで至る何本かの鉄棒によって貫かれている。一階ステージの周辺を取り囲んで客席が設けられている。通路を隔てて、テーブル席も設けられている。その構造、今見たら、米国メリーランド州ボルチモアにある本店とまったく一緒やんけ。

踊り子さんたちは、パンティーとブラジャーをまとい、さらにネグリジェのような薄物をまとっている。鉄棒でくねくねしながら脱いでいく。パンツは脱がない。黒人もいれば、白人もいる。客席の人たちは、舞台があたかも液晶モニタに映し出される環境映像ででもあるかのごとく、気にもとめてない様子で、マイペースで飲んでいる。野次を飛ばす者はいない。

いくらだったか、すご〜く高い追加料金を払うと、席の近くで独占的に踊ってくれるサービスがあるのだとか。四人ばかりのグループで来てボックス席を占めているスーツにネクタイのおじさんたち、どうも日本人のように見えるなぁ。仕事の出張で来て、こんなところで憂さ晴らしだろうか。あるいは接待だろうか。その追加料金を払って、同人数の踊り子さんたちをはべらせている。

私の姿、踊り子さんたちからはウケた。けど、ほとんどの踊り子さんは、英語がまるっきり通じない。意志の疎通の困難さも、興の乗らなさに加担していた。はっきり言って、あんまり楽しくない。近くで独占という追加オプションを断って、早々に退散してきた。まあ、早々とは言いながら、終電を逃してタクシーで帰っているのだけれど。

そもそも下調べが甘く、行くべき店を間違えたというのが、根本的な敗因であった。次回パリに行く機会があったら、ぜひ「クレイジー・ホース」に行ってみよう。ジョルジュ・サンク通り沿いにあるのか。ってその店、すんげーいいお値段するようだけど、おっさんがセーラー服着て行ったとして、入れてくれるのだろうか。もみのこさん、半端なレポートになっちゃってごめんなさい。どうか次回のパリ行きにご期待を。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。

下着類はたいていネット通販で買っていたのだが、品揃えの単調さにだんだん飽きてきた。世の中を広く見渡せば、もっとバリエーションに富んだのが見つかるはずだ。コットン素材のカワイイ系が大好きなワタシ。中野のスーパーの下着売り場へ。やっぱいろいろあるじゃん。通販でよくある3枚組990円のなどは、往々にして、そのうち1枚はぜんぜんかわいくないのが抱き合わせ販売されている。スーパーにはよりどり3枚1,000円のコーナーがあって、自由に選べるところがいい。

普通に買えた。「防犯カメラ作動中」と書いてあっても、変態は犯罪ではないからだいじょうぶなのだ。若い女性二人組から声をかけられる。ツイッターのフォロワーさんたちなのだそうで。そう言えば、「中野に住んでいるので、また見かけたら写真撮らせてもらっていいですか」「はいぜひ」みたいなやりとりをしてたっけ。大学生だという。で、撮られたのがこれ。
< https://picasaweb.google.com/107971446412217280378/NakanoLife120714 >