歌う田舎者[35]同情するなら金をくれ
── もみのこゆきと ──

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本題に入る前に、7/11デジクリ編集後記における柴田編集長の誤りを正しておきたい。さつま白波と二階堂のCMについてである。

  薩摩藩在住の〈もみのこゆきと〉さんに、このふたつのCMどう思いますか
  と聞いたら、いきなり「焼酎はあきまへん。男らしくないわい。やっぱ男
  は芋焼酎でないと! わたしが好きなのは黒糖焼酎ですが」とのお答え。

正解は「麦焼酎はあきまへん」である。「焼酎はあきまへん」などと口にしたら、「長渕剛は嫌いです」「西郷隆盛は嫌いです」に次いで、薩摩藩では即刻袋叩きあるいは村八分にされることになっておるのだ。

このようなコピペミスをやらかすなど、もう柴田クンは薩摩藩を敵にしたも同然である。生麦村で切り捨て御免にされたくなかったら、賠償金の1,000万や2,000万、このわたしに振り込んでもらおうではないか。まぁ、楽しみにしときや。骨の髄までしゃぶりとってやるからな。ひひひひひ。......失業者は金をむしり取るためなら、どんな因縁でもつけられるものなのだ。ふふ、相手が悪かったな。

あ、ちょっと、そんな怖い顔せんといて、柴田はん。うそです、うそですってば。いや、そんな1,000万なんて冗談に決まっとりますやん。なんなら分割払いでどうです? え、ダメ? ほなら大負けに負けて1万に減額しますわ、1万に。あ、まだ怒ってはる。じゃ、のり弁1週間分でどうでっしゃろ? 320円×7=2,240円で、ずいぶんオトクでっせ!

「あちらのお客さまからです」と、黒服を着た男がピルエットしながらのり弁を差し出してきたら、そら惚れますわ、柴田はん!




                □■□

このような昨今でありますが、皆さま、いかがお過ごしでありましょうや。
さて、野田政権においては、先日、消費税増税を含む「社会保障と税の一体改革」関連法案が衆議院で可決されたところでありますが、まことにもって生ぬるい。このような法案では生活に困窮するわたしを、いや、国民を救うことはできない。

だいたい失業者だっちゅーに、健康保険や年金、市県民税と、お上という奴らは貧乏人から金をむしり取ることばかり考えておる。お上ばかりではない。一般庶民の奴らも、大昔からわたしの金をむしり取り続けてきたのだ。

それは結婚式のご祝儀というヤツである。22歳を過ぎた頃から、顔を赤らめた女子が「もみのこさん、わたし結婚することになりました。ぽっ」などと言ってくるたびに、雨の日も風の日も、ひたすらご祝儀を払い続けてきた。

22歳になれば少しずつ臆病者になる、という学説が谷村新司先生によって提唱されているが、結婚にも臆病になっていただきたいものである。それにしても、こちらとしては払うばかりで1円たりとも回収できていない。

もちろん、それだけでは済まない。次に来るのは「もみのこさん、オレ、今度、父親になるんスよ。ぽっ」である。あぁ、逃げも隠れもしねぇ。出産祝いだろ、もってけドロボー! ♪こんにちは〜あっかちゃん〜あなた〜の〜泣き〜声〜♪ こっちが泣きたいわ。もちろんこちらも1円たりとも回収できていない。

私の人生史上、最も極悪非道な輩は、結婚祝いを2回分、出産祝いを3回分むしり取って行った男であろう。ここまでくると、もう犯罪者と呼んで差支えないのではなかろうか。

いや、ぼ、ぼ、ぼくはもみのこさんと初めて会ったときには既に結婚もしてたし、子どもも大きかったから、何もむしり取ってないと思うんですけど......と、消え入りそうにつぶやくそこのお前。何を言うか。

お前、このあいだ死んだではないか。死んでわたしから香典をむしり取ったではないか。同罪である。草葉の陰からつべこべ言うでない。香典についても、自分がまだ死んでいないから全く回収できていない。

わたしは常々考えていたのだが、このような不公平が許されていいのか。これでは全くの払い損ではないか。テレビで「払い過ぎていませんか」と呼びかける法律事務所の過払い金CMを見るたびに、電話番号を控えるべきではないかと思う今日この頃なのである。

これはやはり人間同士の相互扶助の精神に鑑み、即刻改善すべきであろう。よって、わたしを救うため、新党「独身者の生活が一番」(ただしバツ無し子ナシに限る)を旗揚げし、下記のように法律改正を行うべく、政治活動に身を捧げようと決意した。

●独身者救済法案

結婚式のご祝儀、出産祝い等に未納のない日本国民が、45歳を過ぎてもバツ無し子無しの独身であった場合、ご祝儀、出産祝いの受益者は、その金額に年利18%を上乗せして当該日本国民に還付すること。

だいたいな、このわたしが清貧な聖職者の如き禁欲人生を歩んでいる間、既婚者の皆さま方は、帆かけ茶臼だの乱れ牡丹だの松葉崩しだのといった愉しい研究に勤しんでいたわけでありますから、反省のひとつもしていただかないと困るのである。え? なんのことかわからない? 清純なわたしにも全くわかりません。

しかしながら、一般庶民の皮をかぶった既婚者とは、なんと恐ろしい生き物であることか。やはり天下国家のためにも成敗しなければならぬ。

まずは新党立ち上げだ。「できるか俺に......できるさ」男の真ん中でいたいじゃないか。......気分はすっかりMARK Xの佐藤浩市である。

梅雨も明けきらぬ某日、佐藤浩市気分のわたしは市街地に向けて車を走らせていた。とある曲がり角をカッコつけて左折したところ、物陰から赤いライトを振り回して近づいてくるヤツがいる。警察官だ。

「ちょっとすいません。窓あけてもらえますか」
「はい、何か?」
「毎日お仕事お疲れ様です」
「いえ、お仕事ないから疲れてませんけど。このへんで事件でも?」

「あー、そこの角がですね、一時停止になってるんですよ」
「......は?」
「停止せずに来られましたのでね、ええ」

なんということだ! 成敗されるのはわたしの方か!

「あそこに停止線があることはご存じでしたか」
知るか、そんなこと!
「一時停止違反ということで、大変申し訳ないんですが反則金の方をですね、こちらの振込用紙からお願いしますね」

申し訳ないと思うんだったら、反則金取るのやめんかい! ゴルァ。警察官までわたしから金をむしり取ろうとするとは! わたしを誰だと思ってるんだ。佐藤浩市じゃないぞ。恐れ多くも失業者だぞ! このハローワークカードが目に入らぬか!

あぁ、わたしの夏目漱石が7人も財布から消えていく......。神よ、わたしをお見捨てになるのですか。

♪まず〜しさに〜まけた〜
♪いえ せけんに〜まけた〜

神は死んだ。わたしも死んだ。警察官にまでこのような仕打ちを受けるとは......。
あぁ、7,000円あれば、のり弁が21.875個も買えたのに。お前ら、金に困ってないやろ。その金をどうするというのだ。わたしの7,000円を返せ! 返してくれ!

さぁ、和田アキ子先生、熱唱お願いします。
♪あの金を〜使うのは〜どな〜た〜♪
諸行無常。神様のなさることはまったく意味がわからない。

※「家なき子」安達祐実
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B00005H1PI/dgcrcom-22/
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※「22歳」谷村新司
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※「こんにちは赤ちゃん」梓みちよ
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※「四十八手」(アダルト用語)
< http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9B%9B%E5%8D%81%E5%85%AB%E6%89%8B_%28%E3%82%A2%E3%83%80%E3%83%AB%E3%83%88%E7%94%A8%E8%AA%9E%29?
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※「男の真ん中でいたいじゃないか NEW MARK X」佐藤浩市
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※「昭和枯れすすき」さくらと一郎
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※「あの鐘を鳴らすのはあなた」和田アキ子×大友康平
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【もみのこ ゆきと】qkjgq410(a)yahoo.co.jp

かつてはシステムエンジニア。その後、働くおじさん・働くおばさんと無駄話するのが仕事の窓際事務員。失業生活4か月目。

7/24のGlowHairさんの番外編「パリの秘宝はアメリカの香り」を読んで、いっそ世界各地のストリップ劇場をめぐるレポートでメシを喰えぬものかと夢想中。ついでに、わたしは誰がなんと言おうと長渕剛は嫌いなので、薩摩藩では透明人間になって生きていかなければならないのである。

あ、もひとつ追記。Facebookの診断アプリを作ろうとしているのだが、どっかにいい参考サイトはないものか。というか、ソースコピーでほとんど動いちゃうよ、みたいなサイト。XAMPPやEclipseの設定するだけで疲れ果てたでごわす。とにかく早く作らねばならんということで、ただいま大パニック中。