Otakuワールドへようこそ![159]鉄道技術萌え/GrowHair

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昔の漫才で、「地下鉄をどこから入れたのか、考え出すと眠れなくなっちゃう」というのがありましたね。「うわっ、古い。懐かしい」という人よりも「知らんぞな」って人のほうが多いかもしれませんけど。春日三球・照代という夫婦の漫才で、30年以上も前のことでした。

さてさて、長年培われてきたノウハウの集大成であるところの鉄道技術であるからして、地下鉄をどっから入れたかって問題に限らず、さまざまな創意工夫がそこここに施され、細部まで考え抜かれて、いまや極限の域に達しているんじゃないかと思います。

電車に乗っているときなど、そういう技術にふと気がついて深く感心することもあれば、ある形態に対して「これってどうしてこうなってるんだろう?」と思い悩むこともよくあるんじゃないかと思います。ありますよね? よね? よね? ないですか?

私は先日やられました。小田急線が新宿駅に到着したとき、それはもうぜーったいにありえないものを見た、との思いで衝撃を受けました。「なぜ右から?」。眠れなくなるくらい悩みました。結局、同僚で鉄ヲタのK島氏に聞いて、彼の説に合点がいったのでありました。この種の問題って、どっかに答えが書いてあることはめったになく、納得のいく説明がついたところでいちおうの正解としておこう、という形で決着することが多いです。

今回、その、私が大いに悩まされた鉄道パズルをご紹介しようと思います。その前に、私が今まで聞いた中で、これは秀逸だと深く感心した鉄道パズルをご紹介しておきましょう。とあるラジオ番組で聞いたものです。




●走り出せない貨物列車

アメリカあたりだと、やたらと長い編成の貨物列車が走ってるみたいですが、これからご紹介するのは貨物列車の技術に関するパズルです。50両編成の貨物列車が走っていました。貨物列車の走る基本的な仕組みは、世界中どこもだいたい同じだと思います。先頭に機関車がついていて、後ろに連結した車両を力強く牽引します。後ろにつながっている貨物車両はただひっぱられてるだけで、モーターはなく、ブレーキもありません。走るも止まるも、機関車のなすがままです。

最後尾にはカブース(caboose)と呼ばれる、乗務員用車両がつながれているのが普通です。といっても、最近の日本の貨物列車はカブースをつけないほうが普通になってきてるみたいですけど。このカブースには手動ブレーキがついていることがあるようです。

さて、この50両編成の貨物列車、走っている途中で何かの不具合が起き、カブースの手動ブレーキが意図せずかかってしまいました。車輪の回転がストップした状態で、なおも引きずられていきます。車輪と線路との間でキーキー音が立ち、火花が散っています。駅を通過した際に駅員がこれを見つけて、列車を止めます。

カブースのブレーキの不具合は、その場で修理されました。これで、何の問題もなくなったはずです。さあ、出発進行! あれ? 走りません。なぜでしょう? という問題。いかがでしょう。非常にいい問題なので、ちょっと考えてみませんか?

考えましたか? 答え、行きますよ。車両と車両とをつなぐ連結器にはわずかながら伸び縮みできる「遊び」が設けられています。この「遊び」は、貨物列車を走らす上で必要なものなのです。通常、先頭の機関車が後ろの貨物車両を牽引して走っている状態では、伸びた状態になっています。機関車がブレーキをかけて減速すると、貨物車両は慣性で走り続けようとするため、連結器が押し詰められて、縮んだ状態になります。

通常、この状態で停止します。走り始めるときは、機関車がまず動き始めます。機関車と先頭の貨物車両との間の連結器が縮んだ状態から伸びた状態になって、先頭の貨物車両が動き始めます。つまり、貨物車両は連結器の遊び分だけ、遅れて動き始めることになります。以下同様で、貨物車両は、一両ずつ、連結器の遊び分だけ遅れて順々に動き始めます。

いかに機関車がパワフルであっても、50両もの貨物車両を一斉に動かし始めるだけの力はありません。静止摩擦力に対抗するためには、一両ずつ、順々に動かし始めないとならないのです。

さてさて、今の状況では、カブースのブレーキが意図せずかかってしまったので、列車が止まったとき、連結器は全部伸びた状態になっています。この状態では、機関車は全部の車両をいっぺんに動かし始めなくてはならず、力が足りなかったというわけです。いったんバックして、連結器を縮めてから、再度発車すればよかったのです。

いかがでしたでしょうか? この種のことに対する感性は人さまざまなようで、天の声を聞いたかのごとく深い感動と精神の高揚を覚え、「よし、ぼくも大きくなったらエンジニアになるぞ」と決意する人もいれば、「ふーん」で終わっちゃう人もいるようです。

●右回り入線の謎

ウォーミングアップができたところで、小田急線新宿駅入線の話に入りましょう。これにはほんとうにびっくり仰天でした。小田急線は割とよく利用するのですが、一か月ぐらい前だったか、上り電車に乗っていて、終点の新宿駅に到着しようとしているときでした。乗っていた電車は上の階の3本の線のうち、真ん中に入線しようとしています。

上り線からここへ入線するための経路は2通りあります。そういうときは左回りの経路を行くもんだとばかり思っていました。ところがその電車は右回りで入線したのです。ありえない! そうすることによっていったいどんなメリットがあるというのか、考えられない。

「えっ? 本当? それ、事実なの? ありえない。信じられない」と思っていただけた方は、以下の長い説明は冗長になってしまうのですが、たぶん、多くの方は、今の説明だけじゃ、どうしてそれが驚くべきことなのか、ピンと来ていないのではないでしょうか。なので、順を追って説明します。

まず、列車というものは、平行に敷かれた2本一組の線路の上を走ります。って、そっから説き起こしていると日が暮れそうではありますが。この2本一組の線路を「軌道」と呼びます。線路2本で軌道一本です。

列車は軌道以外のところを勝手に走ることはできません。言い換えると、軌道が列車の走ることのできる道筋を規定しているとも言えます。一本の軌道の、どの地点においても、2本以上の列車が同時に存在することはできません。もし存在してたら、それは衝突事故ですな。

もし軌道が起点から終点まで単純な一本道だったとすると、その軌道上は、一本の列車がただひたすら往復するしかありません。いや、2本以上の列車をこの軌道に乗せることも可能は可能ですが、すれ違うことができないので、区間ごとに往復するとか、あたかも一列車のごとく、くっついて一緒に往復する、程度の動きしかできないことになります。これじゃ、不便極まりない。

実際には、軌道は分岐したり交差したりできるようになっています。軌道のこの分岐のことを「ポイント」と言います。起点から終点までの大部分が一本だけの軌道からなっていたとしても、途中駅の手前にポイントを設けて2本に分岐させ、列車の長さよりも長い区間、2本の軌道が走る状態が続くようにして、駅の先に再びポイントを設けて合流するような構造にしておけば、そこで2本の列車がすれ違うことができるようになります。

これで、起点から終点まで、複数の列車が往復できるようになります。このように、軌道の大部分は一本からなり、駅などで2本の列車がすれ違えるようにポイントで分岐・合流させる様な構造になっている路線を「単線」と呼びます。

単線の場合、駅と駅の間の区間ではすれ違うことができないので、列車の運行が制約を受けます。列車の運行スケジュールのことを「ダイヤグラム」、略して「ダイヤ」と呼びます。ダイヤが密になってくると、駅間ですれ違うことのできない単線では、苦しくなってきます。

起点から終点まで全区間、2本の軌道からなるようにして、それぞれの軌道を上り専用、下り専用、としておくと、どこでもすれ違えるようになります。この構造を「複線」と言います。複線の場合、日本ではどの鉄道会社も左側通行の原則を採用してるんじゃないかと思います。海外では右側通行の鉄道があります。フランスでは、RERは左側通行、メトロは右側通行でした。

ダイヤがさらに密になってくると、複線でも足りなくなり、複線を2つ並べて、4本の軌道を走らせることがあります。この構造を「複々線」と言います。例えば中央線の御茶ノ水─三鷹間は前々から複々線ですが、現在、三鷹以遠の複々線化工事が進められていますね。小田急線は、千代田線と合流する代々木上原以遠の複々線化工事が進行中です。

小田急線の新宿─代々木上原間は複線です。なので、話を複線に戻しましょう。複線の起点・終点の駅は、どのような構造になっているべきでしょうか。この辺からパズルっぽくなってきます。多数のポイントで軌道が分岐・合流・交差するようになってくると、全体の構成がだんだん複雑怪奇になってきます。軌道の構成を表現した図を「配線略図」と呼びます。

配線略図では、一本の軌道を一本の線で表します。線路は2本でも、線は一本です。また、実際の線路はカクッと折れ曲がっていては列車は走れないので、なめらかな曲線を描いていますが、配線略図では、曲線は通常用いず、区間ごとにカクカク折れた直線で書き表します。先ほど述べた、単線の路線が、駅ですれ違えるよう、そこだけ複線になっている構造は、配線略図で表すと図1のようになります。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR120907/FigDGCR120907.html#Fig01 >

起点・終点に限らず、路線の分岐点などで、軌道の配線をどのように設計すべきか、という問題は、なかなか面白いパズルです。配線略図を用いて、そのような問題を、非常にカチッと論じた本が出ています。井上孝司『配線略図で広がる鉄の世界―路線を読み解く&作る本』(秀和システム 2009/02)です。著者はかつてマイクロソフトのエンジニアだったようで、論理の明晰さに、読んでてスカッとします。

JR上野駅や小田急線新宿駅は上下2層構造になっているのですが、この構造によりすごいメリットが引き出せることを知り、目から鱗が落ちる思いでした。また、東京メトロ小竹向原駅周辺の配線略図が示されており、長らくの疑問が解けました。変な動きで電車が入線してくるなぁ、と前々から思っていたのですが、地下であるために車窓からでは配線が把握できずにいたのです。

この駅では、東京メトロ有楽町線と副都心線とが合流し、東武東上線和光市方面と西武池袋線練馬方面へと分岐します。しかも、全部の組合せで列車を通す必要があります。分岐・合流は地下での立体交差になっています。入線・発車の順番待ちのやりくりを柔軟につけられるよう、駅の池袋側では3本+3本になっていたのですね。これまた目から鱗でした。この本、非常に面白く、役に立ちます。実用の役にってわけではないですが、さまざまの疑問をすっきり解消してくれます。

さて、先ほど述べた、複線の路線の起点・終点の駅の配線をどのようにすべきか、という問題に戻ります。この問題は先ほどの本でも詳しく解説されています。まず、一番単純には、図2のように、2本の軌道を合流させて、一本の軌道だけからなる駅にするという手があります。都電荒川線の三ノ輪駅はこの構造です。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR120907/FigDGCR120907.html#Fig02 >

運転間隔が広ければこれでいいのですが、密になってくると、この構造では運行のボトルネックになってしまいます。終点の駅ではたいてい乗客全員が入れ替わるし、特急列車などでは座席の方向の反転や車内清掃の作業が入ったりすることもあります。なので、途中駅よりも停車時間が長くなります。

起点・終点の駅では、2本の軌道でもまだ足りず、3本以上の軌道が設けられていることが多いです。小田急線の新宿駅は上の階に3本、下の階に2本の合計5本が設けられています。起点・終点の配線の満たすべき要件は、駅に向かう軌道からからどの軌道にも到着することが可能で、なおかつ、どの軌道からも駅から遠ざかる軌道へ入ることが可能であることです。

ここで、パズルのような問題を3つ提示しましょう。答えの主旨は共通するのですが。第1問。複線の起点・終点の駅の配線のひとつの例として、図3のように、複線をいったん合流させて単線化し、それを2本なり3本なりそれ以上なりに分岐させる、というのがあります。確かに前述の要件は満たします。実際、西武新宿線の本川越駅はこの構造です。けど、この構造では不都合なことがあります。それは何でしょうか。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR120907/FigDGCR120907.html#Fig03 >

第2問。複線から3本に至る配線として典型的なのは、図4のような構造です。実際、小田急線新宿駅の上の階、西武新宿線の西武新宿駅、東武東上線の池袋駅などで採用されています。前述の要件を満たすためだけなら、この構造では冗長な線があります。撤去してたとしても要件を満たすのはどの箇所でしょう。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR120907/FigDGCR120907.html#Fig04 >

第3問。第2問の冗長な線は、実は、あったほうが都合がいい理由があって存在しています。そうでなければ、わざわざ余計なコストをかけて設置する意味がありません。では、その理由とは何でしょうか。

答え、行きますよ。第1問。単線部分ですれ違えないので、一本の列車の到着と別の列車の出発が同時にできないという不都合が生じます。本川越駅は、手前で東武東上線をくぐるところで仕方なく単線になっているようです。
第2問。図5、図6に赤の破線で示す箇所です。
第3問。冗長箇所を撤去すると、到着と出発が同時にできない軌道の組合せが生じてしまいます。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR120907/FigDGCR120907.html#Fig05 >
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR120907/FigDGCR120907.html#Fig06 >

これ、発着競合の問題といいます。起点・終点の満たすべき絶対条件ではありませんが、満たしたほうが望ましい条件として、できるだけ多くの組合せで到着と出発が同時にできるようにしたい、ということがあります。

たとえば、複線から5本の軌道に分岐する場合を考えましょう。到着番線と出発番線の組は5×5=25通りあります。けど、1番線に到着しながら、同時に1番線から出発する、ということはありえないので、5通りは除去されます。5×5-5=20通りです。平面構造の場合、そのうち半分はどうしたって交差するので、同時発着は無理です。なので、同時発着可能な組合せは、一番多くても(5×5-5)÷2=10通りです。

この10通りの同時発着がちゃんと可能になるように配線を考えよ、と言われると、これもまたちょっとしたパズルになりますけど。図7はその解答例です。2番線に到着する経路は4通りもあります。
< http://www.geocities.jp/layerphotos/FigDGCR120907/FigDGCR120907.html#Fig07 >

小田急線の新宿駅は、上の階が3軌道、下の階が2軌道の合計5軌道になっています。この構造では、同時発着の組は、16通りに増えます。上手い工夫と言えましょう。

先ほど図4で示した、複線から3軌道に至る配線図ですが、冗長箇所があるため、2番線に到着する経路が2通りあり、2番線から出発する経路も2通りあります。どちらを通るのが正解でしょうか。複線が左側通行の場合、左回りが正解です。つまり、経路が2通りある場合は、分岐点で左を選ぶのが正解、ということです。この法則は4軌道以上に至る場合でも、常に適用可能です。

ところが! です。小田急線のある列車が上の階の真ん中の線に到着する際、右回りの経路で進入していったのです! どうです? ありえないでしょう?これで、やっと当初の問題にたどり着いたわけですが、今度はびっくりしていただけましたでしょうか?

左回りの線路も、さびずにピカピカ光っています。ということは、2番線に到着する際、左回りで進入することも、右回りで進入することもある、というわけです。なぜだ? なぜなんだ? この問題は、自力でいくら考えても、答えに到達することはできませんでした。

会社の同僚に、濃ゆ〜い鉄ヲタのK島氏がいます。よく一緒に昼飯を食べています。運命の同僚です。私は2月に人事異動を食らって勤務地が埼玉から東京に移っているのですが、彼も同時に異動になりました。なので、今も一緒に昼飯を食べています。

自力ではお手上げのこの問題を彼に問うてみたところ、30秒ほど考えたあと、答えを出してきました。どこかに書いてあったというわけではなく、自力で考えて、です。「交差する軌道から、次の列車を早く出発させられるんじゃない?」。それだ! それが正解かどうか、確認はできないけど、それを聞くと、それ以外ないように思えてきます。きっと正解です。

一本の列車が到着する経路と別の列車が出発する経路とが交差する場合、重複箇所を同時に走るのは無理だけど、一方の到着から他方の出発までの時間をなるべく短くしたい。その場合、双方右回りが正解なのです。つまり、駅に近い側で、右側通行ですれ違うことが可能なので、その部分だけなら同時発着が可能、というわけです。同じく交差する場合であっても、出発が先で到着が後の場合は双方左回りが正解となります。

私は、こういうのに深く感動しちゃうほうなんですが、しませんか?

●変なとこを走るのが大好き

変なとこったって、線路の上以外、走れるわけじゃないんですが。普段は貨物列車しか走らないとこを、たま〜に旅客列車が走るとか。ある路線から別の路線へ乗り入れる際に、めったに走らないとこを走るとか。早朝と深夜だけ走るとことか。

この話題についても、語りだすと長くなります。何しろ、中学生のころからそういうのが大好きで、変なとこを走るやつにわざわざ乗りに行ったりしてましたから。「短絡線マニア」なんて呼称があるようです。

立川と西立川の間なんて、人んちの庭先を走ってたりして、まるで夢をみてるみたいで、不思議な非現実感覚が味わえます。最近はロングレールが普及しちゃってるんで、車輪が線路のつなぎ目を通過することによって生じるリズミカルな音がめったに聞けなくなってますけど、埼京線から武蔵野線、武蔵野線から中央線へと移る線路では、この音が聞けます。貨物列車用の線路なんで、旅客列車はめったに通りません。

......なんて話も、語りだすと長くなりそうですが、紙面が尽きてきたので、また今度にしましょう。

【GrowHair】GrowHair@yahoo.co.jp
セーラー服仙人カメコ。アイデンティティ拡散。

西武線の「One ダブル」という定期券の意味、よく分からんです。今まで、西武新宿線の西武新宿駅までの定期券と、JR高田馬場駅からの定期券と、2枚を別々に買っていました。高田馬場から西武新宿までと新宿までは2路線が並行して走っているので、重複しています。

往きは乗り換えの便利な高田馬場駅で乗り換え、帰りは西武新宿駅から始発で座って帰るというメリットがあります。これが一枚の定期券になったのが「One ダブル」。それはいいんですが、なんと、値段が一緒なのです。重複区間はそれぞれに乗る頻度が半分になるので、その分ぐらいは安くなってるものと思ってたのに。

しかも、Suica のはないので、Pasmo を新たに作らなきゃならないと。カードが重複するんですけど。というわけで、作っちゃってから、これ、何の意味があったんだ、と悩み中。どなたかこのパズル解いてください。

東北新幹線の「グランクラス」に乗ってみました。E5系車両に設けられたクラスで、グリーン車よりもさらに上位、「新幹線初のファーストクラス」と謳われています。E5系車両1編成のうち新青森寄り先頭車両1両がこのクラス専用で、1人掛け+2人掛けの3席が6列並び、定員はわずか18人です。

確かに、飛行機の国際線だとエコノミークラス、ビジネスクラス(エグゼクティブクラス)、ファーストクラスの3クラスあります。それにならって、というわけなのでしょうけど、まあ、しょせん値段が2桁違うってことは押さえておかないと、比べるのは酷というものでしょう。

例えばJALの成田─サンフランシスコ往復ですと、エコノミークラスが10万円以下なのに対して、ビジネスクラスの定価が約80万円、ファーストクラスの定価が約180万円です。それに対して、東北新幹線の場合、グリーン料金は600kmまでで4,000円、グランクラス料金は9,000円です。

さる消息筋によると、JALのファーストクラスに乗ると、まずアテンダントが一人一人座席まであいさつに来るそうです。そのときに名前を呼んでくれるそうです。前のシートとの間隔は、エコノミークラスで窓1.5個分なのに対し、ビジネスクラスで3個分、ファーストクラスで5個分です。シートをほぼまっ平らまで倒しても、まだ足先の前に人ひとりが余裕で通れるほどの空間が空いています。

お酒のメニューと食事のメニューが別冊になっています。食事はいつ頼んでもよく、フルコースのメインディッシュである和牛ステーキは、二枚重ねの瀬戸物の皿に乗り、ジュージュー言ってる状態で出されます。お酒のメニューはソムリエの名前と顔写真が印刷されています。ワインは年代物があるし、日本酒は皇室御用達のがあります。そこで出されている真澄の「夢殿」はほんっとに美味いです。

飲み放題なので、この際いろいろ飲んでみよう、とばかりに、グラス一杯飲んでは別の銘柄に変えてみる、なんてことをしているうちに、着いたころには酩酊状態となっているものです。洗面道具セットがもらえるのと、メニューの冊子ぐらいは記念に持って帰ってもいいですけど、それ以外、後に残るものは何もありません。エコノミーに乗ることをもって170万円節約できたってことにして、その分、別なことに使ったほうが、ってなことを考えちゃうのは庶民の感覚ってもんなんでしょう。

さて、列車のグランクラスのほうは、というと、前後の間隔はビジネスクラス程度です。なのに、シートの位置に合わせて窓が一個だけ。しかも小さい。昔の東海道新幹線はもっと窓が大きかったような......。まあ、トンネル内ですれ違うと、二枚重ねの外側のによくヒビが入ったけど。なんとかなりませんかね?

シートは豪華ですが、45度までしか倒れません。まあ、水平になって寝る必要もないですが。グランクラスの勝ちだと思ったのは、アテンダントが若いこと。20代後半ぐらいに見えました。飛行機の場合、どうしてもベテランを起用しないとならないのか、けっこうな年の人ばかりです。

小さいころから英才教育を施して、16ぐらいからファーストクラスのアテンダントの職務に就く、なんてのはどうでしょ? 制服は、セーラー服で、とか。そこまでやってくれたら、まあ、たまには乗ってやらないこともないかな、と。あー言ってみただけです、すいません。