[3342] プチプチでつくる表紙

投稿:  著者:  読了時間:17分(本文:約8,200文字)


《今週末は神戸へ》

■気になるデザイン[85]
 プチプチでつくる表紙
 津田淳子

■装飾山イバラ道[106]
 丸1コの地球
 武田瑛夢

■おかだの光画部トーク[85]番外編
 神戸初開催「CSS Nite in KOBE, Vol.1」その3
 岡田陽一




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■気になるデザイン[85]
プチプチでつくる表紙

津田淳子
< http://bn.dgcr.com/archives/20121002140300.html >
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またちょっと手前味噌になってしまうのですが、ちょっと変わった表紙になったので、ぜひご紹介させてください。

私は『デザインのひきだし』という、デザイン・印刷・紙・加工に関する定期媒体を編集しているのですが、毎回、中身に合わせて造本でもいろいろとチャレンジしています(私がしているわけじゃなく、いろんな印刷加工製本会社さんがチャレンジしてくれているのですが)。

本全体を型抜きしたり、金銀ピカピカにしたり、アニメーションのような動く表紙にしたりと、毎回たのしみながらつくっているのですが、今週発売になる『デザインのひきだし17』では、表紙が紙ではなくなりました。

< http://bn.dgcr.com/archives/2012/10/02/images/01.jpg >
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4766124340/dgcrcom-22/ >

こちらを見ていただければ、なんとなくわかるでしょうか? この表紙、実は「緩衝材」でできているんです。あの通称プチプチと呼ばれるような、たくさんの空気が入った凸があるシート状のもの、あれです。

一般的には半透明のものが多いですが、生チョコとか海産物とか冷凍冷蔵品を買うと入れてくれる、銀色の保冷バックありますよね? あれにも同じような素材が使われていて、今回はそれに使う緩衝材のピンクメタリックなものを表紙に使用しています。

最初に他人に話したときは「は?」といわれました。うーん、確かにこんな素材、本の表紙にあまり使われない。「印刷はどうするの?」といわれましたが、これはスクリーン印刷で白1色刷りしてもらっています。緩衝材自体がちょっと凸凹していたり、折れがあったりするので、ものによっては少し印刷がかすれているものもありますが、いかんともしがたいのでご容赦のほどを。

次に「製本できるの?」ともいわれましたが、なんとかできました(笑)。でも、通常の製本機ではこの厚くて軽い素材は製本できず、また通常、本は、製本が終わったところで「化粧断ち」といって、背以外の三方をきれいにちょっとだけ断裁するのですが、その作業も無理とのこと。この理由は、非常にふわふわした素材なので、紙を切る刃ではうまく切れないからだそうだ。

そこで、まずは本文ページの1、2ページと、最終2ページを「表紙」として印刷し、それで本文をくるんで一度製本。つまり、表紙が「扉」、裏表紙が「奥付」になった本が出来上がったというわけです。その背に両面テープで緩衝材の表紙を手ばりして完成、というわけです。内職のみなさんの、正確&スピードのすばらしさ! もう感謝感謝です。

いやー、無事に完成したと思ったら、最後に思わぬ伏兵が潜んでいた。それが「シュリンク」。『デザインのひきだし』は、いろいろ付録がついているので、いつもシュリンクフィルムでキュッと包まれています。これはフィルムを本にかぶせて熱でフィルムを縮ませてラップするんですが、この機械に通すと緩衝材の表紙が熱でちりちりっと縮んでしまう!

ぎゃー!!

実は当初からそれは心配していたのですが、素材メーカーから「シュリンクにも使われてますから」ということで、使用を決めたのでした。でもシュリンクは機械によってけっこう温度が違うようで、今回の製本会社のシュリンクだと温度が高すぎて表紙が変質してしまうようで......。

でもこれも、シュリンクではなくOPPフィルムで袋をつくってその中に入れればすむ話。テスト段階で気付いたので、納品時期も送れることなく、本日無事に倉庫に全冊納品されたのでした。

この後、どんどん書店に出荷されますので、書店にいかれた際はデザイン書のコーナーでピカピカふわふわした本書を、ぜひお手に取ってご覧ください。本自体は厚いのにけっこう軽くて変な本に仕上がっています!

※本書の刊行を記念して、青山ブックセンターで10月13日に「寄藤文平×大島依提亜×名久井直子 トークイベント」を開催します。紙についてのディープな話がきけますので、ぜひお越し下さい!
< http://www.aoyamabc.co.jp/event/design-no-hikidashi17/ >

【つだ・じゅんこ】tsuda@graphicsha.co.jp twitter: @tsudajunko
デザインのひきだし・制作日記 < http://dhikidashi.exblog.jp/ >

『デザインのひきだし17』は10月5日頃発売です!
< http://www.graphicsha.co.jp/book_data.php?snumber3=1235 >

4冊で揃った「ひきだしコレクションシリーズ」---『読ませるしかけはここにある! DMデザイン・コレクション』『予算内でこんなにすてき 小型グラフィック・コレクション』『技術もすごい! 予算もクリア! 特殊印刷加工グラフィック・コレクション』『紙もの、紙加工ものコレクション』も、好評発売中です!

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■装飾山イバラ道[106]
丸1コの地球

武田瑛夢
< http://bn.dgcr.com/archives/20121002140200.html >
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先日映画「プロメテウス」を六本木に見に行ったら、「バイオハザードV リトリビューション」のプレミアの日だったらしく、主演のミラ・ジョヴォヴィッチが外の特設ステージに来ていた。

座席の後ろのレッドカーペット脇に敷居があったものの、なんとかミラを見ることができて嬉しかった。私はミーハーなので生のミラ・ジョヴォヴィッチが来ているのに通り過ぎるなんてことはできないのである。

遠くて掌に載るフィギアくらい小さくしか見えなかったけれど(横に特大スクリーンもあったおかげで)ミラは透明感のある美しさだった。「プロメテウス」でもシャーリーズ・セロンが超絶綺麗だったっけ。いろいろグロテスクなシーンも多い映画なので、彼女が出ることは画面的に美しい休息になるのだ。

というか、この映画があんなにグロテスクだとは思っていなかったので見ながらいろいろと驚いた。映画は何も情報を入れずに見た方が面白いと思っていたけれど、少しは知っておいた方がいいこともあるなと思い直したりした(笑)。以下はネタバレを含みます。

●光を効果的に使ったシーン

「プロメテウス」で良かったのは、宇宙船が着いた星の地形を空飛ぶ3Dスキャナーのようなものでピコピコと光りながら撮影していくシーン。3Dの特性を生かしていて綺麗だったし、立体感や構造物の大きさも感じられてドキドキした。

ホログラムチックな映像も過去の様子が見えているという不思議なもので、技術の進歩で見せることが可能になるアイデアもあることを感じさせてくれた。私は今回の光のシーンはどれも好きだった。

ただ、どうしても映画の内容では宇宙船の船員たちのダメっぷりが気になった。巨額の予算が組まれた宇宙探索プロジェクトのはずなのに、危機意識がないのだ。映画の上映時間124分内でピンチにあったり戦ったりするためには、迂闊なくらいでちょうどいいのだろうか。そういえばSFやホラー作品にはいつでも勇気ある被害者がいてくれるものだ。

登場人物の行動が善意だったのか悪意だったのか、見る人によって違うこともあるようだ。監督にはこういう映画に必要ないくつかの立場が決まっているのだと思う。何度作ろうと大きな枠は変えずに、あらゆる欲の貪り合いとその行き着く先の想像をさせたいのだと感じた。

●様子を知られ合う距離

そんな私も人間はいつか地球から離れることがあるのかもしれないと考えたことがある。地球は燃えているのでいつか冷めてしまう日が来るからだ。すべて自給自足可能な方法を載せた巨大な宇宙船ができて、そこで生まれた人間がずっと旅を続けるのかもしれない。

旅なんかしてどこに行きたいのかはわからないけれど、きっと当面の目的地を「希望」として進んで行くのかな。

ただひとつ怖いのは、宇宙船がいくつも分裂して散らばって行くとしたら。散らばってそれぞれが独自の価値観を持った宇宙船として何世代も過ぎる。そしてどこかで別の宇宙船と出会ったらどうなるのだろう。

空間が離れてしまったら、まったくの未知の存在のようになる。未知の脅威は「恐怖」を生むので、同じ人間の思考ならそれを取り除こうと考えてしまうだろう。

私たちは地球という丸1コの星の上で生きているからこそ、相手の様子を知ることができる。今の日本を取り巻く緊張関係は居心地は悪いけれど、必要なものなのかもしれない。

近いからこそトラブルけれど、近くて良かったこともある。様子を知られ合う距離のありがたさを考えたいのである。

【武田瑛夢/たけだえいむ】eimu@eimu.com
装飾アートの総本山WEBサイト"デコラティブマウンテン"
< http://www.eimu.com/ >

前回に引き続き、きまぐれ猫動画の二番目はイルカと猫がじゃれあうシーンを紹介。イルカが猫を見る目は「かわいい」と思っているとしか見えないし、アゴで猫の頭をスルスルと撫でています。自然界で普通には出会うことのなさそうな動物に起きる感情の不思議は、見ていてとても癒されます。

・未知との遭遇〜猫とイルカの場合〜
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■おかだの光画部トーク[85]番外編
神戸初開催「CSS Nite in KOBE, Vol.1」その3

岡田陽一
< http://bn.dgcr.com/archives/20121002140100.html >
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前回テキストを書いていた2週間前はまだ半袖Tシャツ一枚でしたが、その間に一気に季節が秋に移って、朝晩は涼しいを通り越して結構ひんやりと感じます。あっという間に9月が終わって、10月に入り気がつけば今年も残すところ3か月。年末のイベントや忘年会のスケジュールがカレンダーに入るような時期になりました。

そしていよいよ、今週末の10月6日(土)に迫ってきた「CSS Nite in KOBE, Vol.1」です。あと一回お付き合いください。

初開催の神戸で160人の募集はそもそも無謀じゃないかなと不安に感じつつも、申込みを開始しましたが、今の段階であと数人で満席になります。

お申込み頂いている方は、地元兵庫県、隣の大阪府がほぼ同数で全体の3分の2を占めていますが、神戸からは少し遠い京都府、奈良県、和歌山県、滋賀県と近畿一円からお申込みがあります。

西隣の中国・四国地方から岡山県、広島県、鳥取県、香川県、愛媛県から。そして、三重県、愛知県、東京都、石川県からも参加いただけるようです。遠方から交通費+宿泊費をかけて参加いただけるのは、本当に感謝の気持ちでいっぱいですし、また、みなさんが満足のいくイベントにしないといけないと引き締まる思いです。

他のCSS Nite有料版、無料版も含めて参加したことがなく、今回が初めてという人が全体の3分の1くらいいらっしゃいます。これも、とても嬉しいことです。「CSS Nite」ほどメジャーで、しかも全国各地で頻繁に開催されているイベントですから、新たな参加者に来ていただけるのは、イベントを企画する上でとても重要だと思います。

今回は技術的な話はしないセッションばかりですが、次回以降のテーマを考える上でも参考にしたいと思っています。

さて、「CSS Nite in KOBE」の内容からちょっと外れますが、開催日の10月6日(土)の今週末は他にも神戸でさまざまなイベントが開催されます。遠方から宿泊して参加されるみなさんは、せっかくですから、他の面白そうなイベントも是非チェックして秋の神戸を満喫してみてください。では、いくつか紹介します。

第31回 神戸ジャズストリート
< http://www.kobejazzstreet.gr.jp/ >

神戸元町ミュージックウィーク
< http://cssnite-kobe.jp/kobeinfo/event/entry-73.html >

六甲ミーツ・アート 芸術散歩2012
< http://www.rokkosan.com/rokkomeetsart2012/ >

神戸市立博物館 フェルメール展 〜真珠の耳飾りの少女〜
< http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/museum/main.html >

2012 三国志祭
< http://www.sangoku-maturi.com/ >

そして、忘れちゃいけない、デジクリ連載でも川合さんが何度も紹介されてる「神戸ITフェスティバル」
< http://kobe-it-fes.org/ >

こちらもかなり興味深いセッション満載で、わたしも参加したいのが色々あります。同じ日の6日はさすがに無理ですが、前日5日は行ってみようと思っています。

「CSS Nite in KOBE,Vol.1」は午後から夜までです。午前中にも絶対見といた方がいいセッションが色々あるので、会場も近いですし、是非こちらもチェックしてみてください。

その他にも「CSS Nite in KOBE」の公式サイトには、日々、神戸の観光情報も更新していますので、神戸に来られる際はご活用ください。
< http://cssnite-kobe.jp/kobeinfo/ >

CSS Nite in KOBE 公式サイト
< http://cssnite-kobe.jp/ >

【岡田陽一/株式会社ふわっと 代表取締役 ディレクター+フォトグラファー】
< mailto:okada@fuwhat.com > < twitter:http://twitter.com/okada41 >

10月20日(土)に大阪で第8回リクリセミナー「もう少し写真を上手に撮りたいWeb界隈の人のためのフォトワークショップ」を開催します。

写真や撮影の基礎を座学で解説した後、外で課題に沿って撮影会。その後それぞれが撮った写真をみんなで見ながら意見交換鑑賞会という、一日たっぷり写真と楽しく戯れるワークショップです。人数少なめですが、興味のある方は是非ご参加ください。
< http://www.re-creators.jp/seminar/2012/10/01_923.html >

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編集後記(10/02)

●三浦しをん「舟を編む」を読む(光文社、2011)。「ジェノサイド」を差し置いて2012年本屋大賞を受賞した作品で、川口市立図書館に29冊も買わせたベストセラーである。すいすいと読みやすく半日で読了した。おもしろかったけれど、感動するほどでもない。前代未聞の辞書小説とおだてあげられているが、たまたま舞台が総合出版社の辞書編集部というだけで、コミュニケーション下手なひとの成長を語るいつもの"三浦節"である。簡単に言うと、辞書を作るひとが辞書作りを継承していく話。メインの登場人物のキャラが立っているから、漫画にしたらなお面白いかなと思う軽い小説だ。悪いやつ、イヤなやつはひとりも出てこない。

「舟を編む」というタイトルはちょっと意味不明だが、読み進めると容易に理解できる。新しく編まれる辞書の名は「大航海」である。辞書は言葉の海を渡る舟だ、海を渡るにふさわしい舟を編む、という編集者たちの魂の根幹の思いをこめているのだ。それだったら、辞書づくりひとすじで定年を迎えた編集者や辞書編纂に一生を捧げた老学者について、もっと紙幅を割いてほしかった。辞書つくりの一種狂的な熱についてもっともっと知りたかった。でも、この小説はそれがメインテーマではない。映画化されるようだ。石井裕也監督で来年春の公開予定。松田龍平と宮崎あおい、違うだろうという気がする。いや、絶対に違う。

キャラ立ちといえば、キャラが立たないほうでは冲方丁「天地明察」である(角川書店、2009)。これも本屋大賞だ。登場人物のイメージがつかめないため感情移入ができず、1/4程度を読んで放り出した。ところが、そう思うのはわたしだけかもしれない。人物のキャラクター化に秀でていると評する声も聞く。テーマとしては非常におもしろいのでぜひ再チャレンジしたいと思う。キャラが立たないとしたら漫画になりそうにないのだが、アフタヌーンKCで槇えびしが漫画化している。これはみごとな出来で、原作に忠実で、原作よりわかりやすい。絵がうまい。構図がいい。漫画と並行して読み進めようか。映画は滝田洋二郎監督で、岡田准一と宮崎あおい、すこし違うみたい。いや、そうとう違う。(柴田)

< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334927769/dgcrcom-22/ >
→「舟を編む」をアマゾンで見る(レビュー112件)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/404874013X/dgcrcom-22/ >
→「天地明察-冲方丁」をアマゾンで見る(レビュー116件)
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4063107787/dgcrcom-22/ >
→「天地明察-1」をアマゾンで見る(レビュー12件)

●セミナー行きたいよ〜。今週末の三連休には、以前から入っていた甥らのお祭りやら宝塚やらがあり、午前だけでもと思っていたらCSS Nite in KOBEは午後からだよ〜。記念すべき初回なんだよ〜。

日曜日にSVGセミナー。書き出し(保存)時の選択肢としては目にしていたが、Web制作では使うことはなかろうとスルーしていた。30分程度のセミナーは見たことはあったけれど、今までの画像形式でもいいや、他のを先に勉強しようと思った。が、Retina用画像の作成を真剣に考えた半年前ぐらいから私の中でのトレンドワードとなった。SVGのみについて書かれた書籍はなく、あっても洋書。和書だとHTML5用書籍の1コーナー程度。オーサリングツールのない今では複雑なことをするにはJavaScript使い以外にはハードルが高く、画像の代わりに貼ってみましたぐらいになりそう。でもきっとどこかが出すような気もするし、実務にどこまで使えるのかわかっていない点もあったりして、とにかくSVGについて今のうちに頭の中を整理しておこうと、セミナーに参加。終わった後は頭の中がすっきり。続く。(hammer.mule)

< http://m2.cap-ut.co.jp/event/semi06.html >
SEOは伊達じゃない!「制作者も担当者も知っておきたい、結果を出すSEOの基
本」
↑これも予定があって行けない......めっちゃ気になるのに〜!