まにまにころころ[14]あれもこれも色々読もうよ
── 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito ──

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こんにちはー。前回の最後で、森和恵さんにオススメマンガの話を振ったところ、今度一緒にマンガ対談の回を作りましょうって話に。「MKチャット」ですねー! と言いつつ、さすがにそれは畏れ多いタイトル過ぎるなと。(笑)

◎──あれもこれも色々読もうよ

さて、小説を読もう、マンガも読もうと書いてきたここしばらくのまにころですが、最終的に言いたいのは「あれもこれも色々読もうよ」と。いっぱい本読もうよ。

「あれもこれも色々」って書いたのは、ジャンルも分野も、節操なしってくらいに幅を広げて読んでいきましょうってことで。本をまったく読まないというのはもう話の流れ的にも論外として、忙しいとどうしても読むものが偏りがち。おそらく、自分の仕事に直接関わるものを必要に迫られて読むだけで手一杯って方がほとんどじゃないかと思うんですが、それは少しもったいない。

小説の話で書きましたが、忙しいからと後回しにしていると、後に回された本の順番はきっと回ってこない。無理矢理にでも読むようにしましょう。小説やマンガだけでなく、自分とはあまり関係してこなさそうな分野の実用書や、料理や手芸といった趣味の本、学参書や、古典、資格のテキスト、なんでも手を出してしまいましょう。




◎──結局何でも仕事に繋がると思えばいい

「仕事に直接関わるものを必要に迫られて読むだけで手一杯」な人はここでひとつ発想を転換して、「幅広く色々読むことが、仕事に直接関わってくる」と思えば、気兼ねなく色々読めますよね。そんなの詭弁だ言い訳だって思われそうですけど、実際、本当にそうなりますよ。

小説やマンガの話を書いた時、想像力を養い、その想像力を発揮するため心に余裕を持たせるようにと書きましたが、言うまでもなく想像力はどんな仕事にも必要ですよね。アイデアを考えるためにはもちろんですが、円滑なコミュニケーションのためにも必要。相手の気持ちをそれなりに想像できる人とそうでない人、一緒に仕事したいのはどちらですか。

それこそ詭弁だと言われそうなので、もう少し実際に仕事に繋がるような読み方を紹介するようにします。といっても特別な方法でもないんですが、読む時の意識をほんのちょっと変えればいいんです。「この本から仕事のヒントをつかむぞ」って。手にした本がなんであれ、そう思って読めばいいんです。

本を読む時間も惜しいってくらいに仕事してるなら、その分野に関してはきっと、それなりにプロフェッショナルなわけですよね。ならば、その専門分野についての情報感度は相当高いはず。そんな人が「この本から仕事のヒントをつかむ」意識で本を読めば、どんな本からでも何らかのヒントは得られるはず。漫然と読むよりは数倍疲れると思いますが、慣れればきっと大丈夫。「仕事の目」で読みましょう。

◎──何からでも学べる

これって何も特別な話じゃなくて、かなり一般的な方法です。仕事大好きな人なら、あまり本を読まない人でも大型書店のビジネス書の棚くらい見たことありますよね。

そこに「孫子に学ぶビジネス〜」なんて本、並んでたでしょ。そりゃあ孫子は軍師、戦とビジネスの差はあっても「戦略」の話だから学ぶところはあって当然だろって思われた方は、改めてジュンク堂にでも行ってみてください。

よくよく眺めれば、ワンピースに学ぶだの桜木花道に学ぶだのガンダムから組織をどうのだのってのが、山ほどあると思います。アマゾンみたら「シャアに学ぶ"逆境"に克つ仕事術」に☆5つ付いていました。娯楽の典型であるマンガやアニメでも、「そういう意識」で読めば、本が書けるくらいにヒントは転がっています。

今、目の前にある自分ちの本棚は、人に見せられないくらい雑然としていますが、例えばマンガでは「君に届け」が並んでいます。アニメや実写映画にもなったので、名前は知ってるという方も多いと思いますが、これは別冊マーガレットで連載中の、高校生の恋愛や友情を描いたマンガです。単行本は2000万部以上売れていますし、アニメ化、映画化だけでなく、ゲーム化、小説化と様々に展開しています。

「君に届け」を読んで、甘酸っぱい恋愛模様にキュン死にするだけでもいいですが、あえて「仕事の目」で読むなら、どうして人気なのかを探ってみるとか、メディア展開の流れを追ってその戦略を探ってみるとか、掲載誌の対象読者層から、それを超えて人気が広がった理由を考えてみるとか、いくらでもできることはあります。

女の子の感情の機微を感じとって、女性向け商品の開発に勤しむのもいいでしょう。まあ「君に届け」を読んだだけで女性のイメージを固めたりしたら、内田春菊とか山田詠美とか読んだ時に、ショックで立ち直れないかもしれませんけど。(笑)

本棚から目を落として部屋に散乱している本に目をやると「包丁さばきの教科書」という本が手元にありました。料理本だって「仕事の目」で読むことができます。この本には包丁の種類から、切り方、むき方などがレシピと共に載っていますが、包丁の種類や切り方などには、それぞれの理由や意味があります。

単純に、それを知るだけでも「話のネタ」として仕事に役立ちそうですが、例えばその使い分けや工夫の仕方を自分の仕事に置きかえて考えられないかとか、調理の手順をPERT図にしてみて、クリティカルパスやボトルネックを考えるのもきっと参考になります。

「できる主婦」がいかに複雑なプロジェクトをこなしているのかを思い知ることで、敬意を持ち労ると共に、その大変さを「問題」と捉えて「解決」を考えることも、きっと仕事に役立つと思います。

◎──突き詰めれば、本じゃなくても

散々、本を読もう本を読もうって書いておきながら、本じゃなくてもって小見出しつけちゃいましたが、「仕事の目」で見ればヒントが得られる、なんてのは、別に本じゃなくても、街の風景でもなんでもいいんですけどね。

例えば、電車に乗る時車内広告を見て、出稿してる業界の特徴を考えたり、埋まり具合や自主広告の割合からあれこれ想像したり、そんなのもアリです。ヒントはどこにでも転がってて、見つける人は何からでも見つけてきます。まあ、それはそれとして、言えることは、本はヒントの宝庫ですよ、と。

◎──「仕事の目」で読むことに疲れたら

「仕事の目」で本を読むのは、正直言って疲れます。それなりに集中力も要ります。でも疲れてきたらたぶん、自然と「仕事の目」が解除されるだけでそのまま普通に読むことになるだけです。読み終えてから改めて、仕事モードで思い返せばいいし。

普通に読んでいても疲れてきますが、そんな時は一息ついて、気分転換するために、リラックスして読める本に持ち替えましょう。読書の息抜きに読書。最高ですね。

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
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最後にまたイベントのご案内。
いよいよ今週末はKOF2012。ミニステージで司会する予定。

・【大阪】11月9日(金)・10日(土)
「関西オープンソース2012」と「関西コミュニティ大決戦2012」の2つでひとつ、合せてKOF2012です。懇親会の受付も始まり、内容も続々公開されてます。
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