[3367] 7インチタブ考察

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《50歳過ぎて「スター・ウォーズ」の新作の公開日を待つ》

■Dの憂鬱[16]
 7インチタブ考察
 笠居トシヒロ

■グラフィック薄氷大魔王[323]
 音量ボリュームとBetterTouchTool他、小ネタ集
 吉井 宏




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■Dの憂鬱[16]
7インチタブ考察

笠居トシヒロ
< https://bn.dgcr.com/archives/20121107140200.html
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まいど、笠居です。なんか急に寒くなりましたが、みなさんお風邪など召してませんか? おれは、2日前から扁桃腺腫らしてダウンしてます。orz ので、今回は短めになるかもしれませんがご容赦を。

さて、今回の話題は「7インチタブレットデバイス」であります。ここ一か月でGoogleのNexus7、AppleのiPadmini、AmazonのKindleFireHDと、7インチ前後のディスプレイを備えたタブレットデバイスが出揃いましたよね。

どれも一長一短かとは思いますが、購入に際してオレが考えたことをチョットだけ挙げておきましょう。

まずは「なぜ今7インチなのか?」を考えてみます。7インチというサイズの需要は、やはり「外へ持ち出して使いたい」という欲求からのものでしょう。とすると「持ちやすい」というのはかなり重要なスペックといえるのではないでしょうか。

三つの中では一番持ちやすい印象なのがNexus 7です。340gという重さ(三つの中では中間)と、幅120mm(三つの中で最も細い)と、裏面が滑りにくいエンボス加工の樹脂というのが決め手かなと思います。

実際に持ち比べてみたんですが(Nexus 7とiPad miniのみ)、重さではiPad miniのほうが308gと軽いものの、幅が広く(134.7mm)手の小さい(成人男性としてはね)オレでは鷲づかみにするには結構きついサイズでした。

あとこちら(GIGAZINEさんの写真)で見比べてもらうとよく分かるんですが、iPad miniは両サイドのベゼルが細すぎて、片手で持とうとすると、どうしても本体下方の広いベゼル部分を持つことになります。

iPad mini:
< http://gigazine.jp/img/2012/11/02/ipad-mini-vs-nexus-7/GIG_3018_m >
nexus 7:
< http://gigazine.jp/img/2012/11/02/ipad-mini-vs-nexus-7/GIG_3039_m >

これってバランスが良くないし、実際の重量以上に持つ手がつらい感じです。ですんで、この点におけるオレの個人的評価としては「外で、片手で、コンテンツ閲覧が最もしやすい」Nexus 7の圧勝だったわけです。

次にどんなコンテンツを見るか、なんですが、ネットを閲覧する場合は、やはりセルラー通信に対応している方が有利です。

この点で行くと選択肢はiPad miniの一択となりますが、オレとしては、WiMAXルータも持ってるし、イーモバイルのテザリングも使えるし、という状況なので、LTEには速さ的に劣るものの、このあたりはどっちでもいいかんじでした。

それよりも、自分的に期待しているのはやはり電子書籍です。AppleのiBooksストアは日本語対応していないので論外ですが、GooglePlayブックスと、AmazonのKindleストアは、まぁまぁソコソコ、ラインナップを揃えてきてます。

とはいえ、小説とかのエンターテインメント系ではKindleストアが今のところ随分リードしてる感じです(著作権切れの青空文庫は両方にあるので評価から外してます)。

ただ、どちらにも言えることですが、値付けが少々お高い気がします。文庫本と同額か、ほんの少しだけ安いという値付けなんですが、できれば文庫本価格マイナス100円くらいに設定してもらえれば、これまでに購入済みの本でも(屋内のスペース確保のために)電子書籍を再度購入すると思う(少なくともオレは買います)んですが、いかがなもんでしょうね?>Amazonさん

ところで、Kindleは、iOS版もAndroid版も無料アプリを出しているので、どのスマートデバイスでもコンテンツを購読できます。無理にKindleを買う必要はないんですが、「本を読むこと」に特化するのであれば、オレとしてはKindle Paperwhiteが欲しいですね。

ちょっと厚めの文庫本程度の重さで、周囲の明るさに影響されず、紙の本を読むような自然さで読めるE Inkのスクリーンは魅力的です。Kindleストアの品ぞろえがもう少し充実したらぜひ手に入れたいと思います。

で、結局のところ、おれはNexus 7を買ったわけなんですが、上で述べた「持ち歩きやすい」に加えて、やりたいことがあったんですね。それは、デジカメで取った写真をその場で確認する、あるいは同行している他のメンバーに見せる、ということです。

デジカメの液晶で見ればいいという話かもしれないですが、それだとやはり小さすぎるし、細部にちゃんとピンが来てるかの確認にも手間がかかりますよね。

というわけで、SONY RX100+Eye-Fiカード+Nexus 7の組み合わせで、「撮影したはしからNexus 7にダウンロードされ、7インチ液晶に表示される」というのをやってみました。

結果は非常に良好でした。Eye-Fiアプリをインストールしたスマートデバイスをターゲットに設定し、Eye-FIカードの「ダイレクトモード」を使って、そのデバイスに直接写真データをアップロードするんですが、撮った写真が結構なスピードで表示されるので、自分の確認用にも、他人に見せる用途でもそこそこ使いでがあるなぁと感じました。

何人かの集合写真とかを撮ったあと「今撮ったの見せて!」と言われることってよくありますが、そんなときに、カメラじゃなくタブレットで「はい、どうぞ」って見せてあげると、インパクト大ですよねw。

さて、ここまででiPad miniの長所というか魅力を何も語ってないんですが、正直なところ、オレにとっては三つの選択肢の中で一番魅力に乏しいのは確かです。

もちろん、他のApple製品と同様、ハードとソフトの最適化具合や、何も説明書を見なくても使えるなど、ユーザビリティが飛び抜けて優れていることは想像にかたくありません。

しかし、「持ち歩いて、いつでもどこでも、(携帯よりは)大きな画面でブラウジング」が7インチタブレットの命題だとすると、デカくて持ちにくい、そのうえ高いと、マイナス要因が揃ったiPad miniは、ちょっと敬遠せざるを得ない感じです。

【笠居 トシヒロ/WEBディレクター、デジハリ大学院客員教授、京都嵯峨芸術大学講師】
< http://www.mad-c.com/
> < kasai@mad-c.com >

タブレットのことばっか書いたけど、RX100いいです。コンパクトカメラでは久々にヒットだと思う。SONYにしては自然な(あくまでSONYにしては、だけど)絵作りとか、なにはともあれ暗所に強いのがイイ。オヌヌメです。

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■グラフィック薄氷大魔王[323]
音量ボリュームとBetterTouchTool他、小ネタ集

吉井 宏
< https://bn.dgcr.com/archives/20121107140100.html
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●音量ボリュームとBetterTouchTool

MacのキーボードのFキーには、初期設定で画面の明るさ調整や音量ボリューム調整などが設定されている。けど、Photoshopやいろんなソフト使ってる人ならたいてい、システム環境設定で「標準のファンクションキーとして使用」をチェックしてますよね。

すると、それらの機能を使うにはfnキーとFキーを同時に押さねばならず、とても面倒。ずーーっとその状態で使ってるけどぜんぜん慣れない。

音量ボリュームなど頻繁にいじるのに、一瞬で押せないキーを使うのはかなり苦痛ってことで、PowerMateを使ってました。音量調整用だけに大きなツマミがあるのはなかなか便利。なんだけど、机の下のMac ProからUSBを何本も引っぱってきてるので、ちょっとジャマ。

キーを一個押しながらMagic Trackpadを「二本指スーッ」でなんとかならんかな? ってところでBetterTouchToolを思い出した。以前、Magic Mouseでちょっと試しただけで忘れてたツール。

< http://blog.boastr.net
>

四本指上下スワイプで音量調整に設定したら、システム環境設定で四本指スワイプに設定されてないのにExposeが効いちゃう。Expose自体をオフにすると、スワイプで音量調整可能だけど、一回のスワイプで一目盛りずつしか動かない。四本指横スワイプに変更したらExposeとかぶる問題は解決したけど、やっぱ一目盛りずつしか動かせないなあ。

スワイプじゃない操作はないかと探したら、「上部/下部を三本指でタップ」で音量ボリューム調整はほぼ希望どおりの操作になりました。三本指でタタタタとタップで音量調節できます。BTT、便利!

一つだけ注意。ウインドウを移動中にメニューバーに接触すると、フルスクリーンになろうとする動作が初期設定でオンになってるので、オフにしないとかなりウザいです。最初何かわからなくてMountainLionの機能かと思った。BTTの機能だとTwitterで教えてもらった。

ところで、iTunesの音は遠くに置いたBluetoothスピーカーから、システムの音はディスプレイのスピーカーから、とか振り分けはできないもんなのかな? たぶんUSB接続のなんかわからんけど、サウンド関連の機械をつければできるような気もするけどな。ソフトによってはサウンド出力を選べるものもあるし。

●先々週の余談:紙にスケッチ vs デジタルでスケッチについて諸々

CLIP STUDIO PAINTを使い始めるちょっと前、A5サイズの紙に70枚くらいTDWのスケッチを描いた。数回のトレースを経て最終の線画にしようとしたところで、「どう考えても最初からデジタルでやったほうがぜんぜん速くて結果がいいに決まっとる!!」状態に。これは本当にいつものこと。

紙に描くって、ペンタブで描くより直接的で描いてる実感があって楽しい、心地いいのは確かなんだよなあ。心地いいからどんどん進んで効率がいいって錯覚になっちゃうけど、特に速く描けるわけでもない。

紙に描いてると、積み上がって分厚くなっていく紙の束が壮観。ノってるときはそれがすごいモチベーションになる。でも、一旦ノリがはずれると、早くスキャンしてゴミ箱に捨てたい! ってなっちゃう。また、紙や鉛筆の描線にも愛着が出ちゃう弊害がある。

「徹底してアナログで」にこだわらずデジタル基本で、必要なときだけアナログで作業ってのが最もいいはずなんだけど、しばらく描いてるとどうしても愛着出ちゃうんだよなあ。「このまま根性でアナログで線画を完成させたる!」ってほとんど本質と関係ない世界に行ってしまう。

ところで、色鉛筆は疲れてくると筆圧をかけて描くのがめんどくさくなってくる。その点、筆圧をかけずに済むサインペンはマシです。ペンタブも筆圧をほとんどかけないのでラクといえばラクだけど、目で確認しながら描くのは神経を使う。

CLIP PAINTの弱点は、線がやたらきれいに描けるもんだから、きれいに描こうとしちゃうこと。ボロボロな部分があるときれいに修正したくなっちゃう。形さえ取れればいいのに、余計なところに時間を使ってしまう。

Photoshopだと線はきれいに描けないけど、それがかえって都合がいいこともある。消して描いてを繰り返せる。きれいに描けちゃうと修正に躊躇するので、ダイナミックに絵が進化しない。汚い線で描くと見た目完成に見えないから絵がいつまでも動きを止めないんです。

●Evernoteの改行

Evernoteで普通にreturnで一行空けておくと、他のテキストエディタにコピペすると五行も空く。「Shift、control、option+returnで改行」だと空けなくても一行空く。テキストエディット.appでは正しくコピペできるが、Jeditではダメ。以前からこのへん困ってた。

ちょっと検証してみたところ、なあんだ。ペースト先がリッチテキストなら大丈夫なんですね。プレインテキストにEvernoteからコピペすると変な空きになる。リッチテキストに統一してあれば問題ないってこと。

ブログエディタのMarsEditでも同じような不可解な行替え問題があったけど、たぶん同じようなことなんだろうな。

リッチテキストは色文字や太細やフォントを変えたりできる分、追加・編集すると手間がかかって煩雑なので、基本プレーンテキストでやってる。逆に、Evernoteのノートをプレーンテキストにできないのがちょっと不便と思ってるくらい。

プレーンテキストにコピペしたいときは、リッチテキストモードにコピペして、それをプレーンテキストにコピペすりゃいいわけか。一手間多いけど挙動がわかっただけでも収穫。

【吉井 宏/イラストレーター】
HP < http://www.yoshii.com
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Blog < http://yoshii-blog.blogspot.com/
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50歳過ぎて「スター・ウォーズ」の新作の公開日を待つことになるとは思わんかった。ディズニーによるルーカス・フィルム買収は大賛成。ひょっとすると、ファンを裏切り続けると悪評高いルーカス自身が持ち続けるよりいいかも。この件を語り始める止まらないのでここまでで自粛。

ところでこの土日、一泊二日でちょっと出かけたのですが、持って行ったACアダプタでスマホが充電できないことが、ホテルに着いてから判明! すでにバッテリー残量危機! コンビニでスマホ対応のリチウム電池付属の充電器(千円)を購入。

2時間程度の充電で50%まで復活した。便利! リチウム電池が空になったら普通の乾電池でも使える。容量は半分くらいらしいのだけど、とりあえずこれ持ってれば、日本全国、コンビニさえあればどこへ行ってもぜんぜん大丈夫じゃん! 

スマホのバッテリー容量問題が、とりあえず大問題でなくなった気分。っていうか、厚さ3センチになっていいから3日くらい使い放題してもバッテリーもつようにしてほしいぞ!

●iPhone/iPadアプリ「REAL STEELPAN」ver.2.0がリリースされました。
「長押しロール」のオン・オフ切り替えスイッチを追加しました。
「オフ」ではレスポンスが速くなるので、素早い演奏が可能になりました。
REAL STEELPAN < http://bit.ly/9aC0XV
>
●「ヤンス!ガンス!」DVD発売中
amazonのDVD詳細 < http://amzn.to/bsTAcb
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編集後記(11/07)

●「黙って00万円出してくれ」と妻に言えば、出せるけど何買うの? と鷹揚に返ってきたバブリーな時代が、わたしにも確かにあった。今はそんなこと言ってもフンてなもんだが、久しぶりに「おい、黙って463万円出してくれ」と言ったもんだ。出さないけど何を買う? いちおう相手をしてくれた。光岡自動車のヒミコ(卑弥呼)の最上位機種だよ。最近の新聞広告を見ながらの会話だ。駐車場は確保しているが、運転免許はないんだからこれは夢の話だ。それにしてもかっこいいぞ、MITSUOKA Motor。

「宝石すら、嫉妬する。」がキャッチフレーズのHimikoは、1930年代のイタリア車の趣きだ。フロントフェンダーからリアフェンダーの比率を、美しさの黄金比7:3の割合でデザインしたという。ベースはマツダ「ロードスター」だが、その面影はまったくない。デザイナーは「昔のトヨタ2000GTのような、美しく、見飽きることがないスポーツカーにしたかった。美しさと強さを持った邪馬台国の女王というイメージだ」と語る(読売の記事)。

本社は富山市、1968年創業の町工場、いまは従業員約600人。1996年にホンダ以来32年ぶりとなる国内10番目の乗用車メーカーに認可された。国から乗用車メーカーとして認められるまでが大変で、当時メーカーになるための明確な基準がなかったため、運輸省に4年間、何10回も通いつめた。数千という項目で資料を提出、ねばり強く申請を積み重ねてようやくメーカーになれたのだ。

ところで、大学設置認可の手続きは明確な基準が設けられている。複雑で時間も経費もかかるが、認可申請が要件を満たしていれば認可される。ところが、大学設置・学校法人審議会が開設可とする答申を出した3大学について、田中「暴走独断専行」大臣が不認可という異常な決定を下した。各界から猛反発を受けて、昨日撤回は拒否したものの新組織で再審査をおこなうことを表明した。あと何日大臣でいられるか分からない身で何言ってんだか。(柴田)

< http://www.mitsuoka-himiko.com/index.html
>
Himiko
< http://www.nhk.or.jp/bs/t_culture/
>
追跡者 ザ・プロファイラー 「スティーブ・ジョブズ"シンプルに 前へ"」
NHK BSプレミアム 11月7日(水)21:00〜21:59 ★本日

●佐々木正悟さんの「クラウド時代のタスク管理の技術」を読みかけたまま放置中。読みたいけど仕事テンパり中。とても勉強になるし、真似したい。目次を見たところ、使っているツールはほとんど同じなのにとブルーな気持ちにもなったわ。時間見積もりが甘かったり、体調管理が悪かったりする。

佐々木さんは、一日のタスク終了時間予測にあまりズレがないとのこと。「人というのは面白いもので、今までただ一つのタスクについてすら、正確な時間を見積もることをしてこなかった方でも、すべてのタスクの時間を見積もるということになると急に、すべてのタスクにかかる時間を『正確に』見積もらねばならぬ、と考えてしまうようです。」

はい、その通りです。そして敗北感だけが残ります......。まだ途中だけど、この本の理路整然とした文章は超実践的で、考え方まで教わることができて、おすすめです。Kindle版も買おうかな。セミナーにも参加してみたい。(hammer.mule)

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