まにまにころころ[15]本は平行して読む
── 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito ──

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こんにちは、KOF2012疲れから回復したてほやほやの川合です。今年はちょこっと省エネモードで臨んだので例年よりも回復が早かったですが、それでも丸一日は、だるさと微妙な筋肉痛に身悶えしていました。筋肉痛、嫌いじゃないんですけど。

いつも色んなイベントに関わっていますが、筋肉痛になるのは(文化系では)、KOFくらいなもので。なんで筋肉痛になるのかというと、KOFは会場設営が全部、椅子並べや机の設置も含めて、スタッフの仕事でして。

もちろん大人数をかけて挑むのですが、慣れない肉体労働は効くんです。今年は片付けの半分くらいで一足先に離脱させてもらったのに......運動不足ですね。




◎──ジュンク堂書店KOF店

さて弱った体の話はさておいて、KOFと本の話でも。KOFではここ数年、会場内にジュンク堂書店さんが出張店舗を出店してくださってます。ITイベントなので、その関連書籍を持ってきていただいて。ブース出展者さんや講演者さんにはその書籍の著者も多くいらっしゃるので、サイン会も開いたり。

まあ非IT人間の私にはさっぱり理解できない内容の本も多いのですが、それでもいつも、ついつい何冊か買ってしまうんですよね。今年も四冊買っちゃいました。

買ったばかりなので中身の話はあまり書けませんが、私がどんな本を読むのかの紹介がてら書いてみようかと。ここ数回の話だと、マンガと小説しか読まない人みたいに思われそうですし。(笑)

◎──「カンフーマック ─猛獣を飼いならす310の技」
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873115825/dgcrcom-22/
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一冊目は、オライリージャパン「カンフーマック」です。超かわいい子猫が表紙。これは、Macを便利に使うためのtips集です。

今この「まにころ」もMacBookProで書いているのですが、実はMacを使い出したのはここ数年の話で、まだあまりよくMacの使い方が分かっていなくて。それでも「たぶんこうだろうなー」って感覚でなんとか使えてしまうのがMacのよくできたところなんですが、もう少しちゃんと使えるようになりたいなと思って買っちゃいました。

どうせショートカットキーとか読んでもすぐに忘れちゃうとは思うんですが、「こんな機能があるよ」ってことだけでも知ってれば、必要になった時にググりやすいので。

今回買った本の中で、買うかどうかを一番悩んだ本です。別に買わなくても今のところそれなりに使えてるし、いらないっちゃあいらないかなーとも思ったり、どうしたもんかと悩んでたところ、目の前でKOF実行委員長の中野先生が手に取り、そのまま買われたので、ああ自分も買っちゃおうと。ありますよね、そういうの。

◎──「インタフェースデザインの心理学─ウェブやアプリに新たな視点をもたらす100の指針」
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4873115574/dgcrcom-22/
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続いて「インタフェースデザインの心理学」これもまたオライリージャパンです。私はデザイナーではありませんが、それでもWeb屋の人間として、デザインのよし悪しの判断をある程度求められることがありまして。その参考になればと。

この本、タイトルには「インタフェースデザイン」とありますが、実際の中身はその範疇を超えて、人が何をどう感じるかといったことが書かれていて、広い意味で「デザイン」を考えるのに役立ちそうです。デザイナーだけでなく、人に何かのサービスをウェブやアプリで提供する人は、読んで損はないんじゃないかな。

◎──「ソーシャル・エンジニアリング」
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822284972/dgcrcom-22/
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三冊目は、日経BP社「ソーシャル・エンジニアリング」です。セキュリティ分野にあまり興味がない人には馴染みがない言葉かも知れませんね。

サブタイトルに「最大の弱点"人間"をハッカーの魔の手から守るには」とありますが、人間の心理を利用して情報を入手したり行動を操作する手法、といったところですかね。

もちろん、それを利用して悪いことしましょうって本じゃなくて、こんな手口があるから気をつけましょうねって本です。どっちも一緒といえば一緒ですけど......。

こう書くと詐欺や騙しのテクニックみたいですが、良いことにも使われますし、もっと言えば、誰もが日常的に多かれ少なかれソーシャル・エンジニアリングを駆使して生活しています。

悪いことの例で言えば、キャッシュカードの暗唱番号を巧みに聞き出して不正利用するとか、この本は翻訳本なので書いてないような気がしますが、オレオレ詐欺なんかもその悪用例のひとつです。

良いことの例は、例えば心理カウンセリングや、もっと身近な問診、悩み相談などにも使われます。日常的な例で言えば、営業トークなどもその例ですし、営業でなくても、誰もが普段から周りの誰かを説得したり交渉したりしながら生きてますよね。例えば、子どものおねだりや、恋愛の駆け引きなんてのは、ソーシャル・エンジニアリングの応酬です。

今回のまにころを通じて、「コロちゃんってマンガ以外も読むんだ」と思わせようとしているのもソーシャル・エンジニアリングです。

この本、セキュリティの話が中心であるものの、つまりはコミュニケーション術について書かれた本と言えます。自分の言葉や行動が、相手にどう思われるのか、どう影響するのか、それを想像する手助けをしてくれます。技術的な話も多く、錠前破りの話なんかもピッキングツールの紹介と共に書かれていますが、それは「鍵をかけただけで安心しちゃダメ」って話として書かれています。

◎──「100万人から教わったウェブサービスの極意〜『モバツイ』開発1268日の知恵と視点」
< http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4774149675/dgcrcom-22/
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最後は、技術評論社から、えふしんさんこと藤川真一さんの著書。これは、えふしんさんが「モバツイ」の開発に際して、どのように考え、どのように行動してきたのか、モバツイ開発裏話に色んなヒントがちりばめられた一冊。

KOF2012ではえふしんさんの基調講演もあり、この本のサイン会も開かれました。2日間の開催中にいくつかのサイン会がありましたが、この本はサイン会で完売。私もサイン会の列に並んだ一人です。

4月末にマインドスコープ社をjig.jp社に売却し、今月6日に想創社をリスタートさせたえふしんさんの次の展開がとっても楽しみですね。

◎──平行して読む

さて、以上四冊を紹介しましたが、どれもまだ一章ずつ程度しか読んでいません。「一冊ずつ読まないの?」って言われそうですが、大抵いつも何冊かを平行して読んでいます。技術書に疲れたら読み物系とか、本読みの合間に本を読む、と。

同系統の本を同時にやりすぎると頭の中がごちゃごちゃになりそうですけども、慣れれば、同時に読むにはどんなチョイスが自分に向いてるか分かってきますし、一度試してみてください。

読みかけの本を全部持ち歩くとカバンが大変なことになったりしますけど、運動不足対策の一環とでも思って是非。まあ効果のほどはさだかじゃないですけどね。あ、登り階段の負荷は確実に増します。(笑)

◎──POPの力

最後にちょっとおまけ。今回、よく一緒にイベントやったり、あちこちで講演もされている村岡さんが、お薦めの書籍一冊、雑誌一冊に対して推薦のPOPを書かれたんですが、POPを置いてから明らかに売れるようになって、雑誌は完売。POPの力って大きいなーというのを目の当たりにしました。帯コメントもそうですが、説得力のある推薦文って強いですね。これもソーシャル・エンジニアリングかな。

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
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来年、KOF2013は11月8日(金)・9日(土)に開催予定です☆