まにまにころころ[17]信じるものは救われる
── 川合和史@コロ。 Kawai Kazuhito ──

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こんにちは、ここんとこ何をするのも億劫で捗らない川合です。寒いし。冬の冷えた空気は嫌いじゃないんですけどね。暖かい格好して吸い込むぶんには。

そんな気分が沈みがちな日々、モチベーションを高めてくれそうな自己啓発書の言葉を思い出してみたりするわけですよ。常にポジティブに考えよう、とか。でもまあ実際、そんなの無理無理。パレアナ(ポリアンナ)じゃあるまいし。

◎──自己啓発書

大型書店に行けばたいてい棚がある自己啓発書。有名どころでは、カーネギー、ナポレオン・ヒル、マーフィーあたりが、棚にいっぱい並んでると思います。他にも山ほどあります。成功するにはこうしようぜってな本が。

よくあるのが、さっき挙げた「ポジティブに考えよう」系のもの。近いもので、「思い描いた夢は叶うよ」系のもの。思い描けば叶うんだから、ポジティブに考えようよってことですね、合わせれば。裏返すと、ネガティブな考えしたら、ネガティブな未来になっちゃうよと。

「信じる心が力になる」って魔法騎士レイアースで言ってたけれど、「願えば叶う」なんて、それだけ聞けば「厨二病かよっ」て思われるかもしれませんが、何も全てがオカルティックな話というわけではなくて、社会学でいうところの「予言の自己実現」とも符合する話です。




◎──予言の自己実現(self-fulfiling prophecy)

予言の自己実現(予言の自己成就)とは、社会学者のマートンの言葉で、何かについての予言を聞くと、その時点でその予言が現状の構成要素の一部となり、その後の状況に影響を及ぼすため、予言に引き寄せられていくというような話。良いことも、悪いことも。

良いことの例でいえば、心理学のピグマリオン効果がそんな感じ。先生が期待すると、期待を受けた生徒は伸びる、っての。悪いことの例で言えば、銀行の取り付け騒ぎとか。「あの銀行、やばいらしいでー」って噂(予言)で、皆が預金を引き出して本当にやばくなるというやつ。

今挙げた2つの例はどちらも超単純ですが、これが「風が吹けば桶屋が儲かる」くらいに途中の過程が複雑になれば、最初と最後の隔たりがオカルティックに見えることもあるでしょう。

何週間か前の「聖闘士星矢オメガ」で双子座の黄金聖闘士が、人生は膨大な数の選択で現在に至っているというようなことを言ってましたが、その分岐点で選択する度に「予言」が影響を及ぼせば、知らず知らずに(あるいは意識的に)予言の実現に向かって少しずつ吸い寄せられていくのも理解できます。

◎──願えば叶う?

もちろん、「願えば叶う」というのは、「願えば何でも叶う」わけじゃなくて。どんなに信じてどんなに願っても、叶わないものは叶わないってのは、例えば、中世の錬金術師が金を作れなかったことや、秦の始皇帝が不老長寿の薬を入手できなかったことでも分かります。あの人たち、本気で信じて願ってたはず。それでも叶わないものは叶わない。やっぱ超常現象じゃないから、これ。

あ、超常現象は超常現象で否定はしません。第六感とか、それを超えたセブンセンシズもありそうです。超常現象も悪魔も、存在しないなんて証明できない。

それはそれとしても、「願わないと叶わない」ということは言える気がします。叶えるためには、まず願わないといけない。いや、まあ「願ってもない幸運が!」なんて話は別だし、思ってもみない不幸に見舞われることもあるので、これも「なんでも」じゃないですけどね。

でも「予言の自己実現」の範疇で言えば、願えないこと、思い描けないことは、叶わない。問題解決やイノベーションのためには、非常識な考え方や、発想の飛躍が大事というのは、「思い描く」幅を広げるためで、他の誰もが思い描けなかったことを思い描けた人が、抜きんでるための鍵を手に入れられる、と。誰も考えつかないことをするのが大好きなパタリロは、それだけ誰より色々と叶えることができる可能性が高いんですね。

◎──じゃあ、願おう。常にポジティブに!

「じゃあ、願おう。常にポジティブに!」と言いたいところですが、冒頭でも書いたように、無理無理、そんなの。やってみればすぐ分かりますが、何でもポジティブに考えるためには、ものすごく多くの「邪魔」が存在します。一番邪魔になるのは、「常にポジティブに考えようとは思っていない他人」です。自分だけでこれをどうこうするのは、社会生活を営む上ではとても難しい。

世の中ネガティブに溢れています。まるでネガティブな未来を願っているかと思うくらいに。ネガティブな考え、ネガティブな行動、ネガティブな発言が。しかも否定的、悲観的な人だけでなく、他者を否定する、他者を貶めるような人も山のようにいる。TwitterやFacebookを見ていても、愚痴や罵詈雑言を目にしない日はない。

そんな中で常にポジティブにいられるのは、パレアナくらいでしょ。パレアナでさえまったく喜びが見つけられない時期あったのに、常人にはちと難しい。

◎──それならどうすればいい?

周りにネガティブが溢れる中でポジティブに考え続けることが難しいのなら、じゃあどうすればいいか。「周りをなくす」か「周りのネガティブをなくす」、というのが、それぞれ答えのひとつでしょう。前者は、隠遁生活を送ること。後者は、常にポジティブな考えでいたい人だけで集まること。どう考えても、今後も生きていく前提なら、後者がてっとりばやいですね。

だから色んな団体ができてくるわけですよ。ポジティブシンキングに限らず、思想を同じとする人が集まれば、きっと快適な日々を送れるでしょう。幸せかどうかは、幸せの定義にもよるので一概には言えませんが、たぶん当人たちは幸福感を得ると思います。それはもう、ちょっとした宗教です。というか、宗教にはそういう側面がそもそもあると思います。

◎──仲間の輪を広げる、その先

同じ思想の仲間が多くなれば多くなるほど、快適さは増します。不快なものに触れる機会がそれだけ減るので。でも、どんどん仲間を増やしてもいずれ限界がきます。みんながみんな同じ考えになるなんて、「人類補完計画」でも成功しない限り無理です。アニメでも無理だったけど。

そこでまたさっきの選択。「周りをなくす」か「周りの対立思想をなくす」か。同志で引きこもるか、周りを駆逐するか。後者はもう、相手に対して「降伏か死か」って世界ですね。そこまできたら、そもそもの目的やら手段やらが収拾つかなくなりそうですけど、やっぱここでも後者が採られることが多いように思うのは、気のせいじゃないですよね。

◎──バランス感覚

さあここで便利な言葉。「バランス感覚」を持ちましょう。思い詰めて、行き着くとこまで行っちゃったらダメなんです、今のところ。自分の周りの人には、「できるだけいつも、ポジティブに考えると良いことあるらしいよ」って勧め、でもそうしない人に無理強いはしない。で、そんな人もいることを受け入れる。

諦め、っていうとネガティブな響きだから、世界には多様性があった方がいい、色んな考えが許容される社会の方が素敵、とでも考える。「今のところ」って書いたのは、いつか最適な解答が出てくるかも知れないから。一万年以上経ってまだ答えでてないし、無理なのかもだけど、そこは信じて願いましょう。叶う日がいつか来ることを。

◎──なんていうか

気の利いた結論なくてすいません。こんなの解決できたら、平和賞ものでしょ。私に出来るのは、まにころ転がしながら信じて願うのみです。これを読まれた皆さんにも、お付き合いいただけると嬉しいです。無理強いはしません。(笑)

【川合和史@コロ。】koro@cap-ut.co.jp
合同会社かぷっと代表
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